5年 社会 情報化社会

情報化社会 ── 受け取るだけでなく、送る側にもなる時代

昔は、情報を発信できるのは限られた人だけでした。今はちがいます

メディアの種類と特徴

情報を伝えるものをメディアといいます。それぞれに得意なことがあります。

メディア強み弱み
テレビ映像で伝わる。速報性見たい時に見られない
ラジオながら聞き。停電に強い映像がない
新聞くわしい。保存できる速報性が低い
雑誌専門的で深い発行間隔が長い
インターネット速い。双方向。検索できる正確さがまちまち

大事なのは、目的によって使い分けることです。

災害のとき 発生直後 → テレビ、ネット(速い) 停電時 → ラジオ(電池で動く) くわしく知る → 新聞(後日) → 一つに頼らない

とくにラジオは、災害時に見直されています。電池で長時間動き、電波も届きやすいからです。

そして、テレビや新聞のようなマスメディアには、大きな特徴があります。

マスメディアの特徴 ・多くの人に一度に伝える ・専門の記者が取材する ・複数の人がチェックする ・責任の所在がはっきりしている → 情報の質が保たれやすい

ニュースが放送されるまでには、取材・確認・編集・チェックという過程があります。時間はかかりますが、それが信頼性につながっています。

情報産業のしくみ

ニュースが届くまでの流れを見てみましょう。

ニュースができるまで ① 事件・出来事が起こる ② 記者が取材する ③ 記事や映像にまとめる ④ デスクや編集者が確認 ⑤ 何を伝えるか選ぶ(編集) ⑥ 放送・掲載

ここで重要なのが⑤の「選ぶ」という作業です。

選ぶということ 1日に起こる出来事は無数 ↓ 放送できるのは限られる ↓ 何を伝え、何を伝えないか 誰かが決めている

選ばれなかった情報もたくさんあるのです。ニュースは「世界のすべて」ではありません。

また、同じ出来事でも伝え方がちがうことがあります。

同じ出来事でも ・どの部分を大きく扱うか ・どんな言葉を使うか ・誰のコメントを載せるか ・写真をどれにするか → 受ける印象が変わる

だから、複数のメディアを比べることが大切なのです。

情報が活かされている場面

情報技術は、さまざまな分野で使われています。

分野使われ方
販売POSシステムで売れ筋を分析、在庫管理
運輸配送状況の追跡、最適ルートの計算
医療電子カルテ、遠隔診療、画像診断
福祉見守りシステム、緊急通報
観光予約システム、多言語案内
防災緊急地震速報、避難情報の配信
農業気象データの活用、自動運転の農機

とくにPOSシステムは、身近な例です。

POSシステム レジで商品を読み取る ↓ 「いつ・何が・いくつ売れたか」 がデータになる ↓ ・売れ筋が分かる ・在庫を自動で発注 ・天気や曜日との関係も分析 → 無駄を減らし、 欲しいものが手に入る

コンビニで欲しいものが並んでいるのは、このデータ分析のおかげです。

そして、緊急地震速報も情報技術の成果です。

緊急地震速報のしくみ 地震には2種類の波がある ・P波(速いが揺れは小さい) ・S波(おそいが揺れが大きい) ↓ P波を感知したら ↓ S波が来る前に知らせる → 数秒〜数十秒の余裕 → その数秒で身を守れる

わずかな時間差を、情報の速さで活かしているのです。

誰もが発信者になる時代

インターネットが変えたことは、誰でも発信できるようになったことです。

昔 情報を発信できるのは テレビ局、新聞社、出版社など 限られた組織だけ 今 スマートフォンがあれば 誰でも世界に発信できる

これには良い面と危険な面があります。

良い面 ・現場にいた人が直接伝えられる ・少数の意見も届く ・情報が速く広まる ・双方向でやりとりできる 危険な面 ・確認されていない情報が広がる ・うわさやデマが拡散する ・一度広がると消せない ・悪意ある情報も混ざる

