6年 英語 数えられない名詞

数えられないものがある ── 英語は「半分にしても同じ名前か」で数え方を決めている

レストランで「水を2つください」と言いたくなったとします。ならったとおりに英語にすると two waters ですが、これは言えません。「宿題が3つある」も three homeworks とは言えません。「家具を2つ買った」も two furnitures ではありません。ここでほとんどの人が、「英語には数えられない単語があるから、その単語を覚えるしかない」と思ってしまいます。ところが、その単語リストは数百語あります。覚えきれるものではありませんし、覚えても新しい語に出会ったら、また手が止まります。じつはこれ、たった1つのテストにかけるだけで見分けられます。しかもそのテストは、a をつけるかどうかだけでなく、many と much、How many と How much、a few と a little の使い分けまで、まとめて決めてしまいます。

「英語が変わっている」のではない ── 日本語のほうが徹底している

はじめに、気持ちの置きかたを直しておきます。数えられない名詞の話は、たいてい「英語には変なきまりがあってめんどうだ」という感じで始まります。けれども落ち着いて日本語を見ると、じつは日本語のほうがきびしいのです。

日本語で物を数えるとき、わたしたちは名前だけでは数えません。かならず後ろに小さな言葉をくっつけています。

りんご1こ えんぴつ1本 紙1まい 犬1ぴき 水1ぱい ごはん1ぜん くつ1そく 本1さつ

この「こ」「本」「まい」「ひき」「はい」を助数詞といいます。ここで気づいてほしいのは、日本語がすべての物に助数詞を要求していることです。「りんご2」では通じません。日本語のきまりは「数えるときは、数え方の言葉をどこかから借りてくること」で、例外はありません。

英語はここがゆるいのです。英語では一部の言葉だけ、何も借りずに直接数えてよいことになっています。

英語  two apples      ← 何も借りずに直接数えた 日本語 りんご2こ       ←「こ」を借りている 英語  two glasses of water ←「glass」を借りている 日本語 水2はい        ←「はい」を借りている

ならべてみると、2行目と4行目の日本語はどちらも同じことをしています。ちがいが出ているのは英語の側だけで、apple のときは借りずにすんだのに、water のときは glass を借りてきました。つまりこの単元で本当に問いたいのは、「どの語が数えられないか」ではなく「どの語なら借りずにすむか」ということです。英語が変なきまりを足したのではなく、英語だけが一部の語で助数詞をはぶける、と考えたほうが実際に近いのです。

そして、はぶけるかどうかを決めている境目が1つだけあります。それを次に見ます。

物差しは1本 ── 半分に分けて、まだその名前で呼べるか

やることは、頭の中で半分に分けてみることだけです。分けたあとで、そのかけらをまだ同じ名前でそのまま呼べるかを考えます。

半分に分けて → まだそのままの名前で呼べる → 数えない 半分に分けて → べつの言い方に直したくなる → 数える

実際にやってみましょう。まず水です。コップの水を半分にすると、残っているのは何でしょうか。水です。さらに半分にしても水です。スプーン1さじになっても、やはり水です。どこまで分けても名前が変わりません。だから英語は water を数えません。

つぎにりんごです。りんごを包丁で半分にすると、そこにあるのは何でしょうか。「りんご」と言い切るのは少し苦しくなります。たいていは「りんご半分」「切ったりんご」と言い直しますし、英語でも half an apple と言い直しています。名前がそのままでは通らなくなったのです。だから英語は apple を数えます。

もう2つ試します。コップを落として割ったら、床にあるのは「コップ」ではなく「かけら」です。呼び名が変わったので数えます(a glass)。いっぽうガラスは、割っても細かくしてもガラスのままです。呼び名が変わらないので数えません(glass)。日本語だと似た顔をしている2つが、このテストではっきり分かれました。

ここがこの記事のいちばん大事なところです。数えられるかどうかは、大きさでも、目に見えるかどうかでも、手でつかめるかどうかでも決まっていません。決めているのは分けたときに名前が生き残るか、この1点だけです。

