6年 算数 データの調べ方

データの調べ方 ── 平均だけでは見えないものがある

5年生で学んだ平均。それだけでは実態が分からないことがあります。

平均の限界

5年生で、平均にはばらつきが見えないという弱点があると学びました。

もう一つ、大きな弱点があります。

6人のおこづかい(円) 500, 600, 700, 800, 900, 12000 平均 = 15500 ÷ 6 = 約2583円 → 6人中5人が平均より少ない!

1人だけ極端に多いと、平均が実態からずれてしまいます。

「平均的な人」を探しても、そんな人はいないのです。

そこで、6年生では3つの代表値を学びます。

名前意味求め方
平均値ならした値合計 ÷ 個数
中央値まん中の値順に並べてまん中
最頻値いちばん多い値数えていちばん多いもの

それぞれちがう見方でデータを代表しています。

中央値の求め方

中央値は、データを小さい順に並べたときの真ん中の値です。

【データが奇数個】 500, 600, 700, 800, 900 5個の真ん中は3番目 → 中央値 = 700 【データが偶数個】 500, 600, 700, 800, 900, 12000 6個の真ん中は3番目と4番目 → その平均を取る → (700 + 800) ÷ 2 = 750 中央値 = 750円

先ほどのおこづかいの例で比べてみましょう。

平均値 = 2583円 中央値 = 750円 → 中央値のほうが 実態に近い

極端な値に影響されないのが、中央値の強みです。

12000円の人がいても、真ん中の順位は変わりません。だから中央値は安定しているのです。

中央値が使われる場面 ・年収の統計 ・住宅の価格 ・待ち時間 → 一部の極端な値が あるデータに向く

ニュースで「平均年収」と「中央値」の両方が示されるのは、このためです。

最頻値の求め方

最頻値は、いちばん多く現れる値です。

くつのサイズ(cm) 22, 23, 23, 24, 24, 24, 25, 26 24が3個でいちばん多い → 最頻値 = 24cm

最頻値の強みは、数値でないデータにも使えることです。

好きな色 赤, 青, 赤, 緑, 赤, 青, 黄 赤が3人でいちばん多い → 最頻値 = 赤 → 平均や中央値は求められない

また、実際に存在する値である点も特徴です。

平均値 … 実在しない値になることも (平均2.4人など) 最頻値 … 必ず実在する値

お店が商品を仕入れるとき、最頻値が役に立ちます。

くつ屋さんの場合 平均24.1cm と言われても 何を多く仕入れるか分からない 最頻値が24cm なら 24cmを多く仕入れればよい

ただし、最頻値には弱点もあります。

最頻値の弱点 ・同じ値が複数あると決まらない ・データが少ないと意味がない ・全部ちがう値だと存在しない

3つを使い分ける

どの代表値を使うかは、目的とデータの性質で決まります。

代表値向いている場面弱点
平均値全体の量を知りたい/均等に分けたい極端な値に引っぱられる
中央値典型的な値を知りたい全体の量は分からない
最頻値いちばん多いものを知りたい決まらないことがある

大切なのは、1つだけ見て判断しないことです。

3つを並べると分かること 平均値 > 中央値 → 大きいほうに極端な値がある 平均値 < 中央値 → 小さいほうに極端な値がある 平均値 ≒ 中央値 → 偏りが少ない

3つの値を比べるだけで、データの形が推測できるのです。

どれを見せるかで印象が変わる

同じデータでも、どの代表値を示すかで印象が変わります
「平均年収は600万円です」
「年収の中央値は420万円です」
どちらも本当ですが、受ける印象はまるでちがいます。
だから、統計を見るときは「何の値か」を確認することが大切です。
そして自分がデータを示すときも、目的に合った値を、誠実に選ぶ必要があります。

