300ページの本を、はじめから読む必要はありません。調べるための読み方は、はじめから読む読み方とはちがいます。
3年生になると、理科や社会で「調べてみましょう」という活動が始まります。ここで多くの子がつまずきます。物語は1ページ目から最後まで読むものだと知っているので、調べるための本も1ページ目から読もうとしてしまうのです。
けれど調べるときにほしいのは、その本のほんの一部です。「カブトムシは何を食べるか」を知りたいのに、こん虫の本を丸ごと読む必要はありません。ほしいのは、たいてい数行から1ページ分です。
だから調べる読み方では、順番がぎゃくになります。
この「探す」の部分に、本の中の道具を使います。それが目次と索引です。国語辞典で「つめ」や「はしら」を使ったのと同じで、知っているかどうかだけで、かかる時間がまるでちがってきます。
まず、本のあるところまでたどりつかなければなりません。学校の図書館の本は、書いた人の名前順でも、大きさ順でもありません。内容ごとに決められた3けたの数字の順にならんでいます。
本の背中にはった小さなラベルに、その数字が書いてあります。0から9までの10のグループに分かれていて、大きく分けると次のようになります。
| 数字 | その中身 | たとえばこんな本 |
|---|---|---|
| 0 | 調べるための本ぜんぱん | 百科事典、コンピュータ |
| 2 | 歴史・地理 | 戦国時代、世界の国 |
| 3 | 社会のしくみ | くらしと仕事、防災 |
| 4 | 理科 | 星、こん虫、体のつくり |
| 5 | 技術・きかい | のりもの、料理 |
| 7 | 芸術・スポーツ | 絵、音楽、野球 |
| 9 | 物語・詩 | 読み物、絵本 |
この番号を知っていると、図書館の中の歩き方が変わります。「星のことを調べたい」と思ったら、まず4のたなの前へ行けばよいと分かるからです。たなの前に立ってから、似た本を何さつか見くらべることができます。
1さつだけ持ってきて、それに書いていなかったら終わり──ではもったいないのです。同じ番号のたなには、同じことを別の書き方で説明した本がならんでいます。同じたなから2〜3さつ抜いてくるのが、上手な人のやり方です。
図書館には、本の場所を知っている大人がいます。聞くのはずるではありません。「〜について書いてある本はありますか」と言えること自体が、調べる力の一つです。
このとき、知りたいことをできるだけ細かく言うと、ぴったりの本が出てきます。「動物の本」より「ツバメが冬にどこへ行くか」のほうが、ずっと探しやすくなります。
本を開いたら、いきなり本文を読み始めてはいけません。前と後ろに、探すための地図がついています。
目次は、その本がどんな順番でできているかを見せてくれます。大きなまとまりが上から順にならび、それぞれ何ページから始まるかが書いてあります。
目次を見ると、この本ぜんたいで何が分かるのかがつかめます。「食べものなら51ページあたり」と、大まかな見当がつきます。
索引は、その本に出てくる言葉を五十音順にならべ直したものです。しょうの順番とは関係なく、言葉から引けます。
「カブトムシ」を引くと、12・55・80の3か所に出ていると分かります。数字が3つあるのは、体のつくり・食べもの・冬のこし方の3か所で出てくるということです。しょうをまたいで、ばらばらの場所に散らばっていても、索引なら一度に全部見つかります。
| 知りたいこと | 使うもの | なぜ |
|---|---|---|
| こん虫ぜんたいのこと | 目次 | まとまりごとに見たいから |
| カブトムシのこと | 索引 | 言葉で一点をねらうから |
| どんな本か知りたい | 目次 | ぜんたいの形が見えるから |
| 言葉の意味だけ知りたい | 索引 | ページが直接わかるから |
言いかえると、まとまりで探すのが目次、一点で探すのが索引です。調べ学習では索引を使う場面のほうが多くなります。それなのに、索引があることを知らないまま本を閉じてしまう子が少なくありません。後ろから開くくせをつけると、調べる時間が半分になります。
