6年 国語 言葉のきまり

言葉のきまり ── 通じない文には、必ず理由がある

「なんか変な文」には、はっきりした原因があります。6年間の総整理です。

文の骨組み

日本語の文は、主語と述語が骨組みになっています。

主語 … 「何が」「誰が」 述語 … 「どうする」「どんなだ」「何だ」 犬が 走る。 空が 青い。 彼は 医者だ。

そして、日本語には大きな特徴があります。

日本語の特徴 ① 述語が文の最後に来る ② 主語が省略されることが多い ③ 語順が比較的自由

②の省略は、日本語の大きな特徴です。

「今日は暑いね」 → 誰が言っているか書かれていない → でも通じる 「明日行きます」 → 「わたしが」が省略 → 文脈で分かる

省略できるのは便利ですが、あいまいさの原因にもなります。

文章を書くときは、誰の行動か分かるかを確認する必要があります。

主語と述語の照応

6年生でとくに大切なのが、照応です。

照応 = 主語と述語がかみ合うこと ○ わたしの夢は 医者になることです。 × わたしの夢は 医者になりたいです。

2つ目がおかしいのはなぜでしょうか。

分解すると 主語:わたしの夢は 述語:なりたいです 「夢は なりたい」? → 夢がなりたがっている? → おかしい 正しくは 「夢は 〜ことです」

このような文を「ねじれた文」といいます。

よくあるねじれ × 私の目標は、毎日走ります。 ○ 私の目標は、毎日走ることです。 × この本の内容は、とても感動しました。 ○ この本の内容に、とても感動しました。 ○ この本の内容は、感動的でした。 × 大切なことは、あきらめない。 ○ 大切なことは、あきらめないことです。

ねじれを防ぐには、主語と述語だけを取り出して読むのが確実です。

確認方法 文が長いとき 「わたしが 昨日 図書館で 借りた 本の内容は とても 面白かったです」 主語:内容は 述語:面白かったです → 「内容は面白かった」 ○ → かみ合っている

間に言葉がたくさん入ると、書いている本人も忘れてしまうのです。

修飾語のかかり方

もう一つの重要な問題が、修飾語がどこにかかるかです。

あいまいな例 「白い 犬の 首輪」 ① 白いのは犬? ② 白いのは首輪? → どちらとも読める

これを防ぐ方法があります。

方法1:語順を変える 「犬の 白い 首輪」 → 首輪が白いと分かる 方法2:読点を打つ 「白い、犬の首輪」 → 首輪が白い 「白い犬の、首輪」 → 犬が白い

読点(、)の位置で意味が変わることがあります。

有名な例 「ここではきものをぬいでください」 ここで、はきものを脱いで ここでは、きものを脱いで → 読点の位置で まったくちがう意味に

読点は、意味の切れ目を示すために打ちます。

読点を打つ場所 ・主語の後(長い場合) ・接続語の後 ・修飾語のかかり先を示すとき ・並列するとき ・読みにくいとき

打ちすぎても読みにくくなります。音読して息継ぎしたくなる場所が目安です。

文の組み立て

文には、いくつかの種類があります。

種類特徴
単文主語・述語が1組犬が走る。
複文主語・述語の関係が入れ子犬が走るのを見た。
重文主語・述語が対等に並ぶ犬が走り、猫が寝る。

文が長くなるほど、ねじれやすくなります

長い文の危険 ・主語と述語が離れる ・修飾関係が分かりにくい ・読み手が迷う → 対策:短く切る

一文を短くするのは、分かりやすく書くための基本です。

長い文 「わたしは昨日図書館へ行って本を 借りたのですが、その本がとても 面白かったので一晩で読んでしまい、 今日また新しい本を借りに行きました」 短く分ける 「わたしは昨日、図書館で本を借りました。 その本はとても面白く、一晩で 読んでしまいました。 今日また、新しい本を借りに行きました」 → 読みやすい

