図書館へ行って、目に入ったたなを順に見て回り、けっきょく見つからずに帰ってくる。よくある失敗ですが、原因は運ではありません。図書館の本は、置き場所が内容によって先に決まっているからです。その決まりを知っている人は、初めて入った図書館でも数分で目的の一冊の前に立てます。
図書館のたなの上や横には、かならず数字が書いてあります。あれはたなの番号ではなく、そこに並んでいる本の内容をあらわす記号です。日本のほとんどの図書館は、本の内容を十のグループに分け、0から9までの数字を割りあてています。この分け方には日本十進分類法という名前がついていて、学校の図書室も市の図書館も、同じ考え方で並んでいます。
| 数字 | そこにある本 | たとえば |
|---|---|---|
| 0 | 調べるための本ぜんぱん、コンピュータ | 百科事典、図書館の本 |
| 1 | 考え方・心のはたらき | ものの考え方、宗教 |
| 2 | 歴史・地理・人の一生 | 伝記、地図、外国のくらし |
| 3 | 社会のしくみ | 政治、仕事、行事、昔話 |
| 4 | 自然と理科 | 星、天気、動物、体 |
| 5 | 技術・機械・くらしの道具 | 電車、建物、料理 |
| 6 | 作って売る仕事 | 農業、漁業、店 |
| 7 | 芸術・スポーツ・遊び | 絵、音楽、サッカー、工作 |
| 8 | ことば | 国語辞典、英語、漢字 |
| 9 | 文学 | 物語、詩、劇の本 |
この表を丸ごと覚える必要はありません。使うときに効くのは、「知りたいことは、どの仲間の話か」を先に決めてから歩き出すという順番のほうです。星のことを調べたいなら4、江戸時代の人の伝記なら2、サッカーの本なら7。それだけで、見るたなが十分の一にしぼれます。
ふしぎに思うかもしれませんが、9の文学のたなだけは数字ではなく、書いた人の名前のかなの順で並んでいることがよくあります。物語は「何について書かれた本か」で分けにくいからです。読みたい物語があるときは、内容ではなく作者の名前を思い出すほうが早く着きます。
本の背の下のほうに、小さなラベルがはってあります。ここに書かれた記号が、その本のいちばんくわしい住所です。多くの図書館では三段に分かれていて、上から順に意味が決まっています。
探すときは、この順番を守るのがこつです。いきなりかなを見て回ると、同じかなの本が図書館じゅうに散らばっているので見つかりません。数字でたなを決め、そのたなの中だけでかなを見る。この二段構えにすると、目で追う本の数が一気に減ります。
そして本を取り出すときは、抜いた場所に自分の指か、図書館に置いてある細い板をさしこんでおきます。中身を見てもどすとき、一つ横にずらして入れてしまうと、その本は次の人にとって「無い本」になります。もどす場所が分からなくなったら、たなに入れずカウンターか返却台に置くのが正解です。
今はほとんどの図書館に、本をさがすためのけんさく機やタブレットがあります。ここでうまくいかない人の多くは、調べたいことを文のまま打ちこんでいます。「なぜ台風は日本に来るのか」と入れても、ふつうは一冊も出てきません。本のタイトルにその文がそのまま入っていることは、まずないからです。
| 打ちこむ言葉 | 結果 | 理由 |
|---|---|---|
| なぜ台風は日本に来るのか | 0件になりやすい | そのままの題名の本がない |
| 台風 | ちょうどよく出る | 題名や内容の言葉と合う |
| 天気 | 多すぎて選べない | 広すぎる言葉 |
| 台風+しくみ | しぼりこめる | 二語で条件が重なる |
つまり、知りたいことを二語くらいの言葉に切り分けてから打ちこむのが基本です。多すぎたら言葉を足し、0件になったら言葉を減らす。これはインターネットのけんさくと同じ考え方なので、片方ができるようになるともう片方も楽になります。
けんさく結果の画面には、かならずさっきの数字とかなが表示されています。画面をとじる前に、その記号をメモしておいてください。ここを見ないで「〇〇という本があった」とだけ覚えて歩き出すと、けっきょくたなの前でまた迷うことになります。
