ひっ算の 途中の 数字が □で かくされていて、その 数字を 当てる 問題を「虫食い算」と 呼びます。名前は 虫が 数字を 食べて しまった ように 見える ことから 来ています。でも、やみくもに 1から 9まで 試す 必要は ありません。たし算・ひき算の ひっ算のきじで 学んだ「位を そろえて、1の 位から 順に 計算する」ルールを、逆から たどる だけで、□に 入る 数字は いつも ただ1つに 決まります。
まず、ふつうの たし算の ひっ算を 思い出しましょう。477+288を ひっ算で 書くと、1の 位どうし、10の 位どうし、100の 位どうしを たてに そろえて 計算します。虫食い算は、この ひっ算の いくつかの 数字を □に かくして、残った 数字と 答えだけを 見せる 問題です。
この 問題では、1番目の 数の 10の 位と、2番目の 数の 1の 位が □に なって います。答えの 765だけを 見て、2つの □を 両方 当てなければ なりません。1つ 見つかれば、もう 1つも 自然に 見つかる という つながりが、虫食い算の おもしろさです。
先の 問題を、実際に 1の 位から 順に 解いて みます。1の 位は「7+□=5」に 見えますが、1けたどうしの たし算で 答えが 1けた 小さく なるのは、答えが 10を こえて くり上がった ときだけです。つまり 7+□は 15に なって いる はずで、□=8と 決まります。
次は 10の 位です。10の 位の 数字を □、くり上がりの 1を あわせると、□+8+1を 計算した 答えの 1の 位が 6に なる はずです。□+9が 16に なれば ぴったりなので、□=7。そして 10の 位からも 1くり上がるので、100の 位は 4+2+1=7で、答えの 100の 位の 7と ちゃんと 合います。
こうして、477+288=765という 元の 式が、位を 1つずつ 追いかける だけで 自然に 見つかりました。くり上がりが あったか どうかを 読み取れば、□の 候補は 1つに 絞れるのです。
ひき算の 虫食い算では、くり下がりが 手がかりに なります。次の 問題を 見て みましょう。
1の 位は「3-□=6」に 見えますが、3から □を ひいて 6に なる ことは ふつう ありません(3は 6より 小さいので)。これは、10の 位から 1を 借りて「13-□=6」に なって いる サインです。だから □=7。
借りた ぶんを 10の 位で 引いて 考えます。10の 位は □から、1の 位へ 貸した 1と、8を ひいて 5に なって いるはずです。□-1-8を そのまま 計算すると マイナスに なって しまうので、これは 100の 位から さらに 1を 借りて きて いる サイン。10に して から 引くと □-1-8+10=5、つまり □=4。
つまり、743-287=456という 式が、くり下がりの 跡を 1つずつ 読み取る だけで 見つかりました。ひき算の ひっ算のきじで 練習した「借りて 計算する」手順を、答え側から さかのぼって 使って いる だけなのです。
かけ算にも 虫食い算が あります。次の 問題では、かける数の 一部が □に なって います。
1の 位は 6×3=18で、8を 書いて 1を くり上げます。ここは □が 関係しないので、先に 確定します。次に 10の 位を 見ると、□×3に くり上がりの 1を たした 答えが、10の 位9・100の 位1に なって います。つまり □×3+1=19に なれば よいので、□×3=18、□=6。
□に 6を 入れると、かける数は 66に なり、66×3=198で ぴったり 一致します。たし算・ひき算の 虫食い算と 同じく、くり上がりの 数字を 先に はっきりさせてから、残りの 位の 式を 立てるのが コツです。
虫食い算を はじめて 見ると「□に 何を 入れても いい 気がする」と 感じるかも しれません。でも、ひっ算には「1の 位から 順に 計算し、答えが 10以上に なったら 次の 位に くり上げる(たし算)」「足りなければ 次の 位から 借りる(ひき算)」という、決まった ルールが あります。
このルールを 守って 計算した 結果が、問題に 書かれた 答えに ぴったり 一致しなければ いけません。1の 位の □を 考える とき、使える 数字は 0から 9までの 10通りしか なく、しかも「答えの 1の 位と くり上がりの 有無」という 2つの 手がかりが すでに 分かって いるので、当てはまる 数字は 必ず 1つに 絞られます。10の 位・100の 位も、1つ 前の 位の くり上がり・くり下がりが わかった あとに 考えるので、同じように 1つに 決まって いくのです。
