「サッカーをします」と「サッカーをしています」。日本語では、最後がすこし変わっただけのよく似た文です。ところがこれを英語にすると I play soccer. と I am playing soccer. になり、文のいちばん前に am が増えたうえ、動詞が playing という別の形に着がえます。しかも、打ち消すときに don't を呼んではいけなくなり、答え方まで Yes, I do. から Yes, I am. に変わります。一か所だけ手を入れたように見えて、じつは文のしくみがまるごと入れかわっているのです。この記事では、その入れかわりを1本の筋でたどります。
まず、日本語のほうから見てみます。「する」を「している」に変えるとき、わたしたちが手を入れるのは文のうしろです。
「読む」→「読んでいる」、「走る」→「走っている」。どれも動詞のうしろに部品がくっつきます。前のほうは何も動きません。日本語を話す人にとって、これはあまりにも当たり前なので、意識すらしないきまりです。
英語は、ここでちがう道を選びました。
足す場所が前なのです。しかも、ただ前に足すだけではなく、うしろの動詞まで play → playing と形を変えています。日本語が1か所だけで済ませていることを、英語は2か所を同時に動かして表している、ということになります。
ここが、この形をむずかしく感じる最初の理由です。「している」に当たる部品をひとつ探そうとしても、見つかりません。am と -ing の2つに分かれて入っているからです。そして2つで1組なので、片方だけでは文になりません。
テストでいちばん多いまちがいは、上の2行のどちらかです。どちらも「半分だけ正しい」形で、半分だけでは通じません。am/is/are と -ing は、いつも手をつないで出てくると覚えてしまうのが近道です。
am は「は」ではないの記事で、英語の文にはひとつ大事なきまりがあると書きました。1つの文で、動詞の場所に立てるのはちょうど1つ、というきまりです。だから I am like soccer. のように be動詞とふつうの動詞をならべることはできません。
ところが I am playing soccer. は、am と playing が仲よくならんでいます。きまりが破られているのでしょうか。
破られていません。playing は、もう動詞として文を動かしていないからです。文を動かしているのは am のほうで、playing は「どんなようすでいるのか」を表す係に回っています。日本語でたとえるなら、「わたしは走っている状態でいる」と言っているのに近い形です。
ほんとうにそうなのか、たしかめる方法があります。だれが主語かによって変わるのは、どちらなのかを見るのです。
変わっているのは am / is / are のほうだけで、playing はだれが主語でも playing のままです。もし playing が動詞として働いているなら、He likes の s の記事で見たとおり、he のときには s がついて playings になるはずです。でも、そんな形は英語のどこにもありません。
つまり、人や時の印を背負っているのは am / is / are のほう。playing は印を持たない、身軽な係です。英語は印を1か所にしか置かないという考え方で動いていて、ここでもそのとおりになっています。
この見方ができるようになると、次の節から先は、ぜんぶ自動的に決まります。文を動かしているのが am なら、この文は be動詞の文とまったく同じ動き方をするはずだからです。
ここから先は、-ing のはたらきを「形の作り方」「打ち消し方」「答え方」の順に見ていきます。まずは形からかたづけておきます。数が多そうに見えますが、型は3つだけです。
| 型 | 見分け方 | やること | 例 |
|---|---|---|---|
| ①そのまま | ふつうの語 | うしろに ing をつける | play→playing/read→reading/eat→eating/go→going |
| ②e で終わる | 読まない e が最後にある | e を取ってから ing | make→making/write→writing/come→coming/take→taking |
| ③重ねる | 短い語で〈子音・母音・子音〉で終わる | 最後の字を重ねてから ing | run→running/swim→swimming/sit→sitting/put→putting |
②で気をつけたいのは、取ってよいのは「読まない e」だけということです。see や free のように e が2つならんでいるものは、その e を読んでいるので取りません。see→seeing、free→freeing です。
③がいちばんまちがえやすいので、見分け方をはっきりさせておきます。語のおしりから3文字を見てください。run なら r・u・n で、〈子音・母音・子音〉。swim なら w・i・m で、やはり〈子音・母音・子音〉。この形のときだけ、最後の字を重ねます。
rain も help も「子音で終わって」はいますが、その前が母音1つではないので、重ねません。ここを「短い語はぜんぶ重ねる」と覚えてしまうと、raining が rainning になってしまいます。見るのは長さではなく、おしりの3文字のならびです。
Yes, I do. の do の記事で、英語にはこういうきまりがあると書きました。打ち消す文やたずねる文を作るときは、前へ出られる言葉(be動詞や can)がその文にいるかどうかをまず調べる。いれば、その言葉を使う。いなければ、do をやとってくる。
このきまりを、いまの文にそのまま当てはめてみます。
am がいるのだから、わざわざ人をやとう理由がありません。だから I don't playing soccer. は成り立ちません。これは「まちがえて覚えた」のではなく、係を2人やとってしまった形です。
たずねる文も同じです。前へ出るのは、その文にもともといる言葉です。
