3年 社会 コンビニエンスストア

コンビニエンスストア ── 小さな店のそうこは、道路の上にある

コンビニの中を思い出してください。広さは、学校の教室2つ分くらいしかありません。それなのに、おにぎりも、牛にゅうも、ノートも、かさも、電池もある。しかも夜おそくに行っても、たなはからっぽになっていません。ここで、ひとつふしぎなことがあります。スーパーには、品物をためておく大きなそうこが店のうらにあります。でもコンビニの店内のうらには、そんな広い場所はありません。そうこが無いのに、どうして品物が切れないのでしょうか。答えを先に言うと、コンビニはそうこを店の中に作るのをやめて、道路の上に置いたのです。どういうことか、とびらの中をのぞいてみましょう。

せまいのに「ない物」がない ── コンビニの作戦

まず、スーパーとコンビニを、数字でくらべてみます。

くらべることスーパーコンビニ
売り場の広さ体育館くらい広い店もある教室2つ分くらい
品物の種類1万種類をこえるおよそ3000種類
同じ品物を置く数たくさん、山づみにできる少しずつしか置けない

コンビニの作戦は、この表にぜんぶ出ています。「よく売れる物だけをえらんで、少しずつ置く」。これがコンビニのやり方です。たとえばしょうゆは、スーパーなら何十種類もならびますが、コンビニには数種類だけ。そのかわり、おにぎりからせんざいまで、くらしに必要な物が「一通りぜんぶ」そろっています。種類をしぼったから、教室2つ分におさまるのです。

ところが、この作戦にはよわ点があります。少しずつしか置かないのだから、すぐ売り切れるはずなのです。おにぎりのたなを思い出してください。ならんでいるのは、せいぜい数十こ。お昼どきにお客さんがつづけて来たら、あっというまに無くなる数です。それなのに、ゆう方に行っても、夜に行っても、たなには新しいおにぎりがならんでいる。この「売り切れない」のなぞをとくかぎが、道路の上にあります。

そうこは道路の上にある ── 一日に何回も来るトラック

コンビニには、大きなそうこのかわりに、一日に何回もトラックがやって来ます。おにぎりやおべんとうをのせたトラックは、朝・昼・夜と、一日におよそ3回。そのほかにも、パンのトラック、牛にゅうなど冷たい物のトラック、おかしや日用品のトラックが、それぞれの時こくに店の前に止まり、品物をおろしていきます。

 スーパー型のしくみ   大きなそうこに ためておく → たなが へったら うらから 出す  コンビニ型のしくみ   店には ためない → 走っている トラックが そうこの かわり   (売り切れる 少し前に、つぎの 便が 着く)

つまりこういうことです。スーパーは「品物をためる場所」を店のうらにかかえています。コンビニは、ためる場所を店の外に出してしまい、「とどく回数」を増やすことで、ためなくてもすむようにした。たなの上のおにぎりが売り切れるころ、次のトラックがちょうど着く。このリレーがうまくつながっているかぎり、たなはからっぽにならないのです。「そうこは道路の上にある」というのは、そういう意味です。

このしくみは、品物が店にとどくまでのきじで見た「店が開く前に、町は動いている」の、いちばん回数の多いバージョンだと言えます。そして夜中のおにぎり工場では、朝いちばんの便に間に合うように、機械と人がおにぎりをにぎりつづけています。あなたが朝ごはんに買うおにぎりは、その日の夜中に生まれて、夜明けの道路を走ってきたものなのです。

レジは、売りながら数えている

ここで、新しい疑問がわきます。トラックは一日に何回も来る。では、何を何こ運んでくるかは、だれがどうやって決めているのでしょう。足りなければ売り切れるし、多すぎれば売れ残ってすててしまうことになります。

答えはレジにあります。コンビニのレジは、お金を受け取る機械であると同時に、「何が、いつ、いくつ売れたか」を記録する機械でもあります。バーコードを「ピッ」と読むたびに、売れた品物の記録がひとつ増えていく。一日が終わると、「さけのおにぎりは何こ、ツナは何こ売れた」という表が、自動でできあがっています。

 レジの記録「きのう 売れた数」    +  店の人の予想「あしたは 雨? 近くで 運動会?」    ↓  ちゅうもん(何を 何こ 運んでもらうか を 決める)    ↓  工場・そうこ → トラック → たな → また レジへ

ただし、記録がそのままちゅうもんになるわけではありません。店の人は、きのう売れた数の表を見ながら、あしたの天気や、近くの行事を考え合わせます。雨の日はお客さんがへる。近くの小学校で運動会があれば、お茶とおにぎりがたくさん売れる。こうして「きのうの数字」と「あしたの予想」を組み合わせて、ちゅうもんの数を決めるのです。きのう売れた数が、あしたとどく数を決めている ── コンビニのたなは、お客さんの買い物そのものが作っている、と言ってもよいくらいです。

