6年 算数 拡大図と縮図

拡大図と縮図 ── 測れないものの長さを、図で求める

木の高さも、川の幅も、登らずに、渡らずに求められます。

形が同じで大きさがちがう

5年生で学んだ合同は、形も大きさも同じ図形でした。

今度は、形は同じで大きさがちがう図形を扱います。

拡大図 … もとの図形を大きくしたもの 縮図 … もとの図形を小さくしたもの 2倍の拡大図 1/3の縮図 というように表す

大事なのは、「形が同じ」の意味です。

形が同じ = 次の2つが成り立つ ① 対応する辺の長さの比が すべて等しい ② 対応する角の大きさが すべて等しい

片方だけでは足りません。両方そろって初めて「形が同じ」といえます。

確認 正方形と長方形 → 角はすべて90°で同じ → でも辺の比がちがう → 形は同じではない 正三角形と二等辺三角形 → 辺の比がちがう場合がある → 形は同じとは限らない

ちなみに、この関係を中学では相似といいます。6年生では「拡大図・縮図」という言い方をします。

かき方

拡大図・縮図をかく方法は、いくつかあります。

方法1:辺の長さと角を測る

① もとの図形の辺の長さを測る ② 決められた倍率をかける ③ 角の大きさはそのまま ④ 作図する

5年生の作図の技術がそのまま使えます。

方法2:方眼を使う

方眼紙の上でかく もとの図形の頂点が 「右に3、上に2」なら 2倍の拡大図では 「右に6、上に4」 → マスを数えるだけ

いちばん簡単で正確な方法です。

方法3:1つの点を中心にのばす

●C /| / | / | ●───● O A ① 中心となる点Oを決める ② Oから各頂点へ直線をひく ③ その直線を2倍の長さにのばす ④ 新しい点を結ぶ

この方法は、中心をどこに取るかで図形の位置が変わりますが、形と大きさは同じになります。

図形の内部に中心を取ることも、頂点の1つを中心にすることもできます。

縮尺

地図でおなじみの縮尺は、縮図の考え方そのものです。

縮尺の表し方 1 : 25000 1/25000 25000分の1 → 実際の25000分の1に 縮めてかいてある

縮尺が分かれば、地図上の長さから実際の長さが計算できます。

縮尺 1/25000 の地図で 2cm の距離は? 実際の長さ = 2 × 25000 = 50000 cm = 500 m = 0.5 km

ポイントは単位の換算です。cmで計算してから、mやkmに直します。

単位換算の確認 100 cm = 1 m 100000 cm = 1 km 1000 m = 1 km

逆に、実際の長さから地図上の長さも求められます。

縮尺 1/50000 の地図で 実際に3kmの距離は 地図上で何cm? 3 km = 300000 cm 300000 ÷ 50000 = 6 cm
縮尺と面積の関係に注意

縮尺が1/1000のとき、長さは1000分の1です。
では、面積はどうでしょうか。
1000分の1ではありません。たてもよこも1000分の1になるので、面積は1000×1000=100万分の1です。
4年生の面積の単位換算、6年生の円の面積でも出てきた「長さが□倍なら面積は□×□倍」という関係です。
地図の面積から実際の面積を求める問題では、ここを間違えやすいので注意しましょう。

測れないものを測る

この単元でいちばん面白いのが、縮図を使った測量です。

木の高さを求める /| / | / | 木の高さ / | /30° | ●──────┘ 10m ① 木から10m離れて立つ ② 木のてっぺんを見上げる角度を測る (分度器や簡易測角器で) ③ 縮図をかく

縮図のかき方は、こうです。

縮尺 1/200 でかく 10m = 1000cm 1000 ÷ 200 = 5cm ① 5cmの直線をひく ② 片方の端から30°の線をひく ③ もう片方から垂直な線をひく ④ 交点までの高さを測る もし2.9cmなら 2.9 × 200 = 580cm = 5.8m ⑤ 目の高さ(約1.4m)を足す → 木の高さは約7.2m

