6年 理科 電気の利用

電気の利用 ── 作る、ためる、変える。3つの力

小学校理科の最後の単元です。電気の全体像をつかみます。

電気を作る

これまで、電気はかん電池から得ていました。6年生では、自分で作ります

手回し発電機 ハンドルを回す ↓ 中のモーターが回る ↓ 電気が発生する → 運動が電気に変わった

ここで、5年生の電磁石が生きてきます。

発電のしくみ 【モーター】 電気 → 磁石のはたらき → 回転 【発電機】 回転 → 磁石のはたらき → 電気 → 同じ装置で 逆のことができる

実際、モーターは発電機にもなります。モーターの軸を手で回すと、電気が発生します。

発電の方法はいろいろあります。

方法回す力特徴
火力燃やして水蒸気安定するが二酸化炭素が出る
水力水が落ちる力再生可能、ダムが必要
風力再生可能、天候に左右
原子力核分裂の熱大量発電、廃棄物と安全性の課題
地熱地下の熱安定、場所が限られる
太陽光回さない(直接)再生可能、夜は発電できない

太陽光以外は、すべて「何かを回して」発電しています。火力も原子力も、水蒸気でタービンを回しているのです。

そして、多くの発電の元をたどると太陽に行きつきます。

エネルギーの源 火力 … 石油・石炭 → 大昔の植物 → 光合成 → 太陽 水力 … 雨が降る → 水の蒸発 → 太陽の熱 風力 … 風が吹く → 空気の温度差 → 太陽 → ほとんどが太陽起源

電気をためる

電気は、ためておくこともできます。

コンデンサー 電気をためる部品 ↓ 手回し発電機で充電 ↓ つないだ豆電球が光る → 発電をやめても しばらく光る

実験では、こんな比較ができます。

同じ量の電気で 【豆電球】 → 明るく光る → でもすぐ消える 【発光ダイオード(LED)】 → 長く光り続ける → LEDのほうが少ない電気で 光を出せる

これが、LEDが省エネと言われる理由です。

なぜLEDは効率がよいか 豆電球 電気 → 熱 → 光 (多くが熱になってしまう) LED 電気 → 光 (直接光になる) → むだが少ない

実際にさわってみると、豆電球は熱く、LEDはあまり熱くなりません

電気をためる装置には、他にもあります。

・かん電池(使い切り) ・充電池(くり返し使える) ・コンデンサー(すぐ出せる) ・大型蓄電池(家庭用、電気自動車)

太陽光や風力は天候に左右されるので、蓄電技術が重要になっています。

電気を変える

電気の便利さは、いろいろなものに変えられることです。

変わるもの使う道具製品の例
豆電球、LED照明、信号、画面
スピーカー、ブザーテレビ、電話、目覚まし
電熱線ドライヤー、こたつ、電気ケトル
運動モーター扇風機、洗濯機、電車
磁力電磁石クレーン、スピーカー

熱を作るしくみも確かめておきましょう。

電熱線の実験 電流を流す → 熱くなる 太さを変えると 細い線 → 熱くなりにくい 太い線 → 熱くなりやすい (同じ電圧なら太いほうが 電流が多く流れる)

この性質を使ったのが、電熱線を使った製品です。

そして、電気は運びやすいという大きな利点があります。

電気の利点 ・電線で遠くまで運べる ・すぐ使える ・いろいろな形に変えられる ・使う場所を汚さない → だから広く使われる

ただし、作る場所では影響があります。発電所の環境負荷は、目に見えないところで発生しているのです。

センサーとプログラム

6年生では、電気を効率よく使う工夫も学びます。

センサーの例 ・人感センサー(人が来たら点灯) ・明るさセンサー(暗くなったら点灯) ・温度センサー(設定温度で切る) ・タイマー(時間で制御) → 必要なときだけ動かす → むだな電気を使わない

これらはプログラムで制御されています。

プログラムの考え方 「もし〜なら、〜する」 もし 暗くなったら → 明かりをつける もし 人が来たら → 動かす もし 設定温度なら → 止める → 条件と動作の組み合わせ

