一場面の気持ちから、その人全体の姿へ。読み取りが一段深くなります。
4年生では「その場面の気持ち」、5年生では「気持ちの変化」を読み取りました。
6年生では、人物像をとらえます。
一場面の気持ちではなく、物語全体を通して見えてくる姿です。
人物像は、複数の場面から総合して読み取ります。
人物像を読み取る手がかりは、いくつもあります。
| 手がかり | 読み取れること |
|---|---|
| 行動 | 何を選ぶか=価値観 |
| 言葉づかい | 性格、育ち、立場 |
| 他の人への態度 | 関係性、思いやり |
| くり返される行動 | その人らしさ |
| 困難への対応 | 強さ、弱さ |
| 他の人物の評価 | 外から見た印象 |
とくに重要なのが「何を選ぶか」です。
そして、くり返される行動にも注目します。
物語の中で「またこうした」という場面があれば、それが人物像を表す鍵です。
6年生では、複数の視点から人物を見ることも学びます。
人は多面的です。1つの見方だけでは、その人をとらえきれません。
物語でも、他の人物のセリフが人物像を教えてくれます。
ただし、他の人物の評価が正しいとは限りません。誤解していることもあります。
むしろ、評価と実際のちがいが物語の面白さになることもあります。
人物は、物語の中で変化します。6年生では、その要因まで考えます。
大切なのは、なぜその出来事が人を変えたのかを考えることです。
同じ出来事でも、人によって受け止め方がちがいます。
つまり、変化のしかたそのものが人物像なのです。
登場人物が多い物語では、人物関係図をかくと整理できます。
太郎
/ \
友人/ \対立
花子 ——— 次郎
ライバル
人物を丸で囲み、線でつないで関係を書きこむ。
「友人」「対立」「あこがれ」「兄弟」など。
関係が見えると、なぜその行動を取ったかが理解しやすくなります。
物語が進むにつれて関係が変わることもあるので、変化も書き加えるとよいでしょう。
読み取った人物像を、言葉で表現する練習も大切です。
コツは、行動を含めて表現することです。
そして、矛盾する面も含めて書けると、より深い読み取りになります。
物語の登場人物が魅力的なのは、単純な「いい人」「悪い人」ではないからです。
そして、本文の根拠を示せることが大切です。
複数の場面を根拠にできると、説得力が増します。
6年生では、誰が語っているかにも意識を向けます。
一人称の場合、語り手の見方が正しいとは限りません。
この「語り手の誤解」を利用した物語は多くあります。読者は語り手と一緒に思いこみ、一緒に気づくのです。
だから、一人称の物語では語り手の言葉も疑いながら読むと、深く味わえます。
1つの行動から性格を決めつける。
人物像は複数の場面から総合して読み取ります。くり返される行動に注目しましょう。
「やさしい人」で済ませる。
行動を含めて具体的に表現します。どんな場面で何をする人かまで書きこみましょう。
一人称の語りをすべて事実だと思う。
語り手にも思いこみや誤解があります。疑いながら読むと深く味わえます。
Q1 人物像と気持ちのちがいは何ですか。
A 気持ちはその場面の感情、人物像は物語全体から見える一貫した姿です。
Q2 人物像を読み取る手がかりを3つ言いましょう。
A 行動・言葉づかい・他の人への態度など。くり返される行動がとくに重要です。
Q3 人物像を表現するコツは?
A 行動を含めて具体的に。「〜するとき、〜する人」という形が有効です。
Q4 好きな物語の登場人物について、人物像を一文で書いてみましょう。
A 根拠となる場面も2つ以上挙げられると、しっかりした読み取りになります。
6年生の物語読解は、人物を立体的にとらえる段階に入ります。単純な「いい人・悪い人」の区分から離れ、複雑さを受け止める力が求められます。
これは、人間理解そのものの学習でもあります。「人には色々な面がある」という理解は、実生活の人間関係にも生きます。
お子さんが「やさしい人」で終わってしまうときは、「どんなところが?」「どの場面から?」と問いかけてください。具体化が深まります。
人物関係図をかく作業も有効です。とくに登場人物が多い物語では、整理するだけで理解が進みます。
読書後の会話では、「その人、どんな人だと思った?」と聞いてみてください。同じ本でも受け取り方がちがうことが分かり、対話が深まります。