1年 生活 はやね はやおき

はやね はやおき ── ねて いる あいだ、体と あたまは はたらいて いる

ふとんに 入って、目を つむって、あさまで ねむる。その あいだ、あなたは なにも して いない…… ように 見えます。「ねる 時間は もったいない。もっと あそんで いたい」と 思った ことは ありませんか。でも ほんとうは、ぎゃくなのです。ねて いる あいだこそ、体と あたまが いちばん だいじな しごとを する 時間。せを のばす しごとも、きょう おぼえた ことを しまう しごとも、あなたが ねむって いる あいだに すすみます。きょうは、「はやね はやおき」と いう ことばの うらに かくれた、夜の 体の ひみつの 話です。

ねて いる あいだも、体の 中は うごいて いる

まず、かんたんな ところから。ねて いる あいだも、しんぞうは 休まず うごいて いるし、いきも つづいて います。とまったら たいへんですから、これは あたりまえですね。でも、夜の 体は、それだけでは ありません。じつは、昼間には あまり しない しごとを、わざわざ ねて いる あいだに やって いるのです。

その だいひょうが、「体を 大きく する おくすり」です。むずかしい 名前では「せいちょうホルモン」と いって、ほねを のばしたり、きんにくを つくったり、けがを なおしたり する はたらきを もって います。この おくすりは、体の 中で 体が じぶんで 作るのですが、出る 時間が 決まって います。ねむりはじめの、いちばん ふかい ねむりの ときに、どっと たくさん 出るのです。

 せいちょうホルモン(体を 大きく する おくすり)   いつ 出る? → ねむりはじめの ふかい ねむりの とき(いちばん たくさん)   なにを する? → ほねを のばす・きんにくを つくる・けがや きずを なおす   おきて いる ときは? → すこししか 出ない

つまり、せが のびる しごとは、おもに ねて いる あいだに すすんで いると いう こと。むかしから「ねる子は そだつ」と いいますが、あれは ただの 言いつたえでは なく、体の しくみとして ほんとうの 話だったのです。ぐっすり ねむる ことは、ごはんを もりもり 食べる ことと ならぶ、「大きく なる ための しごと」なのですね。

あたまの 中では、「きょうの かたづけ」が はじまる

体だけでは ありません。ねて いる あいだ、あたまの 中も はたらいて います。やって いるのは、きょうの かたづけです。

ランドセルを 思いうかべて みましょう。プリントも きょうかしょも ノートも、ぐちゃぐちゃに つっこんだ ままだと、つぎの 日に「あの プリント どこ?」と なって、さがせません。だから、ちゃんと 入れ直して おく ひつようが あります。あたまも 同じです。きょう 1日で、あなたは たくさんの ことを 見て、聞いて、おぼえました。あたらしい ひらがな、ともだちの 話、あそびの ルール。それらは さいしょ、ぐちゃっと つみこまれた ままに なって います。

この つみこまれた ものを、「だいじな もの」と「そうでない もの」に 分けて、ひきだしに しまい直すのが、ねむって いる あいだの あたまの しごとです。だから、ねる 前に おぼえた ことを、あさ おきて もういちど 見ると、「あれ、きのうより おぼえて いる」と いう ことが おこります。おぼえる ことと ねむる ことは、べつの ことに 見えて、じつは ひとつづきなのです。ねむる 時間を けずると、かたづけの 時間ごと なくなって しまいます。

1年生は、どのくらい ねむれば いい?

では、どの くらい ねむれば、体と あたまの しごとは 足りるのでしょう。小学生に ちょうど いいと されて いる ながさは、1日に 9〜12じかんです。大人は 7じかんくらいでも 足りる ことが 多いので、くらべると ずいぶん 長い ですね。それもそのはず、大人の 体は もう 大きく なりませんが、あなたの 体には「大きく なる しごと」が ある ぶん、夜に やる ことが 多いのです。

ねる じこくあさ 6じに おきるとあさ 7じに おきると
よる 8じ10じかん11じかん
よる 9じ9じかん10じかん
よる 10じ8じかん9じかん

ひょうを 見て みましょう。よる 9じに ねて、あさ 6じに おきると、ねむりは 9じかん。ぎりぎり 足りて います。ところが、よる 10じに ねて あさ 6じに おきると、8じかんに なって、9じかんに とどきません。たった 1じかん おそく ねただけで、足りなく なって しまうのです。ねむりの ながさは、とけいの 読み方が 分かれば、じぶんでも かぞえられます。

 ねむりの ながさの かぞえかた(よる 9じに ねて、あさ 6じに おきた とき)   よる 9じ → 夜の 12じ …… 3じかん   夜の 12じ → あさ 6じ …… 6じかん   あわせて 3+6=9 → 9じかん

ねむりが 足りない 日が つづくと、あたまが ぼんやり したり、おこりっぽく なったり、ぐあいが わるく なりやすく なったり します。「なんだか きょうは うまく いかないな」と いう 日は、まず きのうの 夜を 思い出して みるのも、りっぱな しらべものです。

はやおきの スイッチは、よるでは なく あさに ある

「はやく ねなさい」と 言われて ふとんに 入ったのに、ぜんぜん ねむく ならない。そんな けいけんは ありませんか。じつは、ねむく なる じこくは、ふとんの 中で がんばっても 決められません。決めて いるのは、体の 中に ある 「体の とけい」です。

