6年 算数 場合の数

場合の数 ── 順番が関係あるか、ないか

この一点を見分けるだけで、問題の半分は解けたも同然です。

2つのタイプ

場合の数の問題は、大きく2つに分かれます。

【並べ方】順番が関係ある 例:3人が1列に並ぶ A-B-C と B-A-C は別 【組み合わせ】順番が関係ない 例:3人から2人選ぶ AとB、BとA は同じ

この見分けが、すべての出発点です。

見分ける方法は、こう考えます。

「入れかえたら別のものになるか?」 なる → 並べ方 ならない → 組み合わせ

具体例で確かめましょう。

場面タイプ理由
1位・2位を決める並べ方順位がちがえば別
代表2人を選ぶ組み合わせ選ばれれば同じ
3けたの数を作る並べ方123と321は別の数
色を2つ選んで混ぜる組み合わせ順番は関係ない
リレーの走順を決める並べ方順番が意味を持つ
試合の対戦相手組み合わせAとBの試合は1つ

迷ったら、小さい例で書き出してみるのが確実です。

樹形図で数える

場合の数を数える基本の道具が樹形図です。

A, B, C の3人が並ぶ方法 1番目 2番目 3番目 A ─┬─ B ── C └─ C ── B B ─┬─ A ── C └─ C ── A C ─┬─ A ── B └─ B ── A → 6通り

樹形図のよいところは、数え落としと重複を防げることです。

樹形図のかき方 ① 1番目に来るものを すべて書き出す(アイウ順など) ② それぞれについて 2番目の可能性を書く ③ 以下同様 ④ いちばん右の枝を数える

順番を決めて書くのがコツです。思いつくままに書くと、必ず抜けが出ます。

樹形図から、計算のしかたも見えてきます。

3人が並ぶ場合 1番目 … 3通り 2番目 … 残り2人から → 2通り 3番目 … 残り1人 → 1通り 3 × 2 × 1 = 6通り

これが並べ方の計算です。

n個から r個を選んで並べる n × (n-1) × (n-2) × … (r個分かける) 例:5人から3人選んで並べる 5 × 4 × 3 = 60通り

組み合わせの数え方

組み合わせは、並べ方より少なくなります

A, B, C から2人選ぶ 【並べ方なら】 AB, AC, BA, BC, CA, CB → 6通り 【組み合わせなら】 AB, AC, BC → 3通り (BAはABと同じ)

ちょうど半分になりました。理由は明快です。

2つを選ぶとき ABとBAは同じもの → 並べ方では2回数えている → だから2でわる 6 ÷ 2 = 3通り

3つ選ぶ場合は、もっと重複します。

3つを選ぶとき ABC, ACB, BAC, BCA, CAB, CBA → 6通りとも同じ組み合わせ → 6でわる(3×2×1)
組み合わせの計算 並べ方 ÷ (選ぶ数の並べ方) 5人から3人選ぶ 並べ方 5×4×3 = 60 3人の並べ方 3×2×1 = 6 60 ÷ 6 = 10通り

ただし、小学校では樹形図や表で数えるのが基本です。計算はあくまで確認用と考えてください。

表で数える方法

組み合わせは、を使うと分かりやすくなります。

  A B C D
A — ○ ○ ○
B   — ○ ○
C     — ○
D       —

○の数を数えると 6通り。
ななめの線より上だけを見るのがポイントです。下半分は上半分と同じ組み合わせだからです。
この方法は、総当たり戦の試合数を数えるときにも使えます。

いろいろな問題

典型的な問題を見ておきましょう。

数を作る問題

1, 2, 3 のカードで 3けたの整数を作る → 並べ方 → 3 × 2 × 1 = 6通り (123, 132, 213, 231, 312, 321)

0が含まれる場合は注意が必要です。

0, 1, 2 で3けたの整数 百の位に0は使えない (012は3けたでない) 百の位 … 1か2 → 2通り 十の位 … 残り2つ → 2通り 一の位 … 残り1つ → 1通り 2 × 2 × 1 = 4通り

