6年
社会
政治の仕組み
政治の仕組み ── 力を3つに分ける、その理由
なぜわざわざ権力を分けるのでしょうか。理由を知ると、しくみが見えてきます。
三権分立
日本の政治は、3つの機関で成り立っています。
| 機関 | 権力 | 仕事 |
| 国会 | 立法権 | 法律を作る |
| 内閣 | 行政権 | 法律にもとづいて政治を行う |
| 裁判所 | 司法権 | 争いを裁く、法を適用する |
この分け方を三権分立といいます。
なぜ分けるのでしょうか。理由ははっきりしています。
もし1つの機関が
すべてを持っていたら
自分に都合のよい法律を作る
↓
それを自分で実行する
↓
反対する人を自分で裁く
→ 権力の暴走を止められない
だから、3つに分けて互いに監視させるのです。
互いのチェック
国会 → 内閣
内閣不信任決議ができる
内閣 → 国会
衆議院を解散できる
裁判所 → 国会
法律が憲法違反か判断できる
裁判所 → 内閣
行政の行為が違憲か判断できる
国会 → 裁判所
裁判官を辞めさせる裁判ができる
国民 → 裁判所
最高裁判官の国民審査
すべての方向にチェックが働いています。
そして、国民がすべての中心にいます。
国民の関わり
国会 → 選挙で議員を選ぶ
内閣 → 世論で影響を与える
裁判所 → 国民審査、裁判員制度
→ 国民主権の実現
国会のはたらき
国会は「国権の最高機関」であり、「唯一の立法機関」です。
国会の主な仕事
・法律を作る
・予算を決める
・内閣総理大臣を指名する
・条約を承認する
・憲法改正を発議する
・内閣を監視する
日本の国会は二院制です。
| 衆議院 | 参議院 |
| 任期 | 4年 | 6年 |
| 解散 | あり | なし |
| 被選挙権 | 25歳以上 | 30歳以上 |
| 特徴 | 国民の意見を反映しやすい | じっくり審議できる |
なぜ2つあるのでしょうか。
二院制の理由
・慎重に議論できる
・一方の行きすぎを止められる
・ちがう視点で検討できる
→ 「二度考える」しくみ
ただし、意見が分かれると決まらなくなります。そこで衆議院の優越が定められています。
衆議院が優先される場合
・予算
・条約の承認
・内閣総理大臣の指名
・法律案(3分の2で再可決)
理由:任期が短く解散もあるので
より国民の意見を
反映していると考えられる
内閣のはたらき
内閣は、実際に政治を進める機関です。
内閣の構成
内閣総理大臣(首相)
+
国務大臣たち
→ 各省庁を担当する
(財務省、文部科学省、
厚生労働省など)
内閣総理大臣は、国会が指名します。
総理大臣が決まるまで
国民が選挙で議員を選ぶ
↓
国会議員の中から
国会が総理大臣を指名
↓
天皇が任命
→ 国民が直接選ぶわけではない
これを議院内閣制といいます。
議院内閣制の特徴
内閣は国会の信任にもとづく
↓
国会が「信任できない」と
決議したら(内閣不信任決議)
↓
内閣は総辞職するか
衆議院を解散する
→ 国会と内閣が
密接につながっている
アメリカのように大統領を直接選ぶ国とは、しくみがちがいます。
裁判所のはたらき
裁判所は、争いごとを法にもとづいて解決します。
裁判の種類
【民事裁判】
人と人(会社)の争い
お金、契約、土地など
【刑事裁判】
罪を犯したかどうか
検察官が起訴する
【行政裁判】
国や自治体の行為をめぐる争い
裁判には、三審制という仕組みがあります。
三審制
地方裁判所(第一審)
↓ 控訴
高等裁判所(第二審)
↓ 上告
最高裁判所(第三審)
→ 3回まで裁判を受けられる
→ まちがいを防ぐため
人が裁くので、まちがいが起こりえます。だから、やり直せるようにしてあるのです。
そして、裁判所には特別な役割があります。
違憲審査権
法律や行政の行為が
憲法に違反していないか
判断できる
→ 最高裁判所は
「憲法の番人」と呼ばれる
国民も裁判に関わります。
裁判員制度
国民から選ばれた裁判員が
重大な刑事裁判に参加する
↓
裁判官と一緒に
有罪か無罪か、刑罰を決める
目的
・国民の感覚を反映する
・裁判を身近にする
選挙のしくみ
国民が政治に参加する、いちばん基本の方法が選挙です。
