6年 国語 俳句・短歌をつくる

俳句・短歌をつくろう ── 読むときに見つけた「技」を、こんどは自分の手で使う

今まで学んできたのは、誰かがつくった俳句・短歌を読む力でした。6年生のこの単元、俳句・短歌をつくるでは、何もない場所から自分で言葉を選びます。

「読む」と「つくる」は、逆向きの力

詩を読むとき、あなたは「なぜこの言葉を選んだのだろう」と考えます。言葉はすでに置かれていて、その理由を解きほぐす作業です。

読むとき すでにある言葉 ↓ なぜこの言葉? ↓ 理由をさがす

つくるときは、向きが逆になります。まだ何もない場所に、自分で言葉を置いていくのです。

つくるとき まだ何もない ↓ どの言葉にする? ↓ 自分で選ぶ

読むときに見つけた「季語」「省略」「体言止め」といった技は、つくるときにそのまま道具として使えます。読む力があるからこそ、つくる力が育つのです。

音を正しく数える

俳句は五・七・五(17音)、短歌は五・七・五・七・七(31音)です。まず、「音」の数え方を正確にしましょう。

数え方のルール ① ふつうのかな は 1音 「と・ん・ぼ」 → 3音 ② 小さい「ゃゅょ」は 前の文字とくっついて1音 「きょ」 → 1音(2音ではない) ③ 小さい「っ」も1音 「がっこう」 が・っ・こ・う → 4音 ④ 長くひく音(ー、う)も1音 「ラーメン」 ラ・ー・メ・ン → 4音

この数え方で「しんかんせん」を数えると、し・ん・か・ん・せ・ん で6音になります。「きょうしつ」は、きょ・う・し・つ で4音です。小さい「ゃゅょ」を2音と数えてしまうのが、いちばん多いまちがいです。

季語(きご)という圧縮の技

季語は、季節を表す1つの言葉です。俳句には季語が必ず必要で、原則として1句に1つだけ入れます。

季節季語の例
春さくら・つくし・いちご
夏せみ・ひまわり・花火
秋とんぼ・もみじ・いねかり
冬ゆき・こたつ・みかん

季語がなぜ必要なのか。それは、季節の説明を1語にまとめてしまうためです。

季語がないと 「夏になって、とても暑く、 公園でセミが鳴いていた」 → これだけで17音を超える 季語があると 「せみ」の1語で 夏・暑さ・鳴き声まで伝わる → 残りの16音を 場面の描写にすべて使える

季語は、説明を省くための道具です。1語で季節を言えるから、残りの文字数を「今、この瞬間」を描くことに使えるのです。

短歌は、季語がなくてもかまいません。短歌には俳句より14音多く、その分、季語なしでも場面を描く余裕があるからです。

一瞬を選ぶ ── 全部書かない

日記は、起きたことを全部書きます。俳句・短歌は、その反対です。心に残った一瞬だけを選びます。

日記(全部書く) 「公園でセミの声を聞いて、 暑いなと思いながら歩いて、 帰ったら麦茶を飲んだ。 夏がきたなと思った」 俳句(一瞬だけ選ぶ) せみの声 公園じゅうに なつがきた → 「麦茶を飲んだ」もカットする 1つの場面だけに絞る

何を書くか決めるには、まず何を書かないかを決めなければなりません。これが、音数の決まりがもたらすいちばん大きな効果です。17音・31音という狭さが、「どれが一番大事か」を自分に問わせるのです。

見えたものだけを書く

「きれいだった」「うれしかった」と、気持ちを直接書いてしまいがちです。しかし俳句では、見えたもの・聞こえたものだけを書き、気持ちは書かないのが基本です。

説明してしまう例 「花火がきれいだった」 → 感想を言っただけ 見えたものだけを書く例 花火散り 目に残る色 まだ消えず → 「きれい」と言わずに 「目に残る色」と書くことで 読む人が「きれいだ」と感じる

