5年 社会 国土と気候

国土と気候 ── 細長い国だから、同じ日でも季節がちがう

5年生の社会は、日本全体を見ることから始まります。すべての土台になる単元です。

日本の位置

日本がどこにあるか、正確に言えるでしょうか。

日本の位置 ・ユーラシア大陸の東 ・太平洋の西のはし ・北緯20度〜46度 ・東経123度〜154度 ・海に囲まれた島国

北緯20〜46度という位置が重要です。南北に約3000kmも広がっています。

そして、日本は約14000の島からできています。とくに大きいのが次の4つです。

四大島(大きい順) ① 本州 ② 北海道 ③ 九州 ④ 四国

面積は約38万km²。世界では60番目くらいで、決して大きくありません。

でも、海の広さを入れると話が変わります。

排他的経済水域(EEZ) 海岸から約370km以内の海 → その国が資源を使える範囲 日本のEEZ = 約447万km² → 世界第6位! → 陸は小さいが、海は広い

島が多く、南北に長いため、海の面積が非常に大きいのです。これが水産業や資源の話につながります。

領土をめぐる問題

日本のはしにある島を確認しておきましょう。

方角島の名前
北のはし択捉島(えとろふとう)
南のはし沖ノ鳥島(おきのとりしま)
東のはし南鳥島(みなみとりしま)
西のはし与那国島(よなぐにじま)

沖ノ鳥島は、とても小さな島です。それでも大切に守られています。

なぜでしょうか。この島があることで、まわりの広大な海がEEZになるからです。島がなくなれば、日本の海は大きく減ってしまいます。

また、日本には他国と主張が対立している地域もあります。

・北方領土(択捉島、国後島、 色丹島、歯舞群島) ・竹島 ・尖閣諸島

これらは、日本固有の領土だと日本政府は主張しています。ただし、相手国はちがう主張をしています。

この問題は複雑で、簡単に解決できるものではありません。5年生の段階では、そういう問題があることを知ることが大切です。

日本の地形

日本の地形には、はっきりした特徴があります。

日本の地形の特徴 ① 山が多い(国土の約4分の3) ② 平野が少なく、海岸沿いに点在 ③ 川が短く、流れが急 ④ 火山が多い(約111の活火山) ⑤ 地震が多い

とくに①の山の多さが、すべてに影響します。

山が多いと… ・住める場所が限られる → 平野に人口が集中 ・農地も限られる → 山の斜面も利用(棚田) ・川が短く急になる → 大雨で一気に流れる → 水力発電に向く ・交通が不便な地域ができる → トンネルや橋が必要

日本の川と外国の川を比べると、そのちがいがよく分かります。

日本の川 ・長さ 数十〜数百km ・急な傾き ・すぐ海に出る 外国の大河(ナイル川、アマゾン川など) ・長さ 数千km ・ゆるやかな傾き ・何日もかけて流れる

外国の人が日本の川を見て「これはだ」と言ったという話が残っているほどです。

6つの気候区分

日本は南北に長く、山も多いため、地域によって気候が大きくちがいます

気候地域特徴
北海道の気候北海道冬が長く寒い。梅雨がない
日本海側の気候東北・北陸など冬に雪が多い
太平洋側の気候関東・東海など夏に雨、冬は晴れて乾燥
中央高地の気候長野・山梨など夏と冬、昼と夜の差が大きい
瀬戸内の気候瀬戸内海沿い1年中雨が少ない
南西諸島の気候沖縄・奄美1年中あたたかく、雨が多い

なぜこれほどちがうのでしょうか。理由は3つあります。

① 緯度(南北の位置) → 南ほどあたたかい ② 季節風と山 → 冬は北西から、夏は南東から → 山にぶつかって雨や雪を降らせる ③ 海流 → 暖流(黒潮・対馬海流) → 寒流(親潮・リマン海流)

とくに②の季節風と山が、日本海側と太平洋側のちがいを生みます。

冬 北西の季節風(冷たく乾いている) ↓ 日本海で水蒸気を含む ↓ 山にぶつかって上昇、雪を降らせる → 日本海側は大雪 ↓ 山を越えて乾いた風に → 太平洋側は晴れて乾燥

