小学校算数でいちばん「なぜ?」と聞かれる計算です。ちゃんと理由があります。
やり方は単純です。
「ひっくり返してかける」と覚えている人も多いでしょう。
でも、多くの子がこう思います。「なぜひっくり返すの?」
この疑問は正しいものです。理由を知らずに手順だけ覚えると、忘れたときに手が出なくなります。
ここでは、3つの説明を紹介します。どれか一つでも納得できれば十分です。
4年生で学んだわり算の性質を思い出してください。
これを使います。
わる数を1にすれば、わり算が消えます。そのために逆数をかけたのです。
5年生の小数のわり算で「わる数を整数にする」と学びました。あれと同じ発想です。わる数を扱いやすい形に変えているのです。
わり算の意味に立ち返ってみましょう。
これは「2/5の中に1/4がいくつあるか」を求める問題です。
通分して比べると分かりやすくなります。
これを、逆数のかけ算で確かめます。
意味から計算しても、逆数をかけても同じ。だからルールが成り立つのです。
そして、通分して分子どうしをわる方法でも正解にたどりつけます。
この方法も間違いではありません。ただし、逆数をかけるほうが速いので、そちらが標準になっています。
わり算は、分数の形で書けます。
分数の分母と分子に同じ数をかけても、値は変わりません。分母を1にするために逆数をかけたのです。
結果として、分子に逆数をかけた形が残ります。
この説明は、中学以降の数学でよく使う考え方です。複雑な形を単純にするという発想が身につきます。
3つの説明を並べましたが、全部理解する必要はありません。
自分がいちばん「なるほど」と思えたものを覚えておけば十分です。
大切なのは、「理由がある」と知っていることです。
そうすれば、ルールを忘れても導き直せますし、「意味の分からない呪文」を覚えている不安からも解放されます。
実際に計算するときのポイントです。
整数や帯分数が混じる場合も見ておきましょう。
帯分数は必ず仮分数に。かけ算のときと同じルールです。
小数のときと同じく、1が境目です。
| わる数 | 答えは | 例 |
|---|---|---|
| 1より大きい | 元より小さい | 6 ÷ 3/2 = 4 |
| 1と等しい | 元と同じ | 6 ÷ 1 = 6 |
| 1より小さい | 元より大きい | 6 ÷ 2/3 = 9 |
1より小さい数でわると答えは大きくなります。
この理解があると、答えの見当がつけられます。
もし答えが10より小さくなったら、計算ミスです。
分数のわり算を使う場面を確認しましょう。
とくにパターン3は割合の考え方です。5年生で学んだ「もとにする量を求める」問題と同じ構造です。
迷ったら、整数に置きかえて考えます。この方法は小数でも分数でも有効です。
分数のわり算を学ぶと、小学校の計算がすべて出そろいます。
| 学年 | 学んだ計算 |
|---|---|
| 1年 | 整数のたし算・ひき算 |
| 2年 | かけ算(九九) |
| 3年 | わり算、小数と分数の入門 |
| 4年 | わり算の筆算、小数のかけ算・わり算(整数) |
| 5年 | 小数×小数、小数÷小数、分数のたし算・ひき算 |
| 6年 | 分数のかけ算・わり算 |
6年間かけて、整数・小数・分数のすべての四則計算ができるようになりました。
そして、これらは一つの原理でつながっています。
バラバラに見えた計算が、実は同じ考え方の変奏だったのです。
中学では、ここに負の数が加わります。マイナスの世界が広がりますが、計算のルールは今まで学んだことの延長です。
だから、小学校の計算を確実にしておくことが何より大切です。ここが土台になります。
どちらを逆数にするか混乱する。
ひっくり返すのはわる数(後ろ)だけです。前の数はそのままです。
逆数にしたのに÷のままにする。
2つセットです。逆数にする+記号を変える。片方だけでは正しくなりません。
整数部分と分数部分を別々に扱う。
必ず仮分数に直してから計算します。かけ算と同じです。
Q1 分数のわり算のしかたを言いましょう。
A わる数を逆数にして、かける。÷を×に変えるのを忘れずに。
Q2 なぜ逆数をかけるのですか。
A わる数を1にするためです。わり算の性質を使うと導けます。
Q3 3/4 ÷ 2/5 を計算しましょう。
A 3/4 × 5/2 = 15/8です。
Q4 8 ÷ 4/5 の答えは8より大きい? 小さい?
A 4/5は1より小さいので大きくなります。答えは10です。
「なぜひっくり返してかけるの?」は、算数で最も有名な疑問です。この疑問を持つことは、理解しようとしている証拠です。
本記事では3つの説明を紹介しました。すべて理解する必要はなく、どれか一つで納得できれば十分です。
お子さんが疑問を持ったら、「いい質問だね」と受け止めてください。「そういうものだから」で済ませると、算数がつまらないものになってしまいます。
意味から考える説明(2/5の中に1/4がいくつあるか)は、図をかくと分かりやすくなります。テープ図や数直線を一緒にかいてみてください。
この単元は、小学校の計算の集大成でもあります。整数・小数・分数のすべての計算が、ここで一通り出そろいます。