試合の数

5チームの総当たり戦 → 組み合わせ (AとBの試合は1つ) 5 × 4 ÷ 2 = 10試合

道順の問題

碁盤の目の道を 最短で進む方法 → 各交差点で 「そこまでの行き方の数」を 書きこんでいく → 左と上の数を足す

道順の問題は、数を書きこむ方法が有効です。樹形図より速く、確実です。

色の塗り分け

4つの区画を3色で塗る (となり合う区画は別の色) → 1つずつ順に決める → 「残り何色使えるか」を考える

条件がある問題は、条件のきびしいところから決めるのがコツです。

数え上げの心構え

場合の数で最も大切なのは、もれなく・重複なく数えることです。

失敗の2大原因 ① 数え落とし → 思いつくままに書いた → 順序を決めていない ② 重複 → 同じものを2回数えた → 並べ方と組み合わせを混同

防ぐ方法は、ルールを決めて機械的に書くことです。

機械的に書くルール ・アイウ順、番号順に並べる ・小さい数から順に ・1番目を固定して、2番目を動かす ・書き終えたら数を確認

これは4年生の「落ちや重なりのない分類」と同じ考え方です。

そして、答えの見当をつけることも有効です。

見当のつけ方 3人の並べ方 → 6通り 4人なら → 6 × 4 = 24通り 5人なら → 24 × 5 = 120通り → 急激に増える 答えが少なすぎたら 数え落としの可能性

場合の数は、数が急激に増えるのが特徴です。10人の並べ方は約360万通りにもなります。

身のまわりの場合の数

場合の数は、実生活のさまざまな場面に現れます。

【服の組み合わせ】 シャツ3枚、ズボン4本 → 3 × 4 = 12通り 帽子も2つあれば → 3 × 4 × 2 = 24通り

これはかけ算で求められます。それぞれ独立して選べるからです。

【暗証番号】 4けたの数字 各けた 0〜9 の10通り 10 × 10 × 10 × 10 = 10000通り

1万通りしかないので、時間をかければ破られてしまいます。だから、桁数の多いパスワードが推奨されるのです。

パスワードの強さ 数字4けた → 1万通り 数字6けた → 100万通り 英数字8文字 → 約218兆通り → 文字の種類と長さで 急激に増える

場合の数の知識が、安全を守っているのです。

ほかにも、こんな場面があります。

・くじの当たる確率 ・じゃんけんの手の出し方 ・座席の決め方 ・トーナメントの組み合わせ ・料理のトッピングの選び方

そして、場合の数は確率の土台になります。中学で学ぶ「起こりやすさ」を数で表す学習は、すべての場合を数えられることが前提です。

数えられれば、「どれくらい起こりやすいか」が計算できるようになるのです。

つまずきやすいところ

その1 並べ方と組み合わせを混同する

どちらか判断できない。
2つをひっくり返してみて、別物として数えるかどうかを確かめます。別物なら並べ方、同じなら組み合わせです。

その2 樹形図を思いつくままに書く

数え落としが出る。
順序を決めて書きます。アイウ順、番号順など、ルールを決めて機械的に。

その3 0を先頭に使ってしまう

012を3けたの数として数える。
整数を作る問題では、先頭に0は使えません。条件を確認してから数えます。

やってみよう

Q1 並べ方と組み合わせの見分け方は?

A 入れかえたら別のものになるかで判断します。なるなら並べ方です。

Q2 4人が1列に並ぶ方法は何通り?

A 4 × 3 × 2 × 1 = 24通りです。

Q3 6チームの総当たり戦は何試合?

A 6 × 5 ÷ 2 = 15試合。組み合わせなので2でわります。

Q4 1,2,3,4のカードで2けたの整数を作ると何通り?

A 4 × 3 = 12通り。樹形図でも確かめてみましょう。

まとめ

おうちの方へ

場合の数は、中学入試でも頻出の分野です。同時に、論理的に考える力を育てる良い題材でもあります。
大切なのは、いきなり計算しないことです。まず樹形図や表で書き出す。書き出す過程で構造が見えてきます。
「思いつくままに書く」と必ず失敗します。順序を決めて機械的に書き出す習慣を、繰り返し練習させてください。
身近な題材でも練習できます。「今日の服の組み合わせは何通り?」「4人でじゃんけんの順番を決めると?」。遊びの中で扱うと、抵抗なく取り組めます。
トーナメントやリーグ戦の試合数も、実感を持てる題材です。スポーツの話題と結びつけると、興味が広がります。