瀬戸内の気候が雨が少ないのも、同じ理由です。北の中国山地と南の四国山地に挟まれ、両方の季節風がさえぎられるのです。

だから、香川県などでは昔からため池を作って水を確保してきました。

気候と暮らし

気候のちがいは、暮らし方のちがいになって表れます。

地域暮らしの工夫
北海道二重窓、大きな暖房、ロードヒーティング
雪国(日本海側)急な屋根、雁木(がんぎ)、消雪パイプ
沖縄低い屋根、赤瓦をしっくいで固定、コンクリート住宅
瀬戸内ため池、雨水利用

沖縄の家は、台風対策が徹底しています。

沖縄の伝統的な家 ・屋根を低くする → 風の抵抗を減らす ・瓦をしっくいで固める → 飛ばされない ・石垣で囲む → 風をやわらげる ・広い縁側 → 風通しをよくする

一方、雪国の家は雪対策です。

雪国の家 ・屋根を急にする → 雪が落ちる ・玄関を二重にする → 冷気を防ぐ ・雁木(アーケード) → 雪でも歩ける ・消雪パイプ → 地下水で雪をとかす

同じ日本なのに、家の形がまったくちがう。それだけ気候の影響が大きいということです。

そして、この気候のちがいは農業にも直結します。次の単元「米づくり」につながっていきます。

季節のずれを利用する

南北に長いことは、大きな利点にもなっています。

同じ日の桜の開花 沖縄 … 1月ごろ 九州 … 3月下旬 東京 … 3月末 東北 … 4月中旬 北海道 … 5月初め → 約4か月のずれ

この季節のずれを、農業では積極的に利用しています。

【促成栽培(そくせいさいばい)】 あたたかい地域で、 ふつうより早く育てる → 宮崎・高知のピーマン、なす 【抑制栽培(よくせいさいばい)】 すずしい地域で、 ふつうより遅く育てる → 長野・群馬のレタス、キャベツ

なぜこんなことをするのでしょうか。他の産地が出荷しない時期に売れるからです。

夏が旬のピーマンを 冬に出荷できれば… → 品物が少ない時期 → 高く売れる → 農家の収入が増える

気候の多様さが、1年中いろいろな野菜が手に入ることにつながっているのです。

スーパーで野菜の産地を見ると、季節によって変わっているのが分かります。「今の時期のトマトはどこから来ている?」と調べてみると、この学習が実感できます。

気候のちがいは、不便なだけではありません。使い方しだいで強みになるのです。

つまずきやすいところ

その1 気候区分を丸暗記する

6つの名前だけ覚えて、理由が分からない。
緯度・季節風と山・海流という3つの理由で説明できます。理由とセットで覚えます。

その2 日本海側と太平洋側を逆に覚える

どちらが冬に雪が多いか混乱する。
冬の季節風は北西から吹きます。日本海を渡って水蒸気を含み、日本海側に雪を降らせます。

その3 国土の広さを陸だけで考える

日本は小さい国だと単純に考える。
EEZは世界6位です。島が多く南北に長いため、海の面積が非常に広いのです。

やってみよう

Q1 日本の国土の何割が山地ですか。

A 約4分の3です。だから平野に人口が集中します。

Q2 冬に日本海側で雪が多いのはなぜですか。

A 北西の季節風が日本海で水蒸気を含み、山にぶつかって雪を降らせるからです。

Q3 瀬戸内の気候の特徴は?

A 1年中雨が少ないことです。南北の山地が季節風をさえぎるためです。

Q4 自分の地域は6つの気候区分のどれか調べてみましょう。

A そして、その気候に合わせた暮らしの工夫も探してみてください。

まとめ

おうちの方へ

5年生の社会は、日本全体を俯瞰する内容から始まります。この単元は、その後の産業学習すべての土台になります。
地図帳を手元に置いて学ぶことをおすすめします。位置、地形、気候の分布を実際に確かめると、理解が定着します。
「同じ日でも北海道と沖縄では気温が20度以上ちがう」という事実は、天気予報で確かめられます。全国の天気を見るとき、各地の気温を比べてみてください。
気候と暮らしの関係は、旅行の際に実感できます。雪国の家の屋根、沖縄の石垣。写真や実物を見ると、教科書の記述が生きた知識になります。
領土問題については、5年生の段階では「そういう問題がある」と知るだけで十分です。詳しくは中学以降で学びます。