体の とけいは、「そろそろ あさだよ」「そろそろ 夜だよ」と 体に 知らせる、目に 見えない とけいです。ただし この とけい、ほうって おくと すこしずつ おくれて いく くせが あります。そこで 毎日、合わせ直す ひつようが あるのですが、その ボタンが どこに あるかと いうと ── あさの 光です。あさ おきて、カーテンを あけて、あかるい 光を あびる。すると 体の とけいは「いま が あさだ」と 分かって、はりを 合わせ直します。そして そこから かぞえて、夜の ちょうど いい じこくに、ねむく なる あいずを 出すのです。

ここで、おもしろい ことに 気づきませんか。「はやね はやおき」と いう ことばは、はやねが 先に 来て います。でも 体の じゅんばんは ぎゃく。あさ はやく おきて 光を あびるから、夜 はやく ねむく なる。つまり、はやおきが 先、はやねは あと から ついて くるのです。はやく ねたいなら、こんやの 夜に がんばるのでは なく、あしたの あさに がんばる。これが、体の とけいの 正しい つかいかたです。

ねむりの じゃまを する もの

せっかくの 体の とけいも、じゃまが 入ると 正しく うごけません。いちばんの じゃまものは、ねる 前の あかるい がめんです。テレビ、ゲーム、タブレット。これらの がめんから 出る 光は、あさの 光と にて います。だから、ねる 前に じっと 見て いると、体の とけいが「あれ? いまは あさ なのかな」と かんちがいして、ねむく なる あいずを 出すのを やめて しまうのです。ねむる 1じかんくらい 前には、がめんから はなれて おくと、とけいは かんちがいせずに すみます。

もう ひとつの こつは、ねる 前の ながれを、毎ばん 同じに することです。たとえば、はを みがく → あしたの したくを する → ふとんに 入る、と いう じゅんばんを 決めて、毎ばん その とおりに やる。すると 体が ながれを おぼえて、はみがきの あたりから「つぎは ねむる ばんだな」と じゅんびを はじめて くれます。体の とけいは、「いつもと 同じ」が だいすきなのです。

やって みよう

その1 じぶんの ねむりを かぞえる。ゆうべ ねた じこくと、けさ おきた じこくを 思い出して、ねむりの ながさを かぞえて みましょう。上の ひょうに 同じ 組み合わせが あれば、そのまま 読めます。9〜12じかんの あいだに 入って いたら 合かくです。

その2 あさの 光の スイッチを おす。あした の あさ、おきたら まっ先に カーテンを あけて、あかるい 光を あびて みましょう。1しゅうかん つづけて、夜 ねむく なる じこくが かわるか どうか、たしかめて みてください。同じ ことを つづけて ようすを 見るのは、あさがおの かんさつと 同じ、りっぱな しらべかたです。

その3 ねる 前の ながれを 決める。はみがき、あしたの したく、トイレ、ふとん。じぶんの 家の「ねる 前の じゅんばん」を 決めて、かみに 書いて はって みましょう。毎ばん 同じ ながれに すると、体が おぼえて、ふとんに 入る ころには ねむく なって きます。

たしかめて みよう

Q1 ねて いる あいだ、体は 休んで いるだけですか。

A いいえ。体を 大きく する しごとや、きょう おぼえた ことの かたづけが、ねて いる あいだに すすんで います。

Q2 せを のばす「体の おくすり」は、いつ いちばん たくさん 出ますか。

A ねむりはじめの、ふかい ねむりの ときです。おきて いる あいだは すこししか 出ません。

Q3 小学生に ちょうど いい ねむりの ながさは、どの くらいですか。

A 1日に 9〜12じかんです。大人より 長いのは、体を 大きく する しごとが ある ぶん、夜に やる ことが 多いからです。

Q4 体の とけいを 合わせ直す ボタンは、どこに ありますか。

A あさの 光です。あさ 光を あびると 体の とけいが 合い、そこから かぞえて 夜の ちょうど いい じこくに ねむく なります。

Q5 ねる 前に あかるい がめんを 見ると、どう なりますか。

A がめんの 光が あさの 光と にて いるため、体の とけいが 「いまは あさだ」と かんちがいして、ねむく なる あいずを 出すのを やめて しまいます。

まとめ

おうちの方へ

この記事の柱は「睡眠=回復と成長の作業時間」という事実です。成長ホルモンは入眠直後の深いノンレム睡眠で分泌が最大になること、睡眠中に記憶の整理・定着が進むことは、いずれも確かめられてきた知見で、「寝る子は育つ」の科学的な裏づけとして紹介しています。推奨睡眠時間の9〜12時間は、米国睡眠医学会などが示す学童期(6〜12歳)の目安です。

実践面でいちばん効果が大きいのは、本文後半の「早起きが先」です。体内時計は放置すると後ろへずれやすく、リセットの主役は朝の光です。夜に「早く寝なさい」と促すより、起床時刻を一定にしてカーテンを開けるほうが、結果として入眠が早まりやすい ── という順序は、大人の睡眠改善でもそのまま使えます。

就寝前のスクリーンについては、光が体内時計に「まだ昼」と誤認させるという本質だけを伝え、禁止の言葉は使っていません。「寝る前の流れを毎晩同じにする」(入眠儀式)は、文字どおり今夜から試せる方法です。はみがき→明日の支度→布団、のような短い列を本人に決めさせると、自分の生活を自分で設計する生活科のねらいにもつながります。