6年 国語 論説文を読む

論説文を読む ── 書いてあることを、うのみにしない

6年生の読解は、理解するだけで終わりません。妥当かどうかを考えます。

説明文と論説文

これまで「説明文」を読んできました。6年生では論説文という言葉も出てきます。

説明文論説文
目的知らないことを説明する自分の考えを主張する
中心事実の情報筆者の意見
読者に分かってもらう納得してもらう
「クモの糸のしくみ」「自然を守るべきだ」

実際には、きれいに分かれないことも多くあります。説明しながら主張する文章がほとんどです。

大切なのは、どこが事実で、どこが意見かを見分けることです。5年生で学んだ技術がここで生きます。

批判的に読むとは

6年生で新しく求められるのが、批判的に読むことです。

「批判的」の意味 × 悪口を言う、けなす ○ 鵜呑みにせず、 筋道を確かめながら読む

この誤解を解いておくことが大切です。批判的に読むとは、「本当にそうかな?」と考えながら読むことです。

確かめるポイントは3つあります。

① 根拠は確かか ・データの出どころは? ・いつの情報? ・調べ方は適切? ② 根拠から主張が導けるか ・論理の飛躍はないか ・別の説明もできないか ③ 他の見方はないか ・反対の立場ならどう言う? ・都合の悪い事実を 無視していないか

とくに②の「論理の飛躍」が重要です。

論理の飛躍の例 事実:Aを飲んだ人の8割が健康だった 主張:Aは健康によい → 本当にそう言える? ・もともと健康な人が Aを飲んでいただけかも ・他に理由があるかも ・8割は多いのか? 比べる相手は?

事実が正しくても、そこから導かれる主張が正しいとは限りません

よくある「あやしい」論の形

気をつけるべき論の進め方を、いくつか紹介します。

【1】一部を全体のように言う 「若者はスマホばかり見ている」 → 一部の若者の話を 全体に広げていないか
【2】2つに1つしかないように言う 「賛成か反対か、どちらかだ」 → 中間の立場や 別の選択肢はないか
【3】原因と結果を取りちがえる 「本をよく読む子は成績がよい。 だから本を読めば成績が上がる」 → 逆かもしれない (成績がよい子が本を読む) → 別の原因かもしれない
【4】権威にたよる 「有名な先生が言っているから正しい」 → 誰が言ったかではなく 何を根拠にしているか
【5】感情に訴える 「かわいそうだから、こうすべきだ」 → 気持ちは分かるが、 それだけで判断してよいか

これらは、一見もっともらしく聞こえるのが厄介なところです。

だから、立ち止まって考える習慣が必要なのです。

批判は否定ではない

批判的に読むことは、筆者を否定することではありません
むしろ、真剣に読んでいる証拠です。
そして、検討した結果「やはり筆者の言う通りだ」となることも多くあります。それでよいのです。
大切なのは、考えずに受け入れないこと。自分の頭で判断することです。
疑うことと、否定することはちがいます。

読み方の手順

論説文を読むときの手順を整理します。

第1段階:理解する ① 全体をざっと読む ② 筆者の主張を見つける ③ 根拠を確認する ④ 論の流れを整理する
第2段階:検討する ⑤ 根拠は確かか考える ⑥ 論理の飛躍がないか確かめる ⑦ 別の見方を想像する ⑧ 自分はどう考えるか決める

まず正確に理解することが先です。理解せずに批判はできません。

そして、検討するときはメモを取ると考えが整理されます。

メモの例 筆者の主張: 〜すべきだ 根拠: ①〜というデータ ②〜という例 疑問: ・データはいつのもの? ・②は特別な例では? 自分の考え: 〜という点は納得できる でも〜については疑問

このように書き出すと、自分が何を考えているかがはっきりします。

複数の文章を読み比べる

6年生では、同じテーマの異なる意見を読み比べることもあります。

例:「AIの活用について」 文章A:積極的に活用すべき 根拠:作業が効率化する 新しい仕事が生まれる 文章B:慎重であるべき 根拠:仕事が失われる 判断を任せる危険性

どちらが正しいのでしょうか。簡単には決められません

読み比べるときのポイントは、次の通りです。

・それぞれの主張は何か ・それぞれの根拠は何か ・共通している事実はあるか ・どこで意見が分かれているか ・なぜ分かれるのか ・自分はどう考えるか

とくに「なぜ分かれるのか」を考えると、深い理解につながります。

意見が分かれる理由 ・重視する価値がちがう (効率 vs 安全) ・立場がちがう (企業 vs 労働者) ・見ている範囲がちがう (短期 vs 長期) ・前提としている事実がちがう

どちらも正しい部分があることが多いのです。

大人の社会でも、意見が分かれる問題はたくさんあります。正解が一つでない問題にどう向き合うか。それを学ぶ機会でもあります。

なぜこの力が必要か

批判的に読む力は、これからの時代に不可欠です。

情報があふれる時代 ・誰でも発信できる ・確認されていない情報も広がる ・AIが作った文章や画像もある ・自分に都合のよい情報だけ 届くしくみもある

とくに最後の点は要注意です。インターネットには、自分が好みそうな情報を優先して見せるしくみがあります。

その結果 同じ意見ばかり目にする ↓ それが当たり前だと思う ↓ ちがう意見に触れなくなる ↓ 考えが偏っていく

これを防ぐには、意識してちがう意見を読む必要があります。

そして、自分の考えも疑うことです。

自分にも問いかける ・なぜそう思うのか ・根拠はあるか ・反対の立場ならどう考える? ・思いこみではないか

批判的に読む力は、他人の文章だけでなく、自分の考えにも向けるものです。

それができれば、考えを更新していける人になります。新しい事実を知ったら、意見を変えてよいのです。それは負けではなく、成長です。

つまずきやすいところ

その1 批判=否定だと思う

けなすことだと誤解する。
批判的に読むとは筋道を確かめることです。結果として賛成することも多くあります。

その2 理解せずに批判する

読み取る前に疑問を並べる。
まず正確に理解するのが先です。理解できていないと、的外れな批判になります。

その3 どちらかを選ばなければと思う

複数の意見のどちらかに決めようとする。
どちらにも一理あることが多いのです。共通点と相違点を整理するほうが有益です。

やってみよう

Q1 「批判的に読む」とはどういうことですか。

A 鵜呑みにせず、筋道を確かめながら読むことです。否定することではありません。

Q2 根拠が正しければ、主張も正しいと言えますか。

A 言えません。根拠から主張が導けるか(論理の飛躍がないか)も確かめる必要があります。

Q3 意見が分かれる理由には何がありますか。

A 重視する価値・立場・見ている範囲のちがいなどです。

Q4 新聞のコラムを1つ読み、主張・根拠・疑問をメモしてみましょう。

A 書き出すと、自分の考えがはっきりします。家族と話し合うとさらに深まります。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、情報社会を生きるうえで決定的に重要な力を扱います。
「批判的」という言葉の誤解を、まず解いてあげてください。悪口を言うことではなく、丁寧に考えることです。
新聞のコラムや社説は、良い教材です。子ども新聞から始めるとよいでしょう。「この人は何を言いたいの?」「その理由は?」「本当にそう言える?」と問いかけてみてください。
意見が分かれる問題について、家族で話し合うのも効果的です。答えを出す必要はありません。ちがう考えがあることを知るだけで十分です。
そして、大人自身が「自分の考えも疑う」姿勢を見せることが、いちばんの教育になります。「そう思ってたけど、その話を聞いて考えが変わった」と言える大人の姿は、強いメッセージになります。