たなから抜いた本が、自分に合っているとはかぎりません。持ち帰る前に、次の3つを見ます。
とくに2つめは大切です。本に書いてあることは、その本が作られたときの正しさです。ずっと変わらないこと(こん虫の足の数)と、変わること(人口、順位、記録)があります。数や順位を調べたときは、いつの数字なのかも一緒に書きうつしておきます。
百科事典は、はじめの1さつとして向いています。1つのことがらが見開きくらいにまとまっていて、そこから「もっとくわしく知りたい」を決めるのに使えます。ただし百科事典だけで終わらせず、そこで見つけた言葉を持って、もう一度たなへ行くのが良い進め方です。
ページが見つかったら、すぐに書きうつしたくなります。その前に一度、止まります。
まず、そのページが本当に答えになっているかを確かめます。索引の数字をたよりに開いたのに、そこには名前が一度出てくるだけ、ということがよくあります。数字が3つあったら3か所とも見て、いちばんくわしいところを選びます。
次に、書きうつすときの形を決めます。3年生のうちから、次の3つをセットにする練習をしておくと、4年生以上の調べ学習が楽になります。
本の名前とページを書いておくと、あとで「これ、どこで見たんだっけ」とならずにすみます。もう一度その本を開いて確かめることもできます。あとから確かめられる形で残す──これが調べるという作業の中身です。
そして、文をまるごとうつすのではなく、自分の言葉に直せるかためしてみることです。直せないところは、まだ分かっていないところです。分からないまま写した文は、発表のときに説明できません。
分厚い本を前から読み、時間だけが過ぎて何も見つからない。
後ろの索引から開くと決めておきます。索引に知りたい言葉がなければ、その本は使わずに次の本へ移ってよい、という判断もできます。
「その本には書いていなかった」で終わってしまう。
同じ番号のたなに、別の書き方をした本があります。1つの問いに2さつ以上あたるのがふつうだと知っておきます。2さつに同じことが書いてあれば、それだけ確かなことだとも言えます。
難しい言葉のまま写すので、あとで質問されて答えられない。
写したらその場で声に出して言いかえてみる。言いかえられない言葉は、辞典で引くか、もっとやさしい本を探します。
Q1 本のいちばん後ろにあって、言葉が五十音順にならんでいるものを何といいますか。
A 索引。言葉から、そのページを直接引くことができます。
Q2 「この本はどんな順番でできているか」を知りたいときは、目次と索引のどちらを見ますか。
A 目次。まとまりが上から順にならんでいるので、本ぜんたいの形が見えます。
Q3 索引に「カブトムシ ……… 12, 55, 80」と書いてありました。どういうことですか。
A その本の3か所にカブトムシが出てくる、ということ。全部見てから、いちばんくわしいところを使います。
Q4 学校の図書館で、星について書かれた本を探します。どのたなへ行きますか。
A 4のたな(理科のなかま)。同じたなから何さつか見くらべると、もっとよく分かります。
Q5 人口や、いちばん高い建物を調べたとき、書きうつすときに気をつけることは何ですか。
A いつの数字かも一緒に書いておくこと。こうした数は年がたつと変わるからです。
この単元でいちばん残るのは、知識より「分からないことは調べられる」という感覚です。
家庭でできることは、質問にすぐ答えないことです。「なんで空は青いの」と聞かれたら、答える代わりに「どこを見れば分かりそう?」と返してみてください。図書館へ行く、家の図鑑を開く、大人に聞く──どれを選んでもかまいません。方法を自分で決めた経験が力になります。
公共図書館のカードを作っておくのもおすすめです。学校の図書館より本の数がずっと多く、同じテーマで難しさのちがう本が何段階もそろっています。今の学年に合う1さつを子ども自身に選ばせると、本選びの目も育ちます。
調べたことを聞いてあげるのも効果があります。人に説明できたことは、その子のものになっています。うまく説明できないところがあれば、そこがもう一度調べるところです。