たんけんに 行って、たくさん 分かった。なのに 発表に なると「えっと……」で 止まって しまう。知って いる ことと、つたえられる ことは、べつの ちからです。
町たんけんで 町を 歩き、まちの 人に きいて みようで お店の 人に 話を 聞きました。ノートには メモが たまって います。
ここで 学習を 終わりに して しまうと、分かったのは 自分だけ です。同じ 日に べつの お店へ 行った 友だちは、あなたが 見た ものを 見て いません。おうちの 人は、そもそも いっしょに 歩いて いません。
だから 生活科では、さいごに かならず つたえる 時間が あります。しらべる ことが 前半、つたえる ことが 後半。二つで 一つの 学習 です。
人に 話そうと すると、「あれ、そこは どうだったっけ」 と 分からない ところが 出て きます。これは 失ぱいでは ありません。
じゅんびを して いる うちに、自分が 何を 分かって いて、何を 分かって いないかが 見える ように なります。だから 発表の したくは、いちばん よく おぼえられる 時間なのです。
発表が うまく いかないと、大人は つい「もっと 大きな 声で」と 言います。でも 声を 大きく しても、中みが つたわらない ことが あります。
ほんとうの 原いんは べつの ところに あります。聞く 人は、その 場に いなかった ── この あたりまえの ことを、話す 人が わすれて しまうのです。
ちがいは たった 二つです。だれの 話か・何の 話かを 先に 言う ことと、「あれ」「そこ」を 名前に 言いかえる ことだけ。声の 大きさは 関係が ありません。
自分の 頭の 中には、その 日の ようすが 絵の ように のこって います。だから「あれ」で つうじる 気が して しまう。つうじるのは 自分の 中だけ、と 気づく ことが、この 単元の 出発点です。
もう 一つの つまずきが「全部 話そうと する」ことです。せっかく 見つけた ことが たくさん あるので、ぜんぶ 言いたく なります。
けれども、聞いて いる 友だちは ぜんぶは おぼえられません。十こ 言われた ときに のこるのは、だいたい 一つか 二つです。
| ぜんぶ 話す | 一つに しぼる | |
|---|---|---|
| 言う こと | 見た もの ぜんぶ | いちばん おどろいた こと 一つ |
| 話す 時間 | 長い(とちゅうで 止まる) | みじかい |
| 聞く 人に のこる もの | ほとんど なし | 一つ、はっきり のこる |
| したくの しやすさ | 紙が 字で いっぱいに なる | 絵を 大きく かける |
だから 一番目に やる ことは、「いちばん つたえたい ことは どれ?」と 一つ えらぶ ことです。えらべない ときは、つぎの ように 聞いて あげて ください。
まっさきに 話した こと ── それが その 子に とって いちばん おどろいた ことです。心が 動いた ところは、話す ときも いきいき します。
話す 中みが 決まったら、つぎは じゅんばんです。2年生には、三つの はこに 分ける やり方が いちばん 分かりやすい でしょう。
紙を 三つに おって、それぞれの はこに 一文ずつ 書きます。長い 文は いりません。一つの はこに 一つの こと です。
この「はじめ・なか・おわり」は、4年生の国語調べて発表するでも そのまま つかいます。2年生で ならう この 三つの はこは、ずっと 先まで つかえる 道具 です。
2年生の 発表では、ことばだけで つたえるのは とても むずかしい です。だから 見せる ものを 一つ 作ります。
| つたえかた | どんな とき に 向くか | 気を つける こと |
|---|---|---|
| ポスター(絵と 字) | 見た ものが はっきり ある とき | 字より 絵を 大きく |
| クイズ | おどろいた 数が ある とき | 答えは 一つに する |
| じっさいの もの | もらった ものが ある とき | 後ろの 人にも 見える 高さで |
| げき・やって みせる | やり方を 見せたい とき | だれが 何やくか 決める |
| かみしばい | じゅんばんが 大事な とき | まい数は 3〜4まいまで |
どれを えらんでも かまいません。ただし 字を びっしり 書いた 紙を 読み上げる のだけは さけます。読む ことに 気を とられて、顔が 上がらなく なるからです。
ポスターを 作る ときの めやすは、いちばん 後ろの せきから 読める 大きさ。えんぴつでは なく 太い ペンを つかい、書く 字は みじかい ことばだけに します。
「たくさん とどきます」より 「朝 5時に とどきます」。「大きい きかい」より 「先生 2人分の 高さ」。
数や くらべる ものが 一つ 入るだけで、聞いて いる 人の 頭に 絵が うかびます。インタビューの ときに 数を 一つ 聞いて おく と、あとが ぐっと 楽に なります。
したくが できたら、いきなり 本番では なく、だれかに 一回 聞いて もらいます。相手は 友だちでも、おうちの 人でも かまいません。
このとき、聞いた 人は 「じょうずだったよ」で 終わらせない ことが 大切です。かわりに、つぎの 一つだけ つたえます。
ほめられるだけでは 直す ところが 分かりません。分からなかった ところを 一つ 教えて もらう ほうが、ずっと 役に 立ちます。そして 直すのも 一か所だけなので、2年生でも やりきれます。
言われる がわの 練習にも なります。「分からなかった」と 言われるのは、だめだしでは なく 手つだい ── これが 分かる 子は、これから 先の 学習で 大きく のびます。
紙に 文を ぜんぶ 書くと、かならず こう なります。紙に 書くのは 文では なく、ことばだけ に します。「朝5時」「しおれる」など 三つほど 書いて あれば、あとは 自分の ことばで 話せます。
じゅん番を 待って いる 子は、自分の ことで 頭が いっぱいです。そこで、聞く がわにも 仕事を あげます。「はじめて 知った ことを 一つ、メモする」。役わりが あると、聞き方が 変わります。
いちばん よく ある しめくくりです。わるくは ありませんが、そこで 止まると 中みが 見えません。「何が」たのしかったのか を もう 一言 足します。「早おきの しごとを 知れたのが たのしかったです」まで 言えれば じゅうぶんです。
Q1 発表が つたわらない いちばんの 原いんは 何ですか。
A 声の 大きさでは なく、聞く 人が その 場に いなかった ことを わすれて いる こと。「あれ」「そこ」では つたわりません。
Q2 話す ことは いくつに しぼりますか。
A いちばん つたえたい こと 一つ。たくさん 言っても、聞く 人に のこるのは 一つか 二つです。
Q3 じゅんばんの 三つの はこを 言えますか。
A はじめ(どこで だれに)・なか(つたえたい こと)・おわり(思った こと)。
Q4 練習を 聞いた 人は、何を つたえると よいですか。
A 「じょうずだった」では なく、ついて いけなかった 場しょを 一か所。そこだけ 直せば よいと 分かります。
Q1が この 単元の いちばん 大事な ところです。相手は 自分と 同じ ものを 見て いない ── ここに 気づけると、話し方は ひとりでに 変わって いきます。
発表の練習に付き合うとき、つい「もっと大きな声で」「もっとゆっくり」と言いたくなりますが、その二つは本番の緊張でどうせ崩れます。かわりに聞き役として、分からなかったところを一つだけ伝えてあげてください。「田中さんって、どこの人?」の一言が、子どもの説明を大きく変えます。
また、家で「今日どうだった?」と聞いたときに返ってくる話は、その子にとって一番心が動いた出来事です。テーマが決まらないと言われたら、その日の食卓の会話を思い出させてあげてください。
本番のあとは、うまくいったかどうかより「聞いてくれた人が何と言っていたか」を聞いてみてください。伝わった手ごたえを覚えた子は、次からすすんで話すようになります。