テストにかけてみる ── 日本語で数えられても、英語は数えない

では、まちがえやすい言葉をまとめてテストにかけます。左から右へ、1行ずつ自分で半分にしてみてください。

もの半分に分けるとまだその名前?英語
りんごりんご半分いいえan apple / two apples
いすいすの一部いいえa chair / two chairs
コインコインのかけらいいえa coin / two coins
水水はいwater(数えない)
パンパンはいbread(数えない)
お金お金はいmoney(数えない)
宿題宿題はいhomework(数えない)
家具家具はいfurniture(数えない)
ニュースニュースはいnews(数えない)
荷物荷物はいbaggage(数えない)
アドバイスアドバイスはいadvice(数えない)
時間時間はいtime(数えない)

上の3行と下の9行で、きれいに分かれました。そして下の9行には、日本語ならふつうに数えているものがならんでいます。「宿題が3つ」「家具を2つ」「ニュースが5つ」──日本語ではまったく自然です。それでも英語が数えないのは、テストの結果が同じだからです。宿題の半分をやっても、残っているのは宿題です。家具のうちのいすとつくえだけを見ても、それは家具です。

ここで、この物差しがよく効いていることを見せる1つの例を出します。にわとりです。

にわとり → 切ると →「鶏肉(とりにく)」 a chicken(にわとり1羽・数える) chicken(鶏肉・数えない)

にわとりは、切ってしまえばもう「にわとり」とは呼びません。肉になります。だからにわとりは数えます。そして変わった先の鶏肉は、半分にしても鶏肉のままです。だから鶏肉は数えません。英語では同じ chicken という文字なのに、a がつくかどうかで生きているにわとりと食べる肉が入れかわります。ためしに I ate a chicken. と言うと「にわとりを1羽まるごと食べた」になってしまいます。ふつうは I ate chicken. です。

この1例で、物差しがただの言いかえではなく、ほんとうに意味を決めていることが分かると思います。

それでも数えたいときは、入れ物や形の言葉を借りる

数えないと言っても、注文はしなければなりません。「水を2つ」と伝えたいときは、日本語とまったく同じことをします。数え方の言葉を借りてくるのです。

言いたいこと英語借りた言葉日本語の助数詞
水を2つtwo glasses of waterglass(コップ)2はい
コーヒーを1つa cup of coffeecup(カップ)1ぱい
紙を3まいthree sheets of papersheet(うすい平らなもの)3まい
パンを2切れtwo slices of breadslice(切ったもの)2切れ
パンをひとかたまりa loaf of breadloaf(かたまり)1本
ごはんを1ぱいa bowl of ricebowl(どんぶり)1ぱい
さとうをスプーン1a spoonful of sugarspoonful(スプーン1ぱい分)1さじ
アドバイスを1つa piece of advicepiece(1つ分)1つ
家具を2つtwo pieces of furniturepiece2点
ニュースを1つa piece of newspiece1本

表の右のはしを見てください。英語が借りている言葉と、日本語の助数詞がほとんど同じ役目をしています。glass は「はい」、sheet は「まい」、slice は「切れ」。これは新しい文法ではなく、日本語ですでに毎日やっていることです。

そして、どうしても借りる言葉が思いつかないときの逃げ道が1つあります。piece です。piece は「1つ分」というだけの中身のない言葉なので、ほとんどの数えられない名詞につけられます。a piece of ○○ をおぼえておけば、テストでも会話でもまず困りません。

さらに、複数にするとき s がつくのは借りた言葉のほうだという点にも注意してください。two glasses of water であって、two glasses of waters ではありません。数えているのはコップだからです。

同じ単語が、両方になる ── a がつくと意味が変わる

ここまで来ると、こういう疑問が出ます。「じゃあ単語ごとに、数える組と数えない組に分かれているんですね?」 いいえ、分かれているのは単語ではなく、その場での見え方です。同じ単語が、見え方によって両方に行きます。