木に登らずに高さが分かりました

⑤の「目の高さを足す」を忘れがちです。測ったのは目の高さから上の部分だからです。

同じ方法で、いろいろなものが測れます。

測れるもの ・建物の高さ ・川の幅(渡らずに) ・池の対岸までの距離 ・山の高さ

これは測量という技術です。昔から地図作りや土木工事で使われてきました。

江戸時代、伊能忠敬は日本全国を歩いて測量し、驚くほど正確な日本地図を作りました。使ったのは、この単元で学ぶ原理です。

身のまわりの拡大・縮小

拡大・縮小は、生活のあちこちで使われています。

もの使われ方
地図実際の土地の縮図
設計図建物や機械の縮図
プラモデル1/144、1/72などの縮尺
コピー機拡大・縮小コピー
写真プリントサイズの変更
顕微鏡・望遠鏡拡大して見る
スマホの地図アプリ拡大・縮小が自由

とくにコピー機の倍率は、拡大図・縮図そのものです。

よく使う倍率 A4 → A3: 141% A3 → A4: 71% なぜこの数字? → 紙の比が 1 : 1.41 だから → 面積は2倍・半分になる

141%という中途半端な数字にも、ちゃんと理由があるのです。

写真を引きのばすときも、比を保つことが大切です。

比を保たないと… たてだけ2倍にすると → 人がやせて見える よこだけ2倍にすると → 人が太って見える → 形がゆがむ

「形が同じ」を保つには、すべての方向を同じ倍率にする必要があるのです。

影を使った測り方

縮図のほかにも、拡大・縮小の考え方を使った測量方法があります。影を使う方法です。

同じ時刻の影を比べる 1mの棒の影 … 1.5m 木の影 … 9m 棒と影、木と影は 同じ形の三角形になる (太陽の光が平行だから) 1 : 1.5 = x : 9 x = 9 × 1/1.5 = 6m → 木の高さは6m

この方法のよいところは、分度器も計算も少なくて済むことです。必要なのは巻き尺だけです。

ただし、条件があります。

条件 ・晴れていて影がはっきり出る ・同じ時刻に測る (時刻がちがうと角度が変わる) ・平らな地面で測る

古代エジプトでは、この方法でピラミッドの高さを測ったと伝えられています。約2500年前の話です。

紀元前の人々も、今の6年生と同じ原理を使っていたのです。

算数の知識は、時代を超えて通用します。それは、数学が自然の中にある関係を扱っているからです。

つまずきやすいところ

その1 角も大きくなると思う

2倍の拡大図で角も2倍にする。
角の大きさはそのままです。倍率がかかるのは長さの部分だけになります。

その2 縮尺の単位換算をまちがえる

cmとmとkmが混ざって混乱する。
まずcmでそろえて計算し、最後に単位を直します。

その3 測量で目の高さを足し忘れる

縮図から求めた値をそのまま答える。
測ったのは目の高さから上です。自分の目の高さを足します。

やってみよう

Q1 「形が同じ」の条件を2つ言いましょう。

A 対応する辺の比がすべて等しいことと対応する角がすべて等しいことです。

Q2 拡大図では、角の大きさはどうなりますか。

A 変わりません。変わるのは辺の長さだけです。

Q3 縮尺1/25000の地図で4cmは、実際は何km?

A 4×25000=100000cm=1kmです。

Q4 縮図を使って、木や建物の高さを測ってみましょう。

A 分度器と巻き尺があればできます。目の高さを足すのを忘れずに。

まとめ

おうちの方へ

この単元の醍醐味は、実際に測ってみることにあります。分度器と巻き尺があれば、家の前の電柱や近所の建物の高さが測れます。
「登らずに高さが分かる」という体験は、算数の力を実感する絶好の機会です。ぜひ一緒にやってみてください。
地図の縮尺も、身近な教材です。地図アプリで距離を測る機能を使い、実際に歩いてみると、縮尺の意味が体で分かります。
コピー機の141%という倍率の理由(紙の比が1:1.41)は、興味を引く話題です。A4を2枚並べるとA3になることも、実際に試すと納得できます。
伊能忠敬の話は、社会科の歴史ともつながります。歩いて測って正確な地図を作った偉業は、算数の実用性を示す好例です。