日記や お話を 書いて いると、だれかが 言った ことば を 書きたく なる ときが あります。その ときに つかうのが かぎ(「 」)です。かぎは かざりでは なく、「ここからは 声に 出して 言った ことばですよ」と 知らせる はこ。中に 何を 入れるかが 決まって いる、はたらきの ある しるしです。
この しるしを、正しくは かぎかっこ と いい、その 中に 入る 文を 会話文 と いいます。国語の 教科書では、この 二つを あわせて 会話文とかぎかっこ と いう まとまりで ならいます。左がわの 記号が はこの 入口、右がわの 記号が 出口です。この 二つの 間に 入れて いいのは、その人が 口から 出した ことば、そのまま だけです。
「そのまま」と いうのが 大じな ところです。すこし 直したり、みじかく したり しては いけません。声に 出した とおりに 書きうつします。だから、「げんきに あいさつを した」と いう 文には かぎは 要りませんが、「おはよう。」と 言ったなら かぎが つかえます。
おなじ ことを つたえて いても、下の 文の ほうが その場に いるような 感じが します。読む 人の 頭の 中で 声が 鳴る からです。かぎは、作文を 楽しく する いちばん 早い 道ぐです。
1年生が いちばん まよう ところが、これです。はこの 大きさ、つまり かぎの 中に 入れる ぶぶん の 決め方を 見て いきましょう。ルールは 一つだけです。
「と 言いました」「と 聞きました」の 前まで が、はこの 中。
| 書きたい こと | 正しい 書き方 |
|---|---|
| 先生が はじめましょう と 言った | 先生が 「はじめましょう。」と 言いました。 |
| ぼくが まって と さけんだ | ぼくは 「まって。」と さけびました。 |
| おかあさんが どこ行くの と 聞いた | おかあさんが 「どこへ 行くの。」と 聞きました。 |
「と」より 後ろは だれが どう したか の せつめいなので、はこの 外に 出します。ここを 中に 入れて しまって「先生が はじめましょうと 言いました。」と 書く 子が いますが、それだと どこまでが 先生の 声か 分からなく なります。
この 「だれが」+「どう した」の 形は、文を つくる ときの きほんの 形です。くわしくは ぶんを つくる の 記事で 見て みて ください。かぎの 外がわは、いつも この きほんの 形に なって います。
もう 一つ、よく まちがえる ところが あります。文の 終わりの まる(。)を どこに おくか、です。
言った ことばの 終わりにも まるは ひつようです。そして その まるは、とじる 記号の 内がわ に 入れます。声に 出した ことばも 一つの 文なので、はこの 中で ちゃんと 終わらせて あげる、と 考えると 覚えやすく なります。
そして、その 後ろの「と 言いました」も 一つの 文です。だから 文の いちばん 終わりにも、もう 一つ まるが 要ります。まるは 二つ。これが 会話の ある 文の ふつうの 形です。
会話が 二つ、三つと 続く ときは、一つの 会話ごとに 行を かえる と ぐんと 読みやすく なります。
行を かえると、だれかが しゃべった ところが 一目で 分かります。お話の 本を 開いて みて ください。どの 本も、会話の ところで 行が かわって います。
なお、原こう用紙に 書く ときは、行の どこから 書きはじめるかにも きまりが あります。ふつうの 文は 一マス 下げて 書きはじめますが、かぎで はじまる 行は 一マス目から 書いて かまいません。マスの つかい方は 原こう用紙の 使い方 で くわしく あつかって います。ここでは まず、会話は 行を かえる と いう ことだけ 覚えて おけば じゅうぶんです。
書いた 後で 見なおす とき、目で さがすより 早い 方ほうが あります。声に 出して 読む ことです。
読んで いて、声の 出し方が 変わる ところ。そこが かぎの 中みです。「はじめましょう」と 読む ときは 先生の 声に なり、「と 言いました」と 読む ときは 自分の 声に もどります。この 切りかわりが、はこの 入口と 出口です。
ふだんから 音読を して いる 子は、この 切りかわりを 耳で 分かって います。読み方の くふうに ついては おんどく の 記事も あわせて 見て みて ください。書く ことと 読む ことは、ここで つながって います。
いちばん 多い まちがいです。書きたい ことに むちゅうに なって、出口の 記号を おかずに 進んで しまいます。ふせぐ 方ほうは かんたんで、入口を 書いたら、先に 出口まで 書いて しまう こと。はこを 先に つくって、後から 中に ことばを 入れる わけです。
「うれしいな。」と 思いました ── これは かぎを つかって よい 書き方です。ただし、口に 出して いない ことが はっきり する ように「思いました」と 書きます。「言いました」と 書いて しまうと、声に 出した ことに なって しまいます。言ったのか、心の 中なのか。ここを 分けると、読む 人に 正しく つたわります。
かぎだけ ならべて、だれの ことばか 書かない 作文が あります。二人で 話して いる 場めんなら 交ごに なるので だいたい 分かりますが、三人 いると 分からなく なります。はじめの 一つと、人が かわった ところ には「と、〇〇さんが 言いました」を つけて おくと、読む 人が まよいません。
Q1 「ぼくは ありがとうと 言いました。」に かぎを 入れる なら、どこと どこですか。
A ありがとう の すぐ 前と、その あとの まるの すぐ 後ろです。「と」より 後ろは はこの 外に 出します。
Q2 「おはよう」。と 言いました。 この 書き方は 合って いますか。
A 合って いません。まるは とじる 記号の 内がわ、つまり 「おはよう。」の 形に します。
Q3 会話が 二つ 続く とき、どこで 行を かえますか。
A 一つの 会話が 終わる ごとに かえます。言った 人が かわる たびに 新しい 行に すると、読む 人が まよいません。
Q4 心の 中で 思った ことに かぎを つかう とき、後ろに 書く ことばは 何ですか。
A 「思いました」です。「言いました」と 書くと、声に 出した ことに なって しまいます。
Q5 自分の 日記を 出して、かぎが 一つも ない ページを さがして みましょう。
A その日、だれかと 話した ことを 一つ 思い出して、かぎで 入れて みて ください。一つ 入れる だけで、その日の ようすが きゅうに はっきり します。
かぎは、たくさん つかえば よい ものでは ありません。ぜんぶを 会話に すると、こんどは 何が あったのかが 分からなく なります。いちばん 心に のこった 一言 を えらんで 入れる。それが 上手な つかい方です。
かぎかっこは1年生の後半に出てきますが、つまずきの多くは「知らない」ではなく「書いている途中で閉じ忘れる」という運用上の問題です。開いたら先に閉じてから中身を書く、という手順を一度教えるだけで、赤を入れる回数がかなり減ります。
また、会話文が入ると作文は一気に読みごたえが出ます。日記が「〜しました。たのしかったです。」で終わってしまう時期には、「そのとき、だれか何て言った?」と一つだけ聞いてあげてください。思い出した一言を書き足すだけで、出来事の記録が場面の描写に変わります。
句点を閉じ記号の内側に置くか外側かは大人でも迷いがちですが、日本語の学校教育では内側が原則です。細かい指摘は一度に一つだけにして、まずは会話を書こうとした意欲のほうをほめてあげてください。