6年 社会 くらしと税・社会保障

くらしと税・社会保障 ── みんなで出し合い、みんなで支える

税金は取られるものではなく、みんなで出し合うお金です。

税金はどこにある?

身のまわりには、税金で作られたものがあふれています。

税金で成り立つもの ・学校(校舎、教科書、先生の給料) ・道路、橋、トンネル ・公園、図書館、体育館 ・警察、消防、救急 ・ごみ収集、上下水道 ・医療、介護、年金 ・防災、災害復旧

教科書が無償なのも、税金のおかげです。

小学生1人にかかる税金 1年間で約90万円 6年間で約540万円 → 教育を受ける権利を 社会が支えている

これだけの金額が、一人ひとりにかけられているのです。

もし税金がなかったら、どうなるでしょうか。

税金がないと 学校 → 全額自己負担 道路 → 通るたびにお金 救急車 → 有料 消防 → 契約した家だけ助ける → お金がある人だけが サービスを受けられる社会に

税金は、誰もが必要なサービスを受けられるようにするしくみなのです。

税の種類

税金には、いろいろな種類があります。

税の名前かかるもの納める人
所得税収入働いている人
消費税買い物買った人
法人税会社の利益会社
固定資産税土地や建物持ち主
自動車税自動車持ち主
相続税受けついだ財産受けついだ人

大きく2つに分けられます。

直接税 税を負担する人が そのまま納める → 所得税、法人税など 間接税 負担する人と納める人がちがう → 消費税 (負担するのは買った人、 納めるのは店)

そして、所得税と消費税には対照的な特徴があります。

所得税消費税
しくみ収入が多いほど税率が高い誰でも同じ税率
長所能力に応じた負担広く公平に集められる
短所働く意欲への影響も収入が少ない人ほど負担感が大きい

所得税は、収入が多い人ほど高い税率になります。これを累進課税といいます。

累進課税の考え方 余裕がある人が多く負担 ↓ 格差を小さくする効果

一方、消費税は誰でも同じ税率です。公平に見えますが、問題もあります。

消費税の問題 月収20万円の人が 食費5万円 → 消費税5000円 (収入の2.5%) 月収100万円の人が 食費10万円 → 消費税1万円 (収入の1%) → 収入が少ない人ほど 負担の割合が大きい → これを「逆進性」という

だから、食料品などには軽減税率が適用されています。

税金の使われ方

集めた税金は、予算として使い道が決められます。

予算が決まるまで 内閣が予算案を作る ↓ 国会で審議 ↓ 議決して決定 ↓ 実行 → 国民が選んだ議員が決める → 国民主権の表れ

国の予算の中身を見てみましょう。

使い道割合の目安内容
社会保障約3分の1年金、医療、介護、福祉
国債費約4分の1借金の返済と利子
地方交付税約6分の1地方自治体への配分
公共事業約6%道路、堤防など
教育・科学約5%学校、研究
防衛約6%自衛隊

いちばん多いのが社会保障です。そして、次に多いのが国債費です。

国債とは 国の借金 税収だけでは足りない ↓ 国債を発行して借りる ↓ 将来返す(利子つきで) → 今の借金は 将来の世代が返す

日本の国債残高は1000兆円を超えています。これは大きな課題です。

社会保障のしくみ

社会保障は、困ったときに支え合うしくみです。

種類内容
社会保険医療、年金、介護、雇用、労災
公的扶助生活保護
社会福祉高齢者、障がい者、児童への支援
公衆衛生感染症対策、予防接種、環境衛生

いちばん身近なのが医療保険です。

医療保険のしくみ みんなが保険料を出し合う ↓ 病気になった人の医療費に使う ↓ 窓口では1〜3割の負担で済む 例:医療費1万円かかっても 3割負担なら3000円

残りの7割は、みんなが出し合ったお金から支払われています。

なぜこのしくみが必要か 病気やけがは 誰にでも起こりうる ↓ 一人で全額負担すると 払えないことも ↓ みんなで少しずつ出し合えば 誰でも治療を受けられる → 「相互扶助」の考え方