度数分布表と柱状グラフ

データが多いときは、区間に分けて整理します。

度数分布表(例:50m走の記録) 区間(秒) 人数 8.0以上 8.5未満 2 8.5以上 9.0未満 5 9.0以上 9.5未満 10 9.5以上10.0未満 8 10.0以上10.5未満 3 ────────────────── 合計 28

この区間を階級、それぞれの人数を度数といいます。

「以上」「未満」の使い方に注意してください。4年生で学んだ言葉です。

8.5以上 9.0未満 8.5 は入る(以上) 9.0 は入らない(未満) → ちょうど9.0の人は 次の階級へ

この決め方なら、どの値も必ず1つの階級に入ります。重なりも漏れもありません。

これをグラフにしたものが柱状グラフ(ヒストグラム)です。

柱状グラフ 人数 10| ██ 8| ██ ██ 5| ██ ██ ██ 3| ██ ██ ██ ██ 2|██ ██ ██ ██ ██ └──┴──┴──┴──┴── 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0

ぼうグラフと似ていますが、ちがいがあります

ぼうグラフ柱状グラフ
横軸種類(順序なし)数量の区間(順序あり)
ぼうの間すきまを空けるすきまを空けない
並べかえできるできない

すきまを空けないのは、データが連続しているからです。8.5と9.0の間にも値が存在します。

グラフから読み取る

柱状グラフからは、データの「形」が読み取れます。

よくある形 【山型】 真ん中が多く、両端が少ない → 身長、テストの点数など 【右に長い】 低いほうに集中、高いほうに少数 → 年収、待ち時間など 【二山型】 2つの山がある → 別の集団が混ざっている (男女、学年など)

とくに二山型を見つけたら要注意です。性質のちがう集団が混ざっている可能性があります。

例:全校生徒の身長 1年生と6年生を一緒にすると → 二山型になることも → 学年ごとに分けて見るべき

グラフの形は、データの背後にある構造を教えてくれるのです。

読み取るときのポイントをまとめます。

確認すること ・全体の形(山型? 偏っている?) ・いちばん多い階級(最頻値の階級) ・散らばりの幅 ・極端に離れた値はないか ・階級の幅は適切か

階級の幅も重要です。細かすぎるとバラバラに見え、粗すぎると特徴が消えます。

つまずきやすいところ

その1 中央値を並べずに求める

データの真ん中の位置の値を取る。
必ず小さい順に並べてから真ん中を見ます。並べないと意味がありません。

その2 偶数個のときの中央値

2つのうち片方を選んでしまう。
偶数個なら真ん中2つの平均を取ります。

その3 柱状グラフのぼうにすきまを空ける

ぼうグラフと同じにかいてしまう。
柱状グラフはすきまを空けません。データが連続しているからです。

やってみよう

Q1 3つの代表値を言いましょう。

A 平均値・中央値・最頻値です。それぞれちがう見方をします。

Q2 中央値の強みは何ですか。

A 極端な値に影響されないことです。だから実態に近い値になります。

Q3 「8.5以上9.0未満」に、9.0は入りますか。

A 入りません。「未満」はその値を含みません。次の階級に入ります。

Q4 クラスの記録などで、3つの代表値を求めてみましょう。

A 3つを比べると、データの偏りが見えてきます。柱状グラフもかいてみてください。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、統計リテラシーの基礎です。中学・高校はもちろん、社会に出てからも使い続ける力になります。
とくに「平均値と中央値のちがい」は、大人でも誤解しがちです。ニュースで「平均年収」が出たとき、「中央値はどうなんだろう」と考える視点を持てると、情報に振り回されにくくなります。
実際のデータで3つの代表値を求めてみるのが、いちばんの学習です。家族の身長、1週間の気温、テストの点数。何でも構いません。
柱状グラフをかく作業も大切です。階級の幅を変えると印象が変わることを実感できると、グラフを見る目が育ちます。
「どの値を示すかで印象が変わる」という話は、誠実さの問題でもあります。数字は嘘をつきませんが、使い方で誤解を生めることを知っておく価値があります。