6年 理科 人と動物の体

人と動物の体 ── すべての臓器は、つながって働いている

4年生では骨と筋肉を学びました。今度は体の内側です。

体が必要としているもの

生きるために、体は何を必要としているでしょうか。

生きるために必要なもの ① 養分(食べ物から) ② 酸素(空気から) ③ 水 そして、いらないものを出す ・二酸化炭素 ・不要物(尿など)

この取り入れて、運んで、使って、出すという流れが、体のしくみです。

3つのはたらき 消化 … 養分を取り入れる 呼吸 … 酸素を取り入れる 循環 … 全身へ運ぶ → 別々に見えるが つながっている

前の単元「ものの燃え方」を思い出してください。酸素と養分から、エネルギーを取り出すという点で、燃焼と同じです。

消化のしくみ

食べ物は、そのままでは体に取りこめません。細かく分解する必要があります。

消化管の道すじ 口 ↓ 食道 ↓ 胃 ↓ 小腸 ↓ 大腸 ↓ こう門 → 全長約9m(大人)

それぞれの場所で、はたらきがちがいます。

場所はたらき
かみくだく/だ液でデンプンを分解
食道胃へ運ぶ(波の動きで)
胃液でタンパク質を分解/殺菌
小腸さらに分解/養分を吸収
大腸水分を吸収/便を作る

いちばん重要なのが小腸です。

小腸の工夫 内側に無数のひだ ↓ ひだの表面に「柔毛」という 小さな突起がびっしり ↓ 表面積が非常に大きくなる → 効率よく吸収できる

広げるとテニスコート半分ほどの面積になると言われます。小さな体の中に、それだけの吸収面があるのです。

そして、消化を助ける消化液があります。

主な消化液 だ液 … 口(デンプンを分解) 胃液 … 胃(タンパク質を分解) たん汁 … 肝臓で作る(脂肪を助ける) すい液 … すい臓(すべてを分解) 腸液 … 小腸

だ液のはたらきは、実験で確かめられます。

だ液の実験 【A】ご飯 + 水 【B】ご飯 + だ液 40℃くらいで温める ↓ ヨウ素液を入れる A:青むらさき色になる (デンプンが残っている) B:変化しない (デンプンが分解された)

40℃で温めるのは、体温に近づけるためです。消化液は体温くらいでよく働きます。

呼吸のしくみ

酸素を取り入れ、二酸化炭素を出すのが呼吸です。

空気の道すじ 鼻・口 ↓ 気管 ↓ 気管支(枝分かれ) ↓ 肺胞(はいほう) ↓ ここで気体を交換

肺胞は、小さなふくろです。

肺胞の数 片方の肺に約3億個 両方で約6億個 広げると テニスコート半分ほどの面積 → 小腸と同じ工夫 → 表面積を大きくする

体の中には、「表面積を大きくする」工夫が繰り返し現れます。効率よく物質をやりとりするためです。

吸う空気と吐く空気を比べてみましょう。

気体吸う空気はく空気
ちっ素約78%約78%
酸素約21%約17%
二酸化炭素約0.04%約4%

注目すべき点があります。

分かること ・酸素は全部使われない (21% → 17%) ・二酸化炭素は100倍に増える ・ちっ素は変わらない (使われていない)