年金も同じ考え方です。

年金のしくみ 働く世代が保険料を払う ↓ 高齢者に年金として支払われる → 今の高齢者を 今の現役世代が支える → 「世代間の支え合い」

これは賦課方式といって、貯金とはちがいます。

少子高齢化という課題

今、日本は大きな問題に直面しています。

少子高齢化 少子化 … 生まれる子どもが減る 高齢化 … 高齢者の割合が増える 日本の65歳以上の割合 1970年 … 約7% 2000年 … 約17% 現在 … 約29% → 世界でも最も高い水準

これが、社会保障を難しくしています。

支える人と支えられる人 1970年ごろ 高齢者1人を約10人で支える → 「胴上げ型」 現在 高齢者1人を約2人で支える → 「騎馬戦型」 将来 高齢者1人を約1.3人で支える → 「肩車型」

支える側が減り、支えられる側が増える。このままでは制度が続きません

考えられる対応 ① 保険料や税を上げる → 現役世代の負担増 ② 給付を減らす → 高齢者の生活が苦しくなる ③ 働く人を増やす → 高齢者の就労、女性の活躍 → 外国人労働者 ④ 効率化・技術活用 → 医療や介護にAI・ロボット → どれも簡単ではない

正解のない問題です。だからこそ、みんなで考える必要があります。

自分ごととして考える

少子高齢化は、今の小学生が大人になったときの問題です。
今の6年生が働き始めるころ、支える負担はさらに重くなっています。
だからこそ、他人事ではありません。

考えてみたいこと
・どんな社会にしたいか
・自分は何を負担できるか
・何を優先すべきか

答えは一つではありません。でも、考えることを避けてはいけない問題です。

税を考える

税金について、いろいろな意見があります。

対立する考え方 【高福祉・高負担】 税を高くして 手厚いサービスを 例:北欧の国々 【低福祉・低負担】 税を安くして サービスは最低限 自己責任を重視 → どちらがよいかは 価値観による

日本は、その中間くらいの位置にあります。

大切なのは、負担と給付はセットだということです。

当たり前の関係 サービスを増やす → 負担も増える 負担を減らす → サービスも減る → 「税は安く、サービスは手厚く」 は成り立たない

ただし、使い方の効率化という道もあります。同じお金でより多くのことができれば、負担を増やさずにサービスを維持できます。

そして、税の使われ方をチェックするのは国民の役割です。

国民ができること ・予算の内容を知る ・むだがないか見る ・選挙で意思を示す ・意見を伝える → 「取られている」ではなく 「出し合っている」意識

税は、社会を作るための会費のようなものです。何に使うかを決めるのは、わたしたち自身なのです。

つまずきやすいところ

その1 税金は取られるものだと思う

払いたくないお金だと考える。
学校も道路も救急車も、税金で成り立っています。出し合って支え合うしくみです。

その2 年金は自分の貯金だと思う

払った分が戻ってくると考える。
今の日本の年金は世代間の支え合いです。現役世代が高齢者を支えています。

その3 少子高齢化を他人事だと思う

大人の問題だと考える。
今の小学生が直面する問題です。将来の負担に直結します。

やってみよう

Q1 税金で成り立っているものを3つ言いましょう。

A 学校・道路・消防など。公園、図書館、医療も税金が支えています。

Q2 国の予算でいちばん多い使い道は?

A 社会保障で約3分の1です。年金・医療・介護などに使われます。

Q3 医療保険で、窓口負担が少ないのはなぜですか。

A 残りはみんなが出し合った保険料から支払われるからです。

Q4 買い物のレシートで、消費税がいくらか確かめてみましょう。

A 商品によって税率がちがうこともあります(軽減税率)。理由も考えてみてください。

まとめ

おうちの方へ

税金は、子どもにとって実感しにくいテーマです。しかし、身近なものから入ると理解できます。
「この道路も学校も税金で作られている」という話から始めると、税の意味が見えてきます。
レシートの消費税を確かめる活動は、手軽で効果的です。「軽減税率って何?」という疑問から、税の公平性の議論にも触れられます。
少子高齢化は、今の子どもたちが直面する問題です。「あなたが大人になったら、何人で1人を支えるんだろう」という問いかけは、実感を持たせます。
「負担と給付はセット」という原則も、大人でも忘れがちです。この視点を持てると、選挙の公約を見る目も変わります。