6年 社会 日本国憲法

日本国憲法 ── 国のいちばん大切な約束ごと

6年生の社会は、ここから始まります。すべての法律の土台です。

憲法とは何か

日本には、たくさんの法律があります。その一番上にあるのが憲法です。

法の順位 憲法(最高法規) ↓ 法律 ↓ 政令・省令 ↓ 条例 → 下のものは 上に反してはいけない

憲法に反する法律は、効力を持ちません。これを「憲法は最高法規である」といいます。

そして、憲法にはふつうの法律とちがう性質があります。

法律と憲法のちがい 法律 国民が守るルール (国が国民を縛る) 憲法 国が守るルール (国民が国を縛る) → 向きが逆

これが立憲主義という考え方です。

なぜ国を縛るのか 歴史上、権力を持った者が 国民の自由を奪ってきた ↓ だから、権力に 「してはいけないこと」を 決めておく ↓ それが憲法

憲法は、国民を守るためのものなのです。

三つの原則

日本国憲法には、3つの柱があります。

日本国憲法の三原則 ① 国民主権 ② 基本的人権の尊重 ③ 平和主義

それぞれ見ていきましょう。

① 国民主権

主権 = 国の政治のあり方を 最終的に決める力 この力を持つのは 国民 → 政治は国民のためにあり 国民が決める

これは、以前とは大きくちがう点です。

大日本帝国憲法(明治憲法) 主権は天皇にあった 日本国憲法 主権は国民にある 天皇は「日本国の象徴」 → 根本的な転換

国民主権は、選挙という形で実現されます。

② 基本的人権の尊重

基本的人権 人が生まれながらに持っている おかされない権利 ・自由に考え、話す権利 ・教育を受ける権利 ・働く権利 ・健康で文化的な生活を送る権利 ・差別されない権利

ここで重要なのは、「生まれながらに持っている」という点です。

誰かに与えられたものではない 国が与えたのではない → だから国が奪えない 努力して得たのでもない → だから誰にでもある → 生まれた瞬間から持っている

この考え方は、長い歴史の中で勝ち取られてきたものです。

③ 平和主義

憲法第9条 ・戦争を放棄する ・戦力を持たない ・国の交戦権を認めない → 二度と戦争をしないという決意

これは、戦争の反省から生まれました。

第二次世界大戦で、日本は大きな被害を受け、また与えました。その経験から、戦争をしないと決めたのです。

なぜこの憲法ができたか

日本国憲法は、1946年に公布、1947年に施行されました。

時代背景 1945年 第二次世界大戦が終わる ↓ 日本は連合国の占領下に ↓ 民主化のための改革 ↓ 1946年 日本国憲法 公布 1947年 施行

戦争の記憶が生々しい時期に作られました。

戦争で失われたもの ・多くの人の命 ・都市(空襲で焼失) ・家族、暮らし ・自由(言論、思想) → 二度とくり返さない → その決意が憲法に

とくに自由が奪われた経験は重要です。

戦争中の状況 ・政府に反対すると逮捕された ・新聞やラジオは統制された ・本や映画も検閲された ・「お国のために」が強制された → だから憲法は 自由を強く保障している

基本的人権が大切にされるのは、失った経験があるからなのです。

暮らしとのつながり

憲法は、遠い話ではありません。日常のあちこちにあります。

身近なこと関わる権利
学校に通える教育を受ける権利
好きな本を読める思想・表現の自由
どこに住んでもよい居住・移転の自由
働いてお金をもらう勤労の権利
病院で治療を受けられる生存権
信じるものを選べる信教の自由

