5年 国語 自主学習ノート

自主学習ノート ── 何を書くかを、毎日ゼロから考えない

自主学習ノート(自学ノート)の宿題で、いちばん時間がかかっているのは書いている時間ではありません。ノートを開いたまま「何を書こう」と考えている時間です。ここを短くできれば、自主学習はぐっと楽になります。

止まっているのは、やる気ではない

自主学習の宿題が出ると、たいてい同じことが起きます。ノートを開く。日付を書く。そこで止まる。十分たっても一行も進まない。そして最後に、いつもの漢字練習を書いて終わる。

これは、やる気がないから起きているのではありません。「何でもいい」と言われたときに人が固まるのは、ふつうのことだからです。給食のメニューは選ばなくても食べられますが、「何でも好きなものを作っていい」と言われた料理人は、まず献立で悩みます。自主学習も同じで、決めるところがいちばん重い作業なのです。

だから、この記事でやるのは「もっとがんばろう」という話ではありません。決めなくてもいいようにするという話です。決める作業を毎日ゼロからやらずにすむよう、あらかじめ型を持っておきます。

目安の時間

自主学習ノートは、5年生ならふつう1ページ・20分から30分です。そのうち「何を書くか決める」に使ってよいのは3分まで。3分で決まらないときは、後で紹介する型から順番に選びます。

五つの型を持っておく

自主学習で書ける中身は、じつはそんなに種類がありません。次の五つを覚えておけば、たいていの日はこのどれかに当てはまります。

型何を書くか向いている日
① 直し型テストやドリルでまちがえた問題を、分けて直すテストが返ってきた日
② 調べ型気になった言葉やものを一つ調べて、分かったことを書く授業で「へえ」と思った日
③ まとめ型今日の授業のポイントを、自分の言葉で一枚にまとめる新しい単元に入った日
④ つくる型自分で問題を5問作り、答えも書くもう分かっている単元の日
⑤ くらべ型似ているもの二つのちがいを、表にして並べるまぎらわしくて混ざる日

大事なのは、五つを全部使いこなすことではありません。今日はどれか、を選ぶだけの状態にしておくことです。真っ白から考えるのと、五つの中から一つ選ぶのとでは、かかる時間がまるでちがいます。

迷ったときの順番も決めておくと、さらに速くなります。おすすめはこの順です。

1. 直し型(まちがえたものがあるなら、まずこれ) 2. くらべ型(混ざっているものがあるなら、これ) 3. 調べ型(今日「へえ」と思ったことがあるなら、これ) 4. まとめ型 5. つくる型

①の直し型がいちばん上にあるのは、効果がはっきりしているからです。まちがいの分け方はテスト直しでくわしく扱っています。×をA・B・Cに分けてから直すやり方は、そのまま自主学習1ページ分になります。

ページの形を、先に決めてしまう

毎回同じ四つの部品にする

中身の型が決まっても、書き出しでまた止まることがあります。これも、ページの形を固定すれば解決します。

【日付】9月6日(土) 【題名】小数のわり算 あまりの小数点 【めあて】あまりの小数点の場所を、まちがえないようにする  (ここが本文。1ページの8割はここ) 【ふりかえり】あまりの点は、わられる数のもとの位置にそろえる。        次は文章題でためす。

この四つのうち、いちばん軽く見られがちで、いちばん大事なのが【ふりかえり】です。一行でかまいません。ただし「がんばりました」「むずかしかったです」は、ふりかえりではありません。次に読んだ自分が使える一行を書きます。

「めあて」は、本文を書く前に書く

めあてを最後に書き足す人がいますが、これでは意味が変わります。めあてはこれから何をするかの宣言なので、先に書くと、その1ページが自然にまとまります。逆に、先にめあてが書けないときは、そのネタがまだぼんやりしている合図です。ぼんやりしたまま書き始めると、途中で行き先を見失います。

やってはいけない三つ

1. 教科書を写すだけ

いちばん多いのがこれです。教科書の説明をそのまま写すと、ページはきれいに埋まりますし、時間もちょうど20分くらいかかります。でも、手は動いていても、頭はほとんど動いていません。

見分け方があります。書き終わったあとにノートをとじて、「今、何を書いた?」と自分に聞いてみてください。答えられなければ、それは写しただけです。写す代わりに、教科書をとじてから思い出して書くと、同じ20分でも中身が変わります。

2. 漢字を10回ずつ書いて終わり

漢字練習そのものが悪いのではありません。問題は、もう書ける漢字まで10回書いてしまうことです。書ける漢字を10回書いても、増えるのは書いた回数だけです。

やるなら、先にテストの形で自分に出題して、書けなかった字だけを練習します。20字のうち5字書けなかったなら、その5字です。ページは埋まりませんが、次の漢字テストの点は上がります。

