5年 算数 単位量あたりの大きさ

単位量あたりの大きさ ── 条件がちがうものを、比べる方法

2つの数がからむと、比べられない。そんなときに使う強力な道具です。

比べられない、という問題

次の2つの部屋、どちらがこんでいるでしょうか。

A室: 8畳に 6人 B室: 6畳に 5人

すぐには分かりません。人数はAが多いけれど、広さもAが広い。2つの数が同時にちがうからです。

もし片方がそろっていれば簡単でした。

同じ8畳に 6人 と 5人 → 6人のほうがこんでいる(人数で比べる) 同じ6人が 8畳 と 6畳 → 6畳のほうがこんでいる(広さで比べる)

そろっていないから比べられない。では、どうすればよいのでしょうか。

答えは「自分でそろえる」ことです。

1あたりにそろえる

そろえ方には2通りあります。

【1畳あたり何人か】 A: 6 ÷ 8 = 0.75人 B: 5 ÷ 6 = 約0.83人 → 数が大きいほうがこんでいる → B室のほうがこんでいる 【1人あたり何畳か】 A: 8 ÷ 6 = 約1.33畳 B: 6 ÷ 5 = 1.2畳 → 数が小さいほうがこんでいる → B室のほうがこんでいる

どちらの方法でも、B室のほうがこんでいるという同じ結論になります。

ただし、大小の判断が逆になることに注意してください。

そろえ方数が大きいと
1畳あたりの人数こんでいる
1人あたりの畳数すいている

どちらを使ってもかまいませんが、意味を確かめてから判断する必要があります。

ふつうは、「1畳あたり何人」のように、多いほうが混雑を表す形を使います。そのほうが直感に合うからです。

人口密度

この考え方を、地域の混雑に使ったものが人口密度です。

人口密度 = 人口 ÷ 面積(km²) 1km²あたり何人住んでいるか

面積の単位はkm²を使うのが約束です。

A市: 人口 24万人、面積 300km² → 240000 ÷ 300 = 800人/km² B市: 人口 18万人、面積 150km² → 180000 ÷ 150 = 1200人/km² → B市のほうがこんでいる

人口はA市のほうが多いのに、密度はB市のほうが高い。面積を考えると結果が変わるのです。

日本の人口密度は約330人/km²で、世界でもかなり高いほうです。ただし、国全体の平均なので、実態とはずれがあります。

日本の場合 国土の約7割が山地 → 人が住めるのは3割ほど → 実際に住んでいる場所の密度は もっと高い 東京都区部 … 約15000人/km² 過疎地域 … 数十人/km²

平均のときと同じで、ならした値だけでは実態が見えないことがあります。

いろいろな「1あたり」

この考え方は、いたるところで使われています。

名前意味計算
単価1個あたりの値段代金 ÷ 個数
人口密度1km²あたりの人数人口 ÷ 面積
燃費1Lで走れる距離距離 ÷ 燃料
速さ1時間に進む距離道のり ÷ 時間
収穫量1aあたりの取れ高収穫 ÷ 面積
打率1打席あたりのヒット安打 ÷ 打数

すべて「わり算で1あたりを出す」という同じしくみです。名前がちがうだけなのです。

買い物では、単価がとくに役立ちます。

おかしAは 6個で 240円 おかしBは 8個で 300円 A: 240 ÷ 6 = 40円/個 B: 300 ÷ 8 = 37.5円/個 → Bのほうが安い

値段だけを見るとAが安いですが、1個あたりで比べるとBです。スーパーの値札に単価が書いてあるのは、こういう比較のためです。

どちらでわるか迷ったら

「AあたりのB」と言われたら、B ÷ A です。
・1個あたりの値段 → 値段 ÷ 個数
・1km²あたりの人数 → 人数 ÷ 面積
・1Lあたりの距離 → 距離 ÷ 燃料
「あたり」の前の言葉でわる。この見分け方を覚えておくと便利です。
迷ったときは、単位を書いて確かめるのも有効です。「人/km²」なら「人÷km²」だと分かります。