単語a がつかないときa がつくとき
glassガラス(割ってもガラス)a glass = コップ
paper紙(切っても紙)a paper = 新聞・レポート
cakeケーキ(切ってもケーキ)a cake = まるごと1台
hair髪(一部でも髪)a hair = 髪の毛1本
time時間(分けても時間)a time = 1回
work仕事(一部でも仕事)a work = 作品1つ
chicken鶏肉a chicken = にわとり1羽

どの行も、左は分けても名前が生き残る見え方、右は形が決まっていてこれ以上分けられない見え方です。paper で確かめてみましょう。紙は切っても紙なので数えません。ところが新聞は、半分に切ったらもう新聞として読めません。形が決まったとたんに数えられるようになるのです。hair も同じで、髪ぜんたいは一部を取っても髪ですが、1本だけを取り出せばそれ以上は分けられないので a hair になります。

だから覚えるべきことは、単語の名札ではなく、いまその言葉をどう見ているかです。She has long hair.(髪が長い)と There is a hair in my soup.(スープに髪が1本入っている)は、同じ hair で意味がまったくちがいます。後者を hair と言ってしまうと「スープが髪でできている」ことになり、前者を a hair と言うと「長い1本の毛を持っている」になります。

ついでに、店でよく耳にする言い方も1つ説明できます。Two coffees, please. これは数えないはずの coffee に s がついています。まちがいではありません。借りた言葉(cup)をはぶいて言っているだけで、意味は two cups of coffee です。日本語で「コーヒー2つ」と言うのと同じ省略です。ただしこれは注文の場面だけの近道なので、作文では two cups of coffee と書くほうが安全です。

この物差しは many と much まで決めている

ここからが、この単元をやっておくと得をするところです。「数えるか数えないか」は、a と s だけの話ではありません。そのあとに習う言葉の使い分けが、ぜんぶこの1点で決まります。

言いたいこと数える言葉に数えない言葉に
たくさんmany booksmuch water
どれくらい?How many books?How much water?
少しあるa few booksa little water
ほとんどないfew bookslittle water
どちらにも使えるa lot of booksa lot of water

左の列は、すべて「数えられるほう」にだけつきます。右の列は「数えられないほう」にだけつきます。ですから How much を「値段をきくときの言い方」として覚えている人は、覚え直しておくと強くなります。How much is it? が値段の意味になるのは、お金(money)が数えられないからにすぎません。もともとは「どれくらいの量ですか」というだけの言い方です。

この表の使い方は1つだけです。迷ったら、名詞のほうを半分にしてみる。それで many と much のどちらかが決まります。book は半分にすると読めなくなるので many、water は半分でも水なので much。逆に「many と much、どちらだったかな」と単独で思い出そうとすると、いつまでも当たりません。

うしろの動詞は、いつも単数の形になる

もう1つ、答えが必ず1つに決まる便利な点があります。数えられない名詞は、どれだけ量があってもいつも単数あつかいです。だからうしろの動詞は is / was / has になります。

The water is cold.    (×The water are cold.) My homework is easy.   (×My homework are easy.) The news is surprising. (×The news are surprising.)

3つめの news に注目してください。s で終わっているのに is です。この s は複数の s ではなく、もとから語の一部です。ニュースは一部を取り出してもニュースなので、テストの結果どおり数えない組に入ります。見た目の s にだまされず、テストの結果を信じてください。

同じ理由で、数えられない名詞に a や an をつけません。an advice、a homework、an information は、どれも英語になりません。1つだと言いたいときは、さきほどの piece を借りて a piece of advice とします。

つまずきやすいところ

① fish や sheep は「数えない」のとは別の話です。 two fish、three sheep のように s がつかないので同じに見えますが、これは数えているのに形が変わらないだけです。魚は半分にすると魚ではなくなるので、テストの結果は「数える」です。数えているかどうかは、many が使えるかで分かります。many fish は言えますが、many water は言えません。

