6年 理科 考察の書き方

考察の書き方 ── 「分かりました」で終わると、点にならない

実験そのものはうまくいったのに、プリントのいちばん下の欄だけが空白のまま。6年の理科でいちばん多いつまずきは、器具でも計算でもなく最後のまとめの書き方です。ここは才能ではなく、順番を知っているかどうかで決まります。

「結果」と「考察」は、まったく別のもの

まず、この二つを混ぜないところから始めます。混ざったままだと、何を書いても手ごたえのない文章になります。

結果は、その場にいた人なら誰でも同じように書けるものです。目もりが何をさしていたか、色がどう変わったか、何秒かかったか。人によって変わりません。

考察は、その結果から自分が読み取ったことです。「だから、こういうことが言えそうだ」という部分で、ここだけは書く人によって変わります。

同じ実験の、ちがう欄 【結果】 ふっとうさせた水から出たあわを 集めたら、ふくろの内側が 白くくもって、水がたまった。 【考察】 出てきたあわは空気ではなく、 水が気体になったものだといえる。 空気ならふくろの中で水にもどらない。

結果の欄に「水じょう気だと分かった」と書いてしまうと、それは見たことではなく考えたことなので、位置がずれています。逆に考察の欄に「白くくもった」とだけ書くと、見たことの写しになってしまい、考えた部分がどこにもありません。テストや理科のノートで点が引かれるのは、ほとんどがこの入れちがいです。

考察の材料は、三つしかない

「自由に考えて書きなさい」と言われると手が止まりますが、じっさいに使ってよい材料は限られています。次の三つだけです。

考察に使ってよい材料 ① 自分の実験の結果   (数字・変化のようす) ② くらべた相手との差   (条件を変えたほう/変えないほう) ③ すでに習ったこと   (教科書に書いてある性質) ※ 「思った」「気がした」は材料にならない

この三つ以外、たとえば「たぶん」「なんとなく」「前にテレビで見た」は考察の材料になりません。理科の考察が感想文とちがうのは、書いたことの後ろに必ず①か②か③がついている点です。

とくに②が強い材料になります。水よう液の実験でも、電磁石の実験でも、「変えた条件」と「そろえた条件」がはっきりしている実験は、それだけで考察が書けます。差が出たのは変えた条件のせいだ、と言い切れるからです。逆に、条件をそろえずに実験してしまうと、どんなに結果がきれいでも考察が書けません。書く材料が消えてしまうのです。

書く順番は、いつも同じ四つ

考察の欄は、次の順に一文ずつ足していくと形になります。毎回同じ順番でよく、単元が変わってもこの型は変わりません。

考察の四つの順番 1 何がどうなったか(結果の要点を一文)   →「Aのほうが3秒早く…」 2 何と何をくらべたか   →「変えたのは○○だけで…」 3 だから何が言えるか   →「○○が大きいほど…といえる」 4 予想と合っていたか   →「予想どおり/予想とちがった」

1では、書いた結果を全部くり返す必要はありません。いちばん差が出たところだけを一文にします。2で、その差がどこから来たのかを示します。ここがないと、3がただの思いつきになります。

3が考察の中心です。「〜ほど、〜になる」という形でまとめられると強くなります。ふりこでも、電流でも、とけ方でも、理科の結論はこの形にそろうことが多いからです。

4を書き忘れる人が多いのですが、ここは点が取りやすい部分です。予想と結果を突き合わせた文が一つあるだけで、まとめが最後まで閉じます。

予想が外れたときが、いちばん書きやすい

「予想と結果がちがってしまったので、書けません」という相談がよくあります。ところが理科では、外れたときのほうが書くことは増えます。失敗ではないからです。

外れたときは、次の三つのどれかを書きます。

外れた理由書き方の例
予想の考え方がちがっていたおもりの重さで速さが変わると思っていたが、関係するのは長さだった
条件がそろっていなかったふれはばが1回目だけ大きく、そろえ直すと結果が近づいた
はかり方にずれがあった1往復で計ったため誤差が大きく、10往復で計り直した

