日本の国土のおよそ3分の2は森林です。その森を、だれがどうやって守っているのでしょうか。
日本の国土面積のうち、森林がしめる割合はとても高いことで知られています。
山が多く、雨がたくさん降る日本の気候は、木がよく育つ環境だからです。
森林には、大きく分けて2つの種類があります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 天然林 | 人の手を加えず、自然にできた森 |
| 人工林 | 人が木を植えて育てた森(スギ・ヒノキなど) |
日本の森林のうち、約4割が人工林です。これは、木材を得るために先人たちが植え育ててきたものです。
木材にするための木を植え、育て、切り出す仕事を林業といいます。
1本の木が使えるようになるまでには、長い年月と多くの手間がかかります。
| 時期 | 作業 | 内容 |
|---|---|---|
| 植林 | 苗木を植える | 山の斜面に苗を1本ずつ植える |
| 下草がり | 雑草をかる | 苗が雑草に負けないよう、数年間くり返す |
| 枝打ち | 余分な枝を切る | まっすぐで節のない木材にする |
| 間伐 | 木を間引く | 混みすぎた木を一部切り、光を入れる |
| 伐採 | 木を切り出す | 50年前後育った木を切って出荷 |
とくに大事なのが「間伐」です。
間伐をしないと、森全体が弱ってしまいます。木を切ることが、森を守ることにもなるのです。
1本の木が製品として出荷されるまでには、30〜50年という長い年月がかかります。今切り出している木は、祖父母の世代が植えたものかもしれません。
森林は、木材を生み出すだけでなく、わたしたちのくらしをいくつもの面で支えています。
とくに「緑のダム」としてのはたらきは重要です。
もし森林がなければ、雨水は一気に川へ流れこみ、洪水が起きやすくなります。逆に、晴天が続くと川の水がすぐに減ってしまいます。森林があることで、水の量が安定するのです。
森林を守り育てる林業ですが、いくつもの問題を抱えています。
現在は、国産木材を見直す動きが広がり、自給率は少しずつ回復しています。
木材が売れず、働く人も減ると、森の手入れそのものができなくなるという悪循環におちいってしまいます。
こうした課題に対して、さまざまな工夫が行われています。
とくに「森林環境税」は、2024年度から国内に住むすべての人が納めるしくみとして始まりました。都市に住む人も、山を持たない人も、森林を守るための費用を分担するという考え方です。
森林は山に住む人だけのものではありません。水や空気、災害への強さなど、都市に住む人にも大きな恵みをもたらしています。だからこそ、社会全体で支えるという発想が広がっているのです。
また、身近な買い物にも森林を守るヒントがあります。木材や紙の商品には、「きちんと管理された森から作られた」ことを示すマークがついているものがあります。こうしたマークがついた商品を選ぶことも、消費者にできる森林保全のひとつの形です。学校の机や椅子、ノートの紙も、もとをたどれば森林から来ています。ふだん意識しない身のまわりの製品と森を結びつけて考えると、この単元の学びがぐっと実感のあるものになります。
木を切ることを悪いことだと考えがち。
間伐は森全体を健康に保つための手入れです。混みすぎた木を減らすことで、残った木が丈夫に育ちます。
どちらも同じ「森」に見えてしまう。
天然林は自然にできた森、人工林は人が植えて育てた森です。日本の森林の約4割は人工林です。
森は木材をとる場所という印象だけを持ちがち。
実際は水をたくわえる・災害を防ぐ・二酸化炭素を吸収するなど、多くの役割があります。
木材の輸入自由化は昔の出来事なので、今は関係ないと考えがち。
働く人の高齢化や手入れの行き届かない森は今まさに続いている課題です。森林環境税のような新しいしくみが最近始まったのも、そのためです。
Q1 日本の国土のうち、森林がしめる割合はどれくらいですか。
A およそ3分の2です。
Q2 間伐をするのはなぜですか。
A 木が混みすぎるのを防ぎ、残った木に日光と栄養をいきわたらせるためです。
Q3 森林が「緑のダム」とよばれる理由を説明しましょう。
A 雨水を土にたくわえ、少しずつ川に流すことで洪水や水不足を防ぐからです。
Q4 林業が抱える課題を2つ言いましょう。
A 外国産木材との競争と働く人の高齢化・減少です。
この単元は、直接目にする機会が少ない「森」というものを、社会全体の資源として捉え直す学習です。木材としての価値だけでなく、水や災害防止といった目に見えにくい恵みに気づけるかがポイントになります。
近くに植林地や森林公園があれば、実際に歩いてみるのがおすすめです。人工林の木がまっすぐ並んで植えられている様子や、間伐された跡を見ると、「育てられている森」という実感がわきます。
お住まいの地域に木造の学校や公共施設があれば、「これは国産の木かな?」と話題にしてみるのもよい導入になります。森林環境税のように、都市に住んでいても森を支える仕組みがあることも、社会科らしい気づきにつながります。