大きい数のきじで 学んだ「1の 位・10の 位・100の 位は、それぞれ ちがう 重さを 持つ」という 位取りの 考え方が、ここでも そのまま 生きて きます。虫食い算は、位取りと ひっ算の ルールが きちんと わかって いるかを 試す、ちょうど よい 練習問題なのです。
「7+□=5に 見えるから、□は マイナスの 数?」と 止まって しまう まちがいです。1けたの 数どうしを たした 答えが、見た目の 位で 小さく なって いる ときは、必ず くり上がりが 起きて います。見える 数字だけで なく、「くり上がって いるはず」という もう 1つの 情報を 使いましょう。
虫食い算は 必ず 1の 位から 考えます。10の 位や 100の 位から 先に 当てはめようとすると、くり上がり・くり下がりが まだ 分からないまま 計算する ことに なり、□の 候補が 1つに 絞れません。ひっ算の 計算順と 同じ 順番で、1の 位→10の 位→100の 位と たどりましょう。
ひき算の 虫食い算で、10の 位でも 100の 位からの 借りが 必要に なる ことが あります。本記事の 743-287の 例の ように、10の 位の 計算だけでは 答えが マイナスに なる 場合は、さらに 上の 位から 借りて いる サインです。1か所 借りたら 満足せず、次の 位でも 必要か どうかを 毎回 確かめましょう。
Q1 32□+145=468の □に 入る 数字を 答えなさい。
A 1の 位は □+5=8(くり上がりなし)なので、□=3。323+145=468で 確かめられます。
Q2 5□8+167=725の □に 入る 数字を 答えなさい。
A 1の 位は 8+7=15で 5をかいて 1くり上げ。10の 位は □+6+1=12(2をかいて 1くり上げ)なので □=5。558+167=725で 確かめられます。
Q3 6□4-237=417の □に 入る 数字を 答えなさい。
A 1の 位は 4-7が できないので 14-7=7(10の 位から 1借りる)。10の 位は □-1を してから 3を ひいて 1に なるので、□-1-3=1、□=5。654-237=417で 確かめられます。
Q4 □7×4=308の □に 入る 数字を 答えなさい。
A 1の 位は 7×4=28で 8をかいて 2くり上げ。10の 位は □×4+2=30に なればよいので □×4=28、□=7。77×4=308で 確かめられます。
Q5 □3□-158=274の □に 入る 2つの 数字を、それぞれ 答えなさい。
A 1の 位は □-8が できないので 10借りて □+10-8=4、よって 1の位の□=2。10の 位は 3から 1借りた分を ひいてさらに 5をひくと 3-1-5=-3で 足りず、100の 位からも 借りて 13-1-5=7が 成り立つ。100の 位は、158の 100の位の 1と、10の位への 借りの 1を 引いて □-1-1=2なので 100の位の□=4、1の位の□=2。432-158=274で 確かめられます。
虫食い算の「わかって いる 情報から、くり上がり・くり下がりを 逆算して 1つに 絞る」という 考え方は、5年生以降の 算数でも 形を 変えて 出て きます。たとえば 方程式の □に 当たる 文字(x)を 使った 式を 解く とき、「両辺に 同じ 数を たす・ひく」という 操作で 1つの 値に 絞っていく やり方は、虫食い算で □を 1つずつ 決めて いく 感覚に 近い ものです。
いきなり 答えを 当てずっぽうで 探すのでは なく、すでに わかって いる ルールを 逆から たどれば、答えは 必ず 見つかるという 体験を、虫食い算で たくさん 積んで おくと、文字を 使った 式を 習う ときにも 迷いにくく なります。
虫食い算は教科書の本編というより、計算練習ドリルやパズル本でよく見かける形式ですが、「くり上がり・くり下がりの仕組みを本当に理解しているか」を試すには非常に適した題材です。□を当てずっぽうで探す子には、まず1の位だけに注目させ、「答えの見た目の数字が、計算してできる数字より小さければ、くり上がっている」という手がかりの使い方を一緒に確認してあげてください。慣れてくると、ひっ算の答え合わせそのものを「虫食い算のように逆からたどって確かめる」習慣がつき、見直しの質そのものが上がっていきます。