学校では、プログラミングで実際に制御を体験します。

体験できること ・条件を設定する ・動作を指定する ・実行して確かめる ・思い通りに動かなければ直す → 論理的に考える練習

身のまわりの家電の多くが、こうした制御で動いています。エアコン、冷蔵庫、洗濯機。すべてセンサーとプログラムが働いているのです。

エネルギーと持続可能性

この単元は、環境問題と直結します。

日本の発電の課題 ・火力発電が中心 → 二酸化炭素が出る → 燃料は輸入に頼る ・再生可能エネルギーは まだ割合が小さい → 天候に左右される → 蓄電技術が必要

そして、省エネルギーの重要性が増しています。

省エネの方法 ・LEDに変える ・使わないものは切る ・待機電力を減らす ・断熱をよくする ・効率のよい製品を選ぶ ・センサーで自動制御

いちばんクリーンなエネルギーは、使わなかったエネルギーだという言葉があります。

作る努力と同じくらい、減らす努力が大切なのです。

わたしたちにできること ・こまめに電気を消す ・使い方を工夫する ・製品を長く使う ・エネルギーについて考え続ける

そして、この単元は「生物と環境」ともつながります。

つながり 火力発電 → 二酸化炭素 ↓ 地球温暖化 ↓ 生態系への影響 ↓ わたしたちの暮らしへ → すべてつながっている

6年生の理科は、ここで一つの輪になります。

小学校理科を終えて

4年間の理科を振り返ってみましょう。

学んできた領域 ・生き物(植物、動物、人体) ・地球(天気、大地、宇宙) ・物質(水、空気、水よう液) ・エネルギー(光、音、電気、力)

そして、身につけたのは知識だけではありません。

身についた方法 ・観察する ・予想を立てる ・条件を制御して実験する ・記録する ・結果から考える ・根拠を持って結論を出す → 科学的な思考

中学では、これが物理・化学・生物・地学に分かれて、より深く学びます。

でも、基本の姿勢は変わりません

ずっと変わらないこと 「なぜだろう」と思う 「調べてみよう」と行動する 「本当かな」と確かめる → これが科学

この姿勢は、理科の授業だけのものではありません。生きていく上での考え方です。

身のまわりの「なぜ」に気づける人になれたなら、小学校理科は成功です。

つまずきやすいところ

その1 発電のしくみが分からない

なぜ回すと電気ができるか疑問。
5年生の電磁石の逆です。磁石と回転で電気が生まれます。

その2 LEDが省エネな理由

ただ暗いから長持ちすると思う。
豆電球は多くが熱になるのに対し、LEDは直接光になります。むだが少ないのです。

その3 電気は「きれい」だと思う

使うときに汚れないから環境によいと考える。
作る場所で環境負荷が発生しています。使う量を減らすことも大切です。

やってみよう

Q1 手回し発電機は、何を何に変えていますか。

A 運動を電気に変えています。モーターの逆のはたらきです。

Q2 LEDが豆電球より長く光るのはなぜですか。

A 豆電球は多くが熱になるのに対し、LEDは直接光に変えるからです。

Q3 電気は何に変えられますか。4つ言いましょう。

A 光・音・熱・運動です。磁力にも変えられます。

Q4 家の中で、電気を何に変えている製品があるか探してみましょう。

A 照明は光、スピーカーは音、ドライヤーは熱、扇風機は運動。分類してみてください。

まとめ

おうちの方へ

小学校理科の最後を飾る単元です。エネルギーという大きなテーマを通して、これまでの学習が統合されます。
手回し発電機の体験は、印象に残ります。「電気を作るのは大変だ」という実感が、省エネへの意識につながります。
LEDと豆電球の比較も分かりやすい実験です。同じ電気でどれだけ長く光るか、実際に見ると納得できます。
家庭では、電気製品を「何に変えているか」で分類する活動がおすすめです。光、音、熱、運動。身のまわりのものが理科とつながります。
電気代の明細を見るのも良い教材です。使った量が数字で分かり、省エネの効果も実感できます。
そして、4年間の理科で身についた「なぜ?」と問う姿勢を、ぜひ認めてあげてください。それが最大の成果です。