なお、お金のほうも、カードやスマホではらうお客さんがふえて、レジの仕事はどんどん「数える仕事」が中心になってきています。

品物のほかにもある ── まちのまど口のしごと

コンビニをよく見ると、品物を売る以外の仕事を、たくさん引き受けていることに気づきます。

 コンビニで できる「売る 以外」の しごと   ・宅配便の 荷物を 出す/受け取る   ・電気代などの お金を はらう   ・ATMで お金を 出し入れする   ・コピーや 写真の プリントを する   ・こまった ときに かけこむ(セーフティステーション)

荷物を送れて、支はらいができて、お金を下ろせる。これは、ゆうびん局や銀行が受け持ってきた仕事の一部です。家の近くのコンビニが「まちの小さなまど口」をかねてくれているおかげで、遠くまで行かなくてもすむ人がたくさんいます。

さらにコンビニは、「夜も明かりがついていて、人がいる場所」として、まちの安全の役も引き受けています。多くの店が参加しているセーフティステーションという活動では、こわい思いをした子どもや、気分が悪くなった人がかけこんできたとき、店の人が守って、警察やきゅうきゅう車に連らくします。また、地しんなどの災害で家に帰れなくなった人に、水道の水やトイレ、道の情報をさし出す約束を、市や県と結んでいる店もあります。夜のまちで光っているあのかん板は、じどうはんばいきの住所ステッカーと同じように、「ここにたよれる場所がある」というしるしでもあるのです。

24時間あいているわけ ── そして、やめる店

コンビニが日本に広まりはじめたのは、およそ50年前です。名前の「コンビニエンス(convenience)」は、英語で「便利」という意味。その便利さをいちばんよく表しているのが、24時間あいていることでしょう。

でも、考えてみてください。夜中の2時に、お客さんはほとんど来ません。売れないのに、どうして開けておくのでしょうか。じつは夜中の店内では、売ること以外の仕事が動いています。夜明け前のトラックが着くのは、お客さんの少ないこの時間です。品物を受け取り、たなにならべ直し、ゆかをみがく。昼間ににぎわう店は、夜中に作られているのです。開けたまま作業をすれば、何時に来るお客さんも断らずにすみます。

そしてもうひとつ、目に見えない商品があります。「いつ行っても、ぜったいに開いている」という安心です。夜中に子どもが急に熱を出した家の人も、夜明け前に仕事へ出る人も、「あそこなら開いている」と知っている。この安心そのものが、コンビニが売っている物の一つなのです。

ただし近年は、はたらく人が足りなくなり、夜中の客の少ない店では、夜は閉めるコンビニも出てきました。24時間はぜったいの決まりではなく、「そのまちに、いちばん合った開け方はどれか」を、店ごとに考え直しているところです。まちが変われば、店も形を変える。コンビニは今も、へんしんのとちゅうなのです。

たしかめてみよう

Q1 コンビニが教室2つ分の広さでやっていける作戦は、どんな作戦ですか。

A よく売れる物だけをえらんで、少しずつ置く作戦です。種類をおよそ3000にしぼるかわりに、くらしに必要な物を一通りそろえています。

Q2 「コンビニのそうこは道路の上にある」とは、どういう意味ですか。

A 店の中に大きなそうこを作らず、一日に何回も来るトラックをそうこのかわりにしている、という意味です。売り切れる少し前に次の便が着くので、たながからになりません。

Q3 おにぎりやおべんとうのトラックは、一日におよそ何回来ますか。

A 朝・昼・夜のおよそ3回です。夜中の工場で作られた物が、その日のうちに何回かに分けてとどきます。

Q4 コンビニのレジは、お金を受け取るほかに、どんな仕事をしていますか。

A 何が、いつ、いくつ売れたかを記録する仕事です。店の人はこの記録と、天気や行事の予想を合わせて、次のちゅうもんの数を決めます。

Q5 コンビニが引き受けている「売る以外の仕事」を、二つ以上あげてください。

A 宅配便の受けつけ、電気代などの支はらい、ATM、コピーなど。さらに、こまった人がかけこめるセーフティステーションの役もあります。

まとめ

おうちの方へ

3年生の社会科「店ではたらく人」では、スーパーマーケットの見学が定番ですが、子どもが日常もっとも頻繁に出入りする店はコンビニです。本文では「狭いのに品切れしない」という身近な違和感を入り口に、多頻度小口配送(店に在庫を持たず配送回数で補う仕組み)・販売記録に基づく発注・物販以外のサービス網という、コンビニを支える3つの仕組みを、固有の店名を出さずに整理しました。

お子さんと店に行ったら、「おにぎりのたなは今どれくらい埋まっているか」「店の前にトラックが止まっていたら、何を降ろしているか」を観察してみてください。時間帯を変えて2回見ると、棚が「補充されている」ことが実感できます。レジで「ピッ」と鳴るたびに売れた数が記録されている、という話は、バーコードの記事(5年社会)への良い橋渡しになります。

セーフティステーションは、コンビニ業界が警察庁などと連携して行っている実在の活動で、子どもの駆け込みにも対応します。「困ったことがあったら、夜でも明かりのついているコンビニに入ってよい」ということは、防犯教育としてもぜひ一度、言葉にして伝えてあげてください。