5年 社会 これからの食料生産

これからの食料生産 ── 食べ物の6割は、外国から来ている

今日食べたものは、どこで作られたでしょうか。答えは意外と遠い国かもしれません。

食料自給率とは

食料自給率とは、食べ物のうち国内で作られた割合のことです。

日本の食料自給率 (カロリーベース) 約38% → 食べているカロリーのうち 国内産は約4割 残り6割は輸入

この数字は、先進国の中で非常に低い水準です。

食料自給率(カロリーベース)
カナダ200%以上
オーストラリア約170%
アメリカ約120%
フランス約120%
ドイツ約80%
イギリス約60%
日本約38%

100%を超える国は、自国で食べる以上に作って輸出しているということです。

品目別に見ると、大きな差があります。

日本の品目別自給率 米 … 約97%(ほぼ自給) 野菜 … 約80% 魚介類 … 約55% 肉類 … 約53% 果物 … 約38% 小麦 … 約17% 大豆 … 約6%

米はほぼ自給できています。一方、小麦や大豆はほとんど輸入です。

なぜ自給率が下がったのか

日本の自給率は、昔からこんなに低かったわけではありません。

食料自給率の変化 1965年 … 73% ↓ 1990年 … 48% ↓ 現在 … 約38%

原因は主に食生活の変化です。

昔の食事 ご飯、みそ汁、魚、野菜 → ほぼ国内で作れる 今の食事 パン、パスタ、肉、乳製品 → 小麦、飼料は輸入に頼る

とくにには注意が必要です。

肉の自給率の見え方 国内で育てた牛や豚 → 国産 でも、そのえさ(飼料)は ほとんど輸入 → 飼料まで考えると 実質的な自給率はもっと低い

牛肉1kgを作るには、約11kgの穀物が必要だと言われます。肉を食べることは、間接的に大量の穀物を消費することでもあるのです。

もう一つの原因は、農業をする人の減少です。

農業で働く人 1960年 … 約1450万人 ↓ 現在 … 約120万人 → 10分の1以下に

作る人が減れば、当然作れる量も減ります。

輸入の利点と課題

輸入は悪いことばかりではありません。利点もあります

利点課題
安く買える相手国の事情に左右される
1年中手に入る輸送でエネルギーを使う
種類が豊富安全性の確認が難しい
国内の不作を補える国内農業が衰退する

いちばんの心配は、輸入できなくなる可能性です。

輸入が止まる原因 ・相手国の不作(干ばつ、洪水) ・戦争や政治的な対立 ・輸出制限 (自国優先で売らなくなる) ・輸送路の遮断 ・感染症の流行

実際、2008年の食料危機では、いくつかの国が穀物の輸出を制限しました。世界的に価格が高騰し、食料を買えない国が出ました。

お金があっても、売ってもらえなければ手に入らないのです。

そして、安全性の問題もあります。

輸入食品の心配 ・農薬の使い方が国によってちがう ・長距離輸送のための防かび剤 ・生産の様子が見えない ・産地の偽装 → 検疫(検査)で防いでいるが すべては調べきれない

地産地消という考え方

こうした課題への一つの答えが地産地消です。

地産地消 地元で作ったものを 地元で消費する

この考え方には、多くの利点があります。

地産地消の利点 ・新鮮なものが食べられる ・輸送のエネルギーが少ない ・生産者の顔が見える ・地域の農業を支える ・地域にお金が回る

学校給食で地元の食材を使う取り組みも、地産地消の一つです。

関連する言葉にフードマイレージがあります。

フードマイレージ 食料の重さ × 運んだ距離 → 数値が大きいほど 輸送に多くのエネルギーを使った 日本のフードマイレージは 世界でもトップクラスに高い

遠くから運ぶほど、燃料を使い、二酸化炭素を出します。地元のものを食べることは、環境を守ることにもつながるのです。

食品ロスという問題

もう一つ、深刻な問題があります。まだ食べられるのに捨てられる食品です。

日本の食品ロス 年間 約470万トン (国民1人あたり 1日約100g) → 毎日おにぎり1個分を 捨てている計算

6割を輸入に頼りながら、大量に捨てている。これは矛盾した状況です。

食品ロスが出る場所 【家庭】約半分 ・買いすぎ ・作りすぎ ・期限切れ 【店・工場・飲食店】約半分 ・売れ残り ・規格外品 ・食べ残し

減らすためにできることがあります。

わたしたちにできること ・買い物前に冷蔵庫を確認 ・必要な分だけ買う ・「てまえどり」 (手前の商品から取る) ・食べきれる量を注文 ・残ったら工夫して食べる

賞味期限と消費期限のちがいも知っておきましょう。

消費期限 … 安全に食べられる期限 過ぎたら食べない 賞味期限 … おいしく食べられる期限 過ぎてもすぐ悪くなるわけではない

賞味期限を過ぎただけで捨ててしまうケースが多くあります。意味を知れば、無駄が減らせます

これからどうするか

食料の問題に、簡単な正解はありません。でも、考えるべき論点ははっきりしています。

考えるべきこと ・安さと安全、どちらを重視するか ・国内農業をどう守るか ・環境への負担をどう減らすか ・非常時にどう備えるか

取り組みも進んでいます。

・農業の大規模化、法人化 ・スマート農業(技術で効率化) ・若い就農者への支援 ・輸出の拡大 ・国産品のブランド化 ・植物工場(天候に左右されない) ・代替たんぱく質の研究

そして、食べる側の選択も大きな力を持ちます。

国産を選ぶ、地元のものを買う、無駄なく食べる。一人ひとりの行動が、食料生産のあり方を変えます

つまずきやすいところ

その1 自給率の意味があいまい

何の割合か分からない。
食べているもののうち国内産の割合です。カロリーで計算するのが一般的です。

その2 輸入をすべて悪いと考える

輸入をやめればよいと単純に思う。
輸入には安さ・豊富さ・不作を補うという利点もあります。両面を見ることが大切です。

その3 食品ロスを他人事だと思う

店や工場の問題だと考える。
食品ロスの約半分は家庭から出ています。自分の行動が関わっています。

やってみよう

Q1 日本の食料自給率は何%くらいですか。

A カロリーベースで約38%。6割以上を輸入に頼っています。

Q2 自給率が下がった主な理由は?

A 食生活の変化です。パンや肉が増え、輸入に頼る品目が多くなりました。

Q3 地産地消の利点を2つ言いましょう。

A 新鮮輸送のエネルギーが少ないこと。地域の農業も支えられます。

Q4 1週間、食べたものの産地を記録してみましょう。

A 国産と輸入の割合が見えてきます。地図に印をつけると世界とのつながりが分かります。

Q5 消費期限と賞味期限のちがいは何ですか。

A 消費期限は安全に食べられる期限、賞味期限はおいしく食べられる期限です。賞味期限は少し過ぎても食べられることが多く、ここを知るだけで食品ロスが減らせます。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、毎日の食事が世界とつながっていることを実感できる内容です。
スーパーでの産地確認は、最も手軽で効果的な活動です。「これはどこから来た?」と聞くだけで、学習が生活と結びつきます。地図帳で場所を確かめると、さらに理解が深まります。
食品ロスの話は、家庭で実践できるテーマです。冷蔵庫の中身を一緒に確認する、賞味期限と消費期限のちがいを教える。すぐに行動につながります。
「てまえどり」も、買い物のときに実践できます。すぐ食べるものは手前から取る。小さな行動ですが、意味を理解して行うことが大切です。
自給率の問題に正解はありません。「安い外国産と高い国産、どちらを選ぶ?」という問いを、家族で話し合ってみてください。考えること自体が学びです。