大事なのは、結果のほうを書き変えないことです。予想に合うように数字を直してしまうと、実験をした意味がなくなります。合わなかった事実を残したまま、なぜ合わなかったかを書くのが正しいまとめ方で、そこがいちばん評価されるところでもあります。

結果・考察・結論の書き分け表

欄書くこと入れてはいけないもの
予想実験する前に思ったことと、その理由実験のあとで書き直したもの
結果見えたこと・量った数字「〜だと分かった」という判断
考察結果から言えること、予想との照らし合わせくらべた相手のない思いつき
結論この実験で確かめられたこと、一文調べていないことまでの言い切り

結論では「言いすぎない」ことも必要です。教室で1メートルまでのふりこしか調べていないのに「どんなに長いふりこでも成り立つ」と書くと、調べていない範囲まで広げたことになります。調べた範囲の中で言い切るのが、理科の結論の作法です。

つまずきやすいところ

その1 考察に感想を書いてしまう

「おもしろかった」「班のみんなと協力できた」は、ふり返りの欄に書くことです。考察の欄では、一文ごとに「これは①②③のどれを使ったか」と自分に問い返すと、感想がまぎれこみません。

その2 結果を全部書き写してしまう

表の数字をそのまま文章にしても、考察にはなりません。考察に持ち込む数字は、いちばん差が出たところだけで十分です。全部を書こうとするから長くなり、肝心の「だから何が言えるか」までたどりつきません。

その3 うまくいかなかった実験を、なかったことにする

やり直した実験でも、1回目に何が起きたかは残しておきます。「1回目はふれはばがそろっていなかった」という一行が、そのまま考察の材料になります。消してしまうと、書けることが一つ減るだけです。

やってみよう

Q1 「試験管に白いにごりが出た」は、結果と考察のどちらの欄に書きますか。

A 結果です。見えたことをそのまま書いているためです。「二酸化炭素がふくまれていた」は考察になります。

Q2 考察に使ってよい材料を三つ挙げなさい。

A 自分の実験の結果・くらべた相手との差・すでに習ったことの三つです。

Q3 予想と結果がちがったとき、まずしてはいけないことは何ですか。

A 結果を書き変えることです。事実は残したまま、合わなかった理由を書きます。

Q4 考察の中心になる文は、どんな形にまとめると強くなりますか。

A 「〜ほど、〜になる」の形です。変えた条件と、その結果の変わり方が一文で結びつきます。

Q5 50cmまでのふりこしか調べていないのに「どんな長さでも成り立つ」と書くと、なぜよくないのですか。

A 調べていない範囲まで言い切っているからです。結論は、調べた範囲の中で書きます。

まとめ

おうちの方へ

この記事は特定の単元ではなく、6年理科のほぼすべての実験で共通して求められる「まとめの書き方」を扱っています。水よう液、燃焼、てこ、電気の利用と、単元が変わっても最後の欄でやることは同じです。実験の内容は理解しているのにテストの記述問題で点が伸びないというとき、原因は知識ではなく、この書き分けにあることが多くあります。
ご家庭で見ていただくときは、書いた文章の正しさを直すより、「それは見たこと? 考えたこと?」と一文ずつ分けて聞いてみてください。自分で分けられるようになると、考察の欄は自然に埋まっていきます。
予想が外れた実験を持ち帰ってきたときは、残念がらずに「何がちがったんだと思う?」と聞いていただけると助かります。理科では、合わなかった理由を説明できることが、当てることと同じくらい価値のある力です。外れた実験をやり直させる必要はありません。
班での実験は、記録係になった子とならなかった子で、書く経験の量に差がつきます。学校のプリントを見ながら、書いていない欄を一緒に一文だけ足してみる、という短い練習でも十分に効果があります。