6年 社会 日本とつながりの深い国々

時差 ── 12時に太陽が真南に来る町は、日本にほとんどない

「お昼の12時には、太陽が真南の、いちばん高いところに来る」。多くの人がそう思っています。ところが、あなたの町ではまず来ていません。東京なら、太陽は12時になる19分ほど前に真南を通りすぎてしまっています。福岡なら、12時にはまだ来ていなくて、あと18分ほど待つことになります。これは時計が狂っているのでも、太陽がいい加減なのでもありません。日本の時計が、あなたの町の空ではなく、兵庫県明石市の空に合わせてあるからです。この記事では、その「ずれ」を自分でかけ算して出し、そこから外国との時差までを、同じ1本の計算でつないでいきます。

教科書のどこに出てくるか

6年生の社会「日本とつながりの深い国々」では、アメリカや中国、韓国、サウジアラビアなどを取り上げて、その国のくらしや日本との結びつきを学びます。そこで必ず顔を出すのが時差です。「日本が昼のとき、アメリカは夜」「日本と時差が14時間ある」といった書き方で出てきます。

ただ、教科書が書いているのは、たいてい結果の数字だけです。「14時間ある」とは書いてあっても、その14がどこから出てきたのかは書かれていません。だから多くの人は、時差を国ごとに決められた、覚えるしかない数字だと思ったまま卒業します。

ちがいます。時差は覚えるものではなく、出すものです。必要な材料は、5年生で習った経度と、わり算とかけ算だけ。しかも出てくる答えは、外国の話で終わりません。いまあなたがいる教室の12時が、太陽から何分ずれているかまで、同じ計算で出てしまいます。

この記事に必要なもの

紙と鉛筆だけです。使う計算は「360÷24」「60÷15」と、あとは1けたのかけ算と、たし算・ひき算です。地図帳があると、自分の町の経度を調べられていっそう面白くなりますが、なくても最後まで進めます。

まず、12時に太陽が真南に来ていない証拠

いきなり「あなたの町の12時はずれている」と言われても、たしかめようがないと感じるかもしれません。ところが、これはとても簡単に確かめられます。運動場に立って、自分の影を見るだけです。

【たしかめ方】かげが いちばん 短くなる 時刻をさがす 11:30 ごろから 12:30 ごろまで、 10分おきに、自分のかげの長さを はかる。 (地面にチョークで印をつけるだけでよい) ↓ かげが いちばん 短くなった 時刻 = 太陽が いちばん 高い 時刻 = 太陽が 真南を通る 時刻(南中) 東京なら 11時40分ごろ、福岡なら 12時20分ごろに いちばん短くなる。 12時ちょうどには、なっていない。

もう1つ、道具のいらない証拠があります。影の向きです。太陽が真南に来た瞬間、影はぴったり真北を向きます。方位磁針を置いて、12時のチャイムのときの影の向きを見てみてください。東京では、影はもう真北を通りすぎて、わずかに東へ傾いています。

そして3つめ。日の出と日の入りの時刻が、同じ日本の中でぜんぜんちがうことです。新聞やアプリで、同じ日の東京と福岡の日の出を見比べてください。東京のほうが30分以上早く明けます。日本中の時計は同じ時刻を指しているのに、空は同じ時刻に同じことをしていないのです。

ここでずれているのは、どちらか

太陽がずれているのではありません。時計のほうが、あなたの町に合っていないのです。しかも、わざとそうしてあります。理由はこのあとすぐに出てきます。

なぜ「15度で1時間」なのか

ここがこの記事の芯です。時差のもとになっている数は、たった2つの数から出てきます。地球が1回転する角度が360度、それにかかる時間が24時間。この2つだけです。

地球は 24時間で 1回まわる(360度) 360 ÷ 24 = 15 → 1時間で 15度 まわる → 経度が 15度 ちがえば、時刻は 1時間 ちがう さらに こまかく すると 60分 ÷ 15度 = 4 → 経度 1度 = 4分 → 経度が 1度 ちがえば、時刻は 4分 ちがう

