2つの数がからむと、比べられない。そんなときに使う強力な道具です。
次の2つの部屋、どちらがこんでいるでしょうか。
すぐには分かりません。人数はAが多いけれど、広さもAが広い。2つの数が同時にちがうからです。
もし片方がそろっていれば簡単でした。
そろっていないから比べられない。では、どうすればよいのでしょうか。
答えは「自分でそろえる」ことです。
そろえ方には2通りあります。
どちらの方法でも、B室のほうがこんでいるという同じ結論になります。
ただし、大小の判断が逆になることに注意してください。
| そろえ方 | 数が大きいと |
|---|---|
| 1畳あたりの人数 | こんでいる |
| 1人あたりの畳数 | すいている |
どちらを使ってもかまいませんが、意味を確かめてから判断する必要があります。
ふつうは、「1畳あたり何人」のように、多いほうが混雑を表す形を使います。そのほうが直感に合うからです。
この考え方を、地域の混雑に使ったものが人口密度です。
面積の単位はkm²を使うのが約束です。
人口はA市のほうが多いのに、密度はB市のほうが高い。面積を考えると結果が変わるのです。
日本の人口密度は約330人/km²で、世界でもかなり高いほうです。ただし、国全体の平均なので、実態とはずれがあります。
平均のときと同じで、ならした値だけでは実態が見えないことがあります。
この考え方は、いたるところで使われています。
| 名前 | 意味 | 計算 |
|---|---|---|
| 単価 | 1個あたりの値段 | 代金 ÷ 個数 |
| 人口密度 | 1km²あたりの人数 | 人口 ÷ 面積 |
| 燃費 | 1Lで走れる距離 | 距離 ÷ 燃料 |
| 速さ | 1時間に進む距離 | 道のり ÷ 時間 |
| 収穫量 | 1aあたりの取れ高 | 収穫 ÷ 面積 |
| 打率 | 1打席あたりのヒット | 安打 ÷ 打数 |
すべて「わり算で1あたりを出す」という同じしくみです。名前がちがうだけなのです。
買い物では、単価がとくに役立ちます。
値段だけを見るとAが安いですが、1個あたりで比べるとBです。スーパーの値札に単価が書いてあるのは、こういう比較のためです。
「AあたりのB」と言われたら、B ÷ A です。
・1個あたりの値段 → 値段 ÷ 個数
・1km²あたりの人数 → 人数 ÷ 面積
・1Lあたりの距離 → 距離 ÷ 燃料
「あたり」の前の言葉でわる。この見分け方を覚えておくと便利です。
迷ったときは、単位を書いて確かめるのも有効です。「人/km²」なら「人÷km²」だと分かります。
「1あたり」が分かれば、逆に全体も計算できます。
3つの量の関係は、こうなります。
この3つの形は、次の単元「速さ」でもまったく同じです。速さは「1時間あたりの道のり」なので、この単元の応用にすぎません。
さらに、割合や比例にもつながっていきます。5年生後半の算数は、この「1あたり」の考え方で貫かれているのです。
単位量あたりの問題は、手順を決めておくと確実です。
とくに④の単位が重要です。単位を書いておけば、何を求めたのかが分かります。
そして⑤の確認を忘れないでください。
計算は合っていても、意味を取りちがえると答えが逆になります。ここが最大の注意点です。
もう一つ、3つ以上を比べる問題も出てきます。
3つでも4つでも、全部を1あたりに直せば比べられます。数が増えても方法は同じです。
ここで大事なのは、すべて同じ形にそろえることです。Aだけ「1m²あたり」、Bだけ「1kgあたり」では比べられません。そろえる基準を統一するのが鉄則です。
人数÷面積か、面積÷人数か迷う。
「あたり」の前でわります。「1km²あたりの人数」なら人数÷面積。単位を書くと確かめられます。
1人あたりの面積が大きいほうを「こんでいる」としてしまう。
1人が広く使えるならすいているのです。求めた数が何を意味するか確認します。
数字だけ書いて、何の値か分からなくなる。
人/km²、円/個のように単位を書きます。自分が何を計算したか、はっきりします。
Q1 なぜ「1あたり」にそろえるのですか。
A 2つの数が同時にちがうと比べられないので、片方を1にそろえるためです。
Q2 人口密度の求め方は?
A 人口 ÷ 面積(km²)。1km²あたり何人住んでいるかを表します。
Q3 5個で400円と、8個で600円。どちらが安いですか。
A 80円/個 と 75円/個。8個で600円のほうが安いです。
Q4 スーパーで、同じ商品の単価を比べてみましょう。
A 大きいパックが必ず得とは限りません。実際に計算すると発見があります。
この単元は、5年生後半の算数(速さ・割合)の土台になる重要な内容です。ここでつまずくと、その後がすべて苦しくなります。
まず、なぜ比べられないのかを実感させてください。「8畳に6人」と「6畳に5人」を紙に描いて、直感では判断できないことを確かめる。そこから「そろえる」という発想が生まれます。
「どちらでわるか」は、多くの子が迷います。「あたりの前でわる」というルールと、単位を書いて確かめる方法の両方を教えておくと安心です。
買い物での単価比較は、最良の実践の場です。「どっちがお得かな?」と一緒に計算してみてください。大きいパックが必ず安いとは限らないという発見は、子どもにとって新鮮です。