6年 理科 植物の体のはたらき

植物の体のはたらき ── 自分で食べ物を作れる、唯一の生き物

動物は食べなければ生きられません。でも植物は自分で作れます

光合成という発明

植物は、日光を使って自分で養分を作ります。これを光合成といいます。

光合成のしくみ 材料 ・二酸化炭素(空気から) ・水(根から) ・日光(エネルギー源) できるもの ・でんぷん(養分) ・酸素(いらないので出す)

注目すべきは、できた酸素は植物にとって不要物だという点です。

植物が捨てた酸素を、わたしたちが吸って生きているのです。

呼吸と光合成を比べる 【呼吸】(動物も植物も行う) 酸素 + 養分 → 二酸化炭素 + 水 → エネルギーを取り出す 【光合成】(植物だけ) 二酸化炭素 + 水 → 養分 + 酸素 → エネルギーをためる → ちょうど逆向き

互いに逆の反応です。だから、地球全体で気体のバランスが保たれています。

そして、大事な確認があります。

植物も呼吸している 昼 … 光合成 + 呼吸 (光合成のほうが多い) → 全体では酸素を出す 夜 … 呼吸だけ → 二酸化炭素を出す → 「植物は酸素を出すだけ」 は誤り

植物も常に呼吸しています。昼は光合成のほうが盛んなので、出す酸素のほうが多くなるだけです。

光合成を確かめる

光合成が起きていることは、でんぷんで確かめられます。

実験の手順 ① 前日から葉に光を当てない (もともとのでんぷんを消す) ② 葉の一部をアルミはくで覆う ③ 日光に数時間当てる ④ 葉を取ってお湯につける (やわらかくする) ⑤ 温めたエタノールに入れる (葉緑素をぬく=脱色) ⑥ 水で洗ってヨウ素液につける

結果は、はっきり分かれます。

結果 光が当たった部分 → 青むらさき色になる → でんぷんがある アルミはくで覆った部分 → 変化しない → でんぷんがない → 日光が必要だと分かる

ポイントは①の準備です。前日から光を遮らないと、元からあったでんぷんが反応してしまいます。

エタノールの扱いに注意

脱色に使うエタノールは、燃えやすい液体です。
直接火にかけてはいけません。湯せん(お湯に入れた容器で温める)で使います。
また、蒸気を吸いこまないよう換気も必要です。
なぜ脱色するかというと、葉が緑のままではヨウ素液の色の変化が見えないからです。緑をぬくことで、青むらさき色がはっきり分かります。
実験の一つ一つの手順に、理由があります。

水の通り道

根から吸った水は、決まった道を通ります。

水の通り道 根 ↓ くき(道管) ↓ 葉 ↓ 気孔から出る(蒸散)

これを確かめる実験があります。

色水の実験 食紅などで色をつけた水に 植物をさす ↓ 数時間置く ↓ くきや葉を切って観察 → 色のついた部分が 水の通り道

切り方によって、見え方がちがいます。

くきの切り方 横に切る(輪切り) → 点や輪の形に見える たてに切る → 線が通っているのが見える → 管が通っていると分かる

この管を道管といいます。

植物には、もう一つ管があります。

運ぶもの向き
道管水と養分(無機物)根 → 葉
師管光合成で作った養分葉 → 全身

小学校では主に道管を扱いますが、2種類あることは知っておくとよいでしょう。

そして、人の体と比べてみましょう。

似ているしくみ 人:血管が全身に養分と酸素を運ぶ 植物:道管と師管が水と養分を運ぶ → どちらも「運ぶ管」がある → 生き物に共通する工夫

蒸散のはたらき

葉に届いた水は、水蒸気として出ていきます。これを蒸散といいます。

確かめる実験 【A】葉をつけたままの枝 【B】葉を全部取った枝 同じ量の水にさして ふくろをかぶせる ↓ Aのふくろ内側が水滴でくもる Bはあまりくもらない → 葉から水が出ている