燃焼のときと同じです。酸素は一部だけ使われます。

だから、人工呼吸が有効なのです。はいた息にも17%の酸素が残っているので、相手に届けられます。

血液の循環

取り入れた養分と酸素は、血液が全身へ運びます。

心臓のはたらき ポンプとして血液を送り出す 1分間に約60〜80回 1日に約10万回 一生で約20億回 → 休まず動き続ける

血液の流れには、2つの道すじがあります。

【肺循環】 心臓 → 肺 → 心臓 肺で酸素を受け取り 二酸化炭素を渡す 【体循環】 心臓 → 全身 → 心臓 全身に酸素と養分を届け 二酸化炭素と不要物を回収

血管にも種類があります。

血管流れ特徴
動脈心臓から出る厚くて丈夫、脈打つ
静脈心臓へもどる薄い、弁がある
毛細血管全身に網目状非常に細い、物質交換

静脈に弁があるのは、血液が逆流しないためです。とくに足からは、重力に逆らって上る必要があります。

そして、毛細血管で実際のやりとりが行われます。

毛細血管でのやりとり 血液 → 細胞 酸素、養分を渡す 細胞 → 血液 二酸化炭素、不要物を受け取る → 太い血管ではなく 細い血管で交換する

脈拍は、手首や首で測れます。心臓の動きが、血管を通して伝わってくるのです。

ほかの臓器のはたらき

消化・呼吸・循環以外にも、重要な臓器があります。

臓器主なはたらき
肝臓養分をたくわえる/解毒/たん汁を作る
じん臓血液をこして尿を作る
ぼうこう尿をためる
すい臓消化液を作る
ひ臓古い血液を分解

肝臓は、体の中で最も大きな臓器です。

肝臓の主なはたらき ・小腸から届いた養分を たくわえる、作り変える ・体に害のあるものを分解 ・たん汁を作る → 「体の化学工場」 と呼ばれる

じん臓は、血液をきれいにする役目です。

じん臓のしくみ 血液が流れこむ ↓ こし取る(フィルター) ↓ 必要なものは再吸収 ↓ 残りが尿になる → 1日に約150Lをこして 尿は約1.5L (99%は再吸収)

すべての臓器が、血液でつながっています

全体を一つのシステムとして見る

臓器を1つずつ覚えるのではなく、流れとしてとらえると理解しやすくなります。

食べ物 → 消化 → 小腸で吸収 → 血液 → 肝臓 → 全身
空気 → 肺 → 血液 → 全身
不要物 → 血液 → じん臓 → 尿

すべて血液が運び役をしています。
血液の流れを軸に整理すると、ばらばらの知識がつながります。

動物との比較

他の動物の体も、基本は同じです。

動物呼吸のしかた特徴
ほ乳類人と同じ
鳥類肺+気のう効率がよい(飛ぶため)
魚類えら水中の酸素を取る
両生類えら→肺+皮ふ成長で変わる
こん虫気門体の側面から直接

方法はちがっても、酸素を取り入れて二酸化炭素を出す点は同じです。

消化も同様です。動物によって食べるものがちがうので、消化管の長さがちがいます

消化管の長さ(体長との比) 肉食動物 … 短い(約4倍) → 肉は消化しやすい 草食動物 … 長い(約20倍) → 草は消化しにくい 人 … 中間(約8倍) → 雑食

食べるものに合わせて体ができているのです。

ウシなどは胃が4つあり、一度飲みこんだ草を口にもどしてかみ直します。草から養分を得るための、特別な工夫です。

つまずきやすいところ

その1 臓器をばらばらに覚える

名前と位置だけ暗記する。
血液の流れを軸に整理すると、つながりが見えます。

その2 小腸と大腸のはたらきを混同する

どちらが養分を吸収するか迷う。
小腸が養分、大腸が水分を吸収します。小腸が消化の中心です。

その3 はく息に酸素がないと思う

全部二酸化炭素になると考える。
はく息にも約17%の酸素があります。だから人工呼吸が有効なのです。

やってみよう

Q1 養分を吸収するのはどこですか。

A 小腸です。柔毛で表面積を大きくして効率よく吸収します。

Q2 だ液は何を分解しますか。

A デンプンです。ヨウ素液を使った実験で確かめられます。

Q3 肺胞や柔毛に共通する工夫は?

A 表面積を大きくすることです。せまい空間で多くの吸収や交換をこなす工夫といえます。

Q4 自分の脈拍を1分間測ってみましょう。

A 手首や首で測れます。運動の前後で比べると、変化が分かります。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、覚える内容が多く感じられます。しかし、血液の流れを軸に整理すると、一つのシステムとして理解できます。
「食べたものはどこへ行く?」「吸った空気はどうなる?」という問いから入ると、流れとしてとらえやすくなります。
だ液の実験は家庭でもできます。ご飯と水、ご飯とだ液を用意し、ヨウ素液(うがい薬でも代用可)を垂らす。色のちがいがはっきり出ます。
脈拍を測る活動もおすすめです。安静時と運動後で比べると、体が酸素を求めていることが実感できます。
動物との比較は、興味を広げるよい題材です。「なぜ草食動物の腸は長いのか」を考えると、体のつくりと生活の関係が見えてきます。