6年生社会国際

世界とのつながり|国どうしは、どうやって助け合っているのか

朝食のパンの小麦はアメリカやカナダから、洋服はベトナムやバングラデシュから、スマートフォンの部品は世界じゅうから集まっています。日本は一国だけでは生きていけません。世界とのつながりでは、国どうしがどんなしくみで結びつき、助け合い、ときにぶつかっているのかを見ていきます。

国際連合は「もう二度と」から生まれた

国際連合(国連)は1945年、第二次世界大戦が終わった年につくられました。あれほどの犠牲を出した戦争を二度とくり返さないために、国どうしが集まって話し合う場をつくろう、という考えです。本部はアメリカのニューヨークにあり、今では190をこえる国が加盟しています。

じつは、国連より前にも同じような組織がありました。第一次世界大戦のあとにできた国際連盟です。しかし国際連盟は、アメリカが加盟しなかったこと、軍事的な力を持たなかったこと、そして日本やドイツが脱退してしまったことで、戦争を止められませんでした。国連はその反省から、軍事的な行動もとれるしくみを備えています。

日本が国連に加盟したのは1956年です。戦争に負けてすぐには入れず、11年待ってようやく国際社会に戻ったことになります。

国連のおもな組織

国連にはたくさんの機関があります。名前と役割をセットで覚えましょう。

名前していること
総会すべての加盟国が参加し、1国1票で話し合う。国の大小に関係なく平等
安全保障理事会世界の平和と安全を守るための決定をする。国連でいちばん強い権限を持つ
ユニセフ(UNICEF)世界の子どもたちの命と成長を守る。予防接種・栄養・教育の支援
ユネスコ(UNESCO)教育・科学・文化を通じた平和づくり。世界遺産の登録もここ
WHO(世界保健機関)感染症の対策など、世界の人びとの健康を守る

安全保障理事会には、アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国の5か国が常任理事国として入っています。この5か国は拒否権を持っていて、1か国でも反対すれば、ほかの全部の国が賛成していても決定できません。

「それでは不公平ではないか」と思うかもしれません。実際、そのとおりの問題があります。当事国が常任理事国だと、話し合いが止まってしまうのです。一方で、大国が拒否権を持つからこそ大国が国連から出ていかずにすんでいる、という見方もあります。国連は完ぺきな組織ではなく、不完全でも続けることに意味がある場だと理解しておきましょう。

ODA、NGO、PKO――3つの「国際協力」

ニュースでよく出てくる3つの言葉を区別できるようにしておきましょう。だれがやっているか、が見分けるポイントです。

ODA(政府開発援助)  だれが:国(政府)が  なにを:発展途上国に、お金・技術・人を送る  例:ダムや道路の建設、井戸ほり、農業技術の指導 NGO(非政府組織)  だれが:民間の人びとが集まってつくる団体が  なにを:医療・教育・食料支援・地雷除去など  例:国境なき医師団 PKO(平和維持活動)  だれが:国連が各国に協力を求めて  なにを:争いが終わった地域の見守り、道路や施設の復旧

ODAで日本が力を入れているのは、お金を渡すだけでなく技術を教えることです。たとえば井戸を掘ってあげるだけだと、こわれたときに直せません。そこでJICA(国際協力機構)が現地の人に修理のしかたや管理のしかたを教えます。青年海外協力隊として、日本の若い人が農業・教育・スポーツなどを教えに行く制度もあります。「魚をあげるのではなく、魚のとり方を教える」というたとえがよく使われます。

日本と関係の深い国ぐに

教科書では、日本とつながりの深い国をいくつか取り上げて学びます。それぞれ、日本との関係の中身がちがうのが面白いところです。

日本との関係
アメリカ合衆国戦後最大の同盟国。小麦・とうもろこし・大豆の輸入元。映画や音楽など文化の影響も大きい
中国最大の貿易相手国の一つ。漢字・仏教・稲作など、古代から文化を受けてきた歴史がある
大韓民国(韓国)いちばん近い隣国。行き来する人が多く、食文化や音楽の交流もさかん
サウジアラビア日本が使う石油の多くを輸入している国。砂漠の気候とイスラム教の暮らし
オーストラリア鉄鉱石・石炭・牛肉の輸入元。南半球なので日本と季節が逆になる
ブラジル日本から移住した人の子孫(日系人)が多く暮らす。コーヒーや鉄鉱石でつながる

