6年 算数 分数のわり算

分数のわり算 ── なぜひっくり返してかけるのか

小学校算数でいちばん「なぜ?」と聞かれる計算です。ちゃんと理由があります。

計算のしかた

やり方は単純です。

分数のわり算 わる数を逆数にして、かける 2 3 2 4 8 ─ ÷ ─ = ─ × ─ = ── 5 4 5 3 15

「ひっくり返してかける」と覚えている人も多いでしょう。

でも、多くの子がこう思います。「なぜひっくり返すの?」

この疑問は正しいものです。理由を知らずに手順だけ覚えると、忘れたときに手が出なくなります。

ここでは、3つの説明を紹介します。どれか一つでも納得できれば十分です。

説明1:わり算の性質を使う

4年生で学んだわり算の性質を思い出してください。

わられる数とわる数に 同じ数をかけても、商は変わらない 6 ÷ 3 = 2 (6×2) ÷ (3×2) = 12 ÷ 6 = 2 ○

これを使います。

2 3 ─ ÷ ─ 5 4 両方に 4/3 をかける (わる数を1にするため) 2 4 3 4 (─ × ─) ÷ (─ × ─) 5 3 4 3 8 ── ÷ 1 15 8 = ── 15

わる数を1にすれば、わり算が消えます。そのために逆数をかけたのです。

5年生の小数のわり算で「わる数を整数にする」と学びました。あれと同じ発想です。わる数を扱いやすい形に変えているのです。

説明2:意味から考える

わり算の意味に立ち返ってみましょう。

問題:2/5 Lのジュースを 1/4 Lずつコップに入れる。 何杯できる? 2/5 ÷ 1/4

これは「2/5の中に1/4がいくつあるか」を求める問題です。

図で考える 1L ├────────────────┤ 2/5 ├──────┤ 1/4 ├───┤ 2/5 の中に 1/4 は…

通分して比べると分かりやすくなります。

2/5 = 8/20 1/4 = 5/20 8/20 の中に 5/20 は いくつあるか? → 8 ÷ 5 = 1.6 つまり 8/5 杯

これを、逆数のかけ算で確かめます。

2 1 2 4 8 ─ ÷ ─ = ─ × ─ = ─ 5 4 5 1 5 同じ答え!

意味から計算しても、逆数をかけても同じ。だからルールが成り立つのです。

そして、通分して分子どうしをわる方法でも正解にたどりつけます。

別のやり方 分母をそろえてから 分子どうしをわる 8/20 ÷ 5/20 = 8 ÷ 5 = 8/5

この方法も間違いではありません。ただし、逆数をかけるほうが速いので、そちらが標準になっています。

説明3:分数の形で考える

わり算は、分数の形で書けます。

2/5 2/5 ÷ 3/4 = ─── 3/4 分母が分数で分かりにくい ↓ 分母を1にしたい ↓ 分母と分子に 4/3 をかける (2/5)×(4/3) 8/15 ─────────── = ──── = 8/15 (3/4)×(4/3) 1

分数の分母と分子に同じ数をかけても、値は変わりません。分母を1にするために逆数をかけたのです。

結果として、分子に逆数をかけた形が残ります。

この説明は、中学以降の数学でよく使う考え方です。複雑な形を単純にするという発想が身につきます。

どれか一つで納得できればよい

3つの説明を並べましたが、全部理解する必要はありません
自分がいちばん「なるほど」と思えたものを覚えておけば十分です。
大切なのは、「理由がある」と知っていることです。
そうすれば、ルールを忘れても導き直せますし、「意味の分からない呪文」を覚えている不安からも解放されます。

計算の実際

実際に計算するときのポイントです。

手順 ① わる数を逆数にする ② ÷を×に変える ③ 約分できるところは約分 ④ かけ算する

整数や帯分数が混じる場合も見ておきましょう。

【整数でわる】 3 3 1 3 ─ ÷ 2 = ─ × ─ = ─ 4 4 2 8 → 2 は 2/1、逆数は 1/2 【整数をわる】 2 3 4 6 ÷ ─ = 6 × ─ = ── = 9 3 2 1 → 6 は 6/1 と考える 【帯分数】 1 2 2 ─ ÷ 1 ─ 2 3 仮分数に直してから 5 5 5 3 3 ─ ÷ ─ = ─ × ─ = ─ 2 3 2 5 2