この「1度=4分」が、この記事でいちばん使う道具です。覚えることはこれ1つだけで、あとはぜんぶ、この4をかけたり15でわったりするだけになります。

向きも大事です。地球は西から東へまわっているので、東にある町のほうが、先に朝になります。だから「東にあるほど時刻が進んでいる」。これも棒と影の話と同じで、覚える決まりではなく、地球のまわる向きから出てくる結果です。

経度のちがい時刻のちがいもとの計算
15度1時間360 ÷ 24 = 15
1度4分60 ÷ 15 = 4
5度20分5 × 4 = 20
30度2時間30 ÷ 15 = 2
90度6時間90 ÷ 15 = 6
180度12時間180 ÷ 15 = 12

日本の時計は、明石の空に合わせてある

では、日本の時計は何に合わせてあるのでしょうか。答えは東経135度の経線です。この線の上で太陽が真南に来た瞬間を、日本中いっせいに「12時」と呼ぶ、と決めてあります。これを日本標準時といいます。

東経135度の経線は、兵庫県明石市を通ります。だから明石には「子午線のまち」という看板があり、線の真上に天文科学館が建っています。日本のどこにいても、時計が指しているのは明石の空なのです。

日本の標準時 = 東経135度に合わせる 135 ÷ 15 = 9 → 経度0度(ロンドン)より 9時間 進んでいる → これが「日本は世界の標準時より9時間進んでいる」の 9

なぜ町ごとの時刻にしないのか。昔は、実際に町ごとの時刻でした。ところが鉄道ができて、それでは立ち行かなくなります。東京を9時に出た汽車が大阪に何時に着くのか、東京と大阪で時計の意味がちがったら、書けないのです。だから国の中で時計を1つにそろえました。正確さを少しあきらめて、そろっていることを買ったわけです。

そのかわりに生まれたのが、最初に見た「ずれ」です。自分の町の経度が分かれば、ずれは4をかけるだけで出ます。

【東京(東経 約139.7度)】 139.7 - 135 = 4.7度 ← 明石より東にある 4.7 × 4 = 18.8分 ≒ 約19分 東にあるので 先に南中する → 東京の南中は 12時 - 19分 = 11時41分ごろ 【福岡(東経 約130.4度)】 135 - 130.4 = 4.6度 ← 明石より西にある 4.6 × 4 = 18.4分 ≒ 約18分 西にあるので あとから南中する → 福岡の南中は 12時 + 18分 = 12時18分ごろ

自分の町の経度を地図帳で調べて、いま同じ計算をしてみてください。135より大きければ12時より早く、小さければ遅くなります。ぴったり135の町だけが、12時に南中します。日本の町のほとんどは135ではないので、題名のとおり「12時に太陽が真南に来る町は、ほとんどない」のです。

日本の中だけで、南中は1時間30分ちがう

ずれがいちばん大きく出るのは、日本の東のはしと西のはしです。北海道の根室(東経約145.6度)と、日本のいちばん西にある沖縄の与那国島(東経約123度)で計算してみます。

【根室(東経 約145.6度)】 145.6 - 135 = 10.6度 10.6 × 4 = 42.4分 → 南中は 11時18分ごろ 【与那国島(東経 約123度)】 135 - 123 = 12度 12 × 4 = 48分 → 南中は 12時48分ごろ 【2つの町のあいだ】 145.6 - 123 = 22.6度 22.6 × 4 = 90.4分 ≒ 1時間30分 同じ「日本時間」なのに、 太陽の位置は 1時間30分 ずれている。

この90分という数は、覚える価値があります。外国との時差を言う前に、日本の中だけで1時間半のずれをかかえているのです。根室の子が11時18分に南中を見ているとき、与那国島の子の太陽は、まだ空の東側にあります。

同じ12時なのに、朝ごはんの明るさがちがう

冬の朝、根室では6時台に明るくなっているのに、与那国島ではまだ暗い、ということが起こります。学校の始まる時刻は全国だいたい同じですから、同じ「8時に登校」でも、空の明るさは町によってちがうわけです。時計をそろえた代金は、こういうところで払われています。

