6年 算数 円の面積

円の面積 ── 円を切って並べると、長方形になる

曲線で囲まれた図形の面積。直線の図形に変えるのが解決の鍵です。

公式は覚えやすい

まず結論です。

円の面積 = 半径 × 半径 × 3.14

5年生で学んだ円周の公式と比べてみましょう。

円周 = 直径 × 3.14 = 半径 × 2 × 3.14 面積 = 半径 × 半径 × 3.14

円周は直径、面積は半径を使います。ここを混同しないことが大切です。

半径5cmの円 円周 = 5 × 2 × 3.14 = 31.4cm 面積 = 5 × 5 × 3.14 = 78.5cm²

単位もちがいます。円周はcm、面積はcm²です。

では、なぜこの公式になるのでしょうか。

円を切って並べる

公式を導く方法は、意外なほど大胆です。円を切って並べかえるのです。

① 円を細かく等分する /|\ / | \ | ● | \ | / \|/ → ピザのように切り分ける
② 交互に向きを変えて並べる ▲▽▲▽▲▽▲▽ → だんだん長方形に近づく

分ける数を増やすほど、長方形に近づきます

できた長方形の、たてとよこの長さを考えてみましょう。

できた長方形 たて = 円の半径 よこ = 円周の半分 = 半径 × 2 × 3.14 ÷ 2 = 半径 × 3.14 面積 = たて × よこ = 半径 × (半径 × 3.14) = 半径 × 半径 × 3.14

公式が導けました

なぜよこが円周の半分になるのでしょうか。上下に交互に並べているので、円周の半分ずつが上と下に分かれるからです。

この方法のすごいところは、曲線の図形を直線の図形に変えたことです。5年生で三角形や台形を長方形に変えたのと、同じ発想です。

「細かく分ける」という考え方

円を無限に細かく分ければ、完全な長方形になります。
この「無限に細かく分ける」という発想は、高校で学ぶ「積分」という数学の中心的な考え方です。
2000年以上前、アルキメデスも同じような方法で円の面積を求めました。
6年生でその入り口に立っているのです。「細かく分けて、簡単な形にして、足し合わせる」──これは数学の最も強力な武器の一つです。

おうぎ形の面積

円の一部をおうぎ形といいます。

おうぎ形 /| / | ●──┘ 中心角

面積は、円全体の何分の何かを考えます。

おうぎ形の面積 = 円の面積 × 中心角/360 半径6cm、中心角90°のおうぎ形 6 × 6 × 3.14 × 90/360 = 113.04 × 1/4 = 28.26 cm²

よく出る角度は、覚えておくと速く計算できます。

中心角円全体の
180°1/2(半円)
120°1/3
90°1/4
60°1/6
45°1/8

おうぎ形の弧の長さも同じ考え方です。

弧の長さ = 円周 × 中心角/360

そして、おうぎ形のまわりの長さには注意が必要です。

おうぎ形のまわり = 弧の長さ + 半径 × 2 → 直線部分(半径2本)を 忘れない

組み合わせた図形

入試や応用問題では、円と直線を組み合わせた図形がよく出ます。

【例1】正方形から円を引く ┌─────────┐ │ /‾‾\ │ │ | | │ │ \__/ │ └─────────┘ 1辺10cmの正方形の中に 直径10cmの円 色の部分 = 正方形 - 円 = 100 - 5×5×3.14 = 100 - 78.5 = 21.5 cm²
【例2】4分の1円を重ねる ┌─────┐ │/ /│ │ / │ └─────┘ → 分けて考える → または引いて考える