3. 長さで勝負しようとする

「たくさん書いた人がえらい」と思うと、字を大きくしたり、絵で埋めたり、同じことを言いかえて増やしたりが始まります。これは自主学習ではなく、面積をうめる作業です。半ページでも、自分が分からなかったことが一つ分かったなら、そのほうがずっとよい1ページです。

ネタは、前の日のうちに拾う

机の前でネタを探すから止まるのです。ネタは、机の前ではなく授業中と生活の中にあります。

ノートの最後のページを「ネタ帳」にして、次のようなものが出てきたら一行だけメモしておきます。

・授業中に「なんで?」と思ったこと ・先生が「ここは大事」と言ったこと ・まちがえた問題の番号 ・ニュースや本で見かけた知らない言葉 ・自分がいつも混ざってしまう二つ

ここに五つたまっていれば、五日ぶんの自主学習はもう決まっています。探す作業と書く作業を、別の日に分けるのがコツです。

調べ型をやるときは、調べた先を書いておくことも忘れないでください。「〇〇(『□□事典』△△ページ)」のように、どこで見たかを書きます。書き方は引用のしかたにまとめてあります。これをしておくと、本に書いてあったことと、自分がそこから考えたことが混ざらなくなります。

調べたことは、グラフや表の形にすると文だけよりずっと短くまとまります。図表を本文の一部として扱う考え方は情報を読み取るで扱っています。読むときの技は、そのまま書くときにも使えます。

よくあるつまずき

1. 毎日ちがうことをやろうとして疲れる

自主学習は、毎日新しいことをする宿題ではありません。同じ単元を三日続けてもかまいませんし、そのほうが力はつきます。「昨日のつづき」と書いて始めれば、決める時間はゼロです。

2. きれいに書こうとして進まない

色ペンを何本も使い、定規で線を引いて、ということに時間の半分を使ってしまう人がいます。色は2色までと決めてしまうのが早いです。見た目に手をかけるほど、中身にかけられる時間は減ります。

3. 「かんたんすぎるかな」と思ってやめる

自分ができないところをやるのが自主学習なので、ほかの人にとって簡単かどうかは関係ありません。3年生の単元にもどってもいいのです。むしろ、もどれる人のほうが早く追いつきます。

ためしてみよう

Q1 ノートを開いて10分たっても何も書けません。まず何をしますか。

A 考えつづけるのをやめて、五つの型を上から順に見ます。「まちがえたものはある?」「混ざっているものはある?」と自分に聞けば、たいていどこかで止まります。決めるのは3分まで、と先に決めておきます。

Q2 「今日はむずかしかったです」というふりかえりは、なぜ弱いのですか。

A 次に読んだ自分が使えないからです。「どこが」むずかしかったのかが書いてあれば、次のページの【めあて】がそのまま決まります。ふりかえりは、明日の自分へのメモです。

Q3 漢字テストに向けて自主学習をします。よいのはどちらですか。(ア)出る漢字20字を10回ずつ書く(イ)先に20字を自分でテストして、書けなかった字だけ練習する

A イです。アは、もう書ける漢字にも同じ時間を使ってしまいます。イなら、時間の全部が「書けない字」に集まります。

Q4 自主学習のネタが毎回思いつきません。どうしますか。

A 机の前で探すのをやめ、授業中にネタ帳へ一行メモを残します。「なんで?」と思ったこと、まちがえた問題の番号などです。探す日と書く日を分けます。

Q5 今日は新しい単元に入った日で、まちがえた問題はありません。どの型を選びますか。

A まとめ型です。習ったばかりのポイントを、教科書をとじてから自分の言葉で一枚にまとめます。書けなかったところが、そのまま「まだ分かっていないところ」です。

まとめ

おうちの方へ

自主学習ノートは、家庭でいちばんもめやすい宿題です。「何をやってもいいんでしょ」と言いながら30分止まっている子を見ると、つい「早く決めなさい」と言いたくなりますが、決めることそのものが本人にとって最大の負荷になっています。声をかけるなら「何を書くの?」ではなく、「テストで直すところある?」「今日、混ざったものあった?」のように、選択肢の形で出してあげてください。
提出物としての見ばえも気になるところですが、色ペンや定規で整った1ページと、字は雑でも自分の言葉でふり返ってある1ページなら、力がつくのは後者です。学校の先生が見ているのも、多くの場合そちらです。
また、量を評価しないでください。「今日は半ページか」と言われた日から、子どもは中身より面積を作りにいきます。見るのは【ふりかえり】の一行だけで十分です。そこに具体的なことが書けている日は、その1ページは成功しています。
この「型を先に決めて、判断の回数を減らす」やり方は、大人の仕事の段取りとまったく同じ考え方です。中学以降の自習計画にも、そのまま引きつげます。