5年 社会 グラフと表の読み方

グラフと表の読み方 ── 数字は「くらべる相手」を決めてから読む

5年生の社会科の教科書は、4年生までとくらべてグラフと表がとつぜん増えます。テストで問われるのも、覚えた知識より「この資料から何が言えるか」のほうが多くなります。

5年生から資料が増えるのには理由がある

4年生までの社会科は、住んでいる市や県のことを調べる学習でした。見学に行けるし、写真も撮れます。自分の目で確かめられる範囲の話だったのです。

ところが5年生では、あつかう相手が日本ぜんたいになります。米づくり、水産業、工業、貿易、情報。どれも自分で見に行って数えることができません。北海道の米の量も、輸入している石油の量も、目で確かめるのは不可能です。

そこで登場するのが、だれかが数えてまとめてくれた数字、つまり統計です。グラフや表は、行けない場所・見えない大きさを紙の上に持ってくるための道具です。だから5年生から急に増えます。増えたのではなく、必要になったのです。

ここを分かっていると、資料を見る目つきが変わります。グラフは飾りではなく、本文で言いたいことの証拠として置かれています。証拠なのだから、確かめる場所が決まっています。

形が4つある。それぞれ聞かれることがちがう

教科書に出てくるグラフは、たいてい次の4つのどれかです。どれを使うかは、書いた人が「何を見せたいか」で決めています。逆に言えば、形を見れば聞かれることが予想できます。

形見せたいことよく聞かれる問い
棒グラフ大きさをくらべるいちばん多いのはどこか/何倍か
折れ線グラフ時間とともに変わるようすいつから増えたか/減り始めた年は
帯グラフ全体にしめる割合。年ごとの変化も見られる割合が増えたのはどれか
円グラフある年の内わけ上位3つで何%になるか

まちがえやすいのが、帯グラフと円グラフのちがいです。どちらも「割合」を表しますが、円グラフは1つの年しか表せません。帯グラフは細長い帯を上下にならべられるので、1960年・1990年・2020年と並べて割合がどう変わったかを見せられます。教科書で帯グラフが多いのは、この「変化」を見せたい場面が多いからです。

折れ線グラフと棒グラフが1枚に重ねてある図もよく出ます。よくあるのは、棒が生産量、折れ線が働く人の数、という組み合わせです。このときはじくが左右に2本あります。どちらの数字がどちらのじくのものか、線の色や記号で対応を先に確かめてください。ここを取りちがえたまま読むと、答えが丸ごとずれます。

読む順番を決めてしまう

資料を見て手が止まる子の多くは、いきなりグラフのまん中から見ています。棒の高さや線のかたむきに先に目がいくのです。すると「なんとなく増えている」で終わり、答えが書けません。

順番を決めてしまうと、これがなくなります。おすすめは次の順です。

① 題(何のグラフか) ② たてじくの単位(万t? %? 億円?) ③ 横じくのはば(何年から何年まで/どこの県) ④ そこでやっと、形を見る ⑤ 出典と年(下のすみの小さい字)

①から③までは、グラフのまわりに書いてあります。まん中は最後でいいのです。まわりを読んでからだと、同じ形を見ても言えることが変わります。

とくに②を飛ばすと危険です。「50」と書いてあっても、50万tなのか50%なのか50億円なのかで、意味がまったくちがいます。テストの記述で単位を落として減点される子は、読むときも単位を見ていないことがほとんどです。読むときに見ていない単位は、書くときにも出てきません。

目もりには、しかけがあることがある

グラフはうそをつきませんが、実際より大げさに見せることはできます。よく使われるのが、たてじくを0から始めない書き方です。

Aのグラフ:たてじく 0 〜 100(万t) → 90 と 95 の棒は、ほとんど同じ高さに見える Bのグラフ:たてじく 88 〜 96(万t) → 同じ 90 と 95 が、2倍ちかくちがって見える

数字はどちらも同じです。変わったのは目もりの取り方だけ。それでも受ける印象はまるでちがいます。ニュースや広告のグラフでは、この書き方がよく使われます。

だから、かたむきの見た目で「急に増えた」と判断してはいけません。必ず数字を2つ拾って、引き算するかわり算をします。「1990年は45万t、2020年は48万t。3万tふえた」まで出せば、見た目にだまされません。

もうひとつ、途中を省いた記号(じくのとちゅうに入るギザギザ)がついているグラフもあります。これは「ここを省きました」という正直な合図です。この記号があるグラフは、棒の高さの比をそのまま比べてはいけないと覚えておいてください。

割合と実数を混ぜない

5年生の資料問題で、いちばん差がつくのがここです。%の話と、量そのものの話は別という一点だけで、正答率がはっきり変わります。

たとえば、ある県の農業について、こう書かれていたとします。

1990年 米の割合 60%(全体 100億円)→ 米は 60億円 2020年 米の割合 40%(全体 200億円)→ 米は 80億円

割合は60%から40%に減っています。ところが金額そのものは60億円から80億円に増えています。全体が2倍になったからです。

ここで「米づくりがおとろえた」と書くと、まちがいになります。正しくは「米の割合は下がったが、生産額そのものは増えている。ほかの作物がそれ以上に増えたため、割合としては小さくなった」です。

帯グラフと円グラフは割合しか表しません。割合のグラフだけを見て、量が増えた・減ったは言えない。この一行を、資料問題のたびに思い出してください。量を言いたければ、全体の数字が書いてある表をさがすことになります。

反対のパターンもあります。「輸入量が世界一」と書かれていても、人口が多い国なら当たり前かもしれません。国どうしをくらべるときは、1人あたりに直すと本当のちがいが見えます。総量と1人あたりでは、順位が入れかわることがめずらしくありません。

