学校で 頭が いたく なった。ころんで ひざを すりむいた。その とき 1年生が いちばん こまるのは、いたい ことでは ありません。だれに、何と 言えば いいのか 分からない ことです。がまんして すわって いても、だれも 気づいて くれません。生活科の「じぶんの からだ」は、これを ならう 時間です。
おうちなら、少し 元気が ない だけで お家の 人が 「どうしたの」と 聞いて くれます。学校は ちがいます。先生 1人に 対して、子どもは 30人 ちかく います。下を むいて だまって いる 子と、しずかに 本を 読んで いる 子は、遠くから 見ると 同じ です。
だから 学校では、自分から 言う ことが しごとに なります。「言ったら わるいかな」と 思う 子が いますが、ぎゃくです。あとで ほけんしつに 行く ことに なった とき、先生は 「もっと 早く 教えて ほしかった」と 思います。早く 言う ほうが、みんなに とって よい ことなのです。
言う 相手は、その 時間に いっしょに いる 大人です。じゅぎょう中なら 教室の 先生。休み時間なら 近くの 先生。きゅう食の 時間なら 教室の 先生。「担にんの 先生を さがして 校しゃじゅうを 歩く」ひつようは ありません。近くの 大人で よいのです。
いざ 先生の 前に 立つと、「あの……」で 止まって しまう 子が います。何から 言えば いいか 分からない からです。じつは 言う ことは 3つだけ と 決まって います。
この 順に 言えば、それだけで 先生には 十分 つたわります。長く 話す ひつようは ありません。①と② だけでも いい です。「先生、あたまが いたいです」。これで 通じます。
だいじなのは ①の「どこが」です。ただ 「気もちわるい」と だけ 言われると、先生は おなかなのか 頭なのか 分かりません。体の 場しょの 名前を 知って いる ことが、そのまま 助けを よぶ 力 に なります。
1年生が よく つかう 場しょを、まとめて おきます。おうちで 指を さしながら 読むと おぼえられます。
| 名前 | どこ | よく ある 言いかた |
|---|---|---|
| あたま | かみの 毛の ある ところ | あたまが いたい・ガンガンする |
| のど | 首の 前がわ、声の 出る ところ | のどが いたい・つばを のむと いたい |
| おなか | おへその まわり | おなかが いたい・キリキリする |
| むね | おなかの 上、心ぞうの ある あたり | むねが 気もちわるい |
| ひじ・ひざ | うでと 足の まがる ところ | ひざを すりむいた |
| くび・かた | 頭の 下、うでの つけね | かたを ぶつけた |
| 手首・足首 | 手と 足の ほそい つなぎめ | 足首を ひねった |
ここで ひとつ 気を つける ことが あります。「ぶつけた」と「ひねった」と「すりむいた」は、ちがう けがです。
この 3つを 言い分けられると、先生は 手当ての しかたを すぐ えらべます。とくに 「ひねった」は 見た目で 分からない ので、自分で 言わないと つたわりません。
ほけんしつは、学校の 中で 体の ことを 見て くれる 先生(ようご教ゆの 先生)が いる 部屋 です。ベッドや、けがの 手当ての 道ぐが おいて あります。
行く ときの 手じゅんは、どの 学校でも だいたい 同じです。
⑤を わすれる 子が 多いです。教室に 帰ったのに だまって すわって いると、先生は まだ ほけんしつに いると 思って います。「もどりました」の ひとことまでが、ほけんしつへ 行く という しごと です。
それから、だまって 教室を 出ては いけません。とちゅうで たおれても、だれも 気づけない からです。かならず ①の「言ってから 行く」を まもります。
自分では なく、友だちが けがを する ことも あります。この とき 1年生に できる いちばん よい ことは、じつは 手当てでは ありません。