外国との時差を、自分で計算する

ここまでの道具で、外国との時差も出せます。やることは1つだけです。2つの標準時の経線が何度はなれているかを出して、15でわる。これだけです。

注意するのは1か所だけ。東経と西経にまたがるときは、引き算ではなく足し算になります。0度の線をまたいで数えることになるからです。

【日本 ─ ロンドン(経度 0度)】 135 - 0 = 135度 135 ÷ 15 = 9時間 日本のほうが東 → 日本が進んでいる 日本が 12月1日 正午 → ロンドンは 12月1日 午前3時 【日本 ─ ニューヨーク(西経 75度に合わせてある)】 東経135度 と 西経75度 → 0度をまたぐので たす 135 + 75 = 210度 210 ÷ 15 = 14時間 日本が 12月1日 正午 → ニューヨークは 11月30日 22時 【日本 ─ 北京(東経 120度に合わせてある)】 135 - 120 = 15度 15 ÷ 15 = 1時間 日本が 12月1日 正午 → 北京は 12月1日 11時

ニューヨークの14時間が、教科書に出てくるあの14です。もう覚える必要はありません。135+75を15でわれば、いつでも作り直せます。

この計算ができると、身のまわりのことがつながります。オリンピックやワールドカップがヨーロッパで開かれる年、決勝の中継が日本の深夜や早朝になるのは、9時間という数のせいです。現地の夜9時は、日本の朝6時。放送局が意地悪をしているのではありません。

向きをまちがえないコツ

「東にある国は時刻が進んでいる」だけ覚えておけば、足すか引くかで迷いません。日本はアジアの東のはしにあるので、ヨーロッパやアメリカに対しては、日本がほぼいつも進んでいる側です。日本の時刻から時差を引けば、向こうの時刻になります。

経度だけでは出てこない、もう1つのずれ

ここで、正直に書かなければならないことがあります。さきほど計算した「東京は19分早い」は、そのままでは実際の南中時刻になりません。影で測ると、11時41分よりもっと早い日もあれば、もっと遅い日もあります。

理由は、太陽の1日の長さが、日によってわずかにちがうことです。原因は2つあります。

原因どういうことか
地球の通り道が円ではない太陽のまわりを回る道が少しつぶれた形をしていて、太陽に近いところでは速く、遠いところではゆっくり進む
地球の軸がかたむいているかたむいたまま回っているので、太陽が空を横切る速さが季節によって変わる

この2つが重なって、ずれが1年をかけて行ったり来たりします。大きさは、いちばん進むときで約16分(11月の初めごろ)、いちばん遅れるときで約14分(2月の中ごろ)です。これを均時差といいます。経度から出るずれとちがって、こちらは日によって変わります。

東京の 実際の南中時刻 経度から出るずれ : 19分 早い(毎日 同じ) 均時差のずれ : +16分 〜 -14分(日によって ちがう) 11月初め : 11時41分 - 16分 = 11時25分ごろ 2月中ごろ : 11時41分 + 14分 = 11時55分ごろ → 東京の南中は、1年かけて 11時25分ごろ 〜 11時55分ごろ を 行ったり来たりする。 12時ちょうどになる日は、1日もない。

この表は、影で測ったときに計算と合わなくてもあなたのはかり方が悪いのではないことを示しています。むしろ、11時25分から11時55分のあいだに収まっていれば、正しく測れています。

ついでに、題名の主張がもっと強くなります。東経135度の明石でさえ、南中がちょうど12時になるのは1年に4日ほどしかありません。均時差がちょうど0になる日だけです。「12時に太陽が真南に来る」は、日本のどの町でも、ほとんどの日にあてはまりません。

この記事で扱わないこと

均時差が「なぜ16分と14分なのか」、その日ごとの値を出す計算は、この記事では扱いません。地球の通り道の形と軸のかたむきを両方あつかう計算が必要で、小学校の算数では追えないからです。ここでは「経度のずれのほかに、最大15分ほどの別のずれがある」という事実だけを持っておいてください。それを知っているだけで、影で測った結果を「合わなかった」と投げ出さずにすみます。

計算どおりになっていない国がある

もう1つ、正直に書くことがあります。ここまでの計算は、国が決めた時刻を当てるものではありません。15でわって出るのは「太陽から考えればこうなるはず」の値です。実際にどの時刻を使うかは、その国が決めます。だから、計算とずれている国があります。

