5年 社会 自然災害と国土

自然災害と国土 ── 地形・気候から考える日本の防災

日本では毎年のように地震や台風のニュースを目にします。それは日本の地形と気候そのものに理由があります。

なぜ日本は自然災害が多いのか

5年生の社会科では、日本の国土が山が多く、まわりを海に囲まれ、雨や雪が多いことを学びました。この地形と気候の特徴が、そのまま自然災害の起きやすさにつながっています。

日本で自然災害が多い理由 ① 山が多く、川の流れが急 → 大雨のときに水があふれやすい ② 4つのプレートが集まる場所にある → 地震や火山の噴火が起きやすい ③ まわりを海に囲まれている → 地震のあとに津波が発生しやすい ④ 梅雨や台風で雨が集中する時期がある → 大雨・土砂災害が起きやすい

つまり自然災害は「たまたま運が悪い」ものではなく、日本という国土の成り立ちから見えてくる特徴なのです。

おもな自然災害の種類

日本で起こる自然災害には、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を整理してみましょう。

災害主な原因特徴
地震地下のプレートのずれ建物のたおれ、火災、液状化
津波海底で起きた地震沿岸部に大きな波がおしよせる
台風南の海であたたかい空気が上昇強風・大雨をともなって北上
大雨・洪水梅雨前線や台風による集中豪雨川があふれ、住宅地に水が入る
土砂災害大雨で山の斜面がゆるむがけくずれ、土石流
火山の噴火地下のマグマの活動火山灰、溶岩流

1つの災害が別の災害を引き起こすこともあります。たとえば地震のあとに津波が来る大雨のあとに土砂災害が起きるといった連鎖です。

ハザードマップで備える

災害が「いつ・どこで起きるか」を正確に予知することはできません。そこで大切になるのが、あらかじめ危険な場所を知っておくことです。

ハザードマップとは 市区町村が作る地図 ↓ ・洪水のとき浸水しやすい場所 ・土砂災害の危険がある場所 ・地震のときゆれやすい場所 ・津波が来たときの想定水位 ・避難所や避難ルート をあらかじめ地図に示したもの

ハザードマップは、多くの市区町村のホームページで公開されています。自分の家や学校がどんな危険にさらされる可能性があるかを、災害が起きる前に知っておくことが防災の第一歩です。地図を見るだけでなく、実際に避難所まで歩いてみると、道の広さや坂の有無など、地図だけではわからない気づきが得られます。

自助・共助・公助

災害から命を守るための備えは、3つの立場から考えることができます。

防災の3つの柱 自助(じじょ) → 自分と家族の身を自分で守る → 非常持ち出し袋、家具の固定、避難場所の確認 共助(きょうじょ) → 近所や地域の人どうしで助け合う → 高齢者や子どもの安否確認、避難の手助け 公助(こうじょ) → 国や都道府県、市区町村による支援 → 消防・警察・自衛隊の救助、避難所の運営

大きな災害が起きたとき、消防や警察がすぐに全員のところへ駆けつけられるとは限りません。だからこそ、自分の身は自分で守る「自助」と、近所どうしで支え合う「共助」が、公助と同じくらい重要だと考えられています。

災害に強い国土をつくる取り組み

国や自治体は、災害の被害を減らすためにさまざまな対策を進めています。

主な取り組み ・堤防やダムの整備(洪水を防ぐ) ・耐震基準の強化(建物をゆれに強くする) ・緊急地震速報・大雨警報のしくみ ・避難訓練の実施 ・防災無線・防災アプリでの情報発信 ・森林の保全(土砂災害を減らす)

「災害をゼロにする」ことはできませんが、被害を小さくする「減災」という考え方が、今の防災の中心になっています。堤防やダムだけに頼るのではなく、危険な場所には住まない、早めに避難するといった一人ひとりの行動も、減災には欠かせません。

地域によって、力を入れている対策も変わります。海に面した地域では、津波が来たときに短時間で登れる津波避難タワーを設置しているところがあります。山あいの地域では、土砂災害の前ぶれを検知するセンサーや、危険な斜面を補強する工事が行われています。都市部では、地下街や地下鉄が浸水したときにどう避難するかという課題があり、防水扉や排水ポンプの整備が進められています。同じ「自然災害への備え」でも、その土地の地形や暮らし方によって、必要な工夫がちがうことがわかります。

つまずきやすいところ

その1 自然災害はどこでも同じように起きると思ってしまう

災害の種類は地域によってちがいます。
海に近い地域は津波、山に近い地域は土砂災害というように、その土地の地形によって注意すべき災害が変わります。

その2 ハザードマップは「絶対に安全な場所」を示すものと思ってしまう

ハザードマップは予想される危険を示す地図であり、安全を保証するものではありません。想定をこえる災害が起きることもあります。

その3 公助にすべて頼れると考えてしまう

大きな災害では、公的な救助がすぐに来られないこともあります。自助・共助も同じくらい大切だと理解しましょう。

その4 防災はおとなだけの仕事だと思ってしまう

避難訓練や家庭での話し合いなど、子どもにもできる備えがあります。自分の通学路の危険な場所を知っておくことも立派な防災です。

その5 「昔に比べて災害が増えた」を理由まで考えずに覚えてしまう

ニュースでは「記録的な大雨」「これまでにない強さの台風」という言葉をよく耳にします。
その背景には、地球規模の気候の変化にともなって雨の降り方が急に激しくなること(局地的大雨)が増えているという指摘があります。理科で学ぶ天気の変化の学習ともつながる視点です。

やってみよう

Q1 日本で自然災害が多い理由を、国土の特徴から2つ説明しましょう。

A 山が多く川の流れが急なこと、まわりを海に囲まれていることなどです(プレートが集まる場所にあることも理由です)。

Q2 ハザードマップには何が示されていますか。

A 浸水や土砂災害の危険がある場所、避難所・避難ルートなどです。

Q3 自助・共助・公助のちがいを説明しましょう。

A 自助は自分や家族で身を守ること、共助は地域の人どうしで助け合うこと、公助は国や自治体による支援です。

Q4 「減災」とはどういう考え方ですか。

A 災害をゼロにはできなくても、被害をできるだけ小さくしようとする考え方です。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、5年生で学ぶ「日本の国土の地形・気候」の知識を、防災という実生活に直結するテーマへつなげる学習です。地形や気候の学びが「ただの暗記」で終わらず、「だからこの地域はこの災害に注意が必要」という理解につながるかがポイントになります。
お住まいの市区町村のハザードマップを、ぜひ親子で一緒に確認してみてください。自宅や学校がどんな危険にさらされる可能性があるか、避難所までの道のりはどこかを話し合っておくことは、そのまま実践的な防災学習になります。
非常持ち出し袋の中身を一緒に見直したり、家族の集合場所を決めたりすることも、「自助」の具体的な一歩です。学校で行われる避難訓練についても、ふだんから家庭で話題にしておくと、いざというときの行動につながりやすくなります。