選挙の四原則
① 普通選挙
一定年齢以上の全員に選挙権
② 平等選挙
一人一票、価値は同じ
③ 直接選挙
有権者が直接投票する
④ 秘密選挙
誰に投票したか知られない
この4つは、長い歴史の中で獲得されてきました。
選挙権の歴史
1889年 … 直接国税15円以上を納める
25歳以上の男子のみ
(全人口の約1%)
↓
1925年 … 25歳以上の男子全員
(普通選挙法)
↓
1945年 … 20歳以上の男女全員
(女性にも選挙権)
↓
2016年 … 18歳以上に引き下げ
今では当たり前の選挙権も、かつては一部の人だけのものでした。
投票率の低下
近年、投票率が下がっていることが問題になっています。
とくに若い世代の投票率が低い傾向があります。
投票率が低いと
・特定の人たちの意見だけが反映される
・若い世代の声が届きにくい
・「どうせ変わらない」という空気が広がる
「一票では変わらない」と思うかもしれません。しかし、その一票が集まって結果を作ります。
選挙権が得られるのは18歳から。それまでに、政治を考える習慣をつけておくことが大切です。
身近な政治
政治は、国だけのものではありません。地域にもあります。
地方自治
都道府県、市区町村が
それぞれ自分たちで
地域のことを決める
・知事、市長 … 選挙で選ぶ
・議会 … 選挙で選ぶ
・条例 … その地域のきまり
地方自治は「民主主義の学校」と呼ばれます。
なぜそう呼ばれるか
身近な問題を
自分たちで決める経験
↓
民主主義を実感できる
↓
国の政治にも関心が持てる
そして、住民には直接請求権があります。
直接請求できること
・条例の制定、改正、廃止
・議会の解散
・首長や議員の解職(リコール)
・事務の監査
→ 一定数の署名を集めれば
住民が直接求められる
身近な例として、公共施設を考えてみましょう。
図書館ができるまで
住民の要望
↓
議会で議論
↓
予算を決める
↓
建設
↓
運営
→ 税金が使われている
→ だから住民の意見が大切
学校も、公園も、道路も、すべて政治の結果です。
つまずきやすいところ
その1 三権の役割を混同する
どれが何をするか分からなくなる。
国会は作る、内閣は行う、裁判所は裁く。この3つで整理します。
その2 総理大臣を国民が選ぶと思う
直接投票で決まると考える。
国会が指名します。国民は国会議員を選び、その議員が総理大臣を選びます。
その3 なぜ権力を分けるか分からない
面倒なだけだと感じる。
権力の暴走を防ぐためです。互いに監視し合うことで、国民の自由が守られます。
やってみよう
Q1 三権分立の3つの機関と役割を言いましょう。
A 国会が法律を作り、内閣が政治を行い、裁判所が裁く。互いに監視し合います。
Q2 なぜ権力を3つに分けるのですか。
A 権力の暴走を防ぐためです。1つに集中すると、止める手段がなくなります。
Q3 内閣総理大臣はどうやって決まりますか。
A 国会が国会議員の中から指名し、天皇が任命します。
Q4 自分の市区町村の課題を1つ挙げ、どうすればよいか考えてみましょう。
A 住民の声が政治を動かします。実際に自治体のホームページで取り組みを調べてみてください。
まとめ
- 三権分立は権力の暴走を防ぐしくみ。
- 国会が法律を作り、内閣が行い、裁判所が裁く。
- 総理大臣は国会が指名する(議院内閣制)。
- 選挙権は歴史の中で獲得されてきた。
- 地方自治は民主主義の学校。
おうちの方へ
政治のしくみは、用語が多く覚えにくい単元です。しかし、「なぜそうなっているか」から入ると理解しやすくなります。
とくに三権分立は、「権力が1つに集中したらどうなるか」を考えさせると、必要性が実感できます。
選挙のときは、生きた教材になります。選挙公報を一緒に見る、投票所に連れて行く。「大人になったら投票するんだ」という意識が育ちます。
身近な公共施設の話も有効です。「この公園は誰が作ったの?」「お金はどこから?」という問いから、税金と政治のつながりが見えてきます。
18歳で選挙権を得るまで、あと数年です。それまでに、政治を自分ごととして考える習慣をつけておくことが大切です。