6年
算数
分数のかけ算
分数のかけ算 ── 分母どうし、分子どうし。なぜそれでいいのか
計算のしかたは拍子抜けするほど簡単です。でも、なぜそうなるかを知っておきましょう。
計算のしかた
結論から言うと、こうです。
分数 × 分数
分母どうしをかける
分子どうしをかける
2 3 2×3 6
─ × ─ = ─── = ──
5 4 5×4 20
たし算では通分が必要でしたが、かけ算では通分しません。
たし算 … 通分が必要
1/2 + 1/3 = 3/6 + 2/6
かけ算 … 通分は不要
1/2 × 1/3 = 1/6
この差は、意味を考えると分かります。
たし算 … 同じ単位のものを合わせる
→ 単位をそろえる必要がある
かけ算 … 「〜の何倍」を求める
→ そろえる必要はない
「1/2の1/3」を求めるのがかけ算です。合わせるのではなく、一部を取り出すのです。
なぜそうなるのか
面積図で確かめてみましょう。
1辺1の正方形を考える
よこを 2/5 に区切る
たてを 3/4 に区切る
┌──┬──┬──┬──┬──┐
│██│██│ │ │ │
├──┼──┼──┼──┼──┤
│██│██│ │ │ │
├──┼──┼──┼──┼──┤
│██│██│ │ │ │
├──┼──┼──┼──┼──┤
│ │ │ │ │ │
└──┴──┴──┴──┴──┘
全体は 5 × 4 = 20個のマス
色のついた部分は 2 × 3 = 6個
→ 6/20
マスの数を見てください。
全体のマス数 = 分母 × 分母
色のマス数 = 分子 × 分子
だから
分母どうし、分子どうしをかける
図の構造がそのまま計算のルールになっているのです。
整数のかけ算と同じ形であることにも注目してください。
3 × 4 = 12
→ たて3、よこ4の長方形の面積
2/5 × 3/4 = 6/20
→ たて2/5、よこ3/4の長方形の面積
→ 同じ考え方
面積の公式は、分数でも成り立つのです。
約分を先にする
計算するとき、先に約分すると楽になります。
【後で約分】
4 5 20 5
─ × ─ = ── = ─
9 8 72 18
→ 72と20の最大公約数を探す
→ 数が大きくて大変
【先に約分】
4 5
─ × ─
9 8
↑ ↑
4と8を4でわる
1 5 5
─ × ─ = ──
9 2 18
→ 小さい数で計算できる
約分できるのは、ななめの位置でもかまいません。
約分できる組み合わせ
・左の分子 と 右の分母
・右の分子 と 左の分母
・同じ分数の分子と分母
→ かけ算だから、
どこで約分しても同じ
なぜななめでもよいのでしょうか。かけ算はまとめて1つの分数になるからです。
4 5 4×5
─ × ─ = ───
9 8 9×8
→ 上下の数をどう組み合わせて
約分してもよい
先に約分すると、計算が楽で、ミスも減ります。習慣にしましょう。
整数や帯分数とのかけ算
整数が混じる場合は、分母1の分数と考えます。
3 3 5 15
5 × ─ → 5/1 × ─ = ── = ──
7 7 1 7
→ 3 × 5 = 15、7 × 1 = 7
実際には、分子に整数をかけるだけです。
帯分数の場合は、必ず仮分数に直します。
1 2
1 ─ × 2 ─
3 5
仮分数に直す
4 12 48 3
─ × ── = ── = 3─
3 5 15 5
帯分数のまま計算しようとすると、まちがえます。
【よくあるまちがい】
1と1/3 × 2と2/5
= (1×2) と (1/3 × 2/5)
= 2と2/15 ← ×
整数部分と分数部分を
別々にかけてはいけない
なぜでしょうか。帯分数は「整数+分数」だからです。(1+1/3)×(2+2/5)を展開すると、4つの積の和になります。単純に分けられないのです。
だから、迷わず仮分数に。これが鉄則です。
1より小さい数をかける
小数のときと同じ現象が、分数でも起こります。
かける数が1より小さいと
答えは元より小さくなる
2 6 2 12
6 × ─ = ─ × ─ = ── = 4
3 1 3 3
6 → 4 に減った
2/3は1より小さいので、かけると減ります。
| かける数 | 答えは | 例 |
| 1より大きい | 元より大きい | 6 × 4/3 = 8 |
| 1と等しい | 元と同じ | 6 × 3/3 = 6 |
| 1より小さい | 元より小さい | 6 × 2/3 = 4 |
1が境目という原則は、整数・小数・分数のすべてで共通です。
この感覚があると、答えの見当がつけられます。
8 × 3/4 の答えを予想
3/4 は1より小さい
→ 8より小さいはず
→ 6くらい?