ここで気づいてほしいのは、日本が輸入しているものの多くが資源と食料だということです。日本は石油をほぼ100%、鉄鉱石をほぼ全量輸入しています。食料自給率も4割ほどしかありません。だからこそ日本にとって、世界の国と仲良くしておくことは「やさしさ」の問題である前に、暮らしを続けるための必要なのです。

SDGs――2030年までの世界の約束

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連で決められた、2030年までに世界が達成したい17の目標です。「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」など、カラフルなアイコンを見たことがあるかもしれません。

SDGsの新しいところは、発展途上国だけの目標ではないという点です。それまでの国際目標は「貧しい国を助ける」という形が中心でしたが、SDGsは日本のような国にも課題があるとしています。食品ロス、働き方、男女の格差、プラスチックごみ。どれも日本の問題です。

「持続可能」とは、今の世代が使いきってしまわず、未来の人にも残るようにするという意味です。世界とのつながりを学ぶとき、遠い国を助ける話としてだけでなく、自分の毎日の選び方の話としても考えてみてください。

つまずきやすいところ

国際連盟と国際連合を取りちがえる

「連盟」は第一次世界大戦のあと(1920年)にでき、日本が1933年に脱退した組織。「連合」は第二次世界大戦のあと(1945年)にでき、日本が1956年に加盟した組織です。連盟=古いほう・失敗したほう、連合=今あるほうと対で覚えると混ざりません。

ODAとNGOの区別があいまいになる

頭文字で考えるとはっきりします。ODAの「O」はOfficial(政府の)、NGOの「N」はNon-Governmental(政府ではない)。つまりODAは国がやる援助、NGOは民間がやる団体。「政府か、政府でないか」の一点だけで区別できます。

「安全保障理事会=多数決で決まる」と思ってしまう

安全保障理事会では、常任理事国5か国のうち1か国でも反対すると決定できません。これが拒否権です。ですから「賛成が多いほうが勝つ」という単純な多数決ではありません。ここは記述問題でもよく問われるので、拒否権という言葉を使って説明できるようにしておきましょう。

やってみよう

問1 国際連合はいつ、何のためにつくられましたか。

第二次世界大戦が終わった1945年に、戦争を二度とくり返さず、世界の平和と安全を守るためにつくられた。本部はアメリカのニューヨークにある。

問2 安全保障理事会の常任理事国を5つ答え、それらの国が持つ特別な権利の名前を書きましょう。

アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国の5か国。この5か国は拒否権を持ち、1か国でも反対すると決定ができない。

問3 ODAで、お金を出すだけでなく技術を教えることが大切なのはなぜですか。

施設をつくっても、こわれたときに現地の人が直せなければ長く使えないから。修理や管理のしかたを教えることで、日本が引きあげたあとも現地の人だけで続けていける。

問4 日本にとって、外国との関係を良好に保つことがとくに重要なのはなぜですか。輸入の面から説明しましょう。

日本は石油や鉄鉱石などの資源をほとんど輸入にたよっており、食料自給率も約4割しかない。輸入が止まると暮らしそのものが成り立たなくなるため、多くの国と良い関係を保つ必要がある。

まとめ

おうちの方へこの単元は暗記に見えて、じつは身のまわりから入るほうが定着します。冷蔵庫の食品や衣類のタグにある原産国を一緒に見て、地図で場所を探すだけでも「世界とつながっている」感覚が育ちます。ニュースで国名が出たときに「どこにある国だっけ」と地図を開く習慣ができると、中学の地理・公民まで長く効いてきます。