6年 英語 否定文

I don't like の not ── 英語の「ない」は、うしろではなく まんなかに入る

「すきじゃない」「行かない」「見なかった」── 日本語で打ち消すとき、わたしたちは文のおしまいだけを変えています。どこに「ない」を置こうかと迷った人は、たぶん一人もいません。置く場所が1つしかないからです。ところが英語の not は、文のおしまいには来ません。まんなかに入ります。しかも、入れられる場所は文の中にたった1か所しかなく、そこに入れる相手がいない文もある。I am busy. には not をそのまま差しこめるのに、I like dogs. には差しこめず、don't という見たことのない語を呼んでこなければなりません。同じ「〜ない」なのに、なぜ片方だけ新しい語が要るのか。この記事は、その1点だけを追いかけます。

日本語の「ない」は、いつも文のおしまいで待っている

まず、自分がふだんどう打ち消しているかを見てみます。

わたしは いそがしい  → わたしは いそがしく ない わたしは 犬が すきだ → わたしは 犬が すきでは ない わたしは 学校へ 行く → わたしは 学校へ 行か ない わたしは テニスを した → わたしは テニスを し なかった

4つとも、変わったのはいちばん右はしだけです。「いそがしい」の前も、「犬が」の場所も、1字も動いていません。日本語の打ち消しは、文のうしろに部品をつけ足す仕事なので、文の中身を見る必要がありません。どんな長さの文でも、最後まで走っていって「ない」をくっつければ終わりです。

だから日本語を話す人にとって、「打ち消し」は場所の問題ではなく、語尾の問題です。ここが、英語と最初にずれるところでした。

英語の not は、まんなかに入る

同じ4つを英語にしてみます。not がどこにいるかだけ見てください。

I am busy.     → I am not busy. I can swim.    → I can not swim. I like dogs.    → I do not like dogs. I played tennis. → I did not play tennis.

どれも not がおしまいに来ていません。busy も swim も dogs も、not のうしろに残ったままです。英語の not は、日本語のように文の外側からくっつくのではなく、文のとちゅうに割りこむ部品なのです。

そして、よく見ると上の4つは同じ形をしています。

I [ am ] not busy. I [ can ] not swim. I [ do  ] not like dogs. I [ did ] not play tennis.

not はいつでも [ ]の語のすぐうしろにいます。ばらばらに見えていた4つは、じつはまったく同じ1つの規則でできていました。英語の打ち消しで覚えることは、結局この[ ]に何が入るかだけです。中学では、こうして打ち消した文のことを 否定文 という名前でならいます。

[ ]に入れるものは、文の中をのぞけば決まっている

では[ ]には何を入れるのか。新しく考える必要はありません。もとの文の中をのぞいて、いる語をそのまま使うだけです。

もとの文にいる語[ ]に入るもの例
am・is・are・was・were(be動詞)その語そのものShe is kind. → She is not kind.
can・will(助動詞)その語そのものHe can run fast. → He can not run fast.
どちらもいないdo・does・did をよんでくるI like dogs. → I do not like dogs.

上の2行は、やることが何もありません。もういる語のうしろに not を差しこむだけです。問題は3行目だけ。ここにだけ、もとの文のどこにもいなかった語が現れます。

なぜ呼んでくる必要があるのでしょうか。I like dogs. に not をそのまま入れてみると分かります。

✗ I not like dogs. ✗ I like not dogs.

どちらも通じません。英語の not はひとりで立てない部品で、前に立ってくれる語がいて初めて置けます。be動詞や can はその役ができますが、like・play・run のようなふつうの動詞にはその役ができません。だから、立ち役だけをやるために do を呼ぶのです。do は「する」という意味では働いていません。not を立たせるための台として来ています。

do を呼ぶと、s と ed は do のほうへ移る

ここが、この単元でいちばん多くの人がつまずく場所です。do を呼ぶとき、もとの動詞についていた印が、そのまま残ってはいけません。

He likes soccer.  → He does not like soccer.      ↑s          ↑s がこちらへ移った  ↑like にもどる I played tennis.  → I did not play tennis.      ↑ed         ↑ed がこちらへ移った  ↑play にもどる

likes の s は does の中へ、played の ed は did の中へ移ります。そして、もとの動詞は印を手ばなして like・play という元の形にもどります。印は1つの文に1回だけ。これが英語のきまりです。