感想を書く代わりに、感想が生まれる材料だけを置く。読む人の中に同じ気持ちを作り出すのが、俳句の技です。

短歌は、下の句で気持ちを言ってよい

俳句と短歌の大きな違いは、気持ちを言ってよいかどうかにもあります。

音数季語気持ち
俳句五・七・五(17音)必ず入れる直接は言わない
短歌五・七・五・七・七(31音)なくてもよい下の句で言ってもよい

短歌は上の句(五・七・五)で場面を描き、下の句(七・七、14音)で気持ちを言うことができます。

上の句(場面を描く) 夕やけが 町をつつんで しずんでく 下の句(気持ちを言ってよい) かえりたくない きょうのこの日は

俳句の17音には気持ちを言う余裕がありませんが、短歌の31音には場面を描いたあとに、気持ちまで言う余裕があります。これは音数の違いがそのまま生み出す違いです。

つくり方の手順

① 一瞬を選ぶ (全部書こうとしない) ② 季語を選ぶ(俳句のとき) 季節と場面が合っているか確認 ③ 五感のうち1つを使う 見えた・聞こえた・におった のどれか1つに絞る ④ 音を数えて五七五に収める 数え方のルールを使う ⑤ 声に出して確かめる つまって聞こえる所は 言葉を変える

③で五感を1つに絞るのがポイントです。「見えて、聞こえて、においもした」と全部書こうとすると、17音には収まりません。

つまずきやすいところ

その1 日記のように全部書いてしまう

起きたことを順番に書いていくと、必ず17音・31音を超えます。
いちばん心に残った1つの場面だけに絞りましょう。

その2 季語が2つ入ってしまう、季節とずれる

「さくら」(春)を入れたのに「ゆきがふる」(冬)も書いてしまう。季節が2つ混ざると、読む人が場面を思い浮かべられません。
季語を選んだら、そのあとに書く言葉もその季節に合わせることを確認します。

その3 「〜と思った」で終わる

「きれいだと思った」「うれしかった」で終わると、気持ちを説明しただけになります。
何を見て、何を聞いてそう感じたのか、その材料だけを書きましょう。

やってみよう

Q1 「ちょうちょう」は何音ですか。数え方のルールを使って答えましょう。

A ちょ・う・ちょ・う で4音です。小さい「ょ」は前の文字とくっついて1音と数えます。

Q2 「赤とんぼ 夕焼け空に とけていく」の音数を確認しましょう。季語は何ですか。

A あかとんぼ(5)・ゆうやけぞらに(7)・とけていく(5)で五・七・五。季語は「とんぼ」(秋)です。

Q3 「花火がきれいだった」を、見えたものだけで書き直すとしたら、どこを変えますか。

A 「きれいだった」という感想の部分を、見えた色や形など、具体的な材料に変えます。

Q4 俳句と短歌で、気持ちの言い方に違いがあるのはなぜですか。

A 短歌は俳句より14音多く、場面を描いたあとに気持ちを言う余裕が下の句にあるためです。

まとめ

おうちの方へ

俳句・短歌づくりは、6年生国語の「読む」単元の延長にある「書く」活動です。これまで物語や詩を読むときに見つけてきた表現技法を、自分の手で使う番です。
いちばんつまずきやすいのは、音数を正確に数えることと、気持ちを直接書いてしまうことの2点です。
音数は、小さい「ゃゅょ」「っ」、長くひく音を1音として数えるルールさえ分かれば、あとは機械的に数えられます。お子さんが作った句を、一緒に指で押さえながら数えてみてください。
気持ちを直接書いてしまうクセは、「その気持ちになったのは、何を見た(聞いた)から?」と聞き返すと直りやすいです。見えたものだけを書けば、気持ちはおのずと読む人に伝わります。
うまくできなくても構いません。季語を1つ選んで、一瞬を切り取る体験そのものに価値があります。