解き方のコツは3つです。

① 分ける いくつかの単純な図形に分解 ② 引く 大きい図形から余分を引く ③ 移動させる 形を変えずに動かして 分かりやすい形にする

③の移動が、実は強力な方法です。

面積を変えずに動かす 同じ形の部分を移動させると 単純な図形になることがある → パズルのような発想

複雑に見える図形も、知っている形に持ちこめば計算できます。4年生から一貫した考え方です。

計算の工夫

3.14の計算は手間がかかります。工夫すると楽になります。

【工夫1】3.14は最後にまとめる 4×4×3.14 + 2×2×3.14 = (16 + 4) × 3.14 = 20 × 3.14 = 62.8 → 3.14のかけ算が1回で済む
【工夫2】よく使う積を覚える 3.14 × 2 = 6.28 3.14 × 3 = 9.42 3.14 × 4 = 12.56 3.14 × 5 = 15.7 3.14 × 6 = 18.84 3.14 × 7 = 21.98 3.14 × 8 = 25.12 3.14 × 9 = 28.26

とくに工夫1は必ず身につけたい方法です。分配法則を使って、3.14のかけ算を最小限にします。

計算ミスが減るだけでなく、時間も大幅に短縮できます。

半径が2倍になると

面白い性質があります。半径を2倍にすると、面積は何倍になるでしょうか。

半径2cmの円 2 × 2 × 3.14 = 12.56 cm² 半径4cmの円(2倍) 4 × 4 × 3.14 = 50.24 cm² 50.24 ÷ 12.56 = 4 → 面積は 4倍

半径が2倍で面積は4倍。3倍なら9倍です。

半径が □倍 → 面積は □×□ 倍 2倍 → 4倍 3倍 → 9倍 5倍 → 25倍

これは、4年生で学んだ面積の単位換算と同じ原理です。長さが2倍なら、面積は2乗の4倍になります。

この性質は、身のまわりでも役立ちます。

ピザの例 直径20cmのピザ … 1000円 直径40cmのピザ … 3000円 直径2倍 → 面積4倍 値段は3倍 → 大きいほうがお得

「2倍の大きさなら2倍の値段」と思いがちですが、面積は4倍です。この感覚を持っていると、買い物でも判断できます。

逆に、面積から半径を求める問題も出ます。

面積が 78.5cm² の円の半径は? 半径 × 半径 × 3.14 = 78.5 半径 × 半径 = 78.5 ÷ 3.14 = 25 半径 × 半径 = 25 → 半径 = 5cm

同じ数を2回かけて25になる数を探します。この考え方は、中学の平方根につながります。

つまずきやすいところ

その1 直径と半径を混同する

面積の計算で直径を使ってしまう。
面積は半径×半径です。直径が与えられたら、まず半分にします。

その2 円周と面積の公式が混ざる

どちらがどちらか分からなくなる。
円周は直径×3.14、面積は半径×半径×3.14。単位(cmとcm²)でも区別できます。

その3 おうぎ形のまわりで直線を忘れる

弧の長さだけ計算する。
半径2本分を足すのを忘れずに。「まわり」は一周する長さです。

やってみよう

Q1 円の面積の公式を言いましょう。

A 半径 × 半径 × 3.14です。円周とちがい、半径を使います。

Q2 直径10cmの円の面積は?

A 半径は5cmなので 5×5×3.14=78.5cm²です。

Q3 中心角90°のおうぎ形は、円全体の何分のいくつですか。

A 90/360 = 4分の1です。

Q4 紙の円を細かく切って並べ、長方形にしてみましょう。

A 8等分、16等分と細かくするほど長方形に近づきます。公式の意味が目で分かります。

まとめ

おうちの方へ

円の面積の公式を導く活動は、ぜひ実際にやってみてください。紙の円を8等分、16等分と切って並べると、長方形に近づく様子が目で見えます。
この「細かく分けて簡単な形にする」という発想は、高校数学の積分につながる重要な考え方です。今は感覚的な理解で十分ですが、体験があると後で生きてきます。
3.14の計算は、多くの子にとって負担です。分配法則でまとめる工夫を教えてあげると、計算量が大きく減ります。
円と直線を組み合わせた図形の問題は、中学入試でも頻出です。「分ける・引く・移動させる」という3つの手を知っていると、見通しが立ちます。
身のまわりの円(皿、時計、コインなど)の面積を計算してみるのも、実感を持つのに役立ちます。