速さは「1時間あたりの道のり」。前の単元の応用にすぎません。
2人のうち、どちらが速いでしょうか。
距離はAが長く、時間もAが長い。そのままでは比べられません。
前の単元で学んだ方法を使います。1時間あたりにそろえるのです。
これが速さです。
まったく新しい概念ではありません。単位量あたりの大きさの、一つの形なのです。
教科書には3つの公式が載っています。
これを3つとも覚えようとすると、混乱します。実は、1つだけ覚えれば足りるのです。
なぜこれかというと、意味が一番わかりやすいからです。
この1つの式から、残り2つはその場で作れます。
かけ算とわり算の関係が分かっていれば、導けます。3年生で学んだ「□を使った式」の考え方です。
「は・じ・き」のような図で覚える方法もありますが、意味を理解していないと応用が利きません。まずは意味から入ることをおすすめします。
速さには、3つの表し方があります。
| 名前 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 時速 | 1時間に進む道のり | 車、電車、飛行機 |
| 分速 | 1分間に進む道のり | 歩く速さ、自転車 |
| 秒速 | 1秒間に進む道のり | 音、光、風 |
変換の関係は、時間の単位から決まります。
例で確かめましょう。
ここで注意すべきは、長さの単位も同時に変わることが多い点です。時速はkm、秒速はmで表すのがふつうなので、両方の変換が必要になります。
速さの問題でいちばん多いミスが、単位の不一致です。
「時速40kmで30分走ると?」
× 40 × 30 = 1200km (時間と分がまざっている)
○ 30分=0.5時間なので 40 × 0.5 = 20km
計算する前に単位をそろえる。これを習慣にしてください。
時速なら時間、分速なら分。道のりの単位(km・m)もそろえます。
数値だけでは実感しにくいので、目安を持っておきましょう。
| もの | 速さの目安 |
|---|---|
| 人が歩く | 時速4km(分速約70m) |
| 自転車 | 時速15km |
| 車(一般道) | 時速40〜60km |
| 新幹線 | 時速300km |
| 飛行機 | 時速900km |
| 音 | 秒速340m(時速約1224km) |
| 光 | 秒速30万km |
とくに歩く速さ=分速約70mは便利です。「駅まで徒歩10分」なら約700m。不動産の表示は、この基準(分速80m)で計算されています。
音の速さも面白い数値です。
光はほぼ瞬時に届くので、音のおくれから距離が分かります。理科の学習ともつながる、実用的な計算です。
典型的な問題をいくつか見ておきましょう。
次は、少し複雑な問題です。
ここで注意です。平均の速さは、速さどうしの平均ではありません。
これは、平均の単元で学んだ「平均どうしは平均できない」と同じ話です。合計に直してから計算するのが鉄則です。
2人が動く問題も出てきます。まず考え方を整理しておきましょう。
向かい合っているときは、2人の速さを足す。1分で100mずつ縮まっていくと考えます。
同じ方向なら、速さの差だけ近づきます。
ポイントは、「1分間にどれだけ距離が変わるか」を先に求めることです。それが分かれば、あとはわり算だけです。
この考え方は、実は速さそのものです。「近づく速さ」を求めているのです。だから、単位量あたりの考え方がここでも使えます。
どれがどれか分からなくなる。
「道のり=速さ×時間」だけ覚えます。他は□を使って導けます。
時速と分をそのままかけてしまう。
計算前に単位をそろえる。30分なら0.5時間に直してから使います。
(40+60)÷2としてしまう。
全体の道のり ÷ 全体の時間です。合計に直して計算します。
Q1 速さとは何を表していますか。
A 1時間(1分・1秒)あたりに進む道のりです。単位量あたりの大きさの一つです。
Q2 覚えるべき公式は1つだけ。何ですか。
A 道のり = 速さ × 時間。他はここから導けます。
Q3 時速36kmは秒速何mですか。
A 36000m ÷ 3600秒 = 秒速10mです。
Q4 自分の歩く速さを測ってみましょう。
A 100mを何秒で歩けるか計り、分速・時速に直してみてください。
速さは、多くの子が苦手意識を持つ単元です。しかし本質は「1時間あたりの道のり」という単位量あたりの考え方にすぎません。前の単元とつなげて理解させることが大切です。
公式を3つ暗記させるのは、かえって混乱のもとです。「道のり=速さ×時間」の1つだけを、意味とともに理解させてください。「時速60kmで3時間なら180km」は、説明されなくても納得できるはずです。
単位の不一致は最も多いミスです。「30分は0.5時間」という変換を、意識的に書かせる習慣をつけましょう。
実感を持たせるには、実際に測るのがいちばんです。歩く速さ、自転車の速さ、車での移動時間と距離。生活の中の数値を計算してみると、速さが身近になります。
かみなりの距離を音の速さで計算する話は、子どもが強く興味を持つ題材です。