5年 算数 速さ

速さ ── 公式を3つ覚えない。1つの関係で足りる

速さは「1時間あたりの道のり」。前の単元の応用にすぎません。

速さも「1あたり」

2人のうち、どちらが速いでしょうか。

A: 3時間で 180km 進んだ B: 2時間で 140km 進んだ

距離はAが長く、時間もAが長い。そのままでは比べられません

前の単元で学んだ方法を使います。1時間あたりにそろえるのです。

A: 180 ÷ 3 = 60km B: 140 ÷ 2 = 70km → 1時間あたりの道のりは B が長い → B のほうが速い

これが速さです。

速さ = 道のり ÷ 時間 「1時間あたりに進む道のり」

まったく新しい概念ではありません。単位量あたりの大きさの、一つの形なのです。

3つの公式は要らない

教科書には3つの公式が載っています。

速さ = 道のり ÷ 時間 道のり = 速さ × 時間 時間 = 道のり ÷ 速さ

これを3つとも覚えようとすると、混乱します。実は、1つだけ覚えれば足りるのです。

道のり = 速さ × 時間 これだけ覚える

なぜこれかというと、意味が一番わかりやすいからです。

時速60kmで3時間走ったら? 1時間に60km進むのを3回 → 60 × 3 = 180km 当たり前のこと

この1つの式から、残り2つはその場で作れます

道のり = 速さ × 時間 速さを求めたい → □ × 時間 = 道のり → □ = 道のり ÷ 時間 時間を求めたい → 速さ × □ = 道のり → □ = 道のり ÷ 速さ

かけ算とわり算の関係が分かっていれば、導けます。3年生で学んだ「□を使った式」の考え方です。

「は・じ・き」のような図で覚える方法もありますが、意味を理解していないと応用が利きません。まずは意味から入ることをおすすめします。

時速・分速・秒速

速さには、3つの表し方があります。

名前意味使う場面
時速1時間に進む道のり車、電車、飛行機
分速1分間に進む道のり歩く速さ、自転車
秒速1秒間に進む道のり音、光、風

変換の関係は、時間の単位から決まります。

1時間 = 60分 = 3600秒 時速 ÷ 60 → 分速 分速 ÷ 60 → 秒速 時速 ÷ 3600 → 秒速 (逆は × 60、× 3600)

例で確かめましょう。

時速 72km を秒速に直す 72km = 72000m 72000 ÷ 3600 = 20 → 秒速 20m

ここで注意すべきは、長さの単位も同時に変わることが多い点です。時速はkm、秒速はmで表すのがふつうなので、両方の変換が必要になります。

単位をそろえてから計算する

速さの問題でいちばん多いミスが、単位の不一致です。
「時速40kmで30分走ると?」
× 40 × 30 = 1200km (時間と分がまざっている)
○ 30分=0.5時間なので 40 × 0.5 = 20km
計算する前に単位をそろえる。これを習慣にしてください。
時速なら時間、分速なら分。道のりの単位(km・m)もそろえます。

速さの感覚を持つ

数値だけでは実感しにくいので、目安を持っておきましょう。

もの速さの目安
人が歩く時速4km(分速約70m)
自転車時速15km
車(一般道)時速40〜60km
新幹線時速300km
飛行機時速900km
秒速340m(時速約1224km)
秒速30万km

とくに歩く速さ=分速約70mは便利です。「駅まで徒歩10分」なら約700m。不動産の表示は、この基準(分速80m)で計算されています。

音の速さも面白い数値です。

かみなりが光ってから 音が聞こえるまで 3秒だった 340 × 3 = 1020m → かみなりは約1km先

光はほぼ瞬時に届くので、音のおくれから距離が分かります。理科の学習ともつながる、実用的な計算です。

速さの問題を解く

典型的な問題をいくつか見ておきましょう。

【基本】 240kmを4時間で走った。時速は? → 240 ÷ 4 = 時速60km 【道のりを求める】 時速50kmで2.5時間走った。道のりは? → 50 × 2.5 = 125km 【時間を求める】 180kmを時速45kmで走る。何時間? → 180 ÷ 45 = 4時間

次は、少し複雑な問題です。

【単位の変換が必要】 分速80mで15分歩いた。道のりは? → 80 × 15 = 1200m = 1.2km 【途中で速さが変わる】 はじめの2時間は時速40km、 次の3時間は時速60km。 全体の道のりは? → 40 × 2 = 80km → 60 × 3 = 180km → 合計 260km 平均の速さは 260 ÷ 5 = 時速52km

ここで注意です。平均の速さは、速さどうしの平均ではありません

× (40 + 60) ÷ 2 = 50km ○ 全体の道のり ÷ 全体の時間 = 52km

これは、平均の単元で学んだ「平均どうしは平均できない」と同じ話です。合計に直してから計算するのが鉄則です。

出会いと追いこし

2人が動く問題も出てきます。まず考え方を整理しておきましょう。

【向かい合って進む(出会う)】 A → ← B ├──────────────┤ 1200m A:分速60m、B:分速40m 1分間に近づく距離 = 60 + 40 = 100m 1200 ÷ 100 = 12分後に出会う

向かい合っているときは、2人の速さを足す。1分で100mずつ縮まっていくと考えます。

【同じ方向へ進む(追いこす)】 B → A → ├────┤ 200m A:分速80m、B:分速60m(Aが後ろ) 1分間に縮まる距離 = 80 - 60 = 20m 200 ÷ 20 = 10分後に追いつく

同じ方向なら、速さの差だけ近づきます。

ポイントは、「1分間にどれだけ距離が変わるか」を先に求めることです。それが分かれば、あとはわり算だけです。

この考え方は、実は速さそのものです。「近づく速さ」を求めているのです。だから、単位量あたりの考え方がここでも使えます。

つまずきやすいところ

その1 公式を3つ暗記しようとする

どれがどれか分からなくなる。
「道のり=速さ×時間」だけ覚えます。他は□を使って導けます。

その2 単位をそろえずに計算する

時速と分をそのままかけてしまう。
計算前に単位をそろえる。30分なら0.5時間に直してから使います。

その3 平均の速さを速さの平均で出す

(40+60)÷2としてしまう。
全体の道のり ÷ 全体の時間です。合計に直して計算します。

やってみよう

Q1 速さとは何を表していますか。

A 1時間(1分・1秒)あたりに進む道のりです。単位量あたりの大きさの一つです。

Q2 覚えるべき公式は1つだけ。何ですか。

A 道のり = 速さ × 時間。他はここから導けます。

Q3 時速36kmは秒速何mですか。

A 36000m ÷ 3600秒 = 秒速10mです。

Q4 自分の歩く速さを測ってみましょう。

A 100mを何秒で歩けるか計り、分速・時速に直してみてください。

まとめ

おうちの方へ

速さは、多くの子が苦手意識を持つ単元です。しかし本質は「1時間あたりの道のり」という単位量あたりの考え方にすぎません。前の単元とつなげて理解させることが大切です。
公式を3つ暗記させるのは、かえって混乱のもとです。「道のり=速さ×時間」の1つだけを、意味とともに理解させてください。「時速60kmで3時間なら180km」は、説明されなくても納得できるはずです。
単位の不一致は最も多いミスです。「30分は0.5時間」という変換を、意識的に書かせる習慣をつけましょう。
実感を持たせるには、実際に測るのがいちばんです。歩く速さ、自転車の速さ、車での移動時間と距離。生活の中の数値を計算してみると、速さが身近になります。
かみなりの距離を音の速さで計算する話は、子どもが強く興味を持つ題材です。