18cmのひもで、わっかを作ります。それを机の上で、長方形の形にととのえる。できあがった長方形の広さは、いつも同じでしょうか。「同じひもなんだから、同じに決まってる」と思ったら、今日の記事はあなたのための記事です。じつは、作り方しだいで広さは2倍以上も変わります。まわりの長さと面積は、名前がならんで出てくるせいで兄弟のように見えますが、はかっているものがちがう、他人どうしの量なのです。
ためしに、18cmのひもで作れる長方形を、たてとよこが整数のものだけ全部書き出してみます。長方形のまわりは「たて+よこ」の2つぶんなので、たてとよこをたすと18÷2=9cm。つまり、たしてちょうど9になる組をさがせばよいことになります。
| たて | よこ | まわりの長さ | 面積 |
|---|---|---|---|
| 1cm | 8cm | 18cm | 8cm² |
| 2cm | 7cm | 18cm | 14cm² |
| 3cm | 6cm | 18cm | 18cm² |
| 4cm | 5cm | 18cm | 20cm² |
まわりの長さの列は、ぜんぶ18cm。ひもは1本も切っていないのだから、当たり前です。ところが面積の列を見ると、8、14、18、20と、ばらばら。いちばんせまい形といちばん広い形では、20÷8で2.5倍もちがいます。同じひもなのに、です。
タイルの絵にすると、もっとはっきりします。たて1cmの長方形は、タイルがたった1列。はば1cmのせまい通路です。同じひもでも、形が細長くなるほど、中身がぺちゃんこにつぶれていく。ひもの長さは、中身の広さを決めてくれないのです。
なぜこんなことが起きるのか。それは、まわりの長さと面積が、はかっているものからしてちがうからです。
まわりの長さは、ふちを1しゅうする線の長さ。ひもをまっすぐにのばせばはかれて、単位はcmです。いっぽう面積は、面積の記事でやったとおり、1cm²のタイルが何まいしきつめられるかという数。単位はcm²です。線の長さと、タイルのまい数。もともと、くらべるほうがむりな相手だったのです。
表の3行目を、もういちど見てください。たて3cm×よこ6cmの長方形は、まわりの長さが18cm、面積が18cm²。数字はどちらも18です。では「まわりと広さが同じ長方形」なのでしょうか。ちがいます。18cmは線の長さ、18cm²はタイル18まい。数字がたまたま同じになっただけで、量としては別のものです。単位を書きわすれると、このちがいが見えなくなります。
cmとcm²は、ただの字のかざりではありません。cmは「線をはかった」、cm²は「タイルを数えた」という、はかり方そのものの名前です。答えに単位を書くのは、自分が何をはかったのかを言うことなのです。
さっきの表には、もうひとつのきまりがかくれています。たてとよこの差をならべてみましょう。1と8の差は7。2と7の差は5。3と6の差は3。4と5の差は1。差が小さくなるほど、面積は8→14→18→20と大きくなっています。つまり、たてとよこが近い形、正方形に近い形ほど広いのです。
この表のうごきは、変わり方の記事でやった「表にしてしらべる」のやり方そのものです。たてを1cmふやすと、よこは1cmへる(たすと9のままだから)。2つの量が連動して動くとき、表にすると、かくれていたきまりが見えてきます。
では、整数にこだわらなければどうなるでしょう。たて4.5cm×よこ4.5cmの、ほんものの正方形にすると、広さはもう少しだけふえます(この計算は5年生でならう小数×小数です)。そして、長方形という条件もはずしてまるい円にすると、約26cm²まで広がることが知られています。同じひもなら、円がいちばん広い。これは6年生の円の面積で出会う話です。シャボン玉がいつも丸いのは、同じ中身を包むのに、丸がいちばんひもづかい(まわりづかい)が上手な形だから、という理由とつながっています。
こんどは反対から見てみます。面積のほうを24cm²にそろえて、長方形を書き出すと、どうなるでしょうか。
| たて | よこ | 面積 | まわりの長さ |
|---|---|---|---|
| 1cm | 24cm | 24cm² | 50cm |
| 2cm | 12cm | 24cm² | 28cm |
| 3cm | 8cm | 24cm² | 22cm |