目安は一文50字以内です。長くなったら切りましょう。

敬語の総整理

5年生で学んだ敬語を、あらためて整理します。

種類誰を高めるか
尊敬語相手の動作を高めるおっしゃる、いらっしゃる
謙譲語自分の動作を低める申す、うかがう
丁寧語言い方を丁寧にです、ます

見分けの原則は、誰の動作かです。

6年生では、組み合わせて使うことも学びます。

組み合わせの例 「先生がおっしゃいました」 尊敬語 + 丁寧語 「わたしが申し上げます」 謙譲語 + 丁寧語 → 丁寧語は 尊敬語・謙譲語と併用できる

そして、手紙やメールでの使い方も確認しておきましょう。

手紙の基本 ・宛名に敬称(様、先生) ・時候のあいさつ ・本文(敬語で) ・結びのあいさつ ・日付と署名 → 形式にも敬意が表れる

敬語は形式と気持ちの両方で成り立ちます。形だけ整っていても、心がこもっていなければ伝わりません。

書き終えたら読み返す

文法的なミスは、書いている最中には気づきにくいものです。
書き終えたら、必ず読み返しましょう。

確認すること
・主語と述語はかみ合っているか
・一文が長すぎないか
・修飾語のかかり先は明確か
・読点は適切か
・敬語の使い方は正しいか

とくに声に出して読むと、不自然な部分に気づきやすくなります。
「なんか変だな」と感じたら、たいてい何かおかしいのです。

なぜ文法を学ぶのか

文法は、退屈に感じるかもしれません。でも、目的ははっきりしています。

文法を学ぶ理由 ① 正確に伝えるため → 誤解されない文が書ける ② 正確に読み取るため → 複雑な文も理解できる ③ 自分の文を直せるため → 「なんか変」の原因が分かる ④ 外国語を学ぶ土台 → 日本語の構造を知っていると 比較しやすい

とくにが実用的です。

文法を知らないと、「変だけど、どこが変か分からない」状態になります。知っていれば、原因を特定して直せます

例 「なんか読みにくい」 ↓ 文法の知識があれば ↓ 「一文が長すぎる」 「主語がねじれている」 「修飾語が離れすぎ」 ↓ 直せる

そして、中学では英語が本格的に始まります。

日本語と英語のちがい 日本語:主語 → 目的語 → 述語 「わたしは 本を 読む」 英語 :主語 → 述語 → 目的語 I read a book. → 語順がちがう → 日本語の構造を知っていると ちがいが分かりやすい

母語の文法を意識することは、外国語学習の助けにもなるのです。

つまずきやすいところ

その1 主語と述語がねじれる

「わたしの夢は医者になりたいです」
主語と述語だけ取り出して読むと気づけます。「夢は〜ことです」の形にします。

その2 一文が長すぎる

接続助詞でつなぎ続ける。
50字を目安に切る。短い文のほうが伝わります。

その3 修飾語のかかり先が不明

「白い犬の首輪」のようにあいまい。
語順を変えるか読点を打つ。かかる語の近くに置くのが基本です。

やってみよう

Q1 「わたしの目標は、毎日走ります」はなぜおかしいですか。

A 主語「目標は」と述語「走ります」がかみ合っていないからです。「走ることです」が正しい形です。

Q2 ねじれを防ぐ確認方法は?

A 主語と述語だけ取り出して読んでみることです。

Q3 一文の長さの目安は?

A 50字以内が目安です。それを超えたら、意味の切れ目で二文に分けます。

Q4 自分が書いた作文を読み返し、ねじれや長すぎる文を探してみましょう。

A 声に出して読むと、不自然な部分に気づきやすくなります。

まとめ

おうちの方へ

文法は、覚えるためではなく使うためにあります。この視点を持てると、学ぶ意味が見えてきます。
お子さんの作文で「なんとなく変」な文を見つけたら、一緒に原因を探してみてください。「主語と述語だけ読んでみようか」と促すと、自分で気づけます。
一文を短くすることは、大人でも意識すべき技術です。長い文は、書いている本人も混乱します。
「ここではきものをぬいでください」のような例文は、読点の重要性を実感させる好例です。他にも探してみると面白いです。
中学では英語が本格化します。日本語の構造を意識しておくと、語順のちがいなどが理解しやすくなります。