ひらがなを 何まいも れんしゅうしたのに、字が ますの 中で かたむいたり、はみ出したり する。そんな とき、なおす ところは 字では ない ことが よく あります。字は、手の 形で 決まります。えんぴつの もち方と すわり方が 変われば、同じ 人が 書いても 線は 変わります。
1年生の 国語で いちばん はじめに ならう ことの 一つが、えんぴつの持ち方と姿勢 です。学校で 「せすじを のばして」と 言われる あの 時間には、ちゃんと わけが あります。
ひらがなには、まがる ところ、はねる ところ、とめる ところが あります。これらは どれも、えんぴつの 先を 思った 方こうへ、思った 長さだけ 動かす ことで できます。ところが、にぎりこぶしのように にぎって しまうと、ゆびが 動きません。うでごと 動かす ことに なるので、小さな ますの 中では 線が 大きく ぶれます。
つまり、これは 書き方を 覚える 前の 話です。まがれない もち方の まま 何百回 書いても、まがれる ようには なりません。れんしゅうの 回数を 増やす より、もち方を 一回 直す ほうが 早いのです。
字が いくつ ますに 入るか、どこで まがるかは、ひらがなを 覚える ときの 中心の 話です。線そのものの 書き方は ひらがな でくわしく あつかって います。この きじは、その 前に ある 「手の じゅんび」の 話です。
えんぴつは 5本の ゆび 全部で もつのでは ありません。もつのは 3本、のこりの 2本は 台です。じゅんばんに 見て いきます。
| ゆび | やくわり | まちがえると |
|---|---|---|
| おやゆび | よこから かるく おさえる | 先まで かぶせると 字が 見えない |
| 人さしゆび | 上から そっと のせる | 力を 入れると しんが おれる |
| 中ゆび | 下から ささえる | ささえないと えんぴつが たおれる |
| くすりゆび・小ゆび | まるめて 手の 台に する | のばすと 手首が うく |
もつ 場しょは、けずった ところから すこし 上、だいたい ゆび 1本ぶん 上です。先の ほうを もつと、書いた 字が 自分の ゆびで かくれて 見えません。上を もちすぎると、こんどは 力が 入らず 線が うすく なります。
えんぴつは まっすぐ 立てません。紙に たいして ななめに、体の ほうへ たおすように します。立てすぎると 先が とがった まま 紙に つきささり、線が 細く なって かすれます。ねかせすぎると こんどは 線が 太く なり、ますの 中が すぐ いっぱいに なります。
もち方が 正しくても、体が ねじれて いると 字は かたむきます。見る ところは 4つ です。
| 見る ところ | よい じょうたい | くずれると |
|---|---|---|
| せなか | まっすぐ のばす | まるめると 目が 紙に 近づく |
| 足 | 両足を ゆかに つける | ぶらぶらすると 体が ゆれる |
| おなかと つくえ | こぶし 1つぶん あける | くっつくと うでが 動かない |
| 目と 紙 | 30センチ ほど はなす | 近すぎると 字が 小さくなる |
おなかと つくえの あいだを こぶし 1つぶん あけるのは、行ぎの ためでは ありません。くっつけると うでが つくえの ふちに ひっかかり、右へ 進めなく なります。行の おわりだけ 字が つぶれる 人は、ここが 原いんの ことが よく あります。
いちばん 見おとされるのが 左手です(左ききの 人は 右手)。紙は、おさえて いないと かならず ずれます。ずれた 紙の 上に まっすぐな 線は 引けません。書いて いない ほうの 手は、ノートの 左はしに そえて おきます。ひざの 上に おろして いる あいだは、どれだけ ていねいに 書いても 行が ななめに 流れて いきます。
ノートは、体の まん中に まっすぐ おきます。すこし ななめに して 書く 大人も いますが、1年生の うちは まっすぐが おすすめです。ますの たての 線が 体の たてと そろって いると、字が かたむいた ことに 自分で 気づけるからです。
もち方が どうしても 決まらない とき、どうぐが 合って いない ことが あります。学校で つかう えんぴつが 2B や B なのには わけが あります。1年生は まだ 手の 力が よわく、かたい しんでは しっかりした 線が 出ません。線が 出ないと、出そうとして 強く にぎり、また もち方が くずれます。
まるい えんぴつは 手の 中で 回って しまうので、六角の ものが 向いて います。みじかく なりすぎた えんぴつも、3本の ゆびが 入らず にぎりこぶしに もどる 原いんに なります。まだ 書けるからと 使いつづけず、はやめに 新しい ものに かえます。
けしゴムも どうぐの 一つです。かたい けしゴムで 強く こすると 紙が よれ、そこに 書いた 字だけ 形が くずれます。かるく、みじかく 動かして 消します。
いちばん 多い こまりごとです。これは わすれて いるのでは なく、正しい もち方の ほうが つかれる からです。ふだん 使って いない ゆびを 使う ので、はじめは 当たり前に つかれます。1日じゅう 直そうと せず、「書きはじめの 5分だけ 正しく もつ」と 決めて、みじかい 時間から 増やして いきます。
力の 入れすぎです。紙の うらを さわって みて、書いた 字が でこぼこに うき出て いたら 力が つよすぎます。しんが よく おれる 人も 同じです。字は、力では なく 形で 読めるように なります。うすくても 形が そろって いれば 読めます。
ゆびが 動かず、うでで 書いて いる ときの 見え方です。もち方を 直すのが 本すじですが、その 場では 「一画ごとに 目を ますの 角に もどす」だけでも おさまります。書きながら ますの わくを 見て いれば、線は そこで 止まります。かん字を 書きはじめる ころには もっと 画数が 増えるので、この うちに 直して おくと 楽です(はじめての かんじ)。
Q1 もち方が へんでも、字が きれいなら いいですか。
A 1年生の うちは 書けて しまう ことも あります。ただ、書く 字の 数が 増えると 手が つかれ、後から 直すのは もっと 大へんに なります。
Q2 左ききです。直した ほうが いいですか。
A 直しません。もつ ゆびの 形は 同じで、紙を すこし 右に ずらすと、書いた 字が 手で かくれにくく なります。
Q3 もち方の ほじょ具は つかって いいですか。
A つかって かまいません。ただし ずっと つけたままでは なく、正しい 形を 手が 覚えたら 外して ためします。
Q4 どのくらいで 直りますか。
A 人に よります。にぎる くせが 長い ほど 時間が かかります。毎日 みじかく 続ける ほうが、たまに 長く やる より 早いです。
Q5 毛ふでの もち方とは ちがいますか。
A ちがいます。ふでは 立てて うで全体で 動かします。3年生から 始まる 書写(毛筆) で 別に 習います。
1年生の書字でつまずいたとき、練習量を増やす対応が最初に選ばれがちですが、持ち方が固まっていない段階での反復は、誤った動かし方を定着させてしまうことがあります。まず持ち方と姿勢を確認してください。確認は書いている最中ではなく、書き始める前の数秒で十分です。
直すときは、5本の指すべてを一度に整えようとしないでください。指示が多いと子どもは書くこと自体をやめてしまいます。「中指を下に入れる」など1回に1か所だけを伝え、できたその場で認めるほうが結果的に早く定着します。
道具は見直す価値があります。硬い鉛筆、丸軸、短くなりすぎた鉛筆はいずれも握り込みを誘発します。2B・六角軸で、指がかかる長さを保つだけで持ち方が戻る例は少なくありません。
なお、姿勢の乱れが強く、椅子に座り続けること自体が難しい場合は、机と椅子の高さが体に合っていないことがあります。足が床につかないときは足台を置くだけで、書字が落ち着くことがあります。