2年 算数 0のだんと1のだん

0のだんと1のだん ── 「ふえない」のに、れっきとした だん

九九の 九九表に ならんで いるのは 1のだんから 9のだんまで。でも、お家の 人に 聞くと「0のだんと 1のだんも あったよ」と 言われる ことが あります。覚える 必要が ほとんど ない のに、答えは ちゃんと ある。この ふしぎな 2つの だんの 正体を、じゅんばんに 見て いきます。

1のだん ── かけた 数が、そのまま 出てくる

かけ算(九九)のきじで、かけ算は「1つ分 ×いくつ分」だと 説明しました。この 形は、1のだんでも 2のだんでも 9のだんでも かわりません。では、1つ分が 1こだったら どう なるでしょう。

 1×1=1  1×2=2  1×3=3  1×4=4  ……  1×9=9

1こ分の まとまりが 何こ あっても、答えは その「何こ」と ぴったり おなじ 数に なります。1こ分の お菓子ぶくろが 5ふくろ あれば、中身は ちょうど 5こです。ふくろを かぞえた 数と、お菓子の 数が、いつも そろいます。

ここで 気づける ことが あります。1のだんの 答えは「1・2・3・4・5・6・7・8・9」。これは ただの かずの ならびと おなじです。1のだんだけ、九九を 覚える 前から すでに 知って いる だん、と いう ことです。

0のだん ── どこまで いっても、答えは 0

つぎは 0のだんです。1つ分が 0こだったら どう なるでしょう。

 0×1=0  0×2=0  0×3=0  0×4=0  ……  0×9=0

0こ分の まとまりが 何こ あっても、答えは いつも 0です。たとえば「からっぽの 箱」が 7箱 あっても、中に 入って いる お菓子は 0こ。箱の 数が 増えても、入って いない ものは 増えません。これが 0のだんの 正体です。

0と「ない」は ちがう

0は「ない こと」では なく、「0こ」という 確かな 数」です。からっぽの 箱が「存在しない」わけでは ありません。箱は 7つ、ちゃんと あります。ただ 中身の 数が 0だ、と いう だけです。この 区別が できると、0の 計算で まよいにくく なります。

ぎゃくに かけても、答えは かわらない

かけ算のきまりのきじで、かける 数と かけられる 数を 入れかえても 答えは かわらない、と いう「こうかんほうそく」を 紹介しました。これは 0や 1を かける ときも 同じように はたらきます。

しきいみ答え
1×51こ分が 5こ分5
5×15こ分が 1こ分5
0×50こ分が 5こ分0
5×05こ分が 0こ分0

「5こ分が 0こ分」と いう のは、5こ入りの 箱が 0箱、つまり 箱が 1つも ない、と いう ことです。箱が ないので、お菓子も 0こ。向きを 入れかえても、結局 どちらも 0に たどりつきます。1のだんも 0のだんも、入れかえても 答えが かわらない 点は、ほかの だんと まったく おなじです。

0のだんと1のだんの あいだには、どれくらいの へだたりが ある?

2のだんから 9のだんは、1つ すすむ たびに 答えが「2・3・4……」と ふえて いきます。0のだんと 1のだんの ふえかたを、ならべて 見て みましょう。

××1×2×3×4×5
0のだん00000
1のだん12345
2のだん246810

0のだんは 1つ すすんでも 答えが「0のまま、0のまま」で まったく ふえません。1のだんは「1つずつ、きっかり」ふえます。2のだんは「2つずつ」ふえます。0のだんは ふえかたが 0、1のだんは ふえかたが 1と いう ことです。ふえかたが いちばん 少ない 2つの だんが、九九表の はしに いる わけです。

つまずきやすい ところ

その1 「0×5=5」と こたえて しまう

「5を かけるのだから、5が 出てくる はず」と 感じて しまう 子が います。しかし かけ算の 主やくは「1つ分」の ほうです。1つ分が 0なら、何こ分 あっても 0のまま。「×5」の 5は「いくつ分」であって、答えに そのまま 出てくる 数では ない ことを 思い出しましょう。