水が出ていく穴を気孔といいます。

気孔 ・葉の裏側に多い ・とても小さい (けんび鏡で見える) ・開いたり閉じたりする ・水蒸気の出口 ・気体の出入り口でもある

気孔は、蒸散だけでなく光合成にも必要です。二酸化炭素はここから入り、酸素はここから出ます。

では、なぜ蒸散するのでしょうか。3つの意味があります。

蒸散の役割 ① 水を吸い上げる力を生む 葉から出る → 根から吸い上げられる → ポンプのような働き ② 体温を下げる 水が蒸発するとき熱を奪う → 葉が焼けるのを防ぐ ③ 養分を運ぶ 水と一緒に根から養分が上がる

とくにが重要です。植物には心臓がありません。それでも、高い木のてっぺんまで水が届きます。

なぜ届くのか 葉から水が出る ↓ 水が引っぱられる ↓ つながった水の柱が 上へ上へと動く → 蒸散が「吸い上げポンプ」

高さ100mを超える木もあります。蒸散の力だけで、そこまで水を運んでいるのです。

植物と地球

植物のはたらきは、地球全体を支えています

植物がしていること ・酸素を作る → 動物が呼吸できる ・二酸化炭素を減らす → 温度の上昇をおさえる ・養分を作る → すべての生き物の食べ物のもと ・水を循環させる → 蒸散で大気に水を戻す ・土を守る → 根が土をつかむ

とくに「すべての食べ物のもと」という点が重要です。

食べ物のたどり方 肉を食べる ↓ その動物は何を食べた? ↓ 草を食べた ↓ 草は? ↓ 光合成で自分で作った → すべて植物にたどりつく

肉も魚も、もとをたどれば植物が作った養分です。

そして、エネルギーの源は太陽です。

エネルギーの流れ 太陽 ↓ 植物(光合成) ↓ 草食動物 ↓ 肉食動物 → すべて太陽から始まる

石油や石炭も、大昔の植物が形を変えたものです。今使っているエネルギーも、元をたどれば太陽の光なのです。

この視点は、次の単元「生物と環境」につながります。

つまずきやすいところ

その1 植物は呼吸しないと思う

光合成だけしていると考える。
植物も常に呼吸しています。昼は光合成のほうが盛んなので、酸素を出しているように見えるだけです。

その2 実験の手順の意味が分からない

なぜエタノールに入れるか疑問。
脱色するためです。緑のままではヨウ素液の変化が見えません。

その3 蒸散を「むだ」だと思う

水を捨てているだけだと考える。
蒸散は水を吸い上げる力を生み、体温も下げます。必要なはたらきです。

やってみよう

Q1 光合成の材料とできるものを言いましょう。

A 材料は二酸化炭素・水・日光、できるのはでんぷんと酸素です。

Q2 でんぷんができたことは何で確かめますか。

A ヨウ素液です。青むらさき色になればでんぷんがあります。

Q3 蒸散の役割を2つ言いましょう。

A 水を吸い上げる力を生むことと体温を下げることです。

Q4 色水に植物をさして、水の通り道を観察してみましょう。

A 白い花やセロリが観察しやすいです。輪切りとたて切りの両方を見てみてください。

Q5 実験でエタノールを使うのはなぜですか。

A 葉の緑色をぬく(脱色する)ためです。緑のままではヨウ素液の色の変化が見えません。火に直接かけず、湯せんで温めます。

まとめ

おうちの方へ

光合成は、生命を支える最も重要なしくみの一つです。この理解が、環境問題や食物連鎖の学習につながります。
「植物も呼吸している」という点は、多くの子が誤解します。「昼は光合成のほうが多いだけ」と説明してあげてください。
色水の実験は家庭でもできます。白い花(カーネーションなど)を食紅で色をつけた水にさすと、花びらに色が上がってきます。数時間で変化が見えます。
蒸散の実験も簡単です。植木鉢にビニール袋をかぶせておくと、内側が水滴でくもります。
「すべての食べ物は植物にたどりつく」という視点は、食事のときに話題にできます。「このお肉は、もとは草だったんだね」という会話が、生態系への理解につながります。