木の高さも、川の幅も、登らずに、渡らずに求められます。
5年生で学んだ合同は、形も大きさも同じ図形でした。
今度は、形は同じで大きさがちがう図形を扱います。
大事なのは、「形が同じ」の意味です。
片方だけでは足りません。両方そろって初めて「形が同じ」といえます。
ちなみに、この関係を中学では相似といいます。6年生では「拡大図・縮図」という言い方をします。
拡大図・縮図をかく方法は、いくつかあります。
5年生の作図の技術がそのまま使えます。
いちばん簡単で正確な方法です。
この方法は、中心をどこに取るかで図形の位置が変わりますが、形と大きさは同じになります。
図形の内部に中心を取ることも、頂点の1つを中心にすることもできます。
地図でおなじみの縮尺は、縮図の考え方そのものです。
縮尺が分かれば、地図上の長さから実際の長さが計算できます。
ポイントは単位の換算です。cmで計算してから、mやkmに直します。
逆に、実際の長さから地図上の長さも求められます。
縮尺が1/1000のとき、長さは1000分の1です。
では、面積はどうでしょうか。
1000分の1ではありません。たてもよこも1000分の1になるので、面積は1000×1000=100万分の1です。
4年生の面積の単位換算、6年生の円の面積でも出てきた「長さが□倍なら面積は□×□倍」という関係です。
地図の面積から実際の面積を求める問題では、ここを間違えやすいので注意しましょう。
この単元でいちばん面白いのが、縮図を使った測量です。
縮図のかき方は、こうです。
木に登らずに高さが分かりました。
⑤の「目の高さを足す」を忘れがちです。測ったのは目の高さから上の部分だからです。
同じ方法で、いろいろなものが測れます。
これは測量という技術です。昔から地図作りや土木工事で使われてきました。
江戸時代、伊能忠敬は日本全国を歩いて測量し、驚くほど正確な日本地図を作りました。使ったのは、この単元で学ぶ原理です。
拡大・縮小は、生活のあちこちで使われています。
| もの | 使われ方 |
|---|---|
| 地図 | 実際の土地の縮図 |
| 設計図 | 建物や機械の縮図 |
| プラモデル | 1/144、1/72などの縮尺 |
| コピー機 | 拡大・縮小コピー |
| 写真 | プリントサイズの変更 |
| 顕微鏡・望遠鏡 | 拡大して見る |
| スマホの地図アプリ | 拡大・縮小が自由 |
とくにコピー機の倍率は、拡大図・縮図そのものです。
141%という中途半端な数字にも、ちゃんと理由があるのです。
写真を引きのばすときも、比を保つことが大切です。
「形が同じ」を保つには、すべての方向を同じ倍率にする必要があるのです。
縮図のほかにも、拡大・縮小の考え方を使った測量方法があります。影を使う方法です。
この方法のよいところは、分度器も計算も少なくて済むことです。必要なのは巻き尺だけです。
ただし、条件があります。
古代エジプトでは、この方法でピラミッドの高さを測ったと伝えられています。約2500年前の話です。
紀元前の人々も、今の6年生と同じ原理を使っていたのです。
算数の知識は、時代を超えて通用します。それは、数学が自然の中にある関係を扱っているからです。
2倍の拡大図で角も2倍にする。
角の大きさはそのままです。倍率がかかるのは長さの部分だけになります。
cmとmとkmが混ざって混乱する。
まずcmでそろえて計算し、最後に単位を直します。
縮図から求めた値をそのまま答える。
測ったのは目の高さから上です。自分の目の高さを足します。
Q1 「形が同じ」の条件を2つ言いましょう。
A 対応する辺の比がすべて等しいことと対応する角がすべて等しいことです。
Q2 拡大図では、角の大きさはどうなりますか。
A 変わりません。変わるのは辺の長さだけです。
Q3 縮尺1/25000の地図で4cmは、実際は何km?
A 4×25000=100000cm=1kmです。
Q4 縮図を使って、木や建物の高さを測ってみましょう。
A 分度器と巻き尺があればできます。目の高さを足すのを忘れずに。
この単元の醍醐味は、実際に測ってみることにあります。分度器と巻き尺があれば、家の前の電柱や近所の建物の高さが測れます。
「登らずに高さが分かる」という体験は、算数の力を実感する絶好の機会です。ぜひ一緒にやってみてください。
地図の縮尺も、身近な教材です。地図アプリで距離を測る機能を使い、実際に歩いてみると、縮尺の意味が体で分かります。
コピー機の141%という倍率の理由(紙の比が1:1.41)は、興味を引く話題です。A4を2枚並べるとA3になることも、実際に試すと納得できます。
伊能忠敬の話は、社会科の歴史ともつながります。歩いて測って正確な地図を作った偉業は、算数の実用性を示す好例です。