6年 算数 文字と式

文字と式 ── □がxに変わるだけ。でも世界が広がる

これまで□や○を使っていた場所に、x や a を使います。中学数学への入り口です。

□からxへ

3年生から、分からない数を□で表してきました。

これまで □ + 5 = 12 3 × □ = 24 6年生から x + 5 = 12 3 × x = 24

やっていることは同じです。記号が変わっただけ

では、なぜ文字を使うのでしょうか。理由は3つあります。

① いくつも使える □と○では2つまで x, y, a, b, c … なら いくつでも区別できる ② 何を表すか分かりやすい 重さ → weight の w 長さ → length の l 時間 → time の t ③ 世界共通 どの国でも同じ記号 → 数学は世界の共通語

とくにが大きな理由です。日本語が読めなくても、数式なら世界中の人が理解できます。

文字を使った式の書き方

文字を使うときには、決まったルールがあります。

かけ算の記号は省く x × 3 → 3 × x → 3x a × b → ab ※ 数を前に書く ※ ×を書かない

なぜ省くのでしょうか。×とxが紛らわしいからです。それに、書く量も減ります。

その他のルール 1をかけるときは省く 1 × x → x わり算は分数の形で書く x ÷ 3 → x/3 同じ文字のかけ算はまとめる x × x → x²(中学で学ぶ)

ただし、小学校では×を書いてもかまいません。中学に進むと省略が標準になります。

まずは意味を理解することが大切です。書き方は後からついてきます。

関係を式で表す

文字の力が発揮されるのは、数量の関係を表すときです。

例1:1個80円のパンをx個買う 代金 = 80 × x = 80x(円) → 何個買っても、この式で表せる
例2:底辺x cm、高さ5cmの三角形 面積 = x × 5 ÷ 2 = 5x/2(cm²)
例3:1000円で、a円の品物を買う おつり = 1000 - a(円)

ここが重要です。1つの式で、すべての場合を表せるのです。

80 × 1 = 80 80 × 2 = 160 80 × 3 = 240 … ↓ すべてまとめて 80 × x → 無限の場合を1行で

これを一般化といいます。個別の計算から、共通する形を取り出すのです。

4年生の「変わり方」で表から式を作りましたが、あれと同じことです。□と○がxとyに変わっただけで、考え方は変わりません。

式に数を当てはめる

文字の式ができたら、具体的な数を入れて計算できます。

式: 80x x = 3 のとき 80 × 3 = 240(円) x = 7 のとき 80 × 7 = 560(円) x = 12 のとき 80 × 12 = 960(円)

このように求めた値を式の値といいます。

逆に、答えから元の数を求めることもできます。

80x = 400 のとき、xは? x = 400 ÷ 80 = 5 → パンを5個買った

これは方程式を解くということです。中学で本格的に学びますが、考え方はもう身についています。

3年生の「□を使った式」で、逆算する練習をしてきました。その延長線上にあるのです。

図に表すと分かりやすい

文字の式が難しく感じたら、線分図をかいてみましょう。

1000円 ├────────────────┤
品物a円 ├──────┤
おつり ├────────┤

図にすると、「1000 - a」が自然に見えてきます。
文字が入ると急に難しく感じますが、やっていることは今まで通りです。図をかけば、それが確かめられます。

公式を文字で表す

これまで学んだ公式も、文字で書けるようになります。

公式言葉文字式
長方形の面積たて × よこa × b
三角形の面積底辺 × 高さ ÷ 2a × h ÷ 2
円の円周直径 × 3.14d × 3.14
道のり速さ × 時間v × t
平均合計 ÷ 個数s ÷ n

文字にすると、短く正確に書けます。

そして、文字を使うときまりを証明することもできます。

「奇数と奇数を足すと偶数になる」 を確かめる 具体例 1 + 3 = 4 ○ 5 + 7 = 12 ○ 9 + 11 = 20 ○ → でも「いつでも」と言えるか?