当たり前だと思っていることが、実は憲法で保障されているのです。

そして、権利には義務も伴います。

国民の三大義務 ① 教育を受けさせる義務 (子どもに教育を受けさせる) ② 勤労の義務 ③ 納税の義務

①は、大人が子どもに対して負う義務です。子どもは「教育を受ける権利」を持ち、大人は「受けさせる義務」を負います。

権利には限界もある

基本的人権は大切ですが、無制限ではありません
「公共の福祉」に反する場合は、制限されることがあります。


・表現の自由はあるが、他人を傷つける表現は許されない
・移動の自由はあるが、他人の家に勝手に入れない
・営業の自由はあるが、危険なものは売れない

つまり、他人の権利を侵さない範囲で自由なのです。
「自分の権利を主張することは、他人の権利も認めること」。ここが理解の要です。

天皇の地位

日本国憲法で、天皇は「日本国の象徴」と定められています。

象徴とは 国のまとまりを表す存在 政治に関する権限は持たない ↓ 国事行為だけを行う

国事行為とは、憲法で決められた形式的な仕事です。

国事行為の例 ・内閣総理大臣を任命する (国会が指名した人を) ・法律を公布する ・国会を召集する ・外国の大使をもてなす → すべて内閣の助言と承認が必要 → 自分で決めるわけではない

明治憲法では天皇が主権者でしたが、日本国憲法では象徴という立場に変わりました。

これも、国民主権の表れです。

憲法を変えることはできるか

憲法も、変えることはできます。ただし、手続きが厳しく定められています。

憲法改正の手続き ① 国会で発議 衆議院・参議院それぞれで 総議員の3分の2以上の賛成 ② 国民投票 有効投票の過半数の賛成 ③ 天皇が公布 → 法律の改正より はるかに厳しい

なぜ厳しいのでしょうか。

理由 憲法は国の土台 ↓ 簡単に変えられると ↓ 時の権力者に都合よく 変えられてしまう ↓ だから厳しくしてある

そして、最終的に決めるのは国民です。国民投票があるのは、国民主権の表れです。

日本国憲法は、施行以来一度も改正されていません。世界的にも珍しいことです。

改正をめぐる議論 「時代に合わせて変えるべき」 「今のままでよい」 → いろいろな意見がある → 決めるのは国民

6年生の段階では、どちらが正しいかを決める必要はありません。「そういう議論がある」と知り、自分で考える土台を作ることが大切です。

つまずきやすいところ

その1 憲法と法律を混同する

どちらも「守るルール」だと考える。
法律は国民が守る、憲法は国が守るものです。向きが逆です。

その2 人権は与えられたものだと思う

国が認めてくれた権利だと考える。
誰かに与えられたのではなく、生まれた瞬間からそなわっているものです。だから国も奪えません。

その3 権利は無制限だと思う

何をしてもよいと考える。
自由が認められるのはまわりの人の自由をうばわない場合に限られます。主張する側にも、相手を認める責任があります。

やってみよう

Q1 日本国憲法の三原則を言いましょう。

A 国民主権・基本的人権の尊重・平和主義です。

Q2 憲法は誰が守るルールですか。

A 国(権力)が守るルールです。国民を守るためにあります。

Q3 憲法を変えるには何が必要ですか。

A 国会の発議(3分の2以上)と国民投票での過半数の賛成です。

Q4 自分の1日を振り返り、憲法で守られている権利を探してみましょう。

A 学校に行く、本を読む、好きなことを話す。当たり前のことが権利として保障されています。

まとめ

おうちの方へ

憲法は、6年生社会の中でも抽象度の高い内容です。しかし、暮らしと結びつけると理解しやすくなります。
「学校に行けるのは権利」「好きな本を読めるのも権利」といった具体例から入ると、身近に感じられます。
「憲法は国を縛るもの」という立憲主義の考え方は、大人でも誤解しがちです。ここを正確に伝えると、憲法の意味が見えてきます。
権利の限界についても話し合う価値があります。「自由だから何をしてもいい」ではなく、「他人の自由も認める」ことが前提です。これは学校生活でも役立つ考え方です。
憲法改正の議論については、6年生の段階では立場を決める必要はありません。「いろいろな意見がある」と知ることが第一歩です。