だから、次の2つはどちらもまちがいになります。

✗ He doesn't likes soccer. (s が2つ) ✗ I didn't played tennis. (ed が2つ)

この「印は1回だけ」は、たずねる文で Did you play soccer? となるのと同じきまりです。打ち消す文とたずねる文は、見た目はちがっても中で起きていることは同じでした。

do・does・did のどれを呼ぶかは、主語と時で決まります。迷ったら次の表だけ見ればすみます。

いつのこと主語呼ぶ語例
いつものことI・you・we・they
(わたし・きみ・わたしたち・かれら)
doThey do not eat natto.
いつものことhe・she・it
(自分と相手以外の1人・1つ)
doesShe does not eat natto.
すぎたことぜんぶ同じdidThey did not eat natto.
She did not eat natto.

すぎたことの行は、主語を見る必要がありません。だれが主語でも did 1つです。ふだん主語で形が変わることに気をつかっている分、ここは楽ができます。

短くする形 ── 1つだけ穴があり、1つだけ形が変わる

ここまで not をていねいに書いてきましたが、話すときにはほとんど短い形を使います。短くするときは o が1つぬけて、そこにアポストロフィ(')が入るだけです。

もとの形短い形もとの形短い形
is notisn'tdo notdon't
are notaren'tdoes notdoesn't
was notwasn'tdid notdidn't
were notweren'tcan not(cannot)can't
am not(ない)will notwon't

表の中に、規則からはずれたマスが2つあります。

1つめは am not。ほかの語と同じように縮めれば「amn't」になるはずですが、英語にはこの形がありません。言いにくかったから、というのが実際のところです。そのかわり、前のほうを縮めて I'm not と言います。「わたしは〜ではない」だけが、縮める場所が反対になっているのです。

2つめは will not。これだけは willn't にならず、won't というまったくちがう見た目になります。うっかり「ウィルント」と読みたくなりますが、読み方は「ウォウント」。want(ウォント)と音がとても近いので、聞くときは気をつけるところです。

もう1つ、書き方だけの注意を。can の打ち消しは cannot と、2語をくっつけて1語で書くのがふつうです。be動詞や do では「isnot」「donot」とは書きませんから、cannot は英語の中でもめずらしい書き方です。

まちがいは、たった4つの場所でしか起きない

打ち消す文でつまずくとき、落ちる場所はいつも決まっています。

まちがった文何が起きたか正しい形
✗ I not like dogs.台をよんでこなかったI don't like dogs.
✗ I don't am busy.be動詞がいるのに do をよんだ(台が2つ)I am not busy.
✗ He doesn't likes soccer.s が2つ残ったHe doesn't like soccer.
✗ I didn't played tennis.ed が2つ残ったI didn't play tennis.

4つとも、原因はふたつしかありません。台が足りないか、多いか(上の2行)。印が足りないか、多いか(下の2行)。台は1つ、印も1つ。この数え方さえ持っていれば、文法の名前を覚えていなくても自分で直せます。

だから、直すときは書きなおす前に数えてみるのがいちばん速いです。「台はいくつある?」「すぎたことの印はいくつある?」── 2つ聞くだけで、4つのうちどれかが必ず見つかります。

答えるときも、同じ語がもどってくる

打ち消す形を覚えると、聞かれたときの答え方が、ついでに手に入ります。

Do you like dogs?   → No, I don't. Does she play tennis? → No, she doesn't. Did you go there?   → No, I didn't. Are you busy?     → No, I'm not. Can you swim?     → No, I can't.

