なぜ野菜は入口にあるのか。なぜお菓子はレジの近くなのか。すべて計算されています。
この単元は、たいてい家の買い物調べから始まります。
1週間、家の人がどこで何を買ったかを記録します。すると、こんなことが見えてきます。
| 店の種類 | 買うもの | 行く回数 |
|---|---|---|
| スーパーマーケット | 食料品全般 | いちばん多い |
| コンビニ | 飲み物、お弁当 | 多い |
| ドラッグストア | 薬、日用品 | ときどき |
| 専門店 | 肉、魚、パン | ときどき |
| インターネット | 本、服、大きいもの | 増えている |
調べると、スーパーマーケットがいちばん多く使われていることが分かります。だからこの単元では、主にスーパーを調べます。
そして「なぜスーパーが多いのか」を考えます。
これらはすべてお客さんの願いに応えた結果です。店は、お客さんの願いに合わせて作られている──これがこの単元の中心テーマです。
スーパーの中を見学すると、配置にきまりがあることに気づきます。
| 場所 | 置かれるもの | 理由 |
|---|---|---|
| 入口すぐ | 野菜・くだもの | 色がきれいで新せんな印象。買う気になる |
| 店の外周 | 肉・魚・牛乳 | 冷蔵設備が必要。裏から補充しやすい |
| いちばん奥 | 牛乳・パン | よく買うものを奥に置き、店内を歩かせる |
| レジ横 | ガム・電池・雑誌 | 待っている間に目に入る |
| 目の高さ | 売りたい商品 | いちばん手に取りやすい |
とくに面白いのが「牛乳が奥にある」ことです。
牛乳は多くの人が買います。だから入口に置けば便利なはず。でも、あえていちばん奥に置きます。
なぜでしょうか。お客さんに店内を歩いてもらうためです。歩く途中で、ほかの商品も目に入る。「あ、これも買おう」となる。
これは店の側の工夫です。お客さんのためだけでなく、店が売るための工夫でもあります。
3年生では、この両面に気づくことが大事です。「お客さんのため」と「店のため」、両方の視点があります。
スーパーには、たくさんの工夫があります。整理してみましょう。
| お客さんの願い | 店の工夫 |
|---|---|
| 安く買いたい | 特売日、まとめ買い割引、ポイントカード |
| 新せんなものがほしい | 朝に仕入れる、産地を表示、日付を書く |
| 安全なものがほしい | 産地・生産者の表示、消費期限 |
| いろいろ選びたい | 同じ商品でも複数の種類を置く |
| 使いやすい量がほしい | 大・中・小のパック、少人数用 |
| 早く買い物したい | レジを増やす、セルフレジ |
| 車で行きたい | 広いちゅう車場 |
| ごみを減らしたい | リサイクル回収、エコバッグ |
見学のときは、これらの工夫を探します。「なぜこうなっているのか」を考えながら見ると、店が違って見えてきます。
そして、お店の人にインタビューします。2年生の町たんけんで練習した技術が生きます。
とくに最後の質問が、次の話題につながります。
売り場の表示を見ると、産地が書いてあります。
調べてみると、驚くことが分かります。日本中、いや世界中から集まっているのです。
白地図に産地を書き込んでいくと、線がどんどん伸びていきます。1つのスーパーに、世界がつながっていることが目に見えます。
そして、なぜその産地なのかを考えます。
ここから、4年生・5年生の学習につながります。4年生では県の特色、5年生では農業・水産業・貿易を学びます。3年生の産地調べが、その入口です。
同じ野菜でも、季節によって産地が変わります。
キャベツは、春は千葉、夏は群馬や長野、冬は愛知。その時期に育つ場所から届いているのです。
買い物のたびに産地を見ると、変化に気づけます。「前はちがう県だった」という発見は、地理への興味につながります。
スーパーだけでなく、いろいろな店があります。それぞれに役割があります。
| 店 | 強み | 弱み |
|---|---|---|
| スーパー | 品ぞろえ、安さ | 大きくて時間がかかる |
| コンビニ | 24時間、近い、早い | 少し高い、種類が少ない |
| 商店街の専門店 | くわしい、相談できる | 店の数が減っている |
| 大型ショッピングセンター | 何でもそろう、遊べる | 遠い、車が必要 |
| ネット通販 | 家から買える、種類が多い | すぐ手に入らない、実物を見られない |
どれがいちばんよい、というわけではありません。目的によって使い分けます。
急いでいるときはコンビニ、まとめ買いはスーパー、重いものはネット。人は場面によって店を選んでいるのです。
また、商店街の変化も大事なテーマです。昔はにぎわっていた商店街が、今はシャッターが閉まっている──そんな地域も多くあります。
なぜでしょうか。車社会になった、大型店ができた、後継者がいない。社会の変化が、店の姿を変えています。
これは次の単元「市のうつりかわり」にもつながる視点です。
「ふつうのスーパー」にしか見えない。
観点を先に与えると見えます。「安くする工夫は?」「新せんさを伝える工夫は?」。探すものが決まっていると気づけます。
店の側の都合に気づかない。
「なぜ牛乳が奥にあるの?」と聞くと、店の工夫に気づけます。両方の視点があることを知るのが大事です。
産地を書き写しただけで満足してしまう。
「なぜそこで作られているの?」まで考えます。気候・土地・技術。理由を考えると、地理の学習になります。
Q1 なぜスーパーの入口に野菜が置かれているのですか。
A 色がきれいで新せんな印象を与えるから。買う気持ちを高めます。
Q2 牛乳がいちばん奥にあるのはなぜですか。
A 店内を歩いてもらうため。途中でほかの商品も目に入ります。
Q3 冷蔵庫の中の食品の産地を3つ調べましょう。
A 日本各地、または外国から来ています。地図で場所を確かめると発見があります。
Q4 コンビニとスーパー、どんなときに使い分けますか。
A 急ぎ・少量ならコンビニ、まとめ買い・安さならスーパー。目的で選んでいます。
この単元は、買い物に連れて行くだけで学習になります。「なんでここに野菜があるんだろう?」「この野菜どこから来たと思う?」と聞いてみてください。
産地表示を見る習慣は、地理の学習に直結します。「愛媛ってどこ?」から地図を開けば、それだけで社会科です。
また、買い物調べの宿題が出たら、ぜひ協力してあげてください。レシートを取っておくだけでも記録になります。
「なぜ牛乳が奥にあるか」の話は、大人が聞いても面白いはずです。店の工夫に気づくと、買い物の見方が変わります。親子で「これも工夫かな?」と探してみてください。