分からない数を□と書いて式にする。地味に見えて、これは中学数学へつながる大きな一歩です。
こんな問題があります。
あめを何こか持っていました。5こもらったので、全部で12こになりました。はじめに何こ持っていましたか。
今までなら、「12から5を引けばいい」と考えて、12-5=7と計算していました。
3年生では、別の考え方を学びます。
問題文の通りに式を書くのです。「はじめの数に5を足したら12になった」──そのまま式にしています。
そして、この□を求めます。
結局やっている計算は同じです。でも考え方の順序がまったく違います。
| これまで | □を使う方法 | |
|---|---|---|
| 最初にすること | どう計算するか考える | 場面をそのまま式にする |
| 次にすること | 計算する | 式を変形して□を求める |
| 難しい問題では | どんどん難しくなる | 手順は変わらない |
この違いが効いてくるのは、問題が複雑になったときです。「どう計算するか」を考えるのは難しくても、「場面を式にする」なら書けることが多いのです。
□の位置によって、求め方が変わります。
| 式 | □の求め方 | 例 |
|---|---|---|
| □ + 5 = 12 | □ = 12 - 5 | 7 |
| □ - 5 = 12 | □ = 12 + 5 | 17 |
| □ × 5 = 20 | □ = 20 ÷ 5 | 4 |
| □ ÷ 5 = 4 | □ = 4 × 5 | 20 |
気づくことがあります。反対の計算をしているのです。
「+5」を消したければ「-5」、「×5」を消したければ「÷5」。逆の計算で打ち消すという考え方です。
これは中学の方程式そのものです。中学では□がxになるだけで、やっていることは変わりません。
□の位置が分からなくなったら、テープ図を描くと分かります。
□ + 5 = 12
┌────────┬───┐
│ □ │ 5 │
└────────┴───┘
└─────12─────┘
□は 12から5を取った残り
全体と部分の関係が見えると、足すのか引くのかで迷いません。
この単元では、計算のきまりも整理します。
2年生で学んだ「入れかえのきまり」です。
これを使うと、計算しやすい順番を選べます。「2×3×5」なら、3×5=15より、2×5=10を先にしたほうが楽です(10×3=30)。
2年生の「分けて計算するきまり」です。かけ算のひっ算の正体でもありました。
注意が必要です。わり算とひき算は、順番を変えると答えが変わります。
たし算とかけ算だけが、順番を自由にできる。ここは区別が必要です。
式に+と×が混ざっているとき、どちらを先に計算するでしょうか。
答えは11です。かけ算・わり算を先に計算するというきまりがあります。
なぜでしょうか。場面で考えると分かります。
1本3円のえんぴつが1本と、1本4円のペンが2本。合計はいくら?
えんぴつ 3円 + ペン 4×2=8円 → 合計11円
「4円のペンが2本」というまとまりを先に計算するのが自然です。だから、かけ算を先にするきまりになっています。
3年生では深く扱いませんが、この考え方は4年生の「計算のきまり」で本格的に学びます。( )を使って順序を変える方法も、そこで登場します。
特別な数の扱いも整理しておきます。
| 式 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 5 × 1 | 5 | 5が1つ分 |
| 5 × 0 | 0 | 5が0つ分=何もない |
| 0 × 5 | 0 | 0が5つ分=やはり0 |
| 5 ÷ 1 | 5 | 1人で分けたら全部もらえる |
| 5 ÷ 5 | 1 | 5人で分けたら1人1こ |
| 0 ÷ 5 | 0 | 0こを5人で分けても0こ |
| 5 ÷ 0 | できない | 0人には分けられない |
0でわることだけができません。これは覚えておくべき例外です。
また、1をかけても1でわっても、数は変わりません。この性質は、5年生の分数の通分・約分で重要になります。
「□-5=12」で「12-5」としてしまう。
テープ図を描くと分かります。□から5を取って12残ったなら、□は12より大きいはず。だから足します。
「12÷4」を「4÷12」にしてしまう。
たし算とかけ算だけが順番自由。ひき算とわり算は変えられません。
実際に計算して答えが違うことを確かめると、納得できます。
「ふつうに計算すればいいのに」と思ってしまう。
その通りで、簡単な問題では□を使わなくても解けます。でも複雑な問題では、□を使ったほうが確実です。
今は「こういう方法もある」と知っておくだけで十分。6年生の文字式、中学の方程式で、その価値が分かります。
Q1 □ × 6 = 42 □はいくつ?
A □=42÷6=7。かけ算の逆はわり算です。
Q2 □ ÷ 4 = 8 □はいくつ?
A □=8×4=32。わり算の逆はかけ算です。
Q3 2 × 7 × 5 を、計算しやすい順番でやってみましょう。
A 2×5=10を先に。10×7=70。かけ算は順番を変えてよいので楽になります。
Q4 5 + 3 × 4 はいくつ?
A かけ算を先に。3×4=12、5+12=17。
Q5 「1こ80円のあめを□こ買ったら、代金は480円でした」を式に表し、□を求めましょう。
A 80×□=480。□=480÷80=6こ。
Q5のように、問題文の順番どおりに式を書くのがコツです。「1こ80円のあめを□こ」なので「80×□」。「代金は480円」なので「=480」。読んだ順に書けば式ができます。
これができると、文章題が一気に楽になります。今までは「これはかけ算かな、わり算かな」と悩んでいたものが、まず式を書いてから考えればよいことになるからです。
そして、この考え方が身につくと、6年生の「文字と式」でxやaを使うときも、まったく同じやり方で対応できます。□がxに変わるだけだからです。
「□を使った式」は、一見遠回りに見える単元です。「12-5でいいのに、なぜわざわざ□なの?」と思われるかもしれません。
しかしこれは、中学の方程式へつながる大切な準備です。中学では□がxになるだけで、考え方は同じ。ここで「場面を式にする」練習をしておくと、方程式が急に難しく感じることがなくなります。
お子さんが□の求め方で迷ったら、テープ図を描いてみてください。全体と部分の関係が見えると、足すのか引くのかが分かります。
また「かけ算を先に計算する」というきまりは、理由を知らないと納得しにくいところです。「4円のペンが2本」というまとまりを先に計算する、という場面で説明すると腑に落ちます。