帯分数は必ず仮分数に。かけ算のときと同じルールです。

わると増える場合

小数のときと同じく、1が境目です。

わる数答えは
1より大きい元より小さい6 ÷ 3/2 = 4
1と等しい元と同じ6 ÷ 1 = 6
1より小さい元より大きい6 ÷ 2/3 = 9

1より小さい数でわると答えは大きくなります

なぜ増えるのか 6 ÷ 2/3 「6の中に2/3がいくつあるか」 1の中に 2/3 は 1.5個 6の中には 1.5 × 6 = 9個 → 9 で正しい

この理解があると、答えの見当がつけられます。

10 ÷ 3/4 の答えを予想 3/4 は1より小さい → 10より大きいはず → 13くらい? 実際は 40/3 = 13.33… ○

もし答えが10より小さくなったら、計算ミスです。

文章題での使い方

分数のわり算を使う場面を確認しましょう。

【パターン1】1あたりを求める 問題:2/3 m² のかべをぬるのに 4/5 dLのペンキを使った。 1m² あたり何dL? 4 2 4 3 6 ─ ÷ ─ = ─ × ─ = ─ (dL) 5 3 5 2 5
【パターン2】いくつ分かを求める 問題:3/4 Lの水を 1/8 Lずつ コップに入れると何杯? 3 1 3 8 ─ ÷ ─ = ─ × ─ = 6 (杯) 4 8 4 1
【パターン3】もとの量を求める 問題:ある数の 2/5 が 8 のとき、 ある数は? 2 5 8 ÷ ─ = 8 × ─ = 20 5 2

とくにパターン3は割合の考え方です。5年生で学んだ「もとにする量を求める」問題と同じ構造です。

迷ったら、整数に置きかえて考えます。この方法は小数でも分数でも有効です。

小学校の計算がここで完成する

分数のわり算を学ぶと、小学校の計算がすべて出そろいます

学年学んだ計算
1年整数のたし算・ひき算
2年かけ算(九九)
3年わり算、小数と分数の入門
4年わり算の筆算、小数のかけ算・わり算(整数)
5年小数×小数、小数÷小数、分数のたし算・ひき算
6年分数のかけ算・わり算

6年間かけて、整数・小数・分数のすべての四則計算ができるようになりました。

そして、これらは一つの原理でつながっています

貫いている考え方 ・単位をそろえてから計算する ・1あたりを考える ・かけ算とわり算は逆の関係 ・1が境目(大きくなるか小さくなるか) ・意味に戻れば導ける

バラバラに見えた計算が、実は同じ考え方の変奏だったのです。

中学では、ここに負の数が加わります。マイナスの世界が広がりますが、計算のルールは今まで学んだことの延長です。

だから、小学校の計算を確実にしておくことが何より大切です。ここが土台になります。

つまずきやすいところ

その1 わられる数をひっくり返す

どちらを逆数にするか混乱する。
ひっくり返すのはわる数(後ろ)だけです。前の数はそのままです。

その2 ÷を×に変え忘れる

逆数にしたのに÷のままにする。
2つセットです。逆数にする+記号を変える。片方だけでは正しくなりません。

その3 帯分数のまま計算する

整数部分と分数部分を別々に扱う。
必ず仮分数に直してから計算します。かけ算と同じです。

やってみよう

Q1 分数のわり算のしかたを言いましょう。

A わる数を逆数にして、かける。÷を×に変えるのを忘れずに。

Q2 なぜ逆数をかけるのですか。

A わる数を1にするためです。わり算の性質を使うと導けます。

Q3 3/4 ÷ 2/5 を計算しましょう。

A 3/4 × 5/2 = 15/8です。

Q4 8 ÷ 4/5 の答えは8より大きい? 小さい?

A 4/5は1より小さいので大きくなります。答えは10です。

まとめ

おうちの方へ

「なぜひっくり返してかけるの?」は、算数で最も有名な疑問です。この疑問を持つことは、理解しようとしている証拠です。
本記事では3つの説明を紹介しました。すべて理解する必要はなく、どれか一つで納得できれば十分です。
お子さんが疑問を持ったら、「いい質問だね」と受け止めてください。「そういうものだから」で済ませると、算数がつまらないものになってしまいます。
意味から考える説明(2/5の中に1/4がいくつあるか)は、図をかくと分かりやすくなります。テープ図や数直線を一緒にかいてみてください。
この単元は、小学校の計算の集大成でもあります。整数・小数・分数のすべての計算が、ここで一通り出そろいます。