下のすみの小さい字を読む

グラフの下や右下には、たいてい小さな字でこう書いてあります。「農林水産省『作物統計』2022年」。ここを読む子は多くありません。しかし、5年生の社会でこれを見る習慣がつくと、あとの学習でずっと得をします。

見るところ分かること
だれが調べたか国の役所か、会社か、新聞社か
いつの数字か今の話か、20年前の話か
何を数えたか生産した量か、売れた量か、輸入した量か

とくに大事なのが年です。教科書は数年ごとに作り直されるので、のっている資料が最新とはかぎりません。「このグラフは2018年のものだから、今はもう少しちがうかもしれない」と言えれば、それだけで資料の使い方を分かっていることになります。

また、「何を数えたか」のちがいも効いてきます。魚の水あげ量と、魚屋で売れた量と、家庭で食べた量は、どれも魚の数字ですが別ものです。同じ「米」でも、作った量・売った量・食べた量ではグラフの形が変わります。数字が食いちがって見えるときは、数えたものがちがうことを先に疑ってください。

表は、たてに読むか横に読むかを決める

グラフより表のほうが苦手、という子はけっこういます。数字がびっしり並んでいて、どこを見ればいいか分からなくなるからです。

表はたてとよこで意味がちがいます。よこの一列は「同じ県のいろいろな数字」、たての一列は「いろいろな県の同じ項目」であることが多い。どちらを読むかは、問いのほうが決めてくれます。

「新潟県の米と野菜をくらべる」 → 新潟の行を、よこに読む 「米の生産量が多い県を順にならべる」 → 米の列を、たてに読む

読む向きを口に出して決めてから、指をその行(または列)に置いて動かします。指を置くだけで、となりの行を読んでしまうミスがほとんど消えます。

もうひとつ、表には「合計」の行や列がまざっていることがあります。合計をふくめたまま順位をつけると、合計がいつも1位になってしまいます。合計は仲間はずれとして、はじめによけておくと安全です。

つまずきやすいところ

「増えている」で答えを終わらせてしまう

記述問題で点にならない答えの代表が、「だんだん増えていると思います」です。これはグラフを見た感想であって、読み取りではありません。

点になる形は決まっています。いつ・どれだけ・何がの3つを入れることです。

感想 「増えています」 読み取り 「1990年から2020年までの30年間で、       約20万t から 約35万t へ、およそ1.7倍に増えた」

数字を2つ拾って書くだけで、答えの形になります。グラフから数字を写す作業なので、思いつく必要はありません。

グラフから読めないことまで書いてしまう

「輸入が増えたのは、外国のほうが安いからだ」。理由としては合っているかもしれませんが、そのグラフには値段は書かれていません。読み取り問題では、資料に書いてあることだけで答えます。

理由を聞かれたときは、教科書の本文や別の資料から持ってきます。「グラフから分かること」と「知識として知っていること」を分けて置くのが、資料をあつかうときの基本です。

複数の資料を1つずつしか見ない

5年生の問題では、資料が2つ3つ並ぶことがよくあります。この形の問題は、たいてい2つを組み合わせないと答えが出ないようにできています。

「資料1では漁かく量が減っている。資料2では漁業で働く人の数も減っている。この2つを結ぶと、人が減ったことと量が減ったことが関係していそうだ」──こう並べるところまでが解答です。1つずつ読んで終わりにすると、聞かれていることに届きません。

確認クイズ

Q1 帯グラフを見ただけでは言えないことは何ですか。

A 量そのものが増えたか減ったかです。帯グラフが表すのは全体にしめる割合だけなので、全体の数字が分からなければ量は出せません。

Q2 グラフを見るとき、まん中の形より先に見る場所を3つあげてください。

A 題、たてじくの単位、横じくのはばです。この3つを読んでからでないと、形を見ても意味が決まりません。

Q3 たてじくが0から始まっていないグラフでは、何に気をつけますか。

A 棒の高さの見た目でくらべないことです。実際の数字を2つ拾って、差や何倍かを計算して確かめます。

Q4 資料の下にある「農林水産省 2022年」の表示から、何が分かりますか。

A だれが調べた数字か、いつの数字かです。とくに年は大切で、今の様子とちがう可能性があるかどうかの判断材料になります。

Q5 「30年で20万tから35万tになった」ことを、倍で表すとどうなりますか。

A 35÷20=1.75なので、およそ1.8倍です。差で言うか倍で言うかは問いに合わせますが、どちらも数字を2つ拾えば書けます。

まとめ

おうちの方へ

資料の読み取りは、覚える量ではなく手つきで差がつく分野です。同じグラフを見ても、まわりの表示を読む習慣があるかどうかだけで、書ける答えの量が変わります。

家庭でできることとして効くのは、ニュースや新聞に出てくるグラフを一緒に見て、単位と年をたずねることです。「これ、何の単位?」「いつの数字?」の2つだけで十分で、内容の説明はいりません。答えられなければ一緒にさがせば、それが練習になります。

もうひとつ、テレビや広告のグラフには、たてじくを0から始めていないものがよくあります。見つけたときに「これ、下が切ってあるね」と言ってみてください。だまされないための目は、教科書より生活の中のグラフのほうが育ちます。

なお、算数の「割合」を学習するのも5年生です。社会の資料が読めないときは、社会の問題ではなく割合そのものが未消化なことがあります。%と量が混ざっている様子なら、算数側にもどって百分率を確かめると、両方まとめて片づくことがあります。