お茶わん1杯のご飯の裏には、1年間の仕事があります。
日本人の主食は米です。それには理由があります。
稲はもともと熱帯の植物です。だから、高温多湿の日本の夏がぴったり合うのです。
そして、米には大きな利点があります。
連作できるのは、水田の大きな特徴です。畑作では同じ作物を続けると土がやせますが、水田は水が養分を運んでくれます。
だから、千年以上前から同じ場所で米を作り続けられるのです。
米づくりは、春から秋まで続きます。
| 時期 | 仕事 | 内容 |
|---|---|---|
| 3〜4月 | 種もみの準備 | よい種を選び、芽を出させる |
| 4月 | 苗づくり | 育苗箱で苗を育てる |
| 4月 | 田おこし | 土を掘り返して空気を入れる |
| 5月 | 代かき | 水を入れて土を平らにする |
| 5月 | 田植え | 苗を植える |
| 6〜8月 | 水の管理・除草 | 水の量を調節、草取り |
| 7〜8月 | 中干し | 一度水を抜いて土を乾かす |
| 8月 | 出穂・開花 | 穂が出て花が咲く |
| 9〜10月 | 稲刈り・だっこく | 刈り取り、もみを外す |
| 10〜11月 | 乾燥・もみすり | 乾かして、もみがらを取る |
とくに理解しておきたいのが「中干し」です。
水を張り続けるのではなく、あえて乾かす時期を作るのです。長年の経験から生まれた技術です。
そして、水の管理が米づくりの中心です。
「米づくりは水づくり」と言われるほど、水の管理が重要なのです。
今の米は、長い年月をかけて改良されてきたものです。
とくに寒さに強くすることは、日本の農業を大きく変えました。
もともと熱帯の植物である稲を、北の大地で育てられるようにしたのです。これは大きな成果です。
品種改良のしかたは、こうです。
気の長い作業です。それでも続けられてきたのは、それだけ価値があるからです。
米づくりは、大きく変わりました。
| 作業 | 昔 | 今 |
|---|---|---|
| 田おこし | 牛や馬、くわ | トラクター |
| 田植え | 手で1本ずつ | 田植え機 |
| 稲刈り | かまで手刈り | コンバイン |
| だっこく | 足踏み脱穀機 | コンバインが同時に |
機械化によって、作業時間は昔の5分の1以下になりました。
ただし、問題もあります。
そこで、共同で使う取り組みが行われています。
また、耕地整理も進められました。小さな田を集めて大きく四角い形にすることで、機械が使いやすくなります。
米づくりは、いくつかの深刻な問題を抱えています。
作っても売れない状況が続き、生産調整(減反)が行われた時期もありました。
こうした課題に対して、さまざまな取り組みが行われています。
とくにスマート農業は期待されています。人手不足を技術で補おうという試みです。
収穫された米は、どうやってわたしたちのところへ来るのでしょうか。
カントリーエレベーターは、地域の米をまとめて乾燥・保管する施設です。品質を均一に保ち、必要な分だけ精米して出荷できます。
米は玄米の状態で保管されます。精米すると味が落ちやすいためです。
お米の袋を見ると、産地・品種・精米日・等級が書かれています。それだけの情報が管理されているということです。
最近は、農家から直接買う方法も広がっています。インターネットで注文したり、産地直売所で買ったり。
作る人と食べる人が近くなる。これも、農業を支える新しい形です。
田おこしと代かきの区別がつかない。
田おこしは水を入れる前、代かきは水を入れて平らにする作業です。順番は田おこし→代かき→田植えです。
なぜ水を抜くのか疑問に思う。
土を乾かして根に酸素を届け、丈夫にするためです。ずっと水を張るのがよいわけではありません。
農家だけの問題だと考える。
米を食べるのはわたしたちです。食料をどう確保するかは、社会全体の問題です。
Q1 日本が稲作に向いている理由を言いましょう。
A 夏に高温多雨で、稲の生育に適しているからです。水も豊富です。
Q2 中干しの目的は何ですか。
A 根を強くし、土に空気を入れるためです。収穫時の作業もしやすくなります。
Q3 米づくりが抱える課題を2つ言いましょう。
A 消費量の減少と後継者不足です。外国産との競争もあります。
Q4 お米の袋を見て、産地と品種を確かめてみましょう。
A どこで、どんな品種が作られているか。地図帳で場所も調べてみてください。
この単元は、食べ物と社会のつながりを学ぶ入り口です。毎日食べているお米が、どうやって作られているかを知る機会になります。
お米の袋を見るだけでも学習になります。産地、品種、精米日。「新潟のコシヒカリ」と書いてあれば、地図で新潟を確かめる。それだけで知識が生きたものになります。
可能であれば、田んぼを見に行くのがおすすめです。季節によって様子がまったくちがいます。水を張った春、緑が茂る夏、黄金色の秋。同じ田んぼを何度か見ると、1年の流れが実感できます。
農業の課題については、答えのない問題として一緒に考えてみてください。「安い外国産と国産、どちらを選ぶ?」という問いに正解はありませんが、考えること自体が学びになります。