その2 0のだんと 1のだんを 入れかえて しまう

「0のだんは 1、1のだんは 0」と 逆に 覚えて しまう まちがいも あります。0こ分は いつも 0、1こ分は いつも その 数の ままと、だんの 名前と 1つ分の 数を つなげて おぼえると 逆転しにくく なります。

その3 九九表に ないので、計算しなくて よいと 思って しまう

九九表に 0のだんが 印刷されて いない 教科書も あります。でも 印刷されて いない ことと、計算が 出ない ことは べつです。文章題の 中に「0こ入りの 箱」や「1こ分の 荷物」が 出て くれば、やはり 0のだんや 1のだんの 考えかたを 使います。

やって みよう

Q1 0×8は いくつですか。

A 0。0こ分が 8こ あっても、中身は 0こです。

Q2 1×7は いくつですか。

A 7。1こ分が 7こ分なので、答えは 7です。

Q3 6この あめが 入った ふくろが 0ふくろ あります。あめは 何こ?

A 0こ。ふくろが 1つも ないので、6×0=0です。

Q4 9×1と 1×9は、答えが ちがいますか。

A ちがいません。どちらも 9。かける 数と かけられる 数を 入れかえても 答えは かわらないからです。

Q5 0こ入りの 箱が 4箱、1こ入りの 箱が 4箱 あります。あめの 数は あわせて 何こ?

A 4こ。0×4=0(0こ入り×4箱)と 1×4=4(1こ入り×4箱)を たすと、0+4=4こです。0のだんと 1のだんを 1つの もんだいの 中で くらべる ことで、ちがいが はっきり 見えます。

九九表に のって いない 教科書も ある、その りゆう

お家の 九九表を 見て みると、1のだんから 9のだんまで しか 印刷されて いない ことが あります。0のだんが はぶかれて いるのは、「わざと のせて いない」場合が 多いのです。1つ分が 0こ なら 答えは かならず 0と いう きまりが とても はっきりして いるので、九九の ように「唱えて 覚える」必要が 少ないと 考えられて いる からです。

いっぽうで、1のだんは 九九表に のって いる 教科書も あります。1のだんは 答えが「1・2・3・4・5・6・7・8・9」と、ふつうの かずの ならびに なるので、ほかの だんと くらべて 唱える 手ごたえが ちがいます。のっていても のっていなくても、答えの 出しかたは かわりません。

さき の学年へ つながる 話

0や 1を かける 考えかたは、2年生だけの 話では ありません。3年生の かけ算のきまりのきじでは、けたの 大きい 数どうしの かけ算にも おなじ きまりが 使われて います。さらに 先の 学年では、「0で わっては いけない」と いう ルールに ぶつかりますが、その 入り口に 立つ 考えかたも、ここで 学んだ「0こ分は いつも 0」から つながって います。

覚える ことが 少ないからと いって、軽い 話では ありません。むしろ 0のだんと 1のだんは、かけ算の きまりが いちばん はっきり 見える だんだと いえます。

まとめ

おうちの方へ

0や1を含む乗法は、九九表(1〜9の段)の外側に置かれることが多く、学校で明示的に時間を取って扱われない場合があります。しかし「0×n=0」「1×n=n」のつまずきは実際に多く、特に「0×5=5」のように乗数をそのまま答えにしてしまう誤りは定番です。本記事のように「1つ分×いくつ分」という構造に戻って考えさせると、九九の暗記とは別の筋道で納得できます。
もう一歩進めるなら、「ふえかたが0の段(0の段)」「ふえかたが1の段(1の段)」という見方を、他の段の「ふえかたがその段の数」と並べて見せてあげてください。これは等差数列の考え方の芽であり、将来、関数や一次式の「傾き」を学ぶときの最初の経験になります。