血を さわらない ことも おぼえて おきます。人の 血には、目に 見えない ばいきんが いる ことが あるからです。ティッシュを わたすまでは よいのですが、おさえるのは 本人か 大人。これが きまりです。
そもそも ぐあいが わるく なりにくく する ことも できます。1年生でも できる ことが 4つ あります。
| する こと | いつ | なぜ |
|---|---|---|
| 水を のむ | 休み時間ごと | あせで へった 水を もどす。頭いたの 元も へる |
| 手を あらう | 外あそびの あと・食べる 前 | ばいきんを 口に 入れない |
| ぼうしを かぶる | 晴れた 日の 外あそび | 頭に 日が 当たりつづけると 気もちわるく なる |
| 早く ねる | まい日 | ねぶそくの 日は、体の 元気が 少ない |
とくに 水を のむ こと。あついなか 外で あそんだ あと、教室に もどってから 気もちわるく なる 子は とても 多いです。のどが かわく 前に のむ ── これが コツです。のどが かわいた と 感じた ときには、体の 水は もう へって います。
「じゅぎょう中に 言ったら わるい」「あそんで いて けがを したから おこられる」と 考えて、がまんして しまう 子が います。
けれども 先生は、けがを した ことでは おこりません。だまって いた ことの ほうが こまる のです。おうちで「言うのは 正しい こと」と 何度か つたえて おくと、いざ という とき 口に 出せます。
体の 場しょの 名前を 知らないと、「いたい」の ひとことに なります。
おふろや ねる 前に、指を さして「ここは ひじ」「ここは 足首」と 遊びの ように おぼえて おくと、いざ という ときに 出て きます。ことばは、いたい ときには 新しく おぼえられません。元気な うちに おぼえます。
ぎゃくに、少し つかれた だけで 何度も 行く 子も います。これは わがままでは なく、教室に いたくない 気もちの あらわれ の ことが あります。
「行っては だめ」と 止めるより、なぜ 行きたいのかを 先生や お家の 人が 聞く ほうが、けっきょく 早く 落ちつきます。
Q1 じゅぎょう中に おなかが いたく なりました。まず どうしますか。
A その 教室に いる 先生に 言います。だまって がまんしたり、だまって 教室を 出たり しません。
Q2 先生に つたえる とき、言う ことは 何と 何ですか。
A ①どこが ②どんなふうに。言えたら ③いつから も つけます。「あたまが いたいです。朝からです。」
Q3 ほけんしつから 教室に もどりました。さいごに する ことは。
A 先生に 「もどりました」と 言う こと。言わないと、先生は まだ ほけんしつに いると 思って います。
Q4 友だちが ころんで、立てないで います。どう しますか。
A 引っぱって 起こさず、大人を よびに 行きます。ふたり いるなら、1人が よびに、1人が そばに のこります。
Q5 おうちで、体の 場しょの 名前を 5つ 指さして 言って みましょう。
A あたま・のど・おなか・ひじ・足首 など。言えた 場しょは、いざ という ときに つたえられる 場しょ です。
入学して最初の数か月、体調不良やけがを自分から申し出られない子は珍しくありません。原因の多くは我慢強さではなく、語彙の不足です。「どこが」を言えないため「なんとなく気持ち悪い」で止まってしまい、伝わらないまま時間が過ぎます。
ご家庭でできる準備は2つです。1つは、元気なうちに体の部位の名前を口に出しておくこと。お風呂や寝る前に指をさしながら数か所ずつで十分です。痛いときに新しい言葉は覚えられません。もう1つは、「先生に言うのは正しいことだ」と何度か言葉にしておくことです。授業を止めてしまう、怒られるのではないか、という遠慮が申し出を遅らせます。
保健室から戻ったあとの報告も、ご家庭で一度練習しておくと定着します。学校側は「戻った」の一言で安全確認を完了できるため、実際にとても助かります。なお、頻繁に保健室へ行きたがる時期は、体ではなく教室での過ごしにくさが背景にあることがあります。回数を責める前に、担任の先生と様子を共有してみてください。