いくつ例を挙げても、「すべての場合」の証明にはなりません。文字を使うと、これが解決します。

奇数は「偶数 + 1」の形 奇数 = 2a + 1 もう一つの奇数 = 2b + 1 足すと (2a+1) + (2b+1) = 2a + 2b + 2 = 2(a+b+1) → 2 × 何か の形 → 必ず偶数

これですべての場合が証明できました。文字の本当の力は、ここにあります。

この計算は中学の内容ですが、「文字を使えば一般的なことが言える」という感覚は、6年生で持っておく価値があります。

中学への橋わたし

この単元は、算数から数学への入り口です。

算数と数学のちがい 算数 具体的な数を計算する 答えを出すことが中心 数学 一般的な関係を扱う なぜそうなるかを考える

文字を使えるようになると、個別の答えではなく、しくみそのものを扱えるようになります。

中学ではこう発展します。

中学1年 ・正負の数 ・文字式の計算 ・一次方程式 中学2年 ・連立方程式 ・一次関数 中学3年 ・展開と因数分解 ・二次方程式

すべて、この単元が出発点です。

だから、ここでつまずかないことが大切です。難しく考えず、「□がxになっただけ」と受け止めてください。

文字の式を読み取る

式を作るだけでなく、式が何を表しているか読み取る力も大切です。

式: 150 × x + 200 この式は何を表しているか? 考えられる場面 ・150円の品物をx個と、 200円の品物を1個買った代金 ・1人150円ずつ集めて、 さらに200円足した金額 ・毎日150ページ読んで、 最初に200ページ読んでいた合計

1つの式が、いろいろな場面を表せるのです。

これは文字式の強みでもあります。構造が同じなら、同じ式で表せる。だから、算数で学んだことが理科や社会でも使えるのです。

逆に、式のちがいに注目する練習も有効です。

この2つはちがう式 (x + 3) × 5 → 3を足してから5倍 x + 3 × 5 → 5倍してから足す → ( ) の有無で意味が変わる

4年生の「計算のきまり」で学んだ( )の役割が、ここでも生きています。

そして、単位にも注意しましょう。

x を「時間」とするか「分」とするかで 式が変わる 「1時間に4km進む。x時間では?」 → 4x(km) 「1時間に4km進む。x分では?」 → 4 × x/60(km) → 何を表す文字かを はっきりさせておく

式を書くときは、「xは〜を表す」と明記する習慣をつけましょう。これは中学以降でも求められる作法です。

つまずきやすいところ

その1 文字を見ると難しく感じる

xが出た瞬間に手が止まる。
□と同じです。「□+5=12」が解けるなら「x+5=12」も解けます。

その2 式が作れない

言葉から式にできない。
具体的な数で1回やってみると分かります。「3個なら80×3」→「x個なら80×x」。

その3 省略のルールで混乱する

3xの意味が分からない。
3×xのことです。×を省いて書いているだけ。分からなくなったら×を補って読みましょう。

やってみよう

Q1 なぜ□ではなく文字を使うのですか。

A いくつでも使え、何を表すか分かり、世界共通だからです。

Q2 「1個120円のりんごをx個買った代金」を式にしましょう。

A 120 × x(=120x)円です。

Q3 式 5x で、x=8 のときの値は?

A 5 × 8 = 40です。

Q4 身のまわりの関係を、文字を使った式で表してみましょう。

A 「1日x時間勉強すると、1週間で7x時間」など。具体例から式を作ると分かりやすいです。

まとめ

おうちの方へ

「文字式」と聞くと難しそうですが、内容は3年生から続く「□を使った式」の延長です。この連続性を伝えることが、苦手意識を防ぐいちばんの方法です。
お子さんが文字を見て固まったら、「□に置きかえてごらん」と声をかけてください。それだけで解けることが多くあります。
式が作れないときは、具体的な数で1回やらせるのが有効です。「3個ならいくら?」と聞いて80×3が出れば、「じゃあx個なら?」で式ができます。
この単元は中学数学の土台です。ここで「文字は怖くない」という感覚を持てるかどうかが、その後を大きく左右します。
計算そのものは難しくないので、焦らず、意味の理解を優先してあげてください。