5年 算数 速さ

往復の平均の速さ ── 2つの速さをたして2で割ってはいけない理由

直人さんは、となり町のおじさんの家まで自転車で行きました。道のりは12kmです。行きは向かい風で時速4km、帰りは追い風になって時速6kmで走りました。「往復の平均の速さは何kmですか」と聞かれたら、多くの人が思わず(4+6)÷2=5kmと答えます。しかし、これは間違いです。正しい答えは時速4.8km。速さを2つたして2で割る計算は、速さの平均ではうまくいきません。なぜずれるのか、何を計算すればよいのかを、同じ例を使って整理します。

「(4+6)÷2=5km」では、答えが合わない

速さは「道のり÷時間」で求める量です。行きと帰りで道のりは同じ12kmですが、速さがちがうのでかかる時間もちがいます。まずそれぞれの時間を求めてみましょう。

行きの時間 = 12km ÷ 時速4km = 3時間 帰りの時間 = 12km ÷ 時速6km = 2時間 往復の道のり = 12km × 2 = 24km 往復にかかった時間 = 3時間 + 2時間 = 5時間 往復の平均の速さ = 24km ÷ 5時間 = 時速4.8km

往復全体でかかった時間は5時間、進んだ道のりは24kmなので、平均の速さは時速4.8kmです。「速さをたして2で割った5km」とは、はっきりちがう答えになりました。

なぜ算術平均ではずれるのか

「(4+6)÷2」という計算が正しいのは、行きと帰りで同じ時間だけ走ったときだけです。しかし今回は、遅い速さ(時速4km)で走った時間は3時間、速い速さ(時速6km)で走った時間は2時間で、かかった時間がちがいます。

平均の速さは、道のりではなく時間を基準にして考えると分かりやすくなります。5時間のうち、3時間(60%)は遅い時速4kmで走り、2時間(40%)は速い時速6kmで走りました。遅いほうの速さで走っている時間のほうが長いので、平均の速さはちょうど真ん中の時速5kmよりも、遅いほうの時速4kmに引き寄せられます。これが、速さをたして2で割った答え(5km)と、本当の平均の速さ(4.8km)がずれる理由です。

正しい求め方の手順

往復の平均の速さは、どんな場合でも次の3つの手順で求められます。

手順やること直人さんの例
①行きと帰り、それぞれの時間を求める行き3時間、帰り2時間
②往復全体の道のりと時間を、それぞれ合計する道のり24km、時間5時間
③全体の道のり ÷ 全体の時間で平均の速さを求める24km ÷ 5時間 = 時速4.8km

速さを先にたしてしまうと、①で求めた「時間がちがう」という情報が計算から消えてしまいます。道のりと時間を、それぞれ別々に合計してから、最後に1回だけわり算をするのが正しい順番です。

大小関係で検算する

計算が合っているかを見直すときは、答えの大きさにも注目しましょう。往復の平均の速さには、次のような決まりがあります。

遅いほうの速さ(4) < 往復の平均の速さ(4.8) < 2つの速さの算術平均(5) < 速いほうの速さ(6)

往復の平均の速さは、必ず遅いほうの速さと速いほうの速さの間に入ります。そしてもう1つ、2つの速さをたして2で割った数(算術平均)より、必ず小さくなるという決まりもあります(行きと帰りの速さがまったく同じときだけ、2つの数は一致します)。もし計算して出てきた答えが時速5kmより大きかったり、時速4km以下だったりしたら、どこかで間違えています。

つまずきやすいところ

その1 速さを先にたして2で割ってしまう

「平均」という言葉を見て、2つの速さをそのままたして2で割ってしまう間違いです。速さの平均は、行きと帰りで同じ時間だけ走ったときにしか使えません。往復の問題では、先に道のりと時間をそれぞれ求める必要があります。

その2 往復の道のりを2倍し忘れる

全体の道のりを求めるときに、片道の12kmのままで計算してしまう間違いです。「往復」と書かれていたら、道のりは必ず2倍になります。片道の時間を求めるときの12kmと、全体の道のりを求めるときの24kmを、途中で取りちがえないように気をつけましょう。

その3 道のりと時間を、別の組み合わせで割ってしまう

往復の道のり24kmを、行きの時間3時間だけで割ってしまうなど、道のりと時間の組み合わせを間違える失敗があります。平均の速さは往復全体の道のり÷往復全体の時間であり、片道だけの数字を混ぜて使うことはできません。

やってみよう

Q1 家から公園までの道のりは8kmです。行きは時速4km、帰りは時速8kmで走りました。往復の平均の速さは時速何kmですか。

A 行きの時間は8÷4=2時間、帰りの時間は8÷8=1時間。往復の道のりは8×2=16km、往復の時間は2+1=3時間。平均の速さは16÷3=時速5.33…km(約5.3km)。

Q2 Q1で「(4+8)÷2=時速6km」と答えた人がいます。この答えがおかしいことを、計算をやり直さずに大小関係だけで説明しなさい。

A 往復の平均の速さは、2つの速さの算術平均(6km)より必ず小さくなります。6kmという答えは算術平均そのものなので、この時点でおかしいと分かります(実際の答えは約5.3km)。

Q3 となり駅までの15kmの道を、行きは時速5km、帰りは時速15kmで往復しました。往復全体の平均の速さは時速何kmになりますか。

A 行きの時間は15÷5=3時間、帰りの時間は15÷15=1時間。往復の道のりは15×2=30km、往復の時間は3+1=4時間。平均の速さは30÷4=時速7.5km。算術平均の時速10kmより、遅いほうの時速5kmに近い答えになっています。

Q4 行きも帰りも同じ時速5kmで往復したとき、平均の速さは時速何kmになりますか。また、算術平均((5+5)÷2)と答えが一致する理由も説明しなさい。

A 平均の速さも時速5kmになります。行きと帰りの速さが同じなら、かかる時間も同じになるため、「遅いほうに時間が引き寄せられる」というずれがそもそも起きないからです。

Q5 ある子が「往復の平均の速さを求めるときは、片道の道のりを、片道の時間だけで割ればいい」と言いました。この考え方のどこが間違っていますか。

A 片道の道のり÷片道の時間は、行きか帰りのどちらか一方だけの速さにしかなりません。往復全体の平均の速さを求めるには、往復全体の道のり(片道×2)を、往復全体の時間(行き+帰り)で割る必要があります。

Q1・Q3は手順どおりに往復の道のりと時間を求める練習、Q2は算術平均より必ず小さくなるという大小関係で検算する練習、Q4は速さが同じときだけ算術平均と一致する理由の確認、Q5は「片道だけの数字で済ませてしまう」間違いに気づく練習です。

まとめ

おうちの方へ

往復の平均の速さは、中学受験の算数でもよく出る定番の文章題ですが、小学校で習う「平均=合計÷個数」の感覚のまま速さをたして2で割ってしまう間違いが非常に多い単元です。お子さんが計算し終わったら、「その答えは、2つの速さのちょうど真ん中より大きい?小さい?」と1つ聞いてみてください。真ん中より大きい答えが出ていたら、その時点で見直しのきっかけになります。
家族でのサイクリングや散歩など、行きと帰りで速さがちがう体験と結びつけると、「遅いほうに時間がかかるから、平均は遅いほうに近づく」という感覚がつかみやすくなります。