答えに出てくる語をよく見ると、ぜんぶ質問の先頭にいた語です。Do で聞かれたら don't、Are で聞かれたら I'm not。新しく考えるところが1つもありません。英語の答えは、前に出た語をそのまま返すしくみになっているからです。

ここで、日本語だとかえってまちがえやすい聞かれ方を1つ。「Don't you like dogs?(犬がすきじゃないの?)」と聞かれて、すきなら答えは Yes, I do. です。日本語の感覚では「うん(すきじゃないよ)」と言いたくなりますが、英語の Yes と No は相手の聞き方ではなく、自分の中身に合わせます。すきなら Yes、すきでないなら No。相手がどう聞いたかは関係ありません。

Don't run. ── 先頭に来るのは、この形だけ

ここまで「not はまんなか」と言ってきましたが、先頭に来る形が1つだけあります。

Run.    → Don't run.  (走るな) Open it.  → Don't open it.(あけないで) Be noisy.  → Don't be noisy.(さわがないで)

相手に「〜して」と言う形には、主語がありません。主語がないということは、not が入るべき「まんなか」そのものが無いということです。そこで do を先頭に立たせ、その場所をつくっています。つまりこれも例外ではなく、台を用意するという同じ規則が、主語のない文でそう見えているだけです。

3つめの Don't be noisy. に注目してください。be動詞がいるのに do を呼んでいます。これまでの表と食いちがって見えますが、「〜して」の形では be動詞も自分では前に出られないので、ここでも do が台になります。Be noisy. の打ち消しは Be not noisy. ではありません。

日本語は最後まで聞く、英語は2語目で分かる

最後に、not の位置がもたらす大きなちがいを1つ。次の2つの文を、左から1語ずつ読んでみてください。

わたしは きのう サッカーを し ませんでした I    didn't play soccer yesterday

日本語では、いちばん最後の1語を聞くまで、サッカーをしたのかしなかったのか分かりません。「わたしは きのう サッカーを し……」まで聞いた時点では、まだ両方の可能性があります。英語では 2語目で決まります。didn't を聞いた瞬間に「やらなかった話だ」と分かり、残りは何をやらなかったのかの説明です。

これは、英語の語順が大事なものから先に出す並びになっているからです。打ち消しは文の意味をまるごとひっくり返すいちばん大事な情報なので、英語はそれを早い場所に置きます。日本語は、逆に最後まで取っておきます。

ここから、聞き取りのコツが1つ出てきます。英語を聞くとき、いちばん集中すべきなのは文の頭のほうです。don't・doesn't・didn't・isn't・can't は短くて弱く発音されるので、聞きのがすと意味が正反対になります。長い文をぜんぶ聞き取ろうとするより、はじめの2〜3語に耳を置くほうが、まちがいはずっと減ります。

やってみよう

Q1 I am hungry. を「おなかがすいていない」に直してください。

A I am not hungry.(短く言うなら I'm not hungry.) 文の中に am がいるので、do を呼ぶ必要はありません。そのうしろに not を入れるだけです。

Q2 She plays the piano. を打ち消してください。

A She doesn't play the piano. be動詞も can もいないので does を呼びます。そのとき plays の s は does へ移るので、動詞は play にもどります。

Q3 I don't am tired. は、どこがまちがっていますか。

A 台が2つあるところ。am がすでに立ち役をできるので、do は要りません。I'm not tired. が正しい形です。

Q4 We visited the museum. を打ち消してください。

A We didn't visit the museum. すぎたことなので did を呼び、visited の ed は did へ移ります。動詞は visit にもどります。

Q5 will not を短くすると、どうなりますか。

A won't。o が1つぬけるだけ、という規則からただ1つはずれる語です。読み方も「ウォウント」で、willn't ではありません。

Q6 「ここで走らないで」を英語で言ってください。

A Don't run here. 「〜して」の形には主語がなく、not を入れるまんなかがありません。そこで Don't を先頭に立てて場所をつくります。

まとめ

おうちの方へ

小学校の外国語では、I don't like ~. や I can't ~. がひとまとまりの言い回しとして登場します。会話を始めるにはとても良い入り方ですが、そのぶん「don't は like とセットの飾り」という受け取り方のまま中学へ進む子が出ます。中学1年で He doesn't like(likes ではない)が出てきて急に崩れるのは、覚え方が悪かったからではなく、don't を1語として覚えていて、中に do がいると気づいていないからです。

ご家庭では、単語を足すより数えさせるほうが効きます。子どもが書いた英文を直すとき、正解を言うかわりに「台はいくつある?」「すぎたことの印はいくつある?」と聞いてみてください。2つ数えるだけで、上の4つのまちがいはどれも自分で見つかります。自分で見つけた直しは、教えられた直しより長く残ります。