はっきりした例が中国です。中国は東西にとても広く、東のはしと西のはしで経度が60度ほどちがいます。計算では4時間ぶんです。ところが中国は、国のぜんぶで1つの時刻(東経120度に合わせた時刻)を使っています。

中国の西のはし・カシュガル(東経 約76度) 中国の時計は 東経120度に 合わせてある 120 - 76 = 44度 44 × 4 = 176分 = 2時間56分 → カシュガルの南中は 12時 + 2時間56分 = 午後3時ごろ 昼の12時に、太陽はまだ空の東がわにある。

同じ国のはしとはしで、時計と空が3時間近くずれているわけです。それでも1つにしてある理由は、日本が明石にそろえた理由とまったく同じです。国の中で時計がそろっていることのほうが、太陽に合っていることより役に立つ場面が多いからです。

もう2つ、計算どおりでない例をあげます。

国使っている時差計算だけからは出ないところ
インド世界の標準時より5時間30分進み15の倍数ではなく、30分きざみ(東経82.5度に合わせている)
ネパール同じく5時間45分進み45分きざみ。世界でもめずらしい
ヨーロッパの多くの国夏だけ1時間進める時計をずらす決まり(サマータイム)で、季節によって時差が変わる

とくにサマータイムは大事です。ヨーロッパと日本の時差は、夏と冬でちがいます。ロンドンとの差は冬は9時間ですが、夏は8時間になります。経度は変わっていないのに時差が変わるのは、それが計算ではなく、決まりごとだからです。

2種類のものを、区別しておく

時差の話には、性質のちがう2つのものが混ざっています。計算で出るもの(地球のまわり方から出る「15度で1時間」)と、人が決めたもの(どの経線に合わせるか、30分きざみにするか、夏だけずらすか)です。
計算で出る部分は世界中どこでも同じで、変えようがありません。決めた部分は、国が決め直せば変わります。時差の数字が計算と合わないときは、たいてい後者が理由です。

いちばん進んだ場所と、いちばん遅れた場所の間

東へ行くほど時刻が進むのなら、東へ進み続けたらどうなるでしょうか。1周すると、24時間ぶん進んでしまいます。同じ場所に戻ってきたのに1日ずれている、という変なことになります。

そこで、地球のどこか1か所に日付を1日もどす線を置くことになりました。これが日付変更線です。だいたい経度180度、太平洋のまん中を南北に走っています。

日付変更線を またぐと 西 → 東 へ こえる : 日付を 1日 もどす 東 → 西 へ こえる : 日付を 1日 すすめる 【日本 ─ ハワイ(世界の標準時より 10時間 おくれ)】 日本は 9時間すすみ、ハワイは 10時間おくれ 9 + 10 = 19時間 日本が 月曜の 正午 → ハワイは 日曜の 17時 (日付まで ちがう)

この線は、経度180度の上をまっすぐ走っているわけではありません。ぎざぎざに曲がっています。1つの国や1つの島が線で分断されると、同じ国の中で日付がちがうことになってしまうからです。だから線は国や島をよけて通ります。

ここでも同じ構造が出てきます。「24時間のどこかで日付を変えなければならない」のは計算から出てくること。「どこを通すか」は人が決めたこと。だから線は曲がっているのです。

つまずきやすいところ

よくあるかんちがいほんとうは
時差は国ごとに決められた、覚える数字経度の差を15でわれば出る。覚えなくても作り直せる
お昼の12時に太陽が真南に来る東経135度の町以外はずれる。しかも均時差でさらに動くので、どの町でもほとんどの日は合わない
日本は1つの時刻だから、空も同じ根室と与那国島で南中が約1時間30分ちがう
西にある国のほうが時刻が進んでいる逆。地球は西から東へまわるので、東のほうが先に朝になる
東経と西経の差も、引き算で出せる0度の線をまたぐときは足し算。日本とニューヨークは 135+75 = 210度
時差は1年じゅう同じサマータイムのある国とは、夏と冬でちがう