この2つは、字づらは似ていますがたずねている中身がちがいます。上は「ふだんサッカーをしていますか(部活でやっている?)」、下は「いま、この瞬間サッカーをしている最中ですか」です。日本語にすると、どちらも「サッカーするの?」になってしまうのが、わたしたちにとっての落とし穴です。
答え方も、考えることは1つだけです。たずねる文のいちばん前に出ていた言葉を、そのままくり返す。これが英語の答えのきまりでした。
| たずねる文 | いちばん前の言葉 | Yes の答え | No の答え |
|---|---|---|---|
| Do you play soccer? | Do | Yes, I do. | No, I don't. |
| Are you playing soccer? | Are | Yes, I am. | No, I'm not. |
| Is he playing soccer? | Is | Yes, he is. | No, he isn't. |
同じ「サッカーするの?」に聞こえても、聞かれ方で答えが変わる。ここが、この形をきちんと分けておく実用的な理由です。聞かれたのが do なら do を、are なら am を返す。答える人は、相手が使った言葉をよく聞いていればいいことになります。
では、自分から言うときはどちらを選べばいいのでしょうか。手がかりになる言葉があります。
every day(毎日)は、いまこの瞬間の話ではありません。ですから I am playing soccer every day. はおかしな文になります。反対に、電話で「いま何してるの?」と聞かれて I eat lunch. と答えると、「わたしはふだん昼ごはんを食べます」という、聞かれていないことを答えた文になってしまいます。I am eating lunch. が正解です。
ここまで来ると、なんでも -ing にしたくなりますが、ひとつだけ例外の区画があります。動きではなく、じっとした状態を表す言葉です。
like(好きだ)・know(知っている)・want(ほしい)は、体を動かしてやることではありません。もともと、ずっとその状態でいる言葉です。ずっと続いているものに「いま最中です」と言っても、新しく伝わることが何もないので、英語はこの形を使いません。日本語で「わたしは好きしている」と言わないのと、感覚としては同じです。
have も、この区画に入ることがあります。英語で持ち物を言おうの記事で見たとおり、have には「持っている」という状態の意味があるからです。
同じ have なのに、意味によってどちらの区画に入るかが変わります。見分けるのは単語のつづりではなく、その場面で体が動いているかどうかです。
まちがいは、ばらばらに見えて、じつはここまでの筋のどこか1か所を落としただけです。
1つめは、2つで1組のうち前を落とした形です。日本語には前に足す習慣がないので、これがいちばん出やすいまちがいです。
2つめは、係を2人やとった形。am がいる文に do を呼ぶ必要はありません。
3つめは、印を2か所に置いた形です。人の印は is が引き受けているので、playing は身軽なままでいます。
4つめは、形は正しいのに、中身と合っていない文です。every day と「いま最中」は同時に成り立ちません。
5つめは、先頭に立つ言葉をまちがえた形。playing がいる時点で、前に出るべきなのは are です。
この5つは、どれも「am/is/are と -ing が2つで1組で、文を動かしているのは am のほう」という1行で説明がつきます。覚えることを増やすより、この1行を手放さないほうが、結局は速く走れます。
Q1 「わたしはいま本を読んでいます」を英語にすると。
A I am reading a book now.(read は①の型なので、そのまま ing をつけて reading)
Q2 swim と write を -ing の形にすると。
A swimming と writing。swim はおしりが w・i・m で〈子音・母音・子音〉なので m を重ね、write は読まない e があるので e を取ります。
Q3 Are you playing the piano? と聞かれ、弾いている最中でした。なんと答えますか。
A Yes, I am.(Are で聞かれたので、その言葉を返します。Yes, I do. とは言いません)
Q4 「わたしはテレビを見ていません」を I don't watching TV. と書きました。どこを直しますか。
A I am not watching TV.(watching がいる文には am がいるので、do をやとう必要がありません)
Q5 I am playing soccer every day. がおかしいのは、なぜですか。
A every day は「ふだんのこと」で、「いま、この瞬間」ではないから。I play soccer every day. が正しい形です。
Q6 I am having a pen. と言ってはいけないのは、なぜですか。
A この have は「持っている」という状態で、動きではないから。I have a pen. と言います。have が「食べる」の意味のときは動きなので、I am having lunch. は言えます。
この形は中学1年の後半で「現在進行形」という名前で習いますが、つまずきの正体は文法用語ではなく、日本語と英語で「している」を作る場所が前後で逆になっているという一点にあります。日本語は動詞のうしろに「〜ている」を足すため、英語でも同じように動詞だけをいじればよいと考えてしまい、am/is/are が抜け落ちます。お子さんが I playing 〜. と書いたときは、つづりの誤りとして直すのではなく、「前に足す言葉がもう1つあるよ」と場所を指してあげるほうが、同じまちがいがくり返されにくくなります。
もうひとつ、英語の得意な子ほど出やすいのが I don't playing 〜. という形です。これは don't の作り方を正確に覚えているからこそ起きる混線で、覚えちがいではありません。「前に出られる人がもういるなら、新しくやとわなくていい」という1行が通れば、打ち消し・たずねる文・短い答えの3つが同時に整います。本文はその順で並べてあります。