国語辞典は、読み方が分かる言葉しか引けません。読めない漢字を調べられるのが、漢字辞典です。
3年生で国語辞典の引き方を習いました。あれは五十音順にならんでいるので、「読み方が分かっていること」が前提です。「かんそう」と読めるから「か」のページを開けるのです。
ところが、教科書や本を読んでいて、いちばん困るのはこういう場面です。
読めないのだから、五十音順のどこを開けばいいのかも分かりません。ここで国語辞典は行き止まりになります。
漢字辞典は、この行き止まりを通りぬけるための道具です。読み方が分からなくても、字の形だけを手がかりに引けるように作られています。だから4年生でこれを習うのです。
言いかえると、3年生で「言葉から意味へ」の道ができ、4年生で「形から読みへ」の道ができます。この二本がそろうと、知らない字や言葉に出会っても、ひとりで前に進めるようになります。
漢字辞典には、目当ての漢字にたどりつくための入り口が三つあります。これをさくいんといいます。
| さくいんの名前 | 手がかり | こんなときに使う |
|---|---|---|
| 音訓さくいん | 読み方 | 読み方は分かるが、書き方や意味を知りたい |
| 部首さくいん | 部首 | 読めないが、部首は見当がつく |
| 総画さくいん | 全体の画数 | 読めないし、部首も分からない |
三つも覚えるのは大変に見えますが、選び方は単純です。手がかりが多い順に、上から試すだけです。読めるなら音訓、読めないなら部首、部首も分からないなら総画。この順番で降りていきます。
だから「どれを使えばいいか分からない」で止まる必要はありません。上から順に、使える入り口を探せばよいのです。
ここは勘ちがいする人がとても多いところです。三つのさくいんは、それぞれ別の内容が書いてあるわけではありません。どのさくいんから入っても、たどりつくのは同じ本文のページです。
さくいんに書いてあるのは、たいていページ番号だけです。番号を見つけて終わりではなく、そのページを開いて本文を読む──ここまでが「引く」です。
三つの中で、いちばん練習がいるのが部首さくいんです。手順はこうなります。
「湾」なら、部首は「さんずい」で3画。部首さくいんの3画のところに「氵」があります。そこから、のこりの部分の画数で探していきます。
部首は、漢字の中で意味を表している部分であることが多いです。3年生で習った漢字の組み立て(へん・つくり・かんむり・あし・たれ・にょう・かまえ)が、そのまま役に立ちます。
意味から考えると当てがつきます。「泳」は水の中でするから「さんずい」、「話」は言葉だから「ごんべん」、というふうにです。
ただし、いつでも当たるわけではありません。「開」の部首は「口」でも「井」でもなく「門(もんがまえ)」です。「問」も同じく「門」で、下の「口」ではありません。こうした、意味から当てのつかない字は覚えるしかありません。
だから、迷ったら総画さくいんに切りかえるのが、じつは最短の判断です。部首を思い出そうとして5分止まるより、画数を数えて1分で見つけるほうが早いのです。どちらの入り口から入っても、同じページに着くのですから。
総画さくいんも部首さくいんも、画数を正しく数えられないと使えません。そして画数は、思っているよりまちがえやすいところです。
1画とは、筆を紙につけてからはなすまでのひとまとまりです。とちゅうで折れ曲がっても、はなさないかぎり1画のままです。
とくにまちがえやすいのが、次の部分です。
| 形 | 正しい画数 | よくあるまちがい |
|---|---|---|
| 阝(こざとへん・おおざと) | 2画 | 3画と数える |
| 辶(しんにょう) | 3画 | 4画と数える |
| 艹(くさかんむり) | 3画 | 4画や6画と数える |
| 糸(いとへん) | 6画 | 下の点をまとめて4画にする |
数えまちがえたときは、あきらめる前に前後の画数のらんも見るのがコツです。10画で見つからなければ、9画と11画を見る。たいてい、そこにいます。
そもそも画数を正しく数える力は、書き順を正しく覚えているかどうかで決まります。ふだんの漢字練習で書き順をとばしていると、ここで効いてきます。逆に、辞典を引くために画数を数えることが、書き順の復習にもなります。
たどりついたページには、たくさんの情報がつまっています。全部を読む必要はありませんが、どこに何があるかを知っておくと、必要なところだけ拾えます。
音読みと訓読みの区別は、ここで確かめられます。訓読みは、その読み方だけで意味が分かるのが目印です。「山(やま)」は聞いただけで分かるから訓読み、「山(サン)」だけでは何のことか分からないから音読み。この見分け方は、熟語の読み方を考えるときにも使えます。
そして、意味が①②③と分かれているときは、もとの文にあてはめて選ぶ──これは国語辞典のときと同じやり方です。はじめに出てきた「湾」なら、①「海が陸地に入りこんだところ」を選ぶと、川がそそぐ場所の話として意味が通ります。②や③まで読まずに①で決めてしまうと、合わない意味を選んでしまうことがあります。
Q1 「静」を調べたいとき、どのさくいんを使うのがよいでしょう。
A 読み方が分かるなら音訓さくいんで「セイ」または「しず(か)」から。読めないなら部首「青」で部首さくいん、それも分からなければ14画で総画さくいんです。
Q2 「地」の部首と、部首の画数は。
A 部首は「土(つちへん)」で3画。土に関係する意味を持つ字だと考えると当てがつきます。
Q3 「近」の総画数は何画でしょう。
A 7画。しんにょう「辶」が3画、「斤」が4画です。しんにょうを4画と数えて8画にしてしまう人が多いところです。
Q4 部首さくいんで見つからないとき、次にどうしますか。
A 総画さくいんに切りかえます。部首の見当がまちがっていた可能性が高いので、同じさくいんで探しつづけるより早く見つかります。
漢字辞典は、国語辞典よりも「使わないまま終わる」ことが多い辞典です。引くのに手間がかかるぶん、練習の回数が足りないと身につきません。
おすすめは、読めない字に出会ったその場で引く習慣づけです。テレビの字幕、お店の看板、おかしの箱の裏書き──教科書の外に、読めない漢字はいくらでもあります。
お子さんが「これなんて読むの」と聞いてきたら、答える前に「調べてみようか」と一言。ただし毎回だと嫌になるので、三回に一回くらいがちょうどよい加減です。
また、引くのに時間がかかっても、せかさないでください。部首を思い出そうとしている時間そのものが、漢字の組み立てを考える練習になっています。
大人が総画さくいんで負けるくらい、子どもはすぐ早くなります。競争にすると一気に上達します。