② 日本語の助数詞から英語をあてないでください。 日本語の「パン1こ」は助数詞がついているので数えているように見えますが、英語の bread は数えません。逆に日本語の「ニュース1本」も、英語では a piece of news です。日本語の数え方は日本語のきまりで、英語の可算・不可算とは対応していません。あてにできるのは半分にするテストだけです。

③ 「目に見えるかどうか」ではありません。 水も紙も家具も、はっきり目に見えます。それでも数えません。逆に dream(夢)や idea(考え)は目に見えないのに、a dream、two ideas と数えます。夢は半分にすると1つの夢としてまとまらないからです。見えるかどうかは、この判定にまったく関係しません。

④ 数えられない名詞に s をつけて複数にはできません。 informations、furnitures、advices はどれもまちがいです。量が多いことを言いたいときは、much や a lot of を前に置きます。I have a lot of homework. で「宿題がたくさんある」が言えます。

やってみよう

Q1 「水を2つください」を英語で言うには、どうしますか。

A 入れ物の言葉を借りて Two glasses of water, please. とします。two waters と言えないのは、水を半分にしても水のままで、英語が water を数えないからです。s をつけるのは借りた glass のほうです。

Q2 homework が数えられないのは、なぜですか。

A 半分やっても、残っているのは宿題だからです。分けても名前が変わらないものを英語は数えません。「宿題が3つある」と言いたいときは three pieces of homework、または I have a lot of homework. とします。

Q3 I ate a chicken. と I ate chicken. は、どうちがいますか。

A 前はにわとりを1羽まるごと食べた、後は鶏肉を食べたです。にわとりは切ると「肉」に名前が変わるので数え、変わった先の肉は半分にしても肉なので数えません。ふつう言いたいのは後のほうです。

Q4 スープに髪の毛が1本入っていた、と伝えるにはどう言いますか。

A There is a hair in my soup. です。a をつけると「1本」になります。a をつけずに hair と言うと髪ぜんたいを指してしまい、スープが髪でできているような文になります。

Q5 many と much のどちらを使うか、まちがえずに決める方法はありますか。

A うしろの名詞を半分にしてみます。名前が変わるなら many、変わらないなら much です。many books(本は半分にすると読めない)、much water(水は半分でも水)。many と much を単独で思い出そうとしないのがこつです。

Q6 news は s で終わっているのに、なぜ The news is surprising. と単数になるのですか。

A この s は複数の s ではなく、もとから語の一部だからです。ニュースは一部を取り出してもニュースなので数えない組に入り、数えない名詞はいつも単数あつかいになります。見た目の s ではなくテストの結果で判断します。

Q7 two fish と言えるのに、two waters と言えないのはなぜですか。

A 魚は数えているけれど形が変わらないだけで、水はそもそも数えていないからです。見分けるには many をつけてみます。many fish は言えますが many water は言えません。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、中学に入って最初につまずく場所のひとつです。多くの場合、教科書は「数えられない名詞の一覧」を示して覚えさせる形になっていて、water・bread・money・homework・information・advice・furniture と並んだ表を丸暗記することになります。ところが、この一覧には覚えるべき理由が書かれていません。理由のない一覧は数週間で抜けますし、一覧に載っていない語が出たとたんに手が止まります。

ご家庭でしていただけることは、台所で1回だけ半分にしてみせることです。りんごを切って「これはまだりんご?」、コップの水を分けて「これはまだ水?」。この2回で物差しは伝わります。あとは食事のたびに「これは英語で数えるかな」と1語だけ出してみれば、子どもは自分でテストにかけはじめます。

なお、実際の英語には、この物差しでうまく説明しきれない語も少しあります(たとえば baggage を数えない理由は、分けられるかどうかよりも語のなりたちに寄っています)。それでも中学のテストに出る範囲は、このテストでほぼ足ります。完全な法則ではなく、迷ったときに自分で当たりをつけられる道具として渡していただくのが、いちばん長く使えます。