実際は 6 ○
計算した答えが8より大きくなったら、どこかで間違えています。
文章題での使い方
分数のかけ算は、どんな場面で使うのでしょうか。
【パターン1】〜の何倍
問題:3/4mのリボンの2/3の長さは?
3 2 6 1
─ × ─ = ── = ─ (m)
4 3 12 2
【パターン2】1あたり × いくつ分
問題:1mの重さが 2/5 kgの棒。
この棒 3/4 m の重さは?
2 3 6 3
─ × ─ = ── = ── (kg)
5 4 20 10
【パターン3】面積・体積
問題:たて 2/3 m、よこ 3/5 m の
長方形の面積は?
2 3 6 2
─ × ─ = ── = ─ (m²)
3 5 15 5
迷ったら、整数に置きかえて考えます。
「1mが2/5kgの棒、3/4mの重さは?」
分数だと分かりにくい
↓
「1mが2kgの棒、3mの重さは?」
↓
2 × 3 とすぐ分かる
↓
だから 2/5 × 3/4
5年生の小数のかけ算でも使った方法です。数がややこしいだけで、場面の構造は同じなのです。
そして、答えが出たら大きさを確かめます。3/4mの棒なら、1mより短いので2/5kgより軽いはず。答えの3/10kgは確かに軽くなっています。
計算のきまりも成り立つ
4年生で学んだ計算のきまりは、分数でも成り立ちます。
交換法則
2 3 3 2
─ × ─ = ─ × ─
3 5 5 3
結合法則
(a × b) × c = a × (b × c)
分配法則
(a + b) × c = a×c + b×c
これを使うと、計算を工夫できます。
3 4
─ × 7 × ─
4 3
順番を入れかえて
3 4
─ × ─ × 7
4 3
= 1 × 7 = 7
3/4と4/3をかけると1になります。このような関係にある2つの数を逆数といいます。
逆数とは
かけると1になる数
2 3
─ → ─
3 2
5 → 1/5
→ 分母と分子を入れかえる
逆数は、次の単元「分数のわり算」で決定的に重要になります。ここで意味をしっかりつかんでおきましょう。
整数の逆数も確認しておきます。5は5/1と考えられるので、逆数は1/5です。0だけは逆数がありません。0に何をかけても1にはならないからです。
つまずきやすいところ
その1 通分してしまう
たし算のくせで通分する。
かけ算では通分は不要です。そのまま分母どうし、分子どうしをかけます。
その2 帯分数のまま計算する
整数部分と分数部分を別々にかける。
帯分数は必ず仮分数に直してから計算します。
その3 約分を忘れる
答えが6/20のままになる。
答えはこれ以上わりきれない形にします。先に約分する習慣をつけると確実です。
やってみよう
Q1 分数のかけ算のしかたを言いましょう。
A 分母どうし、分子どうしをかける。通分は必要ありません。
Q2 2/3 × 3/5 を計算しましょう。
A 3どうしを約分して 2/1 × 1/5 = 2/5です。
Q3 帯分数のかけ算では、まず何をしますか。
A 仮分数に直します。帯分数のままでは正しく計算できません。
Q4 10 × 3/5 の答えを、計算前に予想しましょう。
A 3/5は1より小さいので10より小さい。実際は6です。
まとめ
- 分数のかけ算は分母どうし、分子どうし。
- 通分はいらない。たし算とはちがう。
- 理由は面積図で確かめられる。
- 先に約分すると計算が楽。ななめでもよい。
- 帯分数は仮分数に直してから計算。
おうちの方へ
分数のかけ算は、計算方法自体は非常に簡単です。しかし「なぜそれでいいのか」を理解していないと、わり算で混乱します。
面積図で確かめる作業は、ぜひ一緒にやってみてください。方眼紙に正方形をかいて区切ると、マスの数が分母と分子の積になることが目で見えます。
「通分がいらない」ことに違和感を持つ子もいます。たし算とかけ算では意味がちがうという説明を、丁寧にしてあげてください。
約分を先にする習慣は、計算力を大きく左右します。後で大きな数を約分するより、はるかに楽で確実です。
そして、答えの見当をつける習慣も引き続き大切です。「1より小さい数をかけたら減る」という感覚が、ミスの発見につながります。