3%の食塩水200gと、8%の食塩水300gを混ぜます。できた食塩水の濃さは何%でしょうか。「3と8の真ん中だから5.5%」と答えた人は多いはずです。でもそれはまちがいです。正しい答えは6%。3と8のちょうど真ん中(5.5)より、8に近い6のほうに答えが寄っています。濃さは「食塩の重さ÷全体の重さ」というわり算の答えなので、わり算の答えどうしをそのままたして2でわっても、正しい答えには戻りません。ここでは、どこでまちがえるのか、正しくはどう計算するのか、そして濃さが分かっているときに混ぜる重さを逆算する方法までを、6年の比の利用として確かめます。
濃さ(濃度)は、食塩水全体の重さのうち、食塩がどれだけの割合をしめているかを表す数です。
たとえば3%の食塩水200gには、食塩が 200 × 0.03 = 6(g) 入っています。残りの194gは水です。濃さは「食塩そのものの重さ」ではなく、全体に対する食塩の割合であることを、ここで必ず確認しておきます。この先の計算は、すべてこの1行の式に戻って考えれば迷いません。
最初の問題をもう一度見ます。3%の食塩水200gと8%の食塩水300gを混ぜます。濃さだけを見て平均を取ると、こうなります。
この計算のどこがおかしいのか。重さを一度も使っていないのがおかしいところです。200gと300gでは量がちがうのに、5.5%という答えには「200」も「300」も出てきません。混ぜる量をどう変えても同じ答えになってしまう式は、量がちがう食塩水を混ぜる問題には使えません。
濃さは割合なので、濃さのままたし算しても意味を持ちません。先に食塩の重さ(g)という「ふつうの量」に戻してから、たし算します。
答えは6%です。5.5%という平均の答えより、濃いほうの8%に近づきました。これは量の多い300g(8%)の影響が、量の少ない200g(3%)より大きく出るのが自然だからです。濃さをたすのではなく、食塩の重さをたす。この順番を守れば、量がちがっても正しい答えに届きます。
では、さっきの「平均」の考え方がいつも間違いというわけではありません。混ぜる量が同じときだけ、単純な平均で正しい答えが出ます。2%の食塩水200gと、10%の食塩水200gを混ぜてみます。
同じ6%という答えが出ました。量が同じ200gどうしだから、食塩の重さで計算しても、濃さをそのまま平均しても結果が変わらなかったのです。つまり「平均ではダメ」なのではなく、量が同じという特別な場合にだけ、平均のやり方でも正しい答えになるのが本当のところです。量がちがえば、このショートカットは使えません。
最初の問題(200g・3%と300g・8%を混ぜて6%)を、重さの比の目で見直します。3%と6%の差は3、8%と6%の差は2です。
差の比は「3:2」、量の比は「200:300=2:3」で、ちょうど逆になって対応しています。これは天びん(てんびん)と同じ仕組みです。支点(6%の位置)から遠いほう(3%、差3)には軽いほうの量(200g)が乗り、支点に近いほう(8%、差2)には重いほうの量(300g)が乗って釣り合う。つまずく子が多いのは、「量が多いほうが、濃さの差は小さくなる」という向きの対応を覚えずに、量と差を同じ向きで比べてしまうことです。
この「差の比=量の逆比」の関係を使うと、混ぜたあとの濃さが先に分かっている問題を、わり算をくり返さずに解けます。4%の食塩水300gに、10%の食塩水を何gまぜると、6%になるでしょうか。
答えは150gです。確かめに、食塩の重さで計算し直します。
ぴったり6%になりました。比の関係を知っていれば、「◯%になるまで少しずつ混ぜてたしかめる」という遠回りをせずに、量をひと息で求められます。これが6年で比を「利用」する場面です。
食塩水に水だけを加える問題も、実は同じ仕組みで考えられます。水は食塩を含まないので、濃さ0%の食塩水とみなせます。6%の食塩水400gに、水100gを加えるとどうなるでしょうか。
水を加えても食塩そのものの重さは増えません。増えるのは全体の重さだけなので、濃さはかならず下がる方向に動きます。「水を混ぜる」問題を特別に感じてしまう子は多いですが、「0%の食塩水を混ぜている」と言いかえれば、これまでと同じ1本の式で処理できます。
その1。濃さをそのまま平均する。「(3+8)÷2=5.5%」のように、量を見ずに濃さだけを平均してしまうまちがいです。量が同じときだけ、たまたま正しい答えと一致します。量がちがう問題では、必ず食塩の重さに戻してから計算します。
その2。食塩の重さを先に出さずに、全体の重さだけたす。「200+300=500(g)」を先に出すのは正しいのですが、そこで安心して「濃さも3+8を使えばいい」と考えてしまうと、その1と同じまちがいに戻ってしまいます。全体の重さと食塩の重さは、別々に計算してから最後にわり算で結びつけます。
その3。比の向きを逆にする。「量が多いほうの濃さとの差が大きくなる」と覚えてしまう子がいますが、正しくは反対です。量が多いほうほど、できあがった濃さをその量の側に強く引き寄せるので、差は小さくなります。天びんで、重いおもりのほうが支点に近づくのと同じ向きだと覚えると混同しにくくなります。
Q1 5%の食塩水100gと、15%の食塩水300gを混ぜます。何%になりますか。
A 食塩の重さは 100×0.05=5(g)、300×0.15=45(g)。合計50gを全体400gでわって 50÷400=0.125 → 12.5%。量の多い300g(15%)に近い値になります。
Q2 6%の食塩水400gに水100gを加えると、何%になりますか。
A 食塩の重さは変わらず 400×0.06=24(g)。全体は500gになるので 24÷500=0.048 → 4.8%。水は0%の食塩水とみなして計算できます。
Q3 3%の食塩水600gに、ある食塩水200gを混ぜたら、全体が5%になりました。混ぜた食塩水は何%でしたか。
A できあがり800gの食塩は 800×0.05=40(g)。600g分の食塩は 600×0.03=18(g)なので、残り 40-18=22(g)が200gの中の食塩。22÷200=0.11 → 11%です。
Q4 9%の食塩水と4%の食塩水を混ぜて、6%の食塩水を300gつくります。それぞれ何gずつ必要ですか。
A 差は 9-6=3 と 6-4=2。量の比(4%の量:9%の量)は差を入れかえて3:2。300gを3:2に分けると、1あたり60gで 4%は180g、9%は120g。確かめ:180×0.04+120×0.09=7.2+10.8=18(g)、18÷300=0.06で6%と一致します。
食塩水の濃度を混ぜ合わせる問題は、小学校の教科書に正式な単元としては載っていませんが、6年で習う「比の利用」の代表的な応用として、多くの塾教材で扱われます。つまずきの本質は計算力ではなく、「濃さは割合であり、割合どうしを直接たしてはいけない」という比例・割合の感覚にあります。この感覚は5年の割合、6年の比と地続きなので、本記事でうまくいかない場合は、まず5年の割合の記事に戻って「もとにする量」の考え方を確認すると効果的です。
ご家庭で試すなら、計量カップと食塩を使って実際に2種類の濃さの食塩水を作り、混ぜる前に「何%になると思う?」と予想させてから、重さを量って計算させる、という手順がおすすめです。予想が平均(5.5%)に寄りがちなところを、実際の計算(6%)と比べることで、「濃さは単純にたせない」という実感が強く残ります。