やってみよう

Q1 「お昼の12時に太陽が真南に来ていない」ことを、時計と運動場だけで確かめる方法を書いてください。

A 11時30分ごろから12時30分ごろまで、10分おきに自分の影の長さをはかって、印をつけていきます。影がいちばん短くなった時刻が、太陽が真南に来た時刻(南中)です。東京なら11時40分ごろ、福岡なら12時20分ごろにいちばん短くなり、12時ちょうどにはなりません。方位磁針があれば、12時に影が真北からずれていることでも確かめられます。

Q2 経度が1度ちがうと、時刻は何分ちがいますか。もとになる計算から書いてください。

A 地球は24時間で360度まわるので、360 ÷ 24 = 15。1時間で15度です。1時間は60分なので、60 ÷ 15 = 4。つまり経度1度=4分です。

Q3 東京は東経約139.7度です。東京の南中は12時より何分早いですか。

A 139.7 - 135 = 4.7度。1度が4分なので、4.7 × 4 = 18.8分、およそ19分です。東京は明石より東にあるので、南中は19分早く、11時41分ごろになります。

Q4 日本とニューヨークの時差は何時間ですか。日本が12月1日の正午のとき、ニューヨークは何月何日の何時ですか。

A 日本は東経135度、ニューヨークは西経75度に合わせてあります。0度の線をまたぐのでたします。135 + 75 = 210度。210 ÷ 15 = 14時間です。日本のほうが東にあって進んでいるので、14時間もどして11月30日の22時になります。日付まで変わることに注意してください。

Q5 中国は国ぜんぶで東経120度に合わせた1つの時刻を使っています。西のはしのカシュガル(東経約76度)では、太陽が真南に来るのは何時ごろですか。

A 120 - 76 = 44度。44 × 4 = 176分で、2時間56分です。カシュガルは時計の基準より西にあるので、南中は12時よりそのぶん遅くなり、午後3時ごろになります。昼の12時には、太陽はまだ空の東がわにあります。

Q6 日本とロンドンの時差は、冬は9時間なのに夏は8時間になります。経度は変わっていないのに、なぜ時差が変わるのですか。

A ロンドンが夏のあいだだけ時計を1時間進めているからです(サマータイム)。時差のうち「15度で1時間」の部分は地球のまわり方から出るので変わりませんが、どの時刻を使うかは国が決めているので、決め方が変われば時差も変わります。

Q1は「ずれているのは時計のほう」、Q2は道具の作り方、Q3は自分の町のずれ、Q4は外国との時差、Q5は国が決めたことのせいで生まれるずれ、Q6は計算では出ない決まりごとでした。ばらばらに見えますが、もとにあるのは「360÷24=15」という一行だけです。

まとめ

おうちの方へ

時差は6年生の社会「日本とつながりの深い国々」で必ず出てきますが、教科書の書き方はたいてい「日本とアメリカの時差は14時間」という結果の提示にとどまります。そのため、時差を暗記事項だと思ったまま中学の地理に進む子が多くいます。実際には、必要なのは経度と「360÷24」だけで、5〜6年生の算数で完全に追えます。
ご家庭でしていただけると効果が大きいのは、晴れた日に、11時30分から12時30分まで10分おきに、お子さんの影の長さを地面に印していくことです。所要10分ほどで、12時ちょうどに最短にならないことが自分の目で分かります。このとき「時計が合っていないの?」と聞かれたら、それが理解のはじまりです。ずれているのは時計のほうで、しかもわざとそうしてある、と答えてあげてください。
もう1つ手ごたえが良いのは、地図帳でご自宅の経度を調べ、135との差に4をかけることです。自分の町のずれが「○分」という具体的な数で出るので、記事の内容が一気に自分のものになります。
なお本文では、均時差の日ごとの値を出す計算は扱っていません。地球の軌道の形と地軸のかたむきを同時にあつかう必要があり、小学校の算数では追えないためです。かわりに「最大15分ほどの別のずれがある」という事実と、東京の南中が収まる時刻の幅(11時25分ごろ〜11時55分ごろ)だけを示しました。実測が計算と合わないときに、測り方を疑って投げ出してしまわないためです。同じ理由から、標準時の刻み方の歴史的な経緯や、各国の細かい時刻の決まりも省いています。しくみの形を先に持っておくほうが、細かい数字を先に覚えるよりも、あとの学習につながりやすいと判断しました。