| 4cm | 6cm | 24cm² | 20cm |
タイルのまい数はどれも24まいなのに、まわりの長さは50cmから20cmまで、こちらも2.5倍のひらきがあります。広さをそろえても、ふちの長さはそろわない。どちらか一方が分かっても、もう一方は決まらない。これが、2つの量が他人どうしだといういちばん強いしょうこです。
この表には、生活で役に立つ読み方があります。もし花だんを24m²作って、まわりにさくを立てるなら、4m×6mの形にすれば、さくの材料は20mぶんですみます。1m×24mの細長い花だんだと、同じ広さなのに50mぶん必要です。同じ広さなら、正方形に近い形がいちばんふちを節約できる。まわりの長さと面積を別べつに見られる人だけが、この節約に気づけます。
この2つの量は、テストでわざとならべて出されます。「まわりの長さを答えなさい」の問題で面積を書いてしまう。「面積を答えなさい」で、たてとよこをたしてしまう。知識が足りないのではなく、どちらを聞かれたかを見ないまま計算を始めるのがげんいんです。
対策はかんたんで、問題文の「まわりの長さ」「面積」という言葉に、さいしょに丸をつけること。そして答えを書いたら、単位がcmなのかcm²なのかをたしかめること。まわりを聞かれて答えの単位がcm²になっていたら、その時点でどこかで道をまちがえています。単位は、答え合わせの前に自分でできるいちばん早い見直しなのです。
大きくならべて書かれた図を見ると、ふちが長いほど中身も広い気がしてきます。そこで、きょくたんな例をひとつ覚えておきましょう。たて1cm×よこ30cmの長方形は、まわり62cm・面積30cm²。たて6cm×よこ6cmの正方形は、まわり24cm・面積36cm²。まわりは半分以下なのに、広さは上です。長いひもがいつも広いとはかぎりません。
「まわり18cm²」「面積20cm」のような書きまちがいは、見直しのときに自分でも気づきにくいまちがいです。cmと書いたら線、cm²と書いたらタイル。書くたびに、頭の中でどちらをはかったのかを言い直すくせをつけると、まざらなくなります。
「まわり18cmの長方形」と聞いて、18をそのままかけ算に入れたくなりますが、面積の式は「たて×よこ」です。まわりの長さからたてとよこの組をさがすなら、まず18÷2=9で「たて+よこ」の9cmに直してから、たして9になる組を考える。2でわるこの1歩をとばすと、あとの計算が全部ずれます。
Q1 まわりの長さが20cmの長方形があります。たてが3cmのとき、よこは何cm? 面積は?
A 20÷2=10で、たて+よこ=10cm。よこは10−3=7cm。面積は3×7=21cm²です。
Q2 まわりの長さが20cmで、たてもよこも整数の長方形のうち、いちばん広いのは?
A たして10になる組のうち、差がいちばん小さい5cm×5cmの正方形。面積は25cm²です(1×9=9、2×8=16、3×7=21、4×6=24と、正方形に近づくほどふえていきます)。
Q3 面積が12cm²で、たてもよこも整数の長方形のうち、まわりの長さがいちばん短いのは?
A 組は1×12(まわり26cm)、2×6(まわり16cm)、3×4(まわり14cm)の3つ。いちばん短いのは3cm×4cmです。こちらも、正方形にいちばん近い組が勝ちます。
Q4 「まわりの長さが24cmだから、面積は24cm²だね」。この考えは正しい?
A 正しくありません。まわり24cmの長方形は、1×11=11cm²から6×6=36cm²まで、いろいろな広さがありえます。まわりの長さだけでは、面積はひとつに決まらないのです。
周囲の長さと面積が独立に動くという事実は、4年生の面積の単元で初めて出会う「次元のちがい」です。長さは1次元、面積は2次元の量なので、一方を固定しても他方は大きく変わります。「周の長さが同じ図形のうち面積が最大のものは円」という事実は等周問題と呼ばれ、古代ギリシャから続く有名な問題の入り口でもあります。
おうちで補うなら、ひも1本と方眼紙がいちばんの教材です。輪にしたひもを方眼紙の上で長方形にととのえ、「同じひもで、もっと広くできる?」と聞いてみてください。手を動かすうちに、細長い形がつぶれて見え、正方形に近づけると中身がふくらむ感覚がつかめます。この感覚は、5年生の面積の公式づくりや、中学の関数(周を固定した面積の最大値)まで、そのまま持ち上がっていきます。