とくに災害時のデマは深刻な問題です。過去の災害でも、誤った情報が広がって混乱を招きました。

広める前に立ち止まる

「大変だ、みんなに知らせなきゃ」
その気持ちが、デマを広げてしまうことがあります。
広める前に、次のことを確かめましょう。
誰が発信したか分かるか
いつの情報
他でも同じことが言われているか
・公的機関(自治体、気象庁など)が言っているか
「善意」でも、まちがった情報を広げれば加害者になります
迷ったら、広めない。それがいちばん安全です。

情報を扱う責任

情報を発信する側になる以上、責任も生まれます。

守るべきこと ① 人を傷つけない ・悪口や批判を書かない ・からかいも相手には深刻 ② 個人情報を守る ・自分の名前、住所、学校 ・他人の情報は絶対に出さない ・写真から場所が分かることも ③ 著作権を守る ・人の写真、音楽、文章を 勝手に使わない ④ うそを流さない ・確認していないことは書かない

とくに②の個人情報は注意が必要です。

意外なところから分かること ・写真の背景(建物、看板) ・制服やジャージ ・写真の位置情報 ・投稿の時間帯 ・友だちの投稿との組み合わせ → 一つ一つは小さくても 合わせると特定できてしまう

そして、一度出した情報は消せないということも知っておくべきです。

デジタルタトゥー 投稿を削除しても… ・誰かが保存している ・スクリーンショットが残る ・検索結果に残る → 一生ついてまわることも

「後で消せばいい」は通用しません。出す前に考えるしかないのです。

これからの課題

情報化社会には、まだ解決していない問題があります。

① 情報格差(デジタルデバイド) ・使える人と使えない人の差 ・高齢者、地域による差 → 必要な情報が届かない人がいる ② 依存 ・使いすぎで生活に支障 ・睡眠不足、学習への影響 ③ ネットいじめ ・匿名で攻撃できてしまう ・逃げ場がない ④ 情報の信頼性 ・偽情報、誤情報の増加 ・AIが作った偽の画像や動画

とくに④のAIによる偽情報は、新しい問題です。本物と見分けがつかない画像や動画が、簡単に作れるようになりました。

だからこそ、情報を見極める力がますます重要になっています。

これから必要な力 ・情報を疑う力 ・複数を比べる力 ・出どころを確かめる力 ・広めない判断力 ・使いすぎを自分で止める力

技術は便利ですが、使う人しだいです。道具に振り回されるのではなく、使いこなす側になること。それがこの単元の目標です。

つまずきやすいところ

その1 メディアの使い分けを考えない

いつも同じメディアだけ見る。
それぞれに強みと弱みがあります。目的によって使い分け、複数を比べることが大切です。

その2 ニュースをすべて事実だと思う

報道されたことがすべてだと考える。
ニュースは選ばれた情報です。伝えられなかったこともあります。

その3 個人情報の範囲を狭く考える

名前や住所だけだと思う。
写真の背景や制服からも特定されます。組み合わせで分かってしまうのです。

やってみよう

Q1 災害時にラジオが役立つのはなぜですか。

A 電池で長時間動き、停電しても使えるからです。電波も届きやすい特徴があります。

Q2 ニュースの「編集」とは何をすることですか。

A 何を伝え、何を伝えないかを選ぶことです。すべては放送できません。

Q3 情報を広める前に確かめることを3つ言いましょう。

A 誰が発信したか・いつの情報か・他でも同じことが言われているかです。

Q4 同じニュースを複数のメディアで読み比べてみましょう。

A 見出し、扱いの大きさ、使う言葉。ちがいに気づくと、メディアを見る目が育ちます。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、これからの社会を生きるうえで最も実用的な内容の一つです。
お子さんがスマートフォンやタブレットを使い始める時期と重なることも多いでしょう。学校で学んだことを、家庭のルール作りにつなげてください。
「広める前に確かめる」という習慣は、大人にも必要です。家族で「これ本当かな?」と一緒に調べる姿勢を見せると、自然に身につきます。
個人情報の範囲についても、具体的に話し合ってください。「この写真、場所が分かっちゃうね」といった会話が、実感を伴った理解につながります。
デジタルタトゥーの話は、少し怖い内容ですが、伝える価値があります。「消せない」という事実を知ってから発信するかどうかが、大きな分かれ目になります。
そして、情報技術の便利さも忘れずに伝えてください。恐れるだけでなく、使いこなす力を育てることが目標です。