図書館には司書さんという、本をさがす仕事の人がいます。聞くのは、自分でさがせなかった証拠のように感じるかもしれませんが、そうではありません。司書さんは、その図書館にどんな本があるかを知っている、いちばんくわしいけんさく機です。
ただし、聞き方によって返ってくるものが変わります。「何かおもしろい本ありますか」と聞くと、司書さんも答えようがありません。次の三つをそろえて言うと、たいてい一分で本の前まで連れて行ってもらえます。
三つめを伝えるのがいちばん効きます。学年に合った、写真の多い本にしぼってもらえるからです。調べたことを人に伝えるところまでを見通した本選びについては調べて発表するもあわせて読んでください。
本を借りるには、その図書館の利用カードがいります。市の図書館なら、住んでいる人は無料で作れます。借りられる冊数と期間は図書館ごとにちがい、だいたい二週間で十冊前後です。返す日をわすれないために、カウンターでもらうレシートを本の中にはさんでおくと確実です。読み終わっていなくても、期限が来たら一度返して、また借り直すことができます。
図書館は数万冊あります。順に見ていく方法では、一日かけても目的の本には着きません。先に数字を決めるという一手間が、遠回りに見えていちばんの近道です。
本にたどりついたら、まず目次を開いて、必要なページがあるかどうかを確かめます。表紙の題名が合っていても、中に書かれていないことはよくあります。一冊の中から必要な数ページを引き出す方法は本で調べるでくわしく扱っています。図書館の使い方が「館の中で一冊にたどりつく話」、そちらが「一冊の中で一ページにたどりつく話」だと考えると、二つはきれいにつながります。
調べ学習の本には、読み方の分からない漢字が必ず出てきます。図書館には8のたなに国語辞典と漢字辞典が置いてあり、その場で引けます。部首や画数からたどる引き方は漢字辞典の使い方にまとめてあります。辞典を持っていないから調べられない、ということは図書館の中では起こりません。
Q1 たなの数字は、覚えないといけませんか。
A 覚えなくてかまいません。たなの上に書いてあるので、自分の調べたいことがどの仲間かだけ決められれば足ります。
Q2 物語の本が数字のたなにありません。
A 文学の本は作者の名前のかな順で並べている図書館が多いからです。内容ではなく書いた人でさがしてください。
Q3 けんさく機で0件になってしまいます。
A 打ちこんだ言葉が長すぎます。文ではなく、二語くらいの短い言葉に切ってから入れ直します。
Q4 もどす場所が分からなくなりました。
A むりにたなへ入れず、返却台かカウンターに置きます。ちがう場所に入れた本は、見つからない本になります。
Q5 司書さんに聞くのは、ずるいことになりませんか。
A なりません。どこまで自分で調べたかを伝えて聞くのは、調べ学習の正しい進め方の一つです。
4年生は、社会や理科で「自分で調べてまとめる」課題が一気に増える学年です。ところが図書館の並び方そのものを教わる時間は、学校ではごくわずかしかありません。その結果、本が読めないのではなく本にたどりつけないために、調べ学習ぎらいになる子がかなりいます。
ご家庭でできることは、休みの日に一度いっしょに市の図書館へ行き、利用カードを作って、たなの数字を実際に見せてあげることです。「星のことなら4のたな」と一つでも体験しておくと、次からは一人で行けるようになります。
本を選ぶときは、口を出しすぎないほうがうまくいきます。むずかしすぎる本を借りてきても、それは失敗ではなく「自分には早い」と分かったという成果です。読みきれなかったら期限で返して、また借りればよいだけです。
調べ学習の宿題が出たときは、答えを教えるかわりに「それはどの仲間の話だろう」と一言たずねてみてください。子どもが自分でたなを決められるようになれば、この単元は身についたと考えて大丈夫です。