6年 国語 話し合って考えを深める

話し合って考えを深める ── 勝ち負けではなく、より良い答えへ

話し合いの目的は、相手を負かすことではありません。

話し合いの目的

まず、何のために話し合うのかを確認します。

話し合いの目的 ・より良い結論を出す ・いろいろな見方を知る ・自分の考えを深める ・みんなが納得できる形を探す × 自分の意見を通す × 相手を言い負かす

ここを間違えると、話し合いが争いになってしまいます

大切なのは、次の姿勢です。

よい話し合いの姿勢 ・自分の考えが変わってもよい ・相手の意見から学ぶ ・分からないことは聞く ・意見と人格を分けて考える

とくに「意見と人格を分ける」ことが重要です。

分けて考える ○ 「その意見には賛成できない」 × 「あなたはまちがっている」 → 意見を批判しても 人を否定しない

これができると、安心して意見を言える場ができます。

話し合いの進め方

効果的な話し合いには、段階があります。

① 論点を確認する 何について話し合うのか ② 意見を出す まず全員が考えを述べる ③ 質問・確認する 分からない点を明らかに ④ 論点を整理する どこで意見が分かれているか ⑤ 検討する それぞれの長所短所を考える ⑥ まとめる 結論、または今後の課題

とくに①の論点確認を飛ばすと、話がかみ合いません。

論点がずれる例 テーマ「休み時間を長くすべきか」 Aさん「勉強時間が減る」 Bさん「遊ぶ時間が必要」 Cさん「トイレが混む」 → それぞれ別の話をしている → 論点を整理する必要

そして、④の論点整理が話し合いの中心です。

整理のしかた 意見を分類する ・賛成/反対 ・重視する点ごと ・前提のちがい 対立点を明確にする 「学習時間と休息時間、 どちらを優先するか」 → 何を決めればよいかが はっきりする

司会の役割

話し合いには、司会が必要です。

司会の仕事 ・目的と論点を示す ・発言を促す ・時間を管理する ・話がずれたら戻す ・意見を整理する ・まとめる

司会は自分の意見を言わないのが原則です。中立の立場で進めます。

司会に役立つ言い方があります。

発言を促す 「〇〇さんはどう思いますか」 「他に意見はありませんか」 「反対の立場からはどうでしょう」 整理する 「今、2つの意見が出ています」 「〇〇という点で分かれていますね」 「これまでの意見をまとめると」 進める 「その点をもう少し詳しく」 「別の視点はありませんか」 「そろそろまとめましょう」

とくに「反対の立場からは?」という問いかけは有効です。同じ意見ばかりになるのを防ぎます。

発言しない人への配慮

話し合いでは、話す人が偏ることがよくあります。
司会は、発言していない人に声をかけましょう。
ただし、いきなり「どう思う?」と聞かれると答えにくいものです。

工夫の例
・先に考える時間を取る
・紙に書いてから発表する
・少人数で話してから全体へ
・「賛成か反対か」だけ聞く

発言しない人にも考えはあります。それを引き出すのが司会の腕です。

意見のちがいを扱う

意見が分かれたとき、どうすればよいでしょうか。

まず確かめること ・事実のちがいか → 調べれば解決する ・価値観のちがいか → 簡単には解決しない ・言葉の意味のちがいか → 定義をそろえれば解決 ・立場のちがいか → 両方の事情を理解する

事実のちがいなら、調べれば決着します。

例 A「図書室の利用者は減っている」 B「増えているはずだ」 → 記録を調べればよい → 事実は一つ

難しいのは価値観のちがいです。

例 A「効率を優先すべきだ」 B「みんなが楽しむことが大切だ」 → どちらも正しい → 何を重視するかのちがい → 話し合いで決着しないことも

こういうときは、両立できないか考えるのが建設的です。

第3の案を探す A案 と B案 のどちらか ↓ 「両方の良さを生かせないか」 ↓ C案が生まれることも → 対立から創造へ

対立は悪いことではありません。むしろ、新しい案を生む力になります。

結論の出し方

話し合いの結論には、いくつかの形があります。

方法長所短所
全員一致納得度が高い時間がかかる
多数決早く決まる少数意見が消える
妥協案両方に配慮中途半端になることも
試行するやってみて判断時間が必要
結論を保留拙速を避ける進まない

多数決は便利ですが、注意点があります。

多数決の問題点 ・少数意見が無視される ・十分議論せずに使うと 話し合いの意味がない ・多数派が正しいとは限らない → 最後の手段として使う → 使う前に十分議論する

そして、多数決で決めた後も少数意見への配慮が必要です。

配慮の例 ・反対意見の理由を記録に残す ・心配された点に対策を取る ・後で見直す機会を作る → 「決まったから終わり」に しない

また、結論が出ないことも、話し合いの結果として認められます。

結論が出なくても得られるもの ・論点が明確になった ・ちがう見方を知った ・何を調べればよいか分かった ・自分の考えが深まった → これも成果

反論のしかた

話し合いでは、反論も必要です。ただし、やり方があります。

よい反論の形 ① まず理解を示す 「〇〇という点は おっしゃる通りだと思います」 ② 疑問や別の見方を示す 「ただ、△△の場合は どうでしょうか」 ③ 代案を出す 「□□という方法なら 両方の心配が解決するのでは」

①の「まず認める」が重要です。いきなり否定すると、相手は防御的になります。

避けたい言い方 × 「それはちがいます」 × 「分かってないですね」 × 「前にも言いましたが」 → 相手が聞く気をなくす

そして、反論されたときの受け止め方も大切です。

反論されたら ・まず最後まで聞く ・「なるほど」と受け止める ・分からなければ質問する ・納得できたら考えを変える ・反論があれば根拠を示して返す

考えを変えることは負けではありません。むしろ、成長です。

「〇〇さんの話を聞いて、考えが変わりました」と言える人は、信頼されます

つまずきやすいところ

その1 勝ち負けだと思う

自分の意見を通すことが目的になる。
話し合いはより良い結論を探す場です。考えが変わってもよいのです。

その2 論点がずれたまま進む

それぞれが別の話をする。
最初に論点を確認し、途中でずれたら戻します。司会の重要な役割です。

その3 多数決をすぐ使う

議論せずに投票する。
多数決は最後の手段です。まず十分に話し合い、少数意見にも配慮します。

やってみよう

Q1 話し合いの目的は何ですか。

A より良い結論を出し、考えを深めることです。相手を負かすことではありません。

Q2 話し合いで最初にすべきことは?

A 論点を確認することです。何について話すかが曖昧だと、かみ合いません。

Q3 よい反論の形を3段階で言いましょう。

A ①理解を示す ②疑問を示す ③代案を出す。まず認めることが大切です。

Q4 身近なテーマで、家族と話し合ってみましょう。

A 論点を決め、それぞれの意見を出し、整理する。結論が出なくても構いません。

まとめ

おうちの方へ

話し合いの技術は、社会に出てから最も使う力の一つです。会議、交渉、家族の相談。形は変わっても、原理は同じです。
この単元でぜひ伝えたいのは、「考えが変わってもよい」という価値観です。意見を変えることを「負け」だと思うと、対話が成立しません。
家庭での話し合いは、最良の練習の場です。旅行先、ルール、買い物。実際に決める必要があることを、話し合いの形で扱ってみてください。
そのとき、大人が「その意見、なるほどね」と受け止める姿を見せることが重要です。子どもは、大人のふるまいから対話の作法を学びます。
結論が出ない話し合いも、価値があることを伝えてあげてください。世の中には答えの出ない問題がたくさんあります。