1あたりから全体を求める

「1あたり」が分かれば、逆に全体も計算できます

1あたりの量 × いくつ分 = 全体 1個40円のおかしを7個 → 40 × 7 = 280円 人口密度800人/km²の市が300km² → 800 × 300 = 240000人

3つの量の関係は、こうなります。

全体 = 1あたり × いくつ分 1あたり = 全体 ÷ いくつ分 いくつ分 = 全体 ÷ 1あたり

この3つの形は、次の単元「速さ」でもまったく同じです。速さは「1時間あたりの道のり」なので、この単元の応用にすぎません。

さらに、割合比例にもつながっていきます。5年生後半の算数は、この「1あたり」の考え方で貫かれているのです。

問題を解く手順

単位量あたりの問題は、手順を決めておくと確実です。

① 何と何を比べるのか確認する ② 2つの量のうち、どちらを1にそろえるか決める ③ わり算で計算する ④ 単位をつける(人/km²、円/個など) ⑤ 大小の意味を確かめてから答える

とくに④の単位が重要です。単位を書いておけば、何を求めたのかが分かります。

そして⑤の確認を忘れないでください。

「1人あたりの畳数」で比べたとき 数が大きい = 1人が広く使える = すいている 「こんでいるのはどちら?」と聞かれたら → 数が小さいほうが答え

計算は合っていても、意味を取りちがえると答えが逆になります。ここが最大の注意点です。

もう一つ、3つ以上を比べる問題も出てきます。

3つの畑の収穫量を比べる A畑: 300m² で 240kg B畑: 400m² で 280kg C畑: 250m² で 225kg 1m²あたりに直す A: 240 ÷ 300 = 0.8kg B: 280 ÷ 400 = 0.7kg C: 225 ÷ 250 = 0.9kg → よく取れているのは C畑

3つでも4つでも、全部を1あたりに直せば比べられます。数が増えても方法は同じです。

ここで大事なのは、すべて同じ形にそろえることです。Aだけ「1m²あたり」、Bだけ「1kgあたり」では比べられません。そろえる基準を統一するのが鉄則です。

つまずきやすいところ

その1 どちらでわるか分からない

人数÷面積か、面積÷人数か迷う。
「あたり」の前でわります。「1km²あたりの人数」なら人数÷面積。単位を書くと確かめられます。

その2 大小の意味を取りちがえる

1人あたりの面積が大きいほうを「こんでいる」としてしまう。
1人が広く使えるならすいているのです。求めた数が何を意味するか確認します。

その3 単位を書かない

数字だけ書いて、何の値か分からなくなる。
人/km²、円/個のように単位を書きます。自分が何を計算したか、はっきりします。

やってみよう

Q1 なぜ「1あたり」にそろえるのですか。

A 2つの数が同時にちがうと比べられないので、片方を1にそろえるためです。

Q2 人口密度の求め方は?

A 人口 ÷ 面積(km²)。1km²あたり何人住んでいるかを表します。

Q3 5個で400円と、8個で600円。どちらが安いですか。

A 80円/個 と 75円/個。8個で600円のほうが安いです。

Q4 スーパーで、同じ商品の単価を比べてみましょう。

A 大きいパックが必ず得とは限りません。実際に計算すると発見があります。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、5年生後半の算数(速さ・割合)の土台になる重要な内容です。ここでつまずくと、その後がすべて苦しくなります。
まず、なぜ比べられないのかを実感させてください。「8畳に6人」と「6畳に5人」を紙に描いて、直感では判断できないことを確かめる。そこから「そろえる」という発想が生まれます。
「どちらでわるか」は、多くの子が迷います。「あたりの前でわる」というルールと、単位を書いて確かめる方法の両方を教えておくと安心です。
買い物での単価比較は、最良の実践の場です。「どっちがお得かな?」と一緒に計算してみてください。大きいパックが必